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『男はつらいよ葛飾立志篇』(75)(2010.7.17.浅草名画座)久しぶりに映画館で寅さんと再会。今回は寅さんが樫山文枝演じる大学の助手にほれて学問に目覚めるのだが、東大法学部卒のインテリである山田洋次が描く、無学な寅さんが持つ滑稽さや悲しみ、そして無学故のたくましさという二律背反がこのシリーズに深みを与えていると感じた。個人的には、シリーズの舞台である葛飾・柴又の隣町に引っ越してきてから1年がたち、「男はつらいよ」シリーズへの親しみがさらに増した。それと共に、年を取るにつれて山田洋次の人間描写の確かさや細かいシーンのうまさに気がつくようになった。『明治侠客伝三代目襲名』(65)時代劇(様式美)と実録やくざもの(リアリズム)の間に挟まれた徒花のような東映任侠映画の代表作。加藤泰監督のローアングルへのこだ...『男はつらいよ葛飾立志篇』『明治侠客伝三代目襲名』
『されど魔窟の映画館浅草最後の映写』(荒島晃宏)かつての映画館のメッカ浅草六区に残った旧作映画とピンク映画を上映する昭和レトロな映画館群「浅草中映劇場」「浅草名画座」「浅草新劇場」「浅草世界館」「浅草シネマ」(一つの会社が経営)。だが、実はいわゆる「ハッテンバ」だったり、時には警察や消防が出動するなど場内はまさにカオス状態。多額の借金を背負い、そこに映写係で勤務することになった筆者が体験する疾風怒濤の日々。だが、かつては映画館街として栄えた浅草から、ついに映画館の灯が消える日がやってくる…。以前、『名画座番外地:「新宿昭和館」傷だらけの盛衰記』(川原テツ)という本を読んだが、本書も同じように個性的な映画館に勤めた者にしか書けない代物で、カオスから閉館に至るまでの、おもしろうてやがて悲しき物語だった。その川...『されど魔窟の映画館浅草最後の映写』(荒島晃宏)