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天竺堂通信 https://tenjikudo.com/

障害者施設(移行&B型)の管理者です。ダウン症者の兄として、社会福祉士として、日々の学びをつづります。その他、読書や自転車などなど…。

天竺堂
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2019/03/29

1件〜100件

  • 次の社会を考える 『人新世の「資本論」』

     経済格差は拡がるし、環境破壊も過重労働も進む一方で、地球温暖化が止まらない…ろくなことがない資本主義社会。 広く叫ばれてる「SDGs」なんか焼け石に水でしかなく、社会システムを根底から変える必要があるそうな。 で、著者が提唱するのが「脱成

  • 異なる読み味楽しめる 『N』

     道尾秀介のユニークなミステリ。 6章で構成され、各章は独立した物語だけど、舞台や登場人物などにゆるい関連がある。 章の順序を変えて読むと、そのたびに異なる感慨が生じ、つまりは720通りの読み味が楽しめるという。 なかなかに凝った趣向。 私

  • 異なる読み味楽しめる 『N』

     道尾秀介のユニークなミステリ。 6章で構成され、各章は独立した物語だけど、舞台や登場人物などにゆるい関連がある。 章の順序を変えて読むと、そのたびに異なる感慨が生じ、つまりは720通りの読み味が楽しめるという。 なかなかに凝った趣向。 私

  • “仲間”が増える 楽しみと頼もしさ

     毎年3月には、社会福祉士の国家試験の合格発表があります。 そのため、かつてウチの施設で実習を行なっていた学生たちが、「合格しました!」と報告に来てくれることがあります。 1カ月程度の実習であっても、その時は教師と生徒のような関係性だったの

  • さらに楽チン♪ ホイール移動を快適化

    キャリーバッグやカートのように、押したり引いたりしてスムーズに動かせる 福岡県福岡市にある折りたたみ自転車専門店「ローロサイクルワークス福岡」に先日、愛車をメンテナンスに出しました。 ついでに、いくつかの部品を新たに取り付けてもらいました。

  • “反応”で逃げないために 『自分の意見で生きていこう』

     著者によると、私たちの返答は「意見」と「反応」に分かれるらしい。 後者は「へー」「ふーん」みたいな相づちのほか、情緒的な感想とか、批判や質問などを指すそうな。 反応に共通するのは「ポジションを取らない」という、自分が賛成なのか反対なのかを

  • イルカのような… 『カラスの親指』

     詐欺師たちのスリリングなコン・ゲームが展開する本書には、「イルカのような」と描写される人物が登場する。 ツルリとした顔、優しそうでヤンチャそうな目、ツンとした唇にはいつも笑みが浮かんでる…みたいな感じだろうか。 ところで、本書は映画化され

  • イルカのような… 『カラスの親指』

     詐欺師たちのスリリングなコン・ゲームが展開する本書には、「イルカのような」と描写される人物が登場する。 ツルリとした顔、優しそうでヤンチャそうな目、ツンとした唇にはいつも笑みが浮かんでる…みたいな感じだろうか。 ところで、本書は映画化され

  • 湿地で生きる孤独な少女 『ザリガニの鳴くところ』

     ザリガニが鳴くのかどうか、私は知らない。 小学生のころ、理科室の水槽で飼ってたアメリカザリガニの世話係をやったことがあるけど、鳴き声は聞けなかった。 本書によると、ザリガニの鳴くところは「茂みの奥深く、生き物たちが自然のままの姿で生きて」

  • “生まれてくれた”親孝行 『あなたの人生の物語』

     子供が親よりも先に死んでしまう“逆縁”は、重い親不孝とされる。 立派な偉人に育ってくれそうにはないし、むしろ世間に迷惑をかける愚物で終わるかも知れない。それでも、その子の死を見届ける哀しみに比べれば、ずっとマシだと。 ところで私は、子供に

  • 『認知症世界の歩き方』

     障害のある人たちを支援している私ですが。 その相手が、どのような困難を覚え、どれほどに苦しんでいるのか、私には分かりません。 観察したり話を聴いたりした上で、相手の身になってみて、困難や苦しみを想像する…私ができることはそれだけです。 認

