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そう言えば後ろ姿って描いてないなぁ。……と思い立ち、描いてみました。今回はランニャがモデル。狐と狼の描き分けは私、黄輪にとって永遠の課題です。ただ、長年の探究の過程で、「狐はふんわり系」「狼はがっしり系」と言う差別化ができたこともあり、近年は描く時の指針がはっきりしてきました。前回のエリザと今回のランニャにも、その違いは現れているかな、と。エリザ「腰も太ももさんもぎゅーっと引き締まっとるなぁ。さっす...
前回に引き続き、Vroidstudio正式版を色々いじってみました。今回バージョンから僕にはとっても嬉しい機能、「ネコミミ」が追加できるようになり、嬉々としてモデリングしています。そんなわけで今回はうちの猫耳キャラ、猫藤さん。 「今日の旅岡さん」シリーズは日常的、現実にかなり近い世界観なので、普段着でのモデリングが考えやすい。とはいえ最近は考察メンバーも近代的服装でいることが多いので、そのうち彼女たちも制作...
イラスト;エリザ(琥珀暁、8回目) / なんや分からんけどアメちゃんあげるで~
時節柄のイベントに参加したくて、ハロウィンイラストを制作。うちの魔女枠筆頭のエリザに着せてみました。「魔女が魔女のコスプレですかー。なんかシュールですねー」「なんでもシュールって言っとけばまとまると思ってない、アンタ?」町が何となく賑わっていることを察し、周りに尋ねたところ、どうやら「はろうぃんぱーてぃ」と言うお祭りの準備中らしいことが分かり、お祭りごと大好きのエリザは即応した。「なんや知らんけど...
「緑綺星」第3部のキャラ紹介。謎のサムライ少年と、前回紹介できなかった人たち。名前橘海斗 / たちばな かいと / Kaito Tachibana性別・種族・生年身体的特徴男性 / 長耳 / 703年髪:赤、瞳:緑小柄、中肉職業「サイレンス・サムライ」普段は無口なダウナー系ゲーマーですけど、お母さんとお姉ちゃんの話題になるとすごい早口でしゃべるんですよね。マザコン&シスコンさん?イマドキ古風オブ古風な刀の使い手ですが、現代兵器...
シュウの話、第107話。メイスンリポート#44;世界が震える巨大ニュース! 後編- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -5. ハイこんにちは、シュウ・メイスンですー。 激熱の前後編動画、いよいよ後編の始まりです! 前編でお話ししました謎の武力組織、コレが一体ドコの誰なのかについてですが、もう前編からずーっとずーっと引っ張ってきちゃってますので、いよいよ明かすコトにしましょう! ……と言いたいトコなんですけ...
ブログ開設13周年イラスト、完成しました。記念イラストと言うことで、うちの色んな世界のキャラを詰め込んでみました。最近ほぼ週1で動画に出演している小鈴。そして旅岡さんと円さんと、あとねこ車掌。……DWはなかなかクロスオーバーが難しいので割愛。以下、いつものSS。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -...
左目の調子も問題なく回復してきているので、そろそろイラストも頑張ろうかと思います。と言うわけで、小鈴とエリザに続いてシュウのアイコンも制作。 「こんにちは、シュウ・メイスンですー」「色々質問させて下さいよー」「ひぅー」...
「緑綺星」第1部が終了したので、キャラ紹介。今作の傍観者系主人公シュウと、「スチール・フォックス」ことジャンニくん。名前シュウ・メイスン / Shiu Mason性別・種族・生年身体的特徴女性 / 猫獣人 / 696年髪:桃、瞳:金、耳・尻尾:黒地、先端に白小柄、貧乳職業フリーライター / インフルエンサーわたしがわたしのコトお話するのって、結構困っちゃいますよねー。だってわたし、そんなに特徴とか特技とかないですし。あ、で...
