瑠璃色のレタス 日本での一般的なよび名は瑠璃苣(ルリチシャ)。 苣(チシャ)はレタスの意味で、ボリジは全草くまなく料理に使用することができる万能ハーブです。 ちなみに日本の台所で食べられているレタスはキク科、ボリジはムラサキ科です。 (レタスの)和名は、チシャ(萵苣)。 古...
瑠璃色のレタス 日本での一般的なよび名は瑠璃苣(ルリチシャ)。 苣(チシャ)はレタスの意味で、ボリジは全草くまなく料理に使用することができる万能ハーブです。 ちなみに日本の台所で食べられているレタスはキク科、ボリジはムラサキ科です。 (レタスの)和名は、チシャ(萵苣)。 古...
世界4大スパイス 胡椒(ブラックペッパー)に丁子(クローブ)、ナツメグ、シナモンは世界4大スパイスと呼ばれているそうな(シナモン記事を書くにあたってはじめて知りました@_@;)。 数多あるスパイスのなかで4大入りしたのは、くらしのなかでとくに身近な存在ということや、近代数百...
日本の古布 シナノキ属、学名Tilia(ティリア)は北半球の温帯地域を中心にひろがる高木で、世界におよそ30種ほどあると分類されています。 【ハーブ天然ものがたり】インド菩提樹|白木海月@Shield72°公式noteにも綴りましたが、シナノキ属には菩提樹とよばれる種がいく...
菩提(覚者)の木 日本で菩提樹とよばれる木は大別するとクワ科イチジク属と、アオイ科シナノキ属があります。 菩提はサンスクリット語の「budh」が由来で「覚醒する」「転じて知り尽くす」「完全に理解する」という意味をもつそうです。 釈迦がその木のしたで悟りをひらいたことから仏教...
あまい香りと蜜をもつ金銀花 金銀にかがやくように、ふた色の花を咲かせる日本原産の吸葛(すいかずら)、学名 Lonicera japonica(ロニセラ ジャポニカ)は、花筒をつまんで花蜜を吸う風習から「すいかずら」と呼ばれるようになった説をよく耳にします。 英名でJapan...
キク科ヒヨドリバナ属 札幌でくらしていたころ、冬のあいだはベランダにみかんや柿やキウイなんかをおいて、ヒヨドリたちをよくお招きしていました。 夏のあいだはまったくやってこないヒヨドリたちも、北国のながい冬を越すために、朝もはよからヒーヨヒーヨとベランダにきてはごはんの催促を...
進化プロセス極まれり アルガンの木はアフリカ大陸北西部に自生するアカテツ科の植物。 種子から採れる油がアルガンオイル(アルガニアスピノサ核油)として利用されます。 ビタミンEの含有量がおおく抗酸化力にすぐれていることから、現代では化粧品原料として有名になりました。 アルガン...
日本のお茶、世界のお茶 煎茶に番茶、抹茶にほうじ茶、花茶に紅茶にウーロン茶など、いろんな呼び名で親しまれているお茶のすべては茶の木とよばれる、ツバキ科ツバキ属、学名 Camellia sinensis(カメリア シネンシス) の葉から生みだされます。 ヒトが飲用しやすいよう...
山から裾へ、北から南へ 霜がふる月、霜降(しもふり)月をむかえる霜降(そうこう)の候。 気まぐれな秋時雨がとおりすぎと、大地に冷気が刻印され、水の循環とともに生命力を謳歌していた緑いっぱいの植物界は、しん...と、しずけさにつつまれます。 紅葉色に染まる地上世界は、北から南...
地上の星 寒露中候には菊の花が香りたかく咲くころだよ、という花鳥風月が抜擢されています。 寒露の候、2023年は10月8日から。 鴻雁来(こうがんきたる)ツバメと入れ違いに雁が北から渡ってくるころ 菊花開(きくのはなひらく)菊の花がさくころ 蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)蟋...
星と風船と釣鐘と ふうせんのような蕾をつける桔梗は、梅雨のころに開花をはじめて秋まで星形の花をたのしむことができる秋の七草のひとつです。 アジア原産で日本の国土にもふるくから自生する野の花。 桔梗のどくとくな紫がかった青は桔梗色と名づけられ、平安時代から代表的な青紫の伝統色...
日本が心酔する葛、西洋を侵食するKuzu 姿形の美しさから、秋の七草にかぞえられる葛󠄀くずは、日本人のこころにふかく根ざす有用植物のひとつです。 夏の暑いさかりに冷やしていただく葛餅は四季をたのしむ格別なおやつになり、冬の寒い日にお鍋でいただく葛切りは、わが家でもお鍋マス...
地力回復菌 くさかんむりに秋の文字をあてられた萩は、まさに秋を代表するハーブ。 「秋の七草」のひとつです。 萩には種類がたくさんあり、百合や蘭とおなじように、萩の名は特性がにている種の総称ですが、秋の七草にえらばれたのは日本全土にひろく自生している山萩です。 公園などに植え...
地球をつつむイネ科植物 イネ科植物は地球世界にひろく分布する穀草、牧草で、自然草原や林をつくり、芝生にも使用される植物界の大御所クラスターです。 イネ科は地表をおおう面積では世界一、陸地面積の40%ほどを占めると考えられているそうです。 大地にひろがるイネ科植物は、動物やヒ...
秋の七草、尾花(おばな) すすきはイネ科ススキ属の風媒花で秋の七草のひとつです。 日本では古い時代に屋根をふく材料として活用していたことから、茅・萱(かや)と呼ばれる有用植物でもあり、集落の生活圏内には茅場とよばれる専用育成地がひろがっていたそうです。 日本国中どこでもみか...
歴史のふかい栽培植物 処暑の初候にあてられた「わたのガクがひらきはじめるころ」。 アオイ科ワタ属に分類された木綿は、7月ころから花をさかせて8月末から成熟した果実がはじけると、なかからわたにつつまれた種子が外界へおめみえします。 木綿は栽培種としてふるい歴史をもつ植物で80...