  • 怪異のメカニズム 『遠巷説百物語』

     お化けや妖怪などの、不可思議なものたち。 現実に在るとは思えないけど、目撃や遭遇などの体験談が少なからず伝えられてるからには、まったくのデタラメ、絵空事というわけでもなさそう。 これはどういうことか? そのメカニズムを描いてるのが本書。 

  • 犯罪捜査の緊迫感 『第三の時効』

     やたらと仕事ができて、自分にも他人にも厳しい…そんな人材がいる職場は、成績は上がるだろうけど、一緒に働く身としてはなかなかにツラい。 そこが警察みたいな、仕事自体が“社会正義”を体現してるところだと、惰弱に逃げにくいから余計にツラい。 本

  • それこそが妖怪 『前巷説百物語』

     多くの人命が失われる大事件が起きた時、しでかした者に対し、「殺してしまえ」「こんな奴は死刑だ」なんて声が上がったりする。 犯人の命を奪えば、遺族らの憎悪や悲哀は一時的に治まるかもしれない。 それでも、事件によって生じた損失は、決して埋めら

  • 『純粋理性批判』読解記(その7)読書ノートに記入する

      『純粋理性批判』を読み進めながら。重要に思える箇所や、自分なりに理解したことなどを、段落ごとに読書ノートへ書き込んでいきます。 ノートのページは、あらかじめ縦に4分割しています。 この4分割は、左から順に「段落番号」「内容への感想(ツッ

  • とにかくデカい 『円』

     SF大作『三体』著者による短編集。全13話。 表題作は、不死の秘密を求める始皇帝が、秦の大軍勢でもって“人間コンピューター”を創り出すという物語。 この他、シロナガスクジラを操って麻薬密輸に及ぶ話とか、寒村の学校と銀河大戦がつながる話とか

  • 引き出しと組み合わせ

     ウチの施設を利用し始めたばかりのAさんについて。 私が「どんな人?」と訊くと、現場のベテラン支援者たちは、古参の利用者さんを例に「フレンドリーなBさんという感じかな」「Cさんを用心深くしたような印象ですね」。 支援の手法においても同様。 

  • 見方を変えれば… 『失われた岬』

     深山幽谷の草庵で、悠然と思索にふけったり。洞窟や僧房の暗がりで、無我の境地を求めたり。有機無農薬栽培の作物を食べ、天然繊維の簡素な服を着て、スピリチュアルな仲間と晴耕雨読の共同生活をおくったり。 …これらの人たちは、何だか高尚なことをやっ

  • 見方を変えれば… 『失われた岬』

     深山幽谷の草庵で、悠然と思索にふけったり。洞窟や僧房の暗がりで、無我の境地を求めたり。有機無農薬栽培の作物を食べ、天然繊維の簡素な服を着て、スピリチュアルな仲間と晴耕雨読の共同生活をおくったり。 …これらの人たちは、何だか高尚なことをやっ

  • 異質な要素が? 『機龍警察 白骨街道』

     シリーズ6作目。 ミャンマーの密林での過酷な強行軍と、兵器開発をめぐる汚職事件の捜査が、交互に展開していく。どちらもスリリングで読ませます。 今回は、機甲兵装に絡むところに、“十二神将”や“八部衆”みたいなノリとか、立体機動や水陸両用みた

  • 別のミステリー1冊分を封入 『ヨルガオ殺人事件』(上・下)

     ミステリーを読む時は虚心坦懐を心がけてる。と言えばキザだけど、つまりは謎解きをあきらめてる。 読みながら手がかりを探し出し、トリックやミスリードを見破り、犯人を突き止める…なんて作業は登場人物に任せて、私は物語を楽しむことに専念する。 犯

  • 八代市新港町「くまモンポート八代」:八代港にできた新名所

    くまモンの巨像は人気の撮影スポット 熊本県が誇るゆるキャラ「くまモン」。 ゆるキャラとしての知名度は、おそらくナンバーワンでしょう。その人気は県内外をはじめ海外にまで及びます。 2020年10月、熊本県八代市の八代港に、大型クルーズ船停泊拠

