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『エノケンの天国と地獄』(54)(1990.8.19.)かつてサーカスの人気者だった圭太(エノケン)は、天国の裁判所で生前の行いを見せられる。そこではユキ(若山セツ子)という少女との出会いと別れが映し出されていた…。監督・佐藤武。エノケンといっても、自分はその晩年をかすかに知っている程度で、ほとんど伝説上の人物になってしまう。それでも、最近はビデオの普及も手伝って、こうして彼の古い映画も見ることができるのだが、本来は舞台の人であり、映画ではその本領は発揮されていないという。また、彼の戦後の不幸な人生をまた聞きすると、彼の映画を見ても何だか純粋に笑えなくなってしまう。特にこの映画などはもはや喜劇ではなく悲劇であった。ドタバタをやっていた人がそこから脱皮できずに苦労する姿や、時代と合わなくなる姿は見ていてつら...『エノケンの天国と地獄』
『銀嶺の果て』(47)(1982.5.20.池袋文芸地下.「志村喬追悼特集」併映は『野良犬』)銀行強盗の三人組が北アルプスに逃げ込んだ。その一人の高杉(小杉義男)は雪崩に巻き込まれたが、残った野尻(志村喬)と江島(三船敏郎)は、雪に埋れた山小屋を発見する。そこでは、老人(高堂国典)とその孫の少女(若山セツ子)と、本田(河野秋武)という登山家が生活していた。谷口千吉の監督デビュー作で、脚本と編集を黒澤明が担当したというので、期待を持って見たのだが、いかんせんフィルムが古過ぎて、しかも保存も悪いらしく、途中で何度もプツリ、プツリと切れるのである。これはたまらない。せっかく盛り上がりかけたシーン、あるいはいいセリフが、妙なテンポになったりして、何だか間が抜けた感じになってしまった。しかも、映画の内容も、人物描写...『銀嶺の果て』
『三十六人の乗客』(57)(1977.12.12.フジテレビ深夜)さる動画サイトで発見し、念願かなって45年ぶりに再見することができた。細部は忘れているところもあったが、全体的には結構覚えていた。それは、この映画が面白かった証だろう。映画の全編は95分だが、バスが出てくるのは開始から約20分後。その前の状況説明が結構長い。このあたりの記憶はおぼろげだった。小田急の夜行スキーバスは、京橋から出て、浦和、熊谷、渋川、長野原を経由して草津まで行く。当時は、高速はもちろん、パーキングエリアもないわけだから、鉄道の駅が休憩所となる。バスの中の喫煙は当たり前(いすのところにちゃんと灰皿がある)などに時代を感じる。キャスト表を発見した。乗客小泉博…刑事・渡辺一郎。辞表を出して情婦と失踪淡路恵子…渡辺の情婦。洋裁店店主千...『三十六人の乗客』