ベルガモット香がする松明のような花 晩夏にも花をたのしめる、開花期のながいハーブのひとつに松明花(たいまつばな)があります。 花のカタチが炎をイメージさせるので松明と名づけられ、原種は緋色ですが白、ピンク、紫などカラフルに花を咲かせます。 葉の香りがミカン科のベルガモット(...
聖なる斜面から生まれたハーブ ネイティブ・アメリカンの人々によるメディスン・ホイールは、方位と季節をそれぞれの精霊が司り、自然界のすべてを兄弟姉妹とする思想で、獅子座の季節は「木の実が熟すころ」と命名されています。 「メディスン・ホイール・シャーマンの処方箋」サン・ベア&ワ...
「山椒は小粒でぴりりと辛い」 日本の国土には古来からつかわれてきた野生のスパイス、山椒なるものがあると知ったのは、社会人になってからでした。 上京してはじめてのひとりぐらし、はじめてのおひとり様ランチをすべく、意気揚々と蕎麦屋にはいった日のことです。 テーブルのうえには一味...
スパイスの王様 インド原産の胡椒は、BC2000年ころには伝承医学で処方され、おもに泌尿器系と肝臓の不調に役立つと考えられていました。 古代において胡椒は贅沢品で、古代ローマでは胡椒と金銀がおなじおもさで交換されていたという文献ものこっています。 また貨幣のかわりに胡椒で税...
書斎の香り 英名ではルー(rue)の名まえが一般的なヘンルーダは、 学名 Ruta graveolens(ルタ グラベオレンス) ヨーロッパ南東原産のミカン科ハーブです。 ミカン科というと柑橘類のイメージがつよいと思いますが、その下部にあるグループ(属)には果樹となるミカ...
ときの流れをとめる花 7月に入ると、蓮に睡蓮、ハイビスカス、朝顔、芙蓉に向日葵と、太陽の日差しがよくにあう、凛と光をうける花たちが開花します。 7月にひらく花たちは、その色あいや大きさカタチでヒトの視線をくぎづけにして、花をみつめるその刹那、時間をとめてしまうようなフシギな...
渇きレスキューハーブ ほおずきは世界じゅうでおよそ100種が確認されているナス科ホオズキ属の植物で、そのうち約半分はメキシコの固有種です。 ほおずきの学術的な整理はいまなお活発におこなわれているようで、日本で一般的に見られる、あかく色づく日本原産種のほおずき(鬼灯、鬼燈)は...
クリア・アイ クラリセージ(clary sage)のクラリはラテン語の明るい・クリアという意味の clarus(クラールス)からきています。 別名にオクルス・クリスティ(キリストの目)があり、クラリセージの種から得られた粘液で、むかしは目の異物をとりのぞいた使用法から、その...
陰陽反転 節目の植物たち 夏至は一年でいちばん太陽がたかくのぼる、日のながい一日です。 陽気が極まり、陰気に転ずる節目の日でもあります。 日本には夏至の国民的お祭りや目立った行事がないので、うっかりすると気づかないまま過ごしてしまうこともめずらしくはありません。 過去記事、...
わさびイニシエーション わさびならではの辛味成分、鼻につんとぬける独特の風味は、体験したことがない人に説明するのにほねがおれる感覚です。 鼻のみならず目も耳も、頭部全域をわさびマジックで屹立させ、つんとしたのちスキッとする身体感覚は、半眠していた細胞たちをいっせいにめざめさ...
天下無双のシソ科ハーブ アロマやハーブをまなびはじめると、シソ科ハーブの天下無双っぷりに感服します。 日本文化をささえてきた しそ(赤紫蘇や大葉)はもちろん、バジル、ミント、ローズマリー、ラベンダー、セージ、マジョラム、オレガノ、タイム、レモンバーム、パチュリなど、アロマ業...
天然の祭壇 出自説があいまいで(いまのところ)中央アジア原産と考えられている にんにくは、BC2600年ころ古代シュメール人が粘土板に記録し、古代エジプトの医学書「エーベルス・パピルス(BC1550年頃)」に、疲労回復、強壮作用がある薬として収載されている古参ハーブです。 ...
風露草(ふうろそう)とゼラニウム 江戸時代の本草学者、貝原益軒(かいばら えきけん、1630年 - 1714年)が編さんした「大和本草」にも収載されているげんのしょうこは、どくだみ、せんぶりと並ぶ日本三大薬草のひとつです。 もっとも古くから日本人に親しまれ、もっとも活用され...
5月の菖蒲湯 5月午日に菖蒲湯につかる伝統行事は、柚子湯や桃葉湯と同じく、古くから伝わる民間療法です。 参考までに今年は5月12日が午日ですが、6月の午月入浴説もあり。 グレゴリオ暦から日にちを推測するのは、ビミョ… な感じです。 どちらにせよ旧暦5月はグレゴリオ暦でいう...
通気性よく、ふわふわです 「アジア圏の薬草」というと世界3大伝統医学から、漢方やアーユルヴェーダのイメージが強まりますが、日本には中国やインド発祥の医学が導入されるはるか以前より、植物を薬とする療法がありました。 もっとも古く記録された薬草は古事記「因幡の白うさぎ」に登場す...
しあわせのクローバー 「クローバー」というタイトルの物語、店舗や商品名、歌やグループ名はとても多いです。 都市にも田舎にも、どこにでも自生して、いつもどおりの日常に、とけこむように繁殖してゆきます。 東の海街にも、北の牧草地にも、温暖な農園や、都会の公園、川べりにも、クロー...
血液サラサラ、アリウム(ネギ)属 チャイブはユーラシア大陸原産、ネギ属ハーブのひとつです。 日本に自生しているあさつきは(学術的には)チャイブの変種と分類されています。 どちらもヒガンバナ科ネギ属に分類されるつかいやすい香味料。 専門ルールに則した学名変遷のある植物類ですが...
葦原中国(あしはらのなかつくに) 豊葦原千五百秋水穂国(とよあしはらのちいおあきのみずほのくに) 略称 葦原中国(あしはらのなかつくに)。 日本書紀には葦の原がひろがる風景を彷彿とさせるこの国(この世界?)の、はじまりの名前が記されています。 葦(アシ、またはヨシ)はこの地...