シュウの話、第106話。メイスンリポート#43;世界が震える巨大ニュース! 前編- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -4. こんにちは、シュウ・メイスンですー。 今回は大増刊号! なんかもうホントに色々色々話さなくちゃならないコトがいっぱいできちゃいましたので、前後編二回にわたってお送りするコトにします! 名付けて「世界が震える巨大ニュース」です! いやーホント、わたしも聞いてビックリするコトばっかり...
シュウの話、第37話。スチール・フォックス;その正義のために。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -7.「で、これからどないしよ?」 早めの夕食を終えたところで、ジャンニがそんな質問を投げかけた。「オレの意見は一つだ」 一聖が答える。「オレにケンカ売ったヤツは、ただじゃ済まさねー。今回の件の裏にいるヤツが白猫党であれ、他の誰であれ、ソイツにはきっちり仕返ししてやらねえと気が済まねー」「お前ソレで昔...
シュウの話、第36話。これまでか、これからか。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -6. 鈴林が作ってくれた鱒とキノコのリゾットを食べている間に、テレビでは市国のニュースが報じられていた。《……本日午後2時半頃、市国にミサイルと思われる飛翔体が多数飛来・着弾し、市街地では大規模な被害が発生した模様です。市国入出国管理局からは『市国の安全が大きく脅かされたこと、そして数多くの人命が失われたことに、遺憾...
シュウの話、第35話。双子よりもっとちかしい姉妹。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -5.「よお、天狐。元気してたか?」「あぁん?」 対面するなり、その金毛九尾の狐獣人は口をへの字に曲げた。「誰かと思ったら一聖かよ。この80年音沙汰ナシかと思ったら、いきなりだな」「ま、色々あってな」「単刀直入に聞くけどよ」 天狐はタブレット状の金属板を、一聖に向ける。「ココ最近、お前『目録』に色々書き込んでただ...
シュウの話、第34話。報復。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -4.「おっ?」 店主が店に備え付けていたテレビを見上げ、驚いた声を上げる。「爆発騒ぎだってさ。ガスか何かかな」「……!」 シュウとジャンニは同時に振り返り、テレビ画面を確認した。「……シュウさん」「みたい、ですよ」 画面にはジャンニのアジトが――いや、正確にはアジト「だった」ものが映されていた。「燃えとる……」「……出ないです、カズちゃん」 ...
シュウの話、第33話。白くて深い闇の向こうから。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -3.「6世紀後半にですねー、白猫党って言う政治結社が侵略と戦争を繰り返して、央北の西半分を手に入れたんです。ソレだけに留まらず、央中とか央南とかにも攻め込んだりして、一時期は世界の3分の1を手中に収めるくらいに勢力を拡大したんです。だけどなんか途中から内輪もめしちゃって、党は南北に分裂したんですよ。 で、再統一し...
シュウの話、第32話。「ネオクラウン」とは。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -2. シュウに2杯目を注いでもらいながら、アルトは話を続ける。「そんで、お二人さんよ。スチール・フォックスの宣伝動画でこう言ってたな? 『ネオクラウンが自分の最大の敵だ』『ネオクラウンを倒すことが最大の目的だ』って」「まあ、うん」「そう言う趣旨の内容ですねー」 そう答えた二人の顔を、アルトはニヤニヤ笑いながら眺めてい...
シュウの話、第31話。老いた「パスポーター」。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -1.「ジャンニくん……!?」 シュウもジャンニの背後に誰かが佇んでいることに気付いたらしく、血相を変える。だが、その人物――数日前スチール・フォックスを素手で叩きのめしたあの老兎「パスポーター」は、ニヤッと笑って拳を離した。「最初に言っとくが、お前さんを今ここでどうこうしようってつもりはねえよ。俺にお前さんの始末を依頼...
シュウの話、第105話。サイレンス・サムライ;その未来のために。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -3.「アンタの話する前に言っとくけどさ――ママとも色々相談したんだけど、やっぱ帰るわ、あたしたち」「そう」 ただ一人、シュウの提案に答えていなかった海斗はその晩、七瀬と美園が帰郷する旨を伝えられた。「こっちにも学校あるけどさ、あたし央中語全然知らないもん。央中語勉強しながら他の勉強もってなると、あたし...
