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好きなことは仕事にしない方がいい? 映画業界の片隅で働くアタシは、なるべく劇場で新作を観るように心がけている。 同僚たちも同じ考えのようで、足繁く映画館へ通っている人も多い。 なので、新作映画の感想を語り合う機会も多いのだが、そのたびに、ア
飽くなき欲求。 昔、師事していた巨匠と呼ばれる高齢の映画監督が、よくこんな話をしてくれた。 「私は、あと2本、映画を撮る」 資金が底を尽きようとも、高齢になろうとも、病魔に侵されようと、 あと2本。 「あと1本」とは云わない。「次が最後」と
あの頃のアタシは。あの頃のアタシは。ある仕事で初めてプロデューサーを任されて、鼻息荒く、とにかく一生懸命だった。だけど、経験も、才能もない、ただの未熟者で、結果、泣かず飛ばずの有り様で。打ち上げもない帰り道。深々と頭を下げ、スタッフ達を見送
悪魔が上司になるなんて。男は、常に危険な存在だった。(男については、第68柱『そして悪魔がやって来た』を参照)上層部の人間には、媚び諂(へつら)うが。弱い立場の人間には、徹底的に、威張り散らす。ゴツゴツとした厳(いか)つい身体。柔らかみのな
そして悪魔がやって来た。その男は。最初は、全く存在感のない男だった。40代後半の男性、ある大手会社からの出向者である。出向者には、2種類いるようで、適材適所に配置され本領発揮する人と、会社としては不要な人材だけれど、クビにも出来ないのでと、
映画祭。その頃。ある映画祭で、「日本映画の旧作」部門を担当する事となった。それまで、邦画の旧作を、殆ど観たことがなく。最初は、「え? クラシック映画のどこが良いの?」と思ったが。いやいや。日本映画が娯楽の頂点に君臨していた1950年代頃の作
DEEPな予感。もう一度、映画界に就職すると心に決めてから、半年後。まこは、今、映画業界の片隅で働いている。引き寄せの法則は、偉大なり!働き始めたのは、映画の団体。映画界の仕組みを整えたり、業界全体を後方支援する会社で、映画界のVIP達が頻
スタンバイ。事務所が事実上の解散となり、突然の無職となった。当時32歳、独身。彼氏なし。貯金なし。仕事なし。うー。哀れの極みである。子供の頃は、32歳って、もっとずっと「大人」だと思ってた。多くの知識、多くの経験。何でも出来て、色んなモノを
二代目・指導霊私のもこり神様は、初代・指導霊のおじさん神様からバトンを受け取った、二代目・指導霊である。(指導霊については、第7柱『おじさん神様が来りて笛を吹く』を参照)もこり神様は、「好きな事を心ゆくまでおやりなさい」というタイプで、無理
プロデューサー・ガガ。饐(す)えた臭いの地下室で、一人、立ち尽くす。出勤1日目の会社で、コバエの洗礼を受けたのは、初めてだ。「いやぁ、わりぃ、わりぃ」悪いとは微塵も思っていない足取りで、見覚えのある顔が近づいてきた。数日前に、まこの面接を担
お茶入れ名人。映画の世界は、プロの集団で成り立っている。監督、カメラマン、編集、スプリクター、俳優など、全ての職種に於いて、唯一無二のプロフェッショナル達で構成されている。まこはと云うと、今まではオフィスに勤め、事務系の仕事をしてきたプロ?
ケツカッチン。映画制作会社(プロダクション)でのお仕事は、見るもの、聞くもの、全てが初めてばかりだった。特に、業界用語は独特だ。その日、最初に会った人への挨拶は、朝晩に関係なく『おはようございます』を使う。『とらはとっぱらいで』と云った不思
皮、喰う人々。一般企業から映画制作会社へ転職を果たしたまこ。初めての経験は、「見るもの」「聞くもの」だけではない。映画界で働く「人々」もまた、人生で初めて出会う、珍しい輩(やから)ばかりである。朝、事務所に出社すると、床に直接、ゴロンと寝転
野蛮人、それはある日、年間365日、ガバチョを腰にぶら下げている、カメアシの亀くん(仮名)が、まこに懇願してきた。ちなみに、ガバチョはガムテープ、カメアシはカメラマンのアシスタントの事である。「スカートで、椅子の上に立ってくれ。そして、下か
二人のおんな。二人の女性が、小さなテーブルを挟み、静かに顔を突き合わせている。最近、体調の芳しくない監督について、今後の相談をしているのだ。一人は監督の奥様。スラリとした和美人。監督が劇映画を撮れない時代は、彼女が家計を支え続けた才女でもあ
ゆけ!下僕道「映画」を、そして「映画人」をもっと知りたい。まずは、まこの雇い主である「監督」の作品から観てみよう。前にも記述したが、実は、監督は国内外の映画祭でも高く評価されるほどの大巨匠である。映画界に飛び込み50年、映画一筋の道を歩んで
男とか、女とか。まこの務める映画制作会社の代表は「スケベじじぃ」いや「監督」が務めているが、実際に事務所を切り盛りしているのはプロデューサーのガガさんである。(ガガさんの容姿等については、第24柱 私のもこり神様『プロデューサー・ガガ。』を
探偵物語。「いいか、絶対、監督から目を離すなよ」聞いたよ、ガガさん。もう、100回、聞いた。映画制作会社に入社してから、半年が過ぎた。まこの仕事は、事務職とは名ばかりの雑用係である。毎日出勤する監督の食事の手配や、プロデューサー・ガガさんの
カニと監督。「カニ・チャーハンが食べたい」ほーら、始まった。監督お得意の「ワガママちゃん」の発動だ。今日の昼食は、駅前の中華飯店から出前をとる予定だ。メニューに「エビ」チャーハンはあるが、「カニ」チャーハンは存在しない。監督、ここは一つ、「
経理の慶子さん。慶子さん(仮名)は、元・会計事務所勤務の経理のプロである。結婚・出産後、ガガさんにスカウトされ、この制作会社で働いているそうだ。色白、ふくよかで、優しい喋り方。どことなく俳優の松坂慶子さんに似ている。(なので、このブログでは
足音の違い。この制作会社は、社員以外にも、数多くの方が出入りしている。カメラマンさん、音響さん、美術さん、スクリプターさん、配給会社さん、時には、出演俳優さんなど、多種多彩である。中でも、監督の右腕ともいえる男性2名は、プロデューサー・ガガ
別れの予感。監督の部屋から、怪しげな「喘ぎ声」が聞こえてくる。大きくなったり、小さくなったり。事務所のスタッフたちは、壁から筒抜けのその「声」に、いつものようにニンマリと顔を見合わせる。声の正体は、わかっている。監督が映画のDVD鑑賞をして