スパイス諸島とスパイス戦争 花のつぼみを乾燥させたユニークな形のスパイス、クローブ(Clove)は和名を丁子(ちょうじ)といいます。 現代では料理に使用するものとしてすっかり定着し、クリスマスを中心とした飾りもの、ポマンダーに使われるスパイスとしても有名になりました。 過去...
君の名は… 梅や桜の開花のころは日本の心、日本の文化を支えてきた植物たちとの邂逅に、さんぽ時間がより一層楽しくなります。 とはいえヨーロッパやアジア大陸、アフリカやオーストラリア原産種も、帰化したものや栽培種など広がって、国境を越えて鑑賞できるのもまたうれしいことです。 春...
桃花笑 24節気72候にある桃始笑(ももはじめてさく)では、桃花が咲くことを「笑」と表現したセンスに痺れます。 本日3月6日から、24節気72候では啓蟄(けいちつ)の候にはいります。 蟄虫啓戸(すごもりのむしとをひらく)-冬籠りをしていた虫が出てくるころ 桃始笑(ももはじめ...
すみれ王国、日本 「すみれ」には清楚なたおやかさがあり、不用意に踏みこんではいけない太古からのお約束があるような、とくべつで、神秘的で、不可侵ヴェールに包まれたフシギ感が漂います。 すみれは都会の道ばたでも見かける身近な植物ですが、深い紫色(菫色)の花が独特な神秘性を醸すの...
春の妖精 片栗粉という名で流通しているでんぷん粉のほとんどはじゃがいもが原材料です。 ハーブを学びはじめて日本原産の薬草に親しむうちに、もともと片栗粉は、かたくり(ユリ科カタクリ属)の球根から得られていたことを知りました。 地方によって愛称がたくさんありますが、万葉集に詠ま...
穏やかなフトモモ科 銀梅花(ぎんばいか)、学名 Myrtus communis ミルトス・コミュニス。 フトモモ科ギンバイカ属の常緑樹で地中海沿岸原産とされています。 英名はマートル、ドイツ名でミュルテ。 銀梅花というだけあって、まるみを帯びた5弁の花は梅にも似ていますが、...
山の喜び 精油として流通市場にのったマジョラムは、 学名 Origanum majorana オリガナム・マヨラナ、 シソ科ハナハッカ属に分類されるハーブのひとつです。 ハナハッカ属には有用で香り良いハーブが数種あるので、マジョラムは スイート・マジョラム、ノーテッド・マジ...
賢者の石をつくる水 西洋ハゴロモグサは別名レディスマントル、バラ科ハゴロモグサ属(学名 Alchemilla)のハーブです。 学名のアルケミラをそのまま呼称するのは園芸業界での通称で、Alchemillaはアラビア語の錬金術に由来した名称です。 ハゴロモグサがもつ不思議な魔...
ヤロウの神託 ずいぶん昔になりますが精油のヤロウをはじめて購入したのは、その名を知らなかったのでどんな香りがするのかなという好奇心からでした。 注文してすぐにヤロウってどんな植物だろうと調べはじめると 「あれれ?ヤロウってハゴロモソウのことだったのか、あぁそっか、種子名がち...
根びらき ふきはキク科フキ属の多年草で、日本原産種。 1月20日から大寒の候に入り、ふきのとうが雪の下から顔を出すころだよと、24節気72候の花鳥風月に抜擢されています。 ふきは日本全国どこにでも自生し、先陣きって沢や斜面にびっしりと芽吹きます。 湿り気のある土壌を好み、葉...
七草なずな、ぺんぺん草 七草の「なずな」は、成長すると別名ぺんぺん草の名で呼ばれるようになります。 「ぺんぺん」は三味線の音色を擬音化したもので、しゃみせんぐさとか、ばちぐさ(撥草)と呼ばれることもあり、花の下に付いている果実(一見葉っぱに見える)の形が、三味線の撥バチに似...
ニワトコの杖 ハリー・ポッターに登場するニワトコの杖は世界最強とされ、いろいろな人の手に渡りながらハラハラドキドキの「死の秘宝」は手に汗握りました。 魔法の杖になったセイヨウニワトコ、学名 Sambucus nigra の樹木の花は、ハーブとして流通しているエルダーフラワー...
スッカンポン 私が生まれ育った札幌の家は、裏手に30坪ほどの空き地があり、誰も来ないので勝手に裏庭と呼んでいました。 幼少期の思い出がたっぷり詰まっている裏庭は、 エノコログサにメヒシバ、カタバミ オオバコ、イタドリ、たんぽぽ、スギナ 蕗によもぎにシロツメクサ はこべ、つゆ...
芹の葉がひらくころ 小寒の候に入り、陽気でうごきはじめた地中の清水を最初に受けとり 芽吹かせる日本原産のハーブ、芹。 春の七草のなかで芹はとても身近な食材として、スーパーで買うことができます。 学名 Oenanthe javanica 、 日本原産のセリ科セリ属の多年草です...
地に足をつけない樹木 学生時代はやどりぎを鳥の巣と思って見ていました。 じっさい鳥たちにとっては 棲家に最適な形状なので 巣にすることが多いといいます。 緑の葉が生い茂っているときにはわかりませんが、 冬になり樹木の葉が落ちると、 まあるい鳥の巣みたいな葉が ぼんぼりのよう...
花枯れて薬となる 夏は植物にとっていちばんの成長期です。 野山も平地も河原にも、最大出力で緑が生い茂り 競うように花を咲かせます。 そんななか、まるで盛夏に背を向けるように 花枯れてしまうのがうつぼ草です。 1年を24等分して 四季折々の花鳥風月をあらわす24節気では うつ...
卓越した栄養と特性 いらくさはイラクサ属の多年生ハーブです。 茎や葉に小さい針のようなトゲがあり ゴム手がないと手摘みはできません。 日本では山菜として人気の高いハーブでもあります。 トゲトゲの根元には、皮膚かぶれの原因となる成分があり それが皮膚につくとジンマシンが出たり...
バラの親種 はまなすは学名 Rosa rugosa(ロサ・ルゴザ) バラ科バラ属の落葉低木で、いまでは何万種とある ローズのもとになったバラ属のひとつでもあります。 バラの原産地はすべて北半球にあり 日本もバラの自生地として世界的に知られています。 乾燥にも日光にも強く 耐...