  • バトルマンガに通じる面白さ 『推理大戦』

     似鳥鶏の連作ミステリ。 世界的に貴重とされるキリスト教の聖遺物の所有権をめぐり、各国の宗教組織から“代表”を募って推理ゲームで競わせるという、奇妙な企画が発表される。 実際にエントリーしてきたのは、さまざまな難事件を解決してきた、各国が誇

  • 『純粋理性批判』読解記(その6)読み始める

     ようやく読書にかかります。 読もうと思い立ってから、実際にページをめくるまでに数カ月。趣味的に無理なく進めようと意識してみたところ、このようなペースになってしまいました。 私が選んだ光文社版『純粋理性批判』は、段落ごとに、通し番号と小見出

  • 『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』

     以前に書いた「私たちが受け取っているもの」において、「視覚障害のある人に、美術館で絵画について説明し、鑑賞を支援する」という活動に触れました。 障害者への支援とは、実は双方向の行為かもしれない…との認識をもたらした、ひとつの例として挙げら

  • 情景から“孤独”がにじみ出る 『ロンサム・カウボーイ』

     片岡義男の連作短編集。初期の名作。 1970年代のアメリカにおける、さまざまな人生の形。 登場するのは、長距離トラックの運転手、荒野に建つカフェの女店主、酒場を渡り歩くハスラー、地方を巡業するロディオ・カウボーイ…などなど、全14話。 半

  • 誰だってキラキラしたい

     ウチの就労継続支援B型を利用していたAさん。 一般就労を果たし、現在は民間企業で働いています。 真面目な人柄のAさんは、言動も穏やかで控えめなのですが。 まったくの“別人”に変わり、周囲を驚かせることがありました。 ウチの利用者さんたちが

  • 『純粋理性批判』読解記(その5)どの邦訳を選ぶか

     とりあえず、読むための事前準備が終わりました。 これから『純粋理性批判』そのものを読んでいくのですが。 日本語で読める『純粋理性批判』は、ひとつではありません。異なる邦訳が、いくつも出版されているのです。 書店で普通に購入できるものとして

  • キャプテン・アメリカが悪に 『シークレット・エンパイア』(1・2)

     キャプテン・アメリカが悪者だったら…との趣向で描かれたアメコミ大作。 いくつかの事故と陰謀が重なり、マーベル世界の過去が改変される。 スティーブ・ロジャースは幼少期にヒドラ(悪の秘密結社)に洗脳されており、その後で米軍に入隊、超人血清が投

  • 毒も栄養も血肉に変える 『遊読365冊』

     “地上最強の生物”とか呼ばれる某人物によると「毒も喰らう/栄養も喰らう/両方を共に/美味いと/感じ――/血肉に変える/度量こそが/食には肝要だ」。 これは読書にも当てはまりそう。 本書は松岡正剛が1981年に雑誌掲載した読書ガイドが基にな

  • 『純粋理性批判』読解記(その4)入門書や解説書を読む

     けわしい山にいきなり登ろうとすると、慣れない山道で足を痛めたり、道に迷ったりしてしまうことも。 そのようなトラブルを防ぐには、事前にトレーニングをして足腰をきたえたり、地図などで行程を確認しておくことなどが求められます。 同様に、『純粋理

  • 八代市妙見町「ホタルの里公園」:涼を求めて

    ホタルの里公園。中洲にはバーベキューをする人たちが 八代市の妙見町へ、ブロンプトンで出かけました。 市内中心部にある自宅から見ると、東の山手。往復で10kmあまりのポタリングとなりました。 八代平野を貫通するように、九州自動車道の八代インタ

  • 裏社会の“保安官” 『続・用心棒』

     ストリップクラブの用心棒をしながら、犯罪組織間のパワーバランスを維持する“保安官”を務める主人公。 性格は地味めなのに、ダイヤモンドを強奪したり、テロ組織を出し抜いたり、ニューヨークの真ん中でど派手に立ち回る。 したたかで滑稽で残酷な、裏

