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『エレファント・マン』(80)(1981.5.30.有楽座)慈善と偽善は紙一重この映画の予告編を見た時からすでに魅せられていたのだが、その期待通りの素晴らしい映画だった。ジョン・メリック(ジョン・ハート)という19世紀のロンドンに実在し、その奇形ぶりから「エレファント・マン」と呼ばれた人物を題材にしている。メリックの奇異な見た目故に、周囲の人間たちが彼に抱く優越感や浮かべる嘲笑、彼を利用する醜さがあらわになる。一方、メリックは見た目は醜いが、崇高さや優しさを持っているという矛盾がある。これらを通して、人間本来の姿とは一体何なのかを問い掛ける。全編、胸が締め付けられるような、何とも言えない悲しさに貫かれた映画だが、妙にじめじめしていないのはメリックを一人の人間として描き切ったからだろう。メリックは「私はエレ...デビッド・リンチの映画『エレファント・マン』