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『エクレール・お菓子放浪記』(11)(2011.4.28.京橋テアトル試写室)戦中から戦後の混乱期を必死に生き抜いた一人の孤児の流転の半生を描いた良心作ではあるのだが、厳しい時代を描きながら甘さが目立つ。特にラスト近くの処理には大きな疑問も残る。ところが、ロケをした宮城県の石巻が先の震災で甚大な被害を受けたことから、この映画は作品の出来不出来とは別の次元で語らなければならなくなった。なぜなら、混乱の渦中を健気に生きる主人公アキオ(吉井一肇)や周囲の人々の姿が、震災で被災した人々や失われた風景と重なって見え、奇しくも震災の前日の3月10日に完成披露試写会をニッショーホールで取材したこちらの思いも加わって、深い感慨を抱かされたからだ。映画とは、どんな時代や題材を描こうが、作られた時代とは無縁ではいられないとい...いしだあゆみの出演映画その2『エクレール・お菓子放浪記』