  • 『純粋理性批判』読解記(その3)読書ノートを作る

     前回「その2」で、『純粋理性批判』の読書手順を自分なりに考えました。 今後は、その手順に沿って進めていきます。 まずは「『純粋理性批判』用の読書ノートを作る」。 非日常的(?)なことに挑戦するので、あえて「モレスキン」などの高価なノートに

  • 気持ち良く送り出せるよう

     ウチの施設を十年近く利用していたAさん。 このたび、就労移行支援A型の作業所へ移行することになりました。 A型作業所での3日間の実習が無事に終わり、移行後への自信が持てたそうです。 どこかスッキリとした様子のAさんが印象的でした。 施設長

  • 読書の効用 生真面目に説く 『草子ブックガイド』(1~3)

     主人公は内向的な女子中学生。 一緒に暮らす父親は、画家志望なんだけど、日雇い労働と飲酒に明け暮れてる。離婚した母親は、版画家として成功し、別の家庭を築いてる。 そんな主人公の唯一の娯楽が読書。 近所の古本屋の棚からこっそりと1冊持ち出し、

  • デカくてスゴくて 『三体3 死神永生』(上・下)

     中国産SF大作の完結編。 外宇宙から迫り来る危機また危機に、人類文明はありったけの科学技術と工業力でもって抵抗する。 その行く末を、冷凍睡眠を繰り返しながら見守り続ける主人公。 昭和時代の児童向け絵解き科学読本(学研のジュニアチャンピオン

  • 『純粋理性批判』読解記(その2)どう読むか

     読むと決めた『純粋理性批判』。 とは言え、漫然とページをめくっていても、書かれていることが理解できず、すぐに挫折してしまうでしょう。 インターネットを見回すと、『純粋理性批判』を読もうとした人たちの“挫折体験”が読めます。その多くは「普通

  • 私たちが受け取っているもの

     先日インターネットで視聴した、あるシンポジウム。 哲学や政治学の専門家たちが、「利他」や「能力主義」などについて議論する内容でした。 シンポジウムの中で「障害者への支援とは、支援者が一方的に助けているのではなく、互いに何かを与え合っている

  • 構想膨らませた意欲作 『小説 火の鳥 大地編』(上・下)

     手塚治虫のライフワーク『火の鳥』の「大地編」を、桜庭一樹が小説として書き継いだ意欲作。 日中戦争後の上海において日本軍が、長寿をもたらす未知のホルモンを分泌する伝説的な鳥を捕獲するため、タクラマカン砂漠への調査隊を組織して…というところま

  • 波紋拡げたインタビュー集 『世界の悲惨』(1)

     フランスの社会学者・哲学者ブルデューが指揮し、市井の人びとに行なった聴き取り調査の本。 全3巻のうち、第1巻を読む。 本書のコンセプトは「社会は表立って表現されることのない苦しみであふれている、その声にならない苦しみに耳を傾けよう」。 イ

  • 波紋拡げたインタビュー集 『世界の悲惨』(1)

     フランスの社会学者・哲学者ブルデューの指揮で、市井の人びとに行なわれた聴き取り調査の本。 全3巻のうち、第1巻を読む。 本書のコンセプトは「社会は表立って表現されることのない苦しみであふれている、その声にならない苦しみに耳を傾けよう」。 

  • 先天的障害と自己責任論

     私の実弟はダウン症。染色体異常による疾患で、知的障害などを伴います。 これまで何度も言及してきたことです。 ダウン症は先天性であり、1000分の1程度の確率で発現するとされます。 可能性は誰にでもあるので、各種事故や病気、薬害などによる障

  • 先天的障害に絡む自己責任論

     私の実弟はダウン症。染色体異常による疾患で、知的障害などを伴います。 これまで何度も言及してきたことです。 ダウン症は先天性であり、1000分の1程度の確率で発現するとされます。 可能性は誰にでもあるので、薬害や医療事故による障害と比べれ

  • 濃厚キャラが物語に影響 『星系出雲の兵站 -遠征-』(1~5)

     往年の時代劇大作『柳生一族の陰謀』に、烏丸少将という悪役が登場する。 演じてるのは成田三樹夫。徳川三代将軍をめぐる幕閣内の暗闘につけ込もうと策謀する、公家の役だった。 顔は白塗り、口調は「おじゃる」、それでいて頭は切れるし、腕も立つ。普段