歴代専門家のおすみつき ハーブで探すならレモンバーム 精油で探すときはメリッサ 和名はコウスイハッカ(香水薄荷)といい 南ヨーロッパ原産のシソ科ハーブです。 ギリシア語でメリッサ(Melissa)はミツバチのことで 生まれてすぐクレタ島に隠された神々の王ゼウスは メリッサの...
天使のハーブ アンジェリカは和名セイヨウトウキ(西洋当帰 Angelica archangelica) 学名の Angelica は天使 種小名の archangelica は大天使の、という意味で 生粋の天使まみれの名をもつハーブです。 大天使とはミカエルのことを指してお...
橘寺のご縁 橘(たちばな)は別名をヤマトタチバナ、ニッポンタチバナといいます。 日本文化を形成してきた植物のひとつ、といっても過言ではないほど 歴史ある日本固有の柑橘類。 学名は Citrus tachibana です。 奈良、明日香村の 橘寺 を訪ねたのは10年ほどまえの...
岩場のセロリ パセリといえば日本では 葉の縮れたモスカール種を想像します。 葉縮れパセリは品種改良によって生まれた種で カーリーパセリと呼ばれています。 とはいえ葉縮れパセリは、ほとんどの方が召し上がらず 最近ではお残しものの自虐ネタ象徴みたいに扱われはじめて 試行錯誤され...
皮膚(からだの境界線)を守る 花の色と形が、金の盃のようだから金盞花(きんせんか)。 学名の Calendula から、カレンデュラとも呼ばれます。 ラテン語の Calendae(カレンダー・月のはじめ)が名の由来で 「月のはじめにいつも咲いている花」と認識されるほど 開花...
スペシャリストの藍色 日本の伝統色に藍色があります。 世界ではジャパンブルーと称される、藍色(インディゴブルー)。 和色のルーツは植物が多く、植物名がそのまま色を表すことばになることも多々あります。 藍色の語源となったのは植物の藍(アイ)。 タデ科の植物で、アイタデ、タデア...
お蚕さんと桑 桑といえば蚕(かいこ)のエサとなる葉を茂らせる、地球上で唯一無二の樹木です。 蚕のマユからつくられる絹糸は、明治のころの基幹産業で 当時の日本を支える重要な輸出品でした。 養蚕業が全盛期だった昭和初期は、桑畑の地図記号もあり 日本の原風景としての一時代を築いた...
不老長寿の薬 シロキクラゲは、シロキクラゲ科シロキクラゲ属のキノコです。 世界中で確認されていますが、食用にしているのは中国、台湾、日本などで 白木耳、銀耳と表記されることもあります。 桑や槐、柘榴などの広葉樹の倒木や枯枝に お花のフリルみたいな姿で生え ゼリー質で、白く半...
相互共生関係 日本の風土にあっていたキダチアロエ。 欧米で主流のアロエベラ。 日本薬局方に収載されたケープアロエ。 インド洋のガラパゴスといわれるソコトラ島に自生するアロエ。 アロエにもたくさんの種類がありますが 薬用、食用、美容、観賞用と、様々な用途とともに 世界中で親し...
古名 おうち、あふち 楝という文字、ふだんなかなか見ることはありません。 日本の色、淡い藤色をおうち色といって、楝という漢字があてられます。 古名のおうち、あふちは、木に咲く淡い藤色の花 アワフジから転訛したという説があります。 花の咲くころは、枝々に紫雲がかかっているよう...
秋の風物詩 柿の美味しい季節です。 秋の果物、柿の学名はDiospyros kaki Diospyros(ディオスピロス)はギリシャ語の Dios(神)+ pyros(火、または穀物)が語源で、神の食べ物、あるいは神が与えし食べ物、という意味になります。 日本では縄文・弥生...
お線香の香り 日本ではお線香の香りでお馴染みです。 白檀、学名: Santalum album、精油界ではサンダルウッドと呼称されます。 BC5世紀頃にはすでに高貴な香木として使われていたことがわかっており 薫香として使用されてきたのはもちろん 古代エジプトではミイラづくり...
固めて落ちつかせる香り 没薬(もつやく)は、カンラン科の樹木で 世界に200種ほどあるコンミフォラ属の木から分泌する樹脂です。 スーダン、ソマリア、南アフリカ、紅海沿岸の乾燥した高地に自生しています。 古代エジプトで防腐処理のためにミイラ作りに使用されていたことから、ミルラ...
共生を祈ります 「フランクに話そう」というと 気楽にハラわって話そうよと言ってくれてるんだな、と思います。 フランキンセンスの語源はフランク(本物の、真の) インセンス(香り、薫香)からきています。 乳香は木の樹液で、主にカンラン科ボスウェリア属の木から採油します。 精油界...
リファレンスの香り ジャスミンはモクセイ科ソケイ属の総称で 園芸種など含めるとジャスミンと名のつく植物は数百種に及びます。 アラビア語のヤスミン(yasmin 神からの贈り物)が語源といわれています。 ジャスミンは柑橘とお花をほどよくマリアージュしたような甘い香りが特徴で、...
日本の黄色 たくあんや栗きんとんなどに 天然着色料として古くから重用されてきた日本の黄色。 くちなし(梔子)の果実からとれる色素は カロチノイド系のクロシンで サフラン(パエリアの色)も同じ色素をもっています。 食べ物以外でも、くちなしの乾燥果実で布を染める手法は 平安時代...
春告草 ヒガンバナ科ナルキッソス属(スイセン属) 花は冬から春に開き、水の仙と書いて、水仙。 俗名を雪中花、または雅客といいます。 *雅客は風雅を愛好する人、風流人という意 2月は立春、とはいっても北海道ではまだ雪深く 30cm先も見えないホワイトアウトになる吹雪、地吹雪は...
ナルキッソスのお母さん 藪蘭/ヤブランは日本全土に自生する、日陰映えする植物です。 一年中おなじ葉姿でたたずみ、土質を選ばす、寒さ暑さに強く 日なたでも日陰でもよく育って、病害虫の心配もほとんどないので 街路樹のおひざもとやグランドカバー植物として、あちこちでよく見かけます...
