人類が知るべきは政治制度の悪用
ジャン・ジャック・ルソーといえば、根強い全体主義批判はあるものの、民主主義の理論化に貢献した思想家の一人に数えられています。そのルソーが、かのニコロ・マキャベリを評価していることを知ったら、多くの人々がその意外さに驚くことでしょう。マキャベリが執筆した『君主論』には、徹底した合理主義あるいは合目的主義の行き着く先の、目的のために手段を選ばない倫理なきリアルポリティークの世界が待っているからです。ところが、ルソーは、マキャベリは‘善人’であったと確信しているのです。‘君主’への指南書を装いつつ、人民に重大な警告を与えたとして。ルソーの表と裏を反転させた見方に因れば、『君主論』は、君主のためではなく、君主達による暴政や狡猾な手段に警戒すべく、人民に予防的な知恵を与えたために書かれた書物と言うことになりしょう。...人類が知るべきは政治制度の悪用
2024/07/22 12:05