  • 濃厚キャラが物語に影響 『星系出雲の兵站 -遠征-』(1~5)

     往年の時代劇大作『柳生一族の陰謀』に、烏丸少将という悪役が登場する。 演じてるのは成田三樹夫。徳川三代将軍をめぐる幕閣内の暗闘につけ込もうと策謀する、公家の役だった。 顔は白塗り、口調は「おじゃる」、それでいて頭は切れるし、腕も立つ。普段

  • 『純粋理性批判』読解記(その1)思い立つ

     ある日、ふと『純粋理性批判』を読んでみようと思い立ちました。 私は大の読書好き。 読書は最高の娯楽と思っています。ゲームやスポーツ、音楽、映画など、さまざまな娯楽がある中で、最も面白く、刺激的にして感動的なものが、私にとっては読書なのです

  • 『純粋理性批判』読解記(その1)思い立つ

     ある日、ふと『純粋理性批判』を読んでみようと思い立ちました。 私は大の読書好き。 読書は最高の娯楽と思っています。ゲームやスポーツ、音楽、映画など、さまざまな娯楽がある中で、最も面白く、刺激的にして感動的なものが、私にとっては読書なのです

  • 『純粋理性批判』読解記(その1)思い立つ

     ある日、ふと『純粋理性批判』を読んでみようと思い立ちました。 私は大の読書好き。 読書は最高の娯楽と思っています。ゲームやスポーツ、音楽、映画など、さまざまな娯楽がある中で、最も面白く、刺激的にして感動的なものが、私にとっては読書なのです

  • 『純粋理性批判』読解記(その1)思い立つ

     ある日、ふと『純粋理性批判』を読んでみようと思い立ちました。 私は大の読書好き。 読書は最高の娯楽と思っています。ゲームやスポーツ、音楽、映画など、さまざまな娯楽がある中で、最も面白く、刺激的にして感動的なものが、私にとっては読書なのです

  • 穴を掘って埋め戻す仕事 『ブルシット・ジョブ』

     地面にスコップで深さ1メートルほどの穴を掘り、それを埋め戻すという作業を繰り返して、高い賃金がもらえるとしたら、やるだろうか…と自分に問うてみる。 バカバカしいことであっても、貧しさに苦しんでる状況だったら分からない。どれだけ困窮したら、

  • 穴を掘って埋め戻す仕事 『ブルシット・ジョブ』

     地面にスコップで深さ1メートルほどの穴を掘り、それを埋め戻すという作業を繰り返して、高い賃金がもらえるとしたら、やるだろうか…と自分に問うてみる。 バカバカしく思えても、貧しさに苦しんでる状況にあれば分からない。どれだけ困窮したら、どれだ

  • またもや謎の“商人”が 『魂手形』

     宮部みゆきのライフワーク的な伝奇シリーズ、その第7巻。 百物語の聴き手である富次郎は、聴き終えた物語にちなんだ絵を描くことを自分に課してる。 モチーフの選択が毎回、ナナメ上あたりにズレてるように思えるんだけど、それはそれで面白い。 富次郎

  • またもや謎の“商人”が 『魂手形』

     宮部みゆきのライフワーク的な伝奇シリーズ、その第7巻。 百物語の聴き手である富次郎は、聴き終えた物語にちなんだ絵を描くことを自分に課してる。 モチーフの選択が毎回、ナナメ上あたりにズレてるように思えるんだけど、それはそれで面白い。 富次郎

  • 工賃への戸惑い 抱えつつ

     ウチの施設は、毎月10日が工賃支給日です。利用者さんたち1人ひとりに、前月分の工賃を渡しています。 各人の工賃額は、前月の作業時間に応じて決まります。作業時間が長ければ高額に、短ければ低額になります。 要するに、工賃は“時間給”なのですが