シュウの話、第30話。夜明けは近い、……か?- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -9. 自警団が壊滅したことは、ネオクラウンにとっては結果的に、致命的な痛手となった。 これまで自身への追及が行われる直前に、彼らにゲリラ活動を行わせることにより、公安の行動を制止・制限させることができていた。これにより自警団員が公安に逮捕・拘束されたとしても、末端の人間は自警団とネオクラウンがつながっている事実すら知ら...
シュウの話、第29話。自警団の正体。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -8. スチール・フォックスが自警団を襲撃した翌日、市国の朝刊各紙は、その前日のクレメント事件を超える賑わいを見せていた。「自警団団長 公安局に投降」「自警団 ネオクラウンとの関与認める」「司法取引要求か 公安局長『検討の余地あり』」「……ってわけで、今も取り調べの最中だが、それでも結構な事実が明らかになった」 その2日後、ふた...
シュウの話、第25話。揺れる自警団。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -4. 自警団の告発動画をアップロードした翌日、シュウのメールアドレスには、何通ものメールが送られて来ていた。「自警団の構成員らしき人たちからですね」「中身は?」「自警団の本拠地の現在位置です。よっぽどショックだったんでしょうね、自分たちの中に裏切り者がいたってコトが」「全部一緒なのか?」 横からメール内容を覗くカズに、シュウ...
シュウの話、第24話。メイスンリポート#42;正義を騙るあの団体の真実とは!?- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -3.「ま、それにだ」 警部はフライドチキンの箱から手羽を取り、かぶりつく。「もぐ……、タチの悪いことに、自警団を正義の味方だと吹聴してるアホ共も少なからずいやがるからな。それを公安局が自ら動いて取り潰したとなりゃ……」「抗議するでしょうねー。ネットでも新聞でも何でも、ありとあらゆる通信手段を...
シュウの話、第104話。パトロン天狐。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -2. エヴァと七瀬だけでなく、大野博士やラモンにも根掘り葉掘り話を聞き、一通りの取材を終えたシュウは、早速天狐のPCを借りて動画編集を行っていた。「んー……やっぱ基地の話はオミットかなー。こっちの主張にあんまり関係ないし」「しれっと隠しやがったな。ジャーナリストが聞いて呆れるぜ」 後ろでその作業を眺めていた天狐に突っ込まれるが...
シュウの話、第103話。天狐屋敷の女子会。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -1.「おっ」 ご自慢のハイスペックPCで央南の新聞を読んでいた天狐が、愉快そうな声を上げる。「『大月市郊外に大量の身元不明者現る 地元警察はパンク状態』だってよ。ま、そりゃそうなるわな。あそこの兵隊全員ほっぽって来たもんなー」「姐さんもなかなかヒドいよねっ」 部屋の掃除をしていた鈴林に突っ込まれたが、天狐はフンと鼻で笑っ...
シュウの話、第101話。拠点防衛用兵器・HD715D。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -9. ドローンが姿を現すと同時に、エヴァは機銃の引金を絞る。工作機械じみたドゴ、ドゴと言う爆音が駐車場に響き渡り、ドローンを弾く。だが――。(硬いな、やはり) 最初の数発はドローンの体勢を崩し、装甲をいくらかはがしはしたものの、すぐに体勢を立て直し、横へと跳んでかわされてしまう。(とは言え) エヴァも即応し、偏差射撃...
シュウの話、第100話。AI迎撃システム;内。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -8. 基地内を奥へと進んでいたエヴァと海斗は、ほどなく目的の場所である倉庫前に到着した。「ここ?」「兵士の話が本当ならな。とは言えあの状況でウソをついても仕方ない。間違いないだろう」 エヴァは倉庫の扉をノックし、声をかける。「ミソノ、中にいるのか? 助けに来たぞ。弟も一緒だ」「美園! 僕だ!」 海斗も声を張り上げて呼び...
