篠田正浩の映画『少年時代』
『少年時代』(90)(1991.2.9.)戦時中の少年たちを描いた話と聞いて、またその時代を生きた今の大人たちが思い入れたっぷりに作った自分勝手な“時代劇”を見せられる気がしたし、TVでやたらと流れるCMにもいささか辟易させられ、評判を耳にしながら今まで見ずにいた。そんな訳で、ビデオで見るという気楽さも手伝って、少々意地悪な先入観を持って見始めたのだが、これ大間違いだった。今までこの手の話に付きものだった“特別な時代の子どもたち”という描き方が抑えられ、誰もが通る少年時代の一断片として見ることができた。従って、時代こそ違え、自分の少年時代と重なって感情移入することもできたのだから驚いた。例えば、ガキ大将への復讐は自分もやられたし(もちろんこの映画のガキ大将のような毅然さは自分にはなかったが…)、別に憎くも...篠田正浩の映画『少年時代』
2025/03/30 07:24