  • 工賃への戸惑いを抱えつつ

     ウチの施設は、毎月10日が工賃支給日です。利用者さんたち1人ひとりに、前月分の工賃を渡しています。 各人の工賃額は、前月の作業時間に応じて決まります。作業時間が長ければ高額に、短ければ低額になります。 要するに、工賃は“時間給”なのですが

  • 風変わりで魅力的な探偵 『IQ』

     ロサンゼルスに住むアフリカ系アメリカ人。20代半ば。無許可の探偵。 明敏な知性、鋭い観察眼、大胆な度胸と行動力、奇妙なボランタリー精神の持ち主。銃器は嫌いだが、知識は豊富。地元の地理、犯罪組織の事情、身近な法律に加え、コーヒーの淹れ方、車

  • 誰もが別の顔を隠してる 『嘘の木』

     フランシス・ハーディングによる、ミステリ風味のファンタジー。 舞台は19世紀後半のイギリス。 主人公は利発な少女で、著名な博物学者の父親が捏造事件を起こし、一家で離島に移り住むことに。 ところが、スキャンダルは島まで伝わり、父親は家族を残

  • あえて飛び込む 『面(ジャケ)食い』

     久住昌之の食べ歩きエッセイ。 タイトルの「面(ジャケ)食い」とは、知らない土地で飲食店を訪ねる際、自分の勘だけを頼りに飛び込んでみること。レコードの「ジャケ買い」をもじった言葉らしい。 著者が全国各地で敢行した、飲食店への飛び込み体験が、

  • あえて飛び込む 『面(ジャケ)食い』

     久住昌之の食べ歩きエッセイ。 タイトルの「面(ジャケ)食い」とは、知らない土地で飲食店を訪ねる際、自分の勘だけを頼りに飛び込んでみること。レコードの「ジャケ買い」をもじった言葉らしい。 著者が全国各地で敢行した、飲食店への飛び込み体験が、

  • 大ヒットの舞台裏 『くまモンの秘密』

     国内外で人気を博してる、熊本県のゆるキャラ「くまモン」。 それを裏方として支える県職員たちの、苦労話などがつづられた本。 くまモンの企画を手掛けた小山薫堂に、県職員の1人が贈った、手作りの私家本が元になってるそうな。 キャラクターの成功を

  • “職場”と“居場所”の間で

     私が勤める福祉作業所では、就労継続支援B型の事業を行なっています。 かよっている利用者さんは、一般就労を目指して作業に励む人から、施設利用に慣れることが目標という人まで、さまざまです。 ウチの施設は、利用者さんたちが働いている“職場”であ

  • “職場”と“居場所”の間で

     私が勤める福祉作業所では、就労継続支援B型の事業を行なっています。 かよっている利用者さんは、一般就労を目指して作業に励む人から、施設利用に慣れることが目標という人まで、さまざまです。 ウチの施設は、利用者さんたちが働いている“職場”であ

  • 人工親友から見た人間たち 『クララとお日さま』

     カズオ・イシグロのSF小説。 ノーベル文学賞の受賞後第1作。 舞台は近未来らしい社会で、子供たちの成長に寄り添うAF(人工親友)のクララが主人公。人工知能を搭載した人間型ロボットみたいなもので、太陽光で動くらしい。 購入されたクララは、仕

  • 人工親友から見た人間たち 『クララとお日さま』

     カズオ・イシグロのSF小説。 ノーベル文学賞の受賞後第1作。 舞台は近未来らしい社会で、子供たちの成長に寄り添うAF(人工親友)のクララが主人公。人工知能を搭載した人間型ロボットみたいなもので、太陽光で動くらしい。 購入されたクララは、仕

  • JR八代駅前-松崎公園(周回):桜咲く「八代 緑の回廊線」

    JR八代駅前に立っているくまモン 私が住んでいる熊本県八代市には、自転車・歩行者専用道路「八代 緑の回廊線」が整備されています。 総延長は約6.8km。鉄道と農業用水路だった土地が、「回廊線」として作り変えられ、2008年に全線開通しました

  • JR八代駅前-松崎公園(周回):桜咲く「八代 緑の回廊線」

    JR八代駅前に立っているくまモン 私が住んでいる熊本県八代市には、自転車・歩行者専用道路「八代 緑の回廊線」が整備されています。 総延長は約6.8km。鉄道と農業用水路だった土地が、「回廊線」として作り変えられ、2008年に全線開通しました