10月は神無月(神の月) 10月は神無月と呼び、八百万の神々が出雲に集うので 地方に神さまがいなくなる月だと小さい頃聞いてきました。 ハーブに親しむようになると四季折々の四大元素の活躍は 植物たちと不可分なものと気づき、民族特有のカウント 時代ごとの変遷など、いろいろな暦に...
花・蜜のような香しい樹木 老舗の和菓子屋さんで一服するときにでてくる、黒柄の爪楊枝。 それが日本に古くからある落葉樹、クスノキ科のくろもじ(黒文字)であると知ったのはハーブの勉強をしてからでした。 楊枝をクロモジと呼ぶ風習も知りませんでした。 アロマテラピーの資格を取得した...
塞ぐものを融解する ベンゾインはエゴノキ科エゴノキ属 アンソクコウノキ の樹脂から得られる香り成分です。 ジャワ、スマトラ、タイ、ベトナム、ラオスが主な供給国で スマトラ産のものが市場に多く出回っています。 バニラの香りのもと、バニリンを1~2%ほど含んでいるので甘い香りが...
エキゾチックな大地の香り インド原産のシソ科ハーブで、土を思わせる温かみのある香り成分をもっています。 スマトラ、ジャワの標高900~1800メートルの地域に自生し 商業用作物として年2、3回刈り入れが行われます。 主にインドネシアが供給国で、中国、マレーシア、インドでも生...
日本三大薬草のひとつ どくだみの別名はたくさんありますが、蕺(しぶき)草、(生薬名では じゅうさい)が正式和名です。 江戸時代中期の百科事典「和漢三才図会」で、どくだめと記載されてから、どくだみが俗称になったそうですが、もちろん毒をもっているからではなく、毒を止めるという意...
生きている化石 スギナ・つくしはトクサ科トクサ属のシダ植物です。 スギナはトクサの仲間では一番ちいさな種で 3億年以上にわたって地球上で種属をつないできた、生きている化石です。 トクサ科植物は石炭紀(おおよそ3億5920万年前~2億9900万年前)から存在していたそうです。...
打てば響く、言の葉鼓(つづみ) 「たんぽぽ」と声に出すと、気分があかるく、楽しくなります。 アナグラムで遊ぶのもまた楽しく ぽぽたん ぽんぽた ぽたんぽ たぽんぽ たぽぽん んたぽぽ んぽたぽ どの組み合わせも、こども心がくすぐられるようでこころが弾みます。 連続して口にす...
食べられる薬 朝ひらいて昼にはしぼむ、道ばたでよくみかけるつゆ草は東アジア原産の1年草。 万葉集には月草という名で登場します。 ほかにも青花/あおばな、帽子花/ぼうしばな、蛍草/ほたるぐさ、鴨跖草/おうせきそうなどの呼称をもっています。 澄んだ青い花の色は、アントシアニン系...
水のトラブル サイプレスの香りは、和名イトスギ、または西洋ヒノキと呼ばれる針葉樹の葉と球果から採油されます。 ヒノキ科イトスギ属の高木で、クリスマスシーズンにはツリーやリーフの土台によく使用されます。 40~50メートルほどに大きく成長し、幹は腐りにくいことから建築材に利用...
ジンの香り 地球上の樹木のなかでもっとも広い分布域をもつヒノキ科。 ジュニパーは和名セイヨウネズ、ヒノキ科ビャクシン属の針葉樹です。 英語でジュニパーベリー(Juniper berry)といって、小さな実に香り成分が入っています。 ジュニパーといえばジンの香り。 カクテルな...
レペゼン針葉樹「松」! 地球を代表する針葉樹、マツ科の樹々はその数200種以上。 大きな天幕を広げるように枝葉を伸ばすものから、クリスマスツリーのカタチ、日本庭園に鎮座する和風マツまで、北半球を中心にさまざまな植生で、バリエーションを広げました。 マツ科マツ属は ・アカマツ...
地球上で最も高い樹々たち フトモモ科のユーカリはオーストラリア原産の大木。 自生地では100メートル近くまで育つものもあり、100メートル越えをする木としてはアメリカのセコイア、ベイマツと順位を競い合っています。 (今現在ではセコイアが一番の高さだそうです) ユーカリは世界...
妖精ダフネの化身 ギリシャ神話の12柱神アポロンは、文武に秀でた理性的イケメンキャラとして画一的なイメージが定着していますが、だまされたり嵌められたりと、わりかしヌケサク的な神話が多いです。 そのあたりはフォーカスされず、凄腕の理想的青年像といった側面ばかりがとりあげられて...
風の神アネモイ アネモネの和名は 牡丹一華(ぼたんいちげ) 花一華(はないちげ) 紅花翁草(べにばなおきなぐさ) 英名をWind flower(ウィンドフラワー)といい、ヨーロッパから地中海沿岸を原産とする、キンポウゲ科の植物です。 学名 Anemone の語源は、ギリシャ...
地をならす森の妖精 シルフィードはラテン語の sylva (シルヴァ・森)とギリシア語の nymphe (ニュムペー、ニンフ)をかけ合わせたことばで「森の妖精」という意味を持っています。 中医学のもとになった五行説でも、風の元素は木火土金水のうち、木の元素にあてはめられます...
神聖であり庶民派 イエス・キリストが復活したのち、イエスの墓のまわりにバジルが生えたという伝説があります。 神聖なハーブ、神の意志が宿るハーブとして、ギリシャ正教会のなかには、いまでも聖水を調合するのに使い、祭壇をバジルで飾る教会もあるそうです。 ヒンドゥー教徒は死者の胸に...
香りを回らせる薬草 セリ科のフェンネル 学名: Foeniculum vulgare は、 ヨモギと同じで神聖な9つのハーブのひとつ、と推測されています。 日本ではウイキョウ(茴香)とよび、独特な甘みと樟脳をブレンドしたような香りで、魔術から化粧品、厨房から医薬まで、はばひ...
