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『少年時代』(90)(1991.2.9.)戦時中の少年たちを描いた話と聞いて、またその時代を生きた今の大人たちが思い入れたっぷりに作った自分勝手な“時代劇”を見せられる気がしたし、TVでやたらと流れるCMにもいささか辟易させられ、評判を耳にしながら今まで見ずにいた。そんな訳で、ビデオで見るという気楽さも手伝って、少々意地悪な先入観を持って見始めたのだが、これ大間違いだった。今までこの手の話に付きものだった“特別な時代の子どもたち”という描き方が抑えられ、誰もが通る少年時代の一断片として見ることができた。従って、時代こそ違え、自分の少年時代と重なって感情移入することもできたのだから驚いた。例えば、ガキ大将への復讐は自分もやられたし(もちろんこの映画のガキ大将のような毅然さは自分にはなかったが…)、別に憎くも...篠田正浩の映画『少年時代』
『影武者』(80)(1980.5.16.東洋現像所・技術検討試写会)黒澤明、5年ぶりの新作。『どですかでん』(70)『デルス・ウザーラ』(75)の枯れたような心境から、もう一歩死に近づいたような暗さや重みが感じられるが、その分、難解なところもある。この映画には、『用心棒』(61)や『椿三十郎』(62)で三船敏郎が演じたスーパーヒーロー的な人物は一切登場せず、戦国時代の武将たちがひたすら人間くさく描かれている。演技陣では、武田信玄と影武者の二役を演じた仲代達矢をはじめ、山崎努、大滝秀治、室田日出男、根津甚八、清水鉱治ら、一癖ある芸達者たちに、織田信長役の新人・隆大介が加わり、見事なアンサンブルを見せる。その中に入った勝頼役のショーケンが、何とも気の毒に見えた。長篠の戦いでの武田軍の壊滅シーンは、バックに流れ...「BSシネマ」『影武者』
NHK大河ドラマ「どうする家康」。次週はいよいよ、織田・徳川連合軍と武田軍が雌雄を決する長篠(設楽ヶ原)の合戦となる。この長篠の合戦が最も印象深く描かれた映画は黒澤明監督の『影武者』(80)だろう。以下、『全集黒澤明』(岩波書店)から抜粋。諏訪勝頼(萩原健一)の無謀な突撃命令に疑問を感じながらも、侍大将たちは馬上でこんな会話を交わす。「風林火山」「林」の旗印の内藤昌豊(志甫隆之)「風よ、火よ、これまでじゃな」「風」の旗印の馬場信春(室田日出男)「さらばじゃ、一足先に参るぞ」「火」の旗印の山県昌景(大滝秀治)「風よ、林よ、御屋方様の下でまた会おう」槍を合わせ、三方へ走り去る3人。徳川家康(油井昌由樹)「武田はこれで滅びまする」織田信長(隆大介)「山が動いてはそれまでよ」信長「鉄砲隊の者どもにしかと申せ。先ず...『影武者』長篠の合戦
今月の日経履歴書は池辺晋一郎さんです。「N響アワー」の司会者としてしか知りませんでしたが、若い頃からの付き合いは多士済々です。ちょっと羨ましくなりました。都立新宿高校は学校群以前かなりの進学校だったことは、高校時代の英語教師がそこから来たので知っています。しかし、東大進学だ...