  • JR八代駅前-松崎公園(周回):桜咲く「八代 緑の回廊線」

    JR八代駅前に立っているくまモン 私が住んでいる熊本県八代市には、自転車・歩行者専用道路「八代 緑の回廊線」が整備されています。 総延長は約6.8km。鉄道と農業用水路だった土地が、「回廊線」として作り変えられ、2008年に全線開通しました

  • “沼”へのガイド本? 『おりたたみ自転車はじめました』

     折りたたみ自転車の魅力が詰まった、エッセイ風のマンガ。 主人公である作者は、折りたたみ自転車を手に入れたことで、仕事などで煮詰まりかけてた生活が一変する。 自宅から5キロ程度のポタリングに始まり、活動範囲を徐々に拡げ、公共交通機関に自転車

  • “沼”へのガイド本? 『おりたたみ自転車はじめました』

     折りたたみ自転車の魅力が詰まった、エッセイ風のマンガ。 主人公である作者は、折りたたみ自転車を手に入れたことで、煮詰まりかけてた生活が一変する。 自宅から5キロ程度のポタリングに始まり、活動範囲を徐々に拡げ、公共交通機関に自転車を持ち込ん

  • 思索も人物も刺激的 『ウィトゲンシュタイン 言語の限界』

     天才哲学者の生涯や業績について、言語哲学・分析哲学の専門家が紹介してる本。 言語の限界、認識の極地を見極めようとしたウィトゲンシュタインの思索。 それはもちろん刺激的なんだけど、当人の生き方も、負けず劣らず刺激的だった模様。風変わりで突飛

  • 要約“修業”など推奨 『小田嶋隆のコラム道』

     コラムを書く入門書に見えて、これ自体が面白いコラム集。 コラムには何が書かれるべきか、書く上で意識すべきことは何か…深く掘り下げられている。 文章を書くには「創造」と「描写」が必要とのこと。そこで、まずは後者の技巧を身に付けるため、他人の

  • 難解な思想 分かりやすく『史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち』

     インドから日本に伝わった東洋哲学についての、ユニークな入門書。 仏教の真髄とか、“悟り”を伝える難しさとか、「喝!」の理由とか、ド派手な仏像の狙い…などなど。 難しいことを分かりやすく噛み砕いて、巧みに解説してる。 例示による表現力が、極

  • 支援施設や医療機関が街と融合 『奇跡の医療・福祉の町ベーテル』

     ドイツのビーレフェルト市の一角にある、福祉先進地域を紹介してる本。 ベーテルの前身は、教会が始めたてんかん患者の支援施設。ナチスの安楽死計画から障害者を守ったことでも知られる。 大きな建物がある訳ではなく、ベーテルに属する支援施設や学校、

  • 後ろめたさを呼び覚ます 『花のズボラ飯』

     夫が単身赴任中の30歳主婦が、ひたすらにC級グルメを満喫するマンガ。 先進国の都市生活者ならではのズボラ生活ぶりが、何とも赤裸々に描かれている。 そのリアルさは、もはや「あるある」みたいな共感を通り越し、個々人の“後ろめたさ”まで呼び覚ま

  • 私がブロンプトンに乗る理由

    天竺堂のブロンプトン(S2L-X) 2018年8月、私は折りたたみ自転車「ブロンプトン」を手に入れました。 なぜ、ブロンプトンなのか? それを語るためには、ブロンプトン以前に乗っていた自転車について触れなければなりません。 かつて私は、小径

  • 食べたくなる読後感 『かつどん協議会』

     カツ丼において最も重要な要素は何か? 豚肉や玉子や米などの業界団体の代表たちが集まり、屁理屈やプライドを戦わせるという、奇妙な中編小説が表題作。 東海林さだおとか久住昌之に通じる針小棒大なテイストなんだけど、事態は徐々にヒートアップし、椎

  • 食べたくなる読後感 『かつどん協議会』

     カツ丼において最も重要な要素は何か? 豚肉や玉子や米などの業界団体の代表たちが集まり、屁理屈やプライドを戦わせるという、奇妙な中編小説が表題作。 東海林さだおとか久住昌之に通じる針小棒大なテイストなんだけど、事態は徐々にヒートアップし、椎

  • 腹が減っては戦はできぬ 『星系出雲の兵站』(1~4)

     兵站を前面に打ち出してる、異色のミリタリーSF。 遠未来の植民星系を舞台にした、未知なる存在の侵略行為に対抗する、軍事組織や統治機構での群像劇。 戦争での補給や備蓄管理などの後方支援が兵站で、作中では「兵站が機能しているなら、英雄は生まれ

  • 腹が減っては戦はできぬ 『星系出雲の兵站』(1~4)

     兵站を前面に打ち出してる、異色のミリタリーSF。 遠未来の植民星系を舞台にした、未知なる存在の侵略行為に対抗する、軍事組織や統治機構での群像劇。 戦争での補給や備蓄管理などの後方支援が兵站で、作中では「兵站が機能しているなら、英雄は生まれ

  • どんでん返しが降りかかる 『その裁きは死』

     面白いミステリーにどんでん返しは付きモノ。 そして、探偵に相棒がいる場合、どんでん返しは相棒へ降りかかる。 なぜならば相棒である“ワトソン役”は、読者の側に立って、事件の謎に翻弄されたり、事件の真相に驚愕したりしなければならないから。 ど

  • どんでん返しが降りかかる 『その裁きは死』

     面白いミステリーにどんでん返しは付きモノ。 そして、探偵に相棒がいる場合、どんでん返しは相棒へ降りかかる。 なぜならば相棒である“ワトソン役”は、読者の側に立って、事件の謎に翻弄されたり、事件の真相に驚愕したりしなければならないから。 ど

  • 船を山に上らせてしまう事業 『凡人のための地域再生入門』

     某地方都市に住んでる私。 中心部にある商店街は、近郊にショッピングモールが建ったころから、徐々に寂しくなってる。 かつて数年にわたり、行政主導で中心市街地活性化の事業が進められたが、効果のほどはよく分からない。 ところで、前述のショッピン

  • 船を山に上らせてしまう事業 『凡人のための地域再生入門』

     某地方都市に住んでる私。 中心部にある商店街は、近郊にショッピングモールが建ったころから、徐々に寂しくなってる。 かつて数年にわたり、行政主導で中心市街地活性化の事業が進められたが、効果のほどはよく分からない。 ところで、前述のショッピン

  • 医者になりたかったのか…? 『東大医学部』

     中学時代のクラスメイトT君は、校区内にあった進学塾の息子で、そのせいか勉強ができた。 テストの成績は、常に学年トップ。公立中学の授業には興味がないらしく、くり抜いた教科書に別の本をハメ込み、独自の勉強を進めていた。 そんなT君は、だけどガ

  • 医者になりたかったのか…? 『東大医学部』

     中学時代のクラスメイトT君は、校区内にあった進学塾の息子で、そのせいか勉強ができた。 テストの成績は、常に学年トップ。公立中学の授業には興味がないらしく、くり抜いた教科書に別の本をハメ込み、独自の勉強を進めていた。 そんなT君は、だけどガ

  • ブッ飛んでるネタ満載 『衛府の七忍』(1~9)

     いろんな娯楽要素が強引に(良い意味で)混ぜ合わさってる、伝奇的にして時代劇的なバトルマンガ。 9巻まで読みました。 舞台は江戸時代初期。 国家権力に虐げられてきた“まつろわぬ民”の怨念が生んだ「怨身忍者=鬼」と呼ばれる忍者たちと、権力に逆

  • ブッ飛んでるネタ満載 『衛府の七忍』(1~9)

     いろんな娯楽要素が強引に(良い意味で)混ぜ合わさってる、伝奇的にして時代劇的なバトルマンガ。 9巻まで読みました。 舞台は江戸時代初期。 国家権力に虐げられてきた“まつろわぬ民”の怨念が生んだ「怨身忍者=鬼」と呼ばれる忍者たちと、権