シュウの話、第96話。破壊工作。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -4. 早朝、約束の期限の2時間前――潜遁術「インビジブル」で姿を消したエヴァが、件の採石場跡に忍び込んでいた。《センサーに反応なしや。周囲に見張りおらんで》 エヴァと同様、付近に潜んでいるジャンニから通信が入り、天狐が応答する。《よし。エヴァ、そのまま直進しろ》 術の展開中は大きな声を発せないため、エヴァは返事する代わりに、インカ...
シュウの話、第95話。天狐と一聖のミーティング。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -3.「一騎当千の3人なら基地でも要塞でも陥落させられる」と豪語したものの――一聖と天狐は互いの顔をにらみ合い、思案に暮れていた。「で、いい案思いついたかよ?」「思いついてたらお前の顔じーっと眺めてるもんか。お前もだろ?」「……だよなー」 白猫党の秘密基地があると思われる採石場跡の衛星写真を二人で眺めていたが、その攻略...
シュウの話、第94話。潜み、眩まし、そして瞬く綺羅星たち。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -2. 一聖にミッドランドへ連れ込まれた時点で、七瀬・海斗親子が請けた大野博士暗殺依頼の期限までは、残り2日となっていた。その2日強の――依頼を放棄したことに白猫党が気付くまでの――間に、一聖と天狐はジャンニ、エヴァ、そして海斗の装備を整え、バックアップ体制を確立することにした。 まず、ジャンニについて。「勿...
前回とは対照的に、今回は自分の想像と欲求に忠実に従って描いてみました。うーん、筆が乗る乗る。いつもより早く描けてしまいました。考察メンバーの中でもエリザと小鈴が二大巨頭であることは常々発言していますが、エリザの方がより強調したタッチになっているのは、僕の趣味です。設定上でも、エリザの方がちょこっとだけサイズが大きめ。パラ「163.1cm……95.2cm……62.4cm……84.9cm……」天狐「何の数字だよ?」パラ「男性諸氏が興...
シュウの話、第93話。逆襲の時。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -1.「話は分かった」 エヴァと七瀬の話を聞き終え、天狐は小さくうなずいて返した。「大野博士については、天狐ゼミで保護してやる。フェロー(特別研究員)とでも言っときゃいいだろ。紅農技研には『オレが来いっつって連れてきた』って言っときゃ、ソレで納得すんだろ。七瀬のスマホも今、一聖と鈴林が位置情報システムをごまかしてるトコだ。腕は確か...
シュウの話、第92話。狙われる難民特区。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -5.「いちおく……1億トンって、……ええと……」「トラス王国の年間消費量が20万トンとか30万トンくらいですね。ネットの情報ですけど」 ラモンがスマホを眺めながら、ある程度の目安を説明する。「だからざっくり計算すると、300年分以上に相当しますね」「さんびゃくねん!?」 七瀬とエヴァの声がハモり、顔を見合わせる。「そりゃ白猫党...
シュウの話、第91話。黒ずくめの正体。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -4. 猫獣人に素直に従い、七瀬は自分の車を離れ、相手のものらしい黒いバンに乗り込む。猫獣人も乗り込んだところで、彼は既に乗り込んでいた仲間――黒ずくめの狼獣人に声をかけた。「だからエヴァさん、何度も言ったはずですけど、ちゃんと体拭いて乗り込んで下さいってば。掃除、大変なんですから」「防水性なんだからいいだろう? それに今は仕...
シュウの話、第23話。非正規依頼。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -2. 警部が持って来てくれたフライドチキンとシュウが作ったピザ、そして近所のコンビニで買って来たコーラをテーブルに並べ、一同は豪勢な夕食を楽しんだ。「そんでジャンニ……、だったっけ、お前さん、あのドクターなんとかを追ってったが、結局捕まえられたのか?」「いや、あっちこっち追いかけてんけど、見失ってしもてん」「そうか。ま、仕方ない...
シュウの話、第22話。思わぬ訪問者。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -1. 出くわすはずのない人物に自宅の玄関で遭遇し、ジャンニたち三人は硬直していた。と、マドック警部は相好を崩し、手に提げていたフライドチキンの袋を掲げて見せた。「良かったら俺もパーティに参加させてくれるかい? いや何、あんたらのことは今んとこ、何もしやしないさ。今んとこはな」「……」 ジャンニは背後を振り返り、成り行きを見守っ...
シュウの話、第21話。クレメント事件の顛末。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -8.「オラあッ!」「うげぇ!?」 ドクターは身をよじり、2周ほどグルグル横回転して、アスファルトに倒れ込んだ。「う……っく……」《いい加減観念しろ、ドクター・オッドさんよ?》 倒れたままのドクターを見下ろし、ジャンニはもう一度構える。「……ゆ、……ゆだ、んしま、した。まさか、これ、も、効いてな、い、とは」 ドクターは顔を抑え...
シュウの話、第90話。夜と雨にまぎれて。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -3.「ひゃっ、ひゃああああっ!?」 腰を抜かし、その場にへたり込んだ大野博士をベンチ越しに確認し、海斗は舌打ちした。(まさかあんなタイミングよく立ち上がるなんて……でも、もう逃げられないよ) 海斗は刀をベンチから引き抜き、続いてそのベンチを乗り越え、大野博士に肉薄する。(1ヶ月の行動パターンから、あんたがこの公園のベンチで...
シュウの話、第18話。メイスンリポート#37;あやしぃ企業リストのご紹介第2弾です!- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -5. マドック警部とクルトは手紙の内容を信じ、クレメント製薬の工場に向かっていた。「ふあ、ああ……眠み」「さっきコーヒー飲んだじゃねえか。ま、俺もさっきから欠伸噛み殺してるがよ」「これで何もなしのイタズラだったら、やってられないっスね」「そうならないことを祈るしかないな」 車を走らせ...
シュウの話、第17話。公安局の朝。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -4. カズに「暗黒街」と称された現在のゴールドコースト市国ではあるが、それでも公安局――いわゆる警察機構が機能していないわけではない。彼らは彼らなりに、市国に巣食う巨悪を一掃しようとあがいていたが――。「なんだと? また自警団のアホ共の仕業か!」 この日の捜査部も、朝から本部長の怒鳴り声が響き渡っていた。「何が正義の味方だ! 何が...
シュウの話、第16話。証拠能力不十分。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -3.「折角の揚げたてコロッケですから、食べながらお話しましょ」「さんせーい」「衣はなるべく落とすんじゃねーぞ」 三人ともできたてのコロッケを片手にしつつ、モニタに視線を落とす。「先週の土曜、午前1時半だ。ゾロゾロ入って来てる」 カズの言う通り、モニタに映された映像の中では、非常口から十数名の人間が現れる様子が確認できた。「...
シュウの話、第15話。ジャーナリストの武器。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -2. シュウに調理してもらっている間に、今度はジャンニが映像を確認することになった。「ほな、火曜から雷曜までは確認してんな」「おう。今オレが見てんのが土曜の午前だから、お前午後な」「へーい」 動画を再生し、じっと眺めていたが、2分もしない内にジャンニがつぶやく。「……どれを見てええんかよお分からん。9分割やし」「全部だ...
シュウの話、第14話。シュウとカズの共通点?- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -1.「つってもさー、やっぱ底んトコに苦い感じ残んじゃん」「わたしはソレが好きなんですけどねー。だからドコの喫茶店行っても、カフェラテばっかり頼んじゃって」 二人とも片手にカップを持ちながら、それぞれ別のモニタを眺めつつ、取り留めもない話に興じている。「オレは苦いの嫌いなんだよなー」「でもチョコってビター感ありません?...
シュウの話、第13話。製薬会社の闇。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -7.「元々ですね、わたし、この件を調べようと思って市国に来たんですよねー」 そう前置きし、シュウは書類をカズに渡す。「『クレメント製薬 716年度決算報告』……なんだコレ?」「市国の製薬会社さんですね。金火狐商会の孫請けさんくらいのトコですけども、昨年度の決算がおかしいって、その筋でうわさのトコなんです」「おかしい?」 尋ねた...
シュウの話、第12話。次なる演出は?- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -6. ジャンニ、即ち市国に現れた謎の人物「スチール・フォックス」への取材動画をネット上にアップロードしたところ――。「おかげさまで100万再生突破ですー」「マジか」 半月ほどの間に動画再生数は伸びに伸び、彼に対する評価もプラス方向に大きく傾いた。「って言っても全評価6万件ちょいの中、高評価52%ってトコなんですけどね」「ギリ半...
シュウの話、第11話。メイスンリポート#40;うわさのあの人にインタビューしちゃいました!- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -5. こんにちは、シュウ・メイスンですー。 前回の動画からちょっと日が空いちゃいましたね。ご無沙汰しちゃいまして、申し訳ありませんでしたー。でもその代わり、今回は特別編です! 実は今わたし、ゴールドコースト市国にいるんですけども、綿密な独自調査の結果、あの超有名人とコンタクト...
シュウの話、第10話。広報活動の重要性。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -4.「……そんなわけで、俺はこのパワードスーツ使てネオクラウンの奴らと戦ってんねん。自分で言うのんも恥ずかしいけども、ま、正義の味方っちゅうやつやな」「ふむふむ」 シュウはそこでスマホを操作し、録画を止める。「ちょっとお聞きしたいんですけど、広報に関しては何かされてます?」「こーほー?」「自分たちの活動について、ブログとか...
シュウの話、第7話。「狐」軍奮闘。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -1.「おはようございまーす」 Tシャツにハーフパンツ姿の、明らかに寝起きと分かる格好でぼんやり突っ立っていたジャンニに、シュウが声をかけた。途端に彼は、ビクッと狐耳を震わせて姿勢を正す。「お……おっ、ほ、おはっ、……げっほ、げほっ、……おはようございます」「そんなにかしこまらないでいいですよー」 シュウはニコニコと笑みを向けたが、ジ...
シュウの話、第6話。密着取材開始!- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -6. カズが話している間に、ジャンニは3人分の飲み物をトレーに載せて戻って来た。「ま、そんなわけで俺も――親父が殺された仇を討ちたいってのもあったし――まずは自警団に参加してん。身分を偽って」「ソレはなんでですか?」「当たりめーだろが」 ジャンニからチョコミルクを受け取りつつ、カズは馬鹿にしたように鼻を鳴らす。「自警団はチンピラ同...
シュウの話、第5話。錆びた黄金。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -5. シラクゾは総帥候補として選ばれる程度には優秀ではあったが、元より排斥されかかっていた家柄の生まれである。何もせず座したままでいては、自分の未来が閉ざされてしまうのは明らか――若い頃からそう危惧していたシラクゾはネオクラウンと通じ、十重二十重の工作を仕掛けたのである。 そもそも次期金火狐総帥を選出する選挙の方法だが、これはゴー...
シュウの話、第4話。取材交渉。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -4. シュウがその名前を出した途端、ジャンニとカズが顔を見合わせる。「あー……と。どうする?」「しらばっくれとく?」 二人はヒソヒソと小声で話すが、そもそも五感の鋭い猫獣人相手では、あまり意味を成さない。「聞こえてますよー? しらばっくれないで下さいよー」「う、うーん」 二人は困った顔をして固まっていたが、やがてジャンニが意を決した...
シュウの話、第3話。秘密基地。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -3. 空を10分ほど飛んだ後、シュウは裏通りの、くたびれた家のテラスに着陸した。《ゴメンな。怖かっただろ?》「あ、いえ。ちょっとびっくりはしましたけど、面白かったですよ。ジェットコースターみたいでしたし」 シュウにそう返され、装甲は《えっ》と声を上げる。《あんた、神経めっちゃめちゃ太いんやな。……っと》 そこでようやく、装甲がヘルメ...