よく燃える草 おやつを買うなら草餅か、よもぎ団子、わが家の定番ラインです。 おもち以外にも、よもぎ茶、新芽の天ぷら、おひたしにお吸い物、炒め物など、つかい勝手のよい食材にもなるハーブ。 もちろん食べるだけではありません、もぐさ、よもぎ蒸し、よもぎ風呂と、日本人にとって身近な...
いまはむかし、四大精霊のおはなし 土・水・風・火の四大元素のなかには、ヒトの目に見えない超自然の生きものが棲んでいる、と長いあいだ考えられてきました。 四大元素をつかさどる4つの精霊・元素霊は、英語表記で elemental spirits(エレメンタル・スピリット)。 ウ...
「見る」「見られる」相互作用 過去記事で「見る」ことで生じる相互作用について書きました。 本日はハーブのことではありませんが、「見る」「見られる」相互作用について、もう少し深堀りしながら、四元素所感を綴ります。 といいますのも、今日から二十四節気七十二候では「白露の候」に入...
足底お借りします オオバコ(大葉子)は、学名 Plantago asiatica、 オオバコ科オオバコ属の多年草、どこにでも、よくみかける野草です。 みかける場所が道端やのっぱら、校庭のすみっこ、ワダチに沿って生えていたりして、踏みつけられ、汚れてる印象も強いので、オオバコ...
ヨブの涙 ハトムギ(鳩麦)は、学名 Coix lacryma-jobi var. ma-yuen イネ科ジュズダマ属の穀物です。 アジアでは主食とする地域もあり、成分の薏苡仁(ヨクイニン)は生薬として古くから活用されてきました。 日本ではお茶として、また化粧品配合成分として...
星型にひらく白綿毛 エーデルワイスは和名をセイヨウウスユキソウ(西洋薄雪草)、ヨーロッパアルプス地方に自生する、高度2000-2900mの石灰岩地を好むキク科の高山植物です。 スイスの国花として広く知られているエーデルワイス、学名 Leontopodium alpinumは...
火山の恵みは地球のDIY 地球上でもっとも活発な活火山といわれるキラウエア火山。 ホットスポットとして有名なハワイ島でいまも噴煙を上げ続けています。 火口から流れ出た溶岩は、海に流れて急激に冷やされ、地形を複雑なものへと変化させてゆきます。 起伏にとんだ海岸線や海底には多く...
南のハイビスカス、北のバラ 一般名称ハイビスカスと呼ばれる花は、出自・分類があいまいで、学術ラベリング枠におさまりきらないフシギ花のひとつです。 ・アフリカ原産 ・インド洋諸島原産 ・フィジー原産 ・ハワイ原産 ・中南米原産 などがあり、植物学上でアオイ科フヨウ属、アオイ科...
海から生まれた女神アフロディーテ/ヴィーナス ボッティチェリ(ルネッサンス期、イタリア)による絵画はあまりに有名です。 海から生まれた女神・アフロディーテ/ヴィーナス。 風に舞う花は女神誕生とともに生まれた白薔薇、風神と花の女神、季節の女神が周囲を取りかこんで祝福しています...
海の植物たち 海草、海藻はどちらも「かいそう」と読み、海の植物です。 一般的な陸地植物と同じように根・茎・葉があって種子で繁殖するのは海草。 菌類、藻類、コケ、シダのように胞子で繁殖するのが海藻です。 昆布は「海藻」の一般的な呼称で、マコンブ(真昆布)、オニコンブ(羅臼昆布...
笹の葉サラサラ 笹の葉が擦れあう音はサラサラ。 人の耳元まで近づいてきて、その音色を楽しませてくれます。 サラサラ音は「気がついて」「ふりむいて」といわんばかりに、手が届きそうなほど近くに感じますが、気づいた瞬間、耳元から遠く離れてしまう。 つかみそうでつかめない不思議な感...
森をつくる先駆者 北半球に自生するカバノキ科カバノキ属の落葉樹。 幹が白いのでシラカバと呼ばれますが、正式な和名はシラカンバです。 樹齢20~30年のあいだ樹皮は白いですが、それ以外は赤茶色をしています。 樹皮にはベチュリンと呼ばれる抗菌効果、抗酸化作用のある物質が含まれて...
儚く・美しく・散る 桜は観賞される花として日本人にとっては最もポピュラーな植物です。 花見といえば桜のことですし、年中行事として市販カレンダーにも記載されるほど。 江戸時代後期にソメイヨシノがつくられるまでは、お花見の対象は山桜だったそうです。 日本に自生する野生種の桜は1...
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瑠璃色のレタス 日本での一般的なよび名は瑠璃苣(ルリチシャ)。 苣(チシャ)はレタスの意味で、ボリジは全草くまなく料理に使用することができる万能ハーブです。 ちなみに日本の台所で食べられているレタスはキク科、ボリジはムラサキ科です。 (レタスの)和名は、チシャ(萵苣)。 古...
世界4大スパイス 胡椒(ブラックペッパー)に丁子(クローブ)、ナツメグ、シナモンは世界4大スパイスと呼ばれているそうな(シナモン記事を書くにあたってはじめて知りました@_@;)。 数多あるスパイスのなかで4大入りしたのは、くらしのなかでとくに身近な存在ということや、近代数百...
日本の古布 シナノキ属、学名Tilia(ティリア)は北半球の温帯地域を中心にひろがる高木で、世界におよそ30種ほどあると分類されています。 【ハーブ天然ものがたり】インド菩提樹|白木海月@Shield72°公式noteにも綴りましたが、シナノキ属には菩提樹とよばれる種がいく...
菩提(覚者)の木 日本で菩提樹とよばれる木は大別するとクワ科イチジク属と、アオイ科シナノキ属があります。 菩提はサンスクリット語の「budh」が由来で「覚醒する」「転じて知り尽くす」「完全に理解する」という意味をもつそうです。 釈迦がその木のしたで悟りをひらいたことから仏教...
あまい香りと蜜をもつ金銀花 金銀にかがやくように、ふた色の花を咲かせる日本原産の吸葛(すいかずら)、学名 Lonicera japonica(ロニセラ ジャポニカ)は、花筒をつまんで花蜜を吸う風習から「すいかずら」と呼ばれるようになった説をよく耳にします。 英名でJapan...
キク科ヒヨドリバナ属 札幌でくらしていたころ、冬のあいだはベランダにみかんや柿やキウイなんかをおいて、ヒヨドリたちをよくお招きしていました。 夏のあいだはまったくやってこないヒヨドリたちも、北国のながい冬を越すために、朝もはよからヒーヨヒーヨとベランダにきてはごはんの催促を...
進化プロセス極まれり アルガンの木はアフリカ大陸北西部に自生するアカテツ科の植物。 種子から採れる油がアルガンオイル(アルガニアスピノサ核油)として利用されます。 ビタミンEの含有量がおおく抗酸化力にすぐれていることから、現代では化粧品原料として有名になりました。 アルガン...
日本のお茶、世界のお茶 煎茶に番茶、抹茶にほうじ茶、花茶に紅茶にウーロン茶など、いろんな呼び名で親しまれているお茶のすべては茶の木とよばれる、ツバキ科ツバキ属、学名 Camellia sinensis(カメリア シネンシス) の葉から生みだされます。 ヒトが飲用しやすいよう...
山から裾へ、北から南へ 霜がふる月、霜降(しもふり)月をむかえる霜降(そうこう)の候。 気まぐれな秋時雨がとおりすぎと、大地に冷気が刻印され、水の循環とともに生命力を謳歌していた緑いっぱいの植物界は、しん...と、しずけさにつつまれます。 紅葉色に染まる地上世界は、北から南...
地上の星 寒露中候には菊の花が香りたかく咲くころだよ、という花鳥風月が抜擢されています。 寒露の候、2023年は10月8日から。 鴻雁来(こうがんきたる)ツバメと入れ違いに雁が北から渡ってくるころ 菊花開(きくのはなひらく)菊の花がさくころ 蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)蟋...
星と風船と釣鐘と ふうせんのような蕾をつける桔梗は、梅雨のころに開花をはじめて秋まで星形の花をたのしむことができる秋の七草のひとつです。 アジア原産で日本の国土にもふるくから自生する野の花。 桔梗のどくとくな紫がかった青は桔梗色と名づけられ、平安時代から代表的な青紫の伝統色...
日本が心酔する葛、西洋を侵食するKuzu 姿形の美しさから、秋の七草にかぞえられる葛󠄀くずは、日本人のこころにふかく根ざす有用植物のひとつです。 夏の暑いさかりに冷やしていただく葛餅は四季をたのしむ格別なおやつになり、冬の寒い日にお鍋でいただく葛切りは、わが家でもお鍋マス...
地力回復菌 くさかんむりに秋の文字をあてられた萩は、まさに秋を代表するハーブ。 「秋の七草」のひとつです。 萩には種類がたくさんあり、百合や蘭とおなじように、萩の名は特性がにている種の総称ですが、秋の七草にえらばれたのは日本全土にひろく自生している山萩です。 公園などに植え...
地球をつつむイネ科植物 イネ科植物は地球世界にひろく分布する穀草、牧草で、自然草原や林をつくり、芝生にも使用される植物界の大御所クラスターです。 イネ科は地表をおおう面積では世界一、陸地面積の40%ほどを占めると考えられているそうです。 大地にひろがるイネ科植物は、動物やヒ...
秋の七草、尾花(おばな) すすきはイネ科ススキ属の風媒花で秋の七草のひとつです。 日本では古い時代に屋根をふく材料として活用していたことから、茅・萱(かや)と呼ばれる有用植物でもあり、集落の生活圏内には茅場とよばれる専用育成地がひろがっていたそうです。 日本国中どこでもみか...
歴史のふかい栽培植物 処暑の初候にあてられた「わたのガクがひらきはじめるころ」。 アオイ科ワタ属に分類された木綿は、7月ころから花をさかせて8月末から成熟した果実がはじけると、なかからわたにつつまれた種子が外界へおめみえします。 木綿は栽培種としてふるい歴史をもつ植物で80...
ベルガモット香がする松明のような花 晩夏にも花をたのしめる、開花期のながいハーブのひとつに松明花(たいまつばな)があります。 花のカタチが炎をイメージさせるので松明と名づけられ、原種は緋色ですが白、ピンク、紫などカラフルに花を咲かせます。 葉の香りがミカン科のベルガモット(...
聖なる斜面から生まれたハーブ ネイティブ・アメリカンの人々によるメディスン・ホイールは、方位と季節をそれぞれの精霊が司り、自然界のすべてを兄弟姉妹とする思想で、獅子座の季節は「木の実が熟すころ」と命名されています。 「メディスン・ホイール・シャーマンの処方箋」サン・ベア&ワ...
「山椒は小粒でぴりりと辛い」 日本の国土には古来からつかわれてきた野生のスパイス、山椒なるものがあると知ったのは、社会人になってからでした。 上京してはじめてのひとりぐらし、はじめてのおひとり様ランチをすべく、意気揚々と蕎麦屋にはいった日のことです。 テーブルのうえには一味...
スパイスの王様 インド原産の胡椒は、BC2000年ころには伝承医学で処方され、おもに泌尿器系と肝臓の不調に役立つと考えられていました。 古代において胡椒は贅沢品で、古代ローマでは胡椒と金銀がおなじおもさで交換されていたという文献ものこっています。 また貨幣のかわりに胡椒で税...
通気性よく、ふわふわです 「アジア圏の薬草」というと世界3大伝統医学から、漢方やアーユルヴェーダのイメージが強まりますが、日本には中国やインド発祥の医学が導入されるはるか以前より、植物を薬とする療法がありました。 もっとも古く記録された薬草は古事記「因幡の白うさぎ」に登場す...
しあわせのクローバー 「クローバー」というタイトルの物語、店舗や商品名、歌やグループ名はとても多いです。 都市にも田舎にも、どこにでも自生して、いつもどおりの日常に、とけこむように繁殖してゆきます。 東の海街にも、北の牧草地にも、温暖な農園や、都会の公園、川べりにも、クロー...
血液サラサラ、アリウム(ネギ)属 チャイブはユーラシア大陸原産、ネギ属ハーブのひとつです。 日本に自生しているあさつきは(学術的には)チャイブの変種と分類されています。 どちらもヒガンバナ科ネギ属に分類されるつかいやすい香味料。 専門ルールに則した学名変遷のある植物類ですが...
葦原中国(あしはらのなかつくに) 豊葦原千五百秋水穂国(とよあしはらのちいおあきのみずほのくに) 略称 葦原中国(あしはらのなかつくに)。 日本書紀には葦の原がひろがる風景を彷彿とさせるこの国(この世界?)の、はじまりの名前が記されています。 葦(アシ、またはヨシ)はこの地...
スパイス諸島とスパイス戦争 花のつぼみを乾燥させたユニークな形のスパイス、クローブ(Clove)は和名を丁子(ちょうじ)といいます。 現代では料理に使用するものとしてすっかり定着し、クリスマスを中心とした飾りもの、ポマンダーに使われるスパイスとしても有名になりました。 過去...
君の名は… 梅や桜の開花のころは日本の心、日本の文化を支えてきた植物たちとの邂逅に、さんぽ時間がより一層楽しくなります。 とはいえヨーロッパやアジア大陸、アフリカやオーストラリア原産種も、帰化したものや栽培種など広がって、国境を越えて鑑賞できるのもまたうれしいことです。 春...
桃花笑 24節気72候にある桃始笑(ももはじめてさく)では、桃花が咲くことを「笑」と表現したセンスに痺れます。 本日3月6日から、24節気72候では啓蟄(けいちつ)の候にはいります。 蟄虫啓戸(すごもりのむしとをひらく)-冬籠りをしていた虫が出てくるころ 桃始笑(ももはじめ...
すみれ王国、日本 「すみれ」には清楚なたおやかさがあり、不用意に踏みこんではいけない太古からのお約束があるような、とくべつで、神秘的で、不可侵ヴェールに包まれたフシギ感が漂います。 すみれは都会の道ばたでも見かける身近な植物ですが、深い紫色(菫色)の花が独特な神秘性を醸すの...
春の妖精 片栗粉という名で流通しているでんぷん粉のほとんどはじゃがいもが原材料です。 ハーブを学びはじめて日本原産の薬草に親しむうちに、もともと片栗粉は、かたくり(ユリ科カタクリ属)の球根から得られていたことを知りました。 地方によって愛称がたくさんありますが、万葉集に詠ま...
穏やかなフトモモ科 銀梅花(ぎんばいか)、学名 Myrtus communis ミルトス・コミュニス。 フトモモ科ギンバイカ属の常緑樹で地中海沿岸原産とされています。 英名はマートル、ドイツ名でミュルテ。 銀梅花というだけあって、まるみを帯びた5弁の花は梅にも似ていますが、...
山の喜び 精油として流通市場にのったマジョラムは、 学名 Origanum majorana オリガナム・マヨラナ、 シソ科ハナハッカ属に分類されるハーブのひとつです。 ハナハッカ属には有用で香り良いハーブが数種あるので、マジョラムは スイート・マジョラム、ノーテッド・マジ...
賢者の石をつくる水 西洋ハゴロモグサは別名レディスマントル、バラ科ハゴロモグサ属(学名 Alchemilla)のハーブです。 学名のアルケミラをそのまま呼称するのは園芸業界での通称で、Alchemillaはアラビア語の錬金術に由来した名称です。 ハゴロモグサがもつ不思議な魔...
ヤロウの神託 ずいぶん昔になりますが精油のヤロウをはじめて購入したのは、その名を知らなかったのでどんな香りがするのかなという好奇心からでした。 注文してすぐにヤロウってどんな植物だろうと調べはじめると 「あれれ?ヤロウってハゴロモソウのことだったのか、あぁそっか、種子名がち...
根びらき ふきはキク科フキ属の多年草で、日本原産種。 1月20日から大寒の候に入り、ふきのとうが雪の下から顔を出すころだよと、24節気72候の花鳥風月に抜擢されています。 ふきは日本全国どこにでも自生し、先陣きって沢や斜面にびっしりと芽吹きます。 湿り気のある土壌を好み、葉...
七草なずな、ぺんぺん草 七草の「なずな」は、成長すると別名ぺんぺん草の名で呼ばれるようになります。 「ぺんぺん」は三味線の音色を擬音化したもので、しゃみせんぐさとか、ばちぐさ(撥草)と呼ばれることもあり、花の下に付いている果実(一見葉っぱに見える)の形が、三味線の撥バチに似...
ニワトコの杖 ハリー・ポッターに登場するニワトコの杖は世界最強とされ、いろいろな人の手に渡りながらハラハラドキドキの「死の秘宝」は手に汗握りました。 魔法の杖になったセイヨウニワトコ、学名 Sambucus nigra の樹木の花は、ハーブとして流通しているエルダーフラワー...
スッカンポン 私が生まれ育った札幌の家は、裏手に30坪ほどの空き地があり、誰も来ないので勝手に裏庭と呼んでいました。 幼少期の思い出がたっぷり詰まっている裏庭は、 エノコログサにメヒシバ、カタバミ オオバコ、イタドリ、たんぽぽ、スギナ 蕗によもぎにシロツメクサ はこべ、つゆ...
芹の葉がひらくころ 小寒の候に入り、陽気でうごきはじめた地中の清水を最初に受けとり 芽吹かせる日本原産のハーブ、芹。 春の七草のなかで芹はとても身近な食材として、スーパーで買うことができます。 学名 Oenanthe javanica 、 日本原産のセリ科セリ属の多年草です...
地に足をつけない樹木 学生時代はやどりぎを鳥の巣と思って見ていました。 じっさい鳥たちにとっては 棲家に最適な形状なので 巣にすることが多いといいます。 緑の葉が生い茂っているときにはわかりませんが、 冬になり樹木の葉が落ちると、 まあるい鳥の巣みたいな葉が ぼんぼりのよう...
花枯れて薬となる 夏は植物にとっていちばんの成長期です。 野山も平地も河原にも、最大出力で緑が生い茂り 競うように花を咲かせます。 そんななか、まるで盛夏に背を向けるように 花枯れてしまうのがうつぼ草です。 1年を24等分して 四季折々の花鳥風月をあらわす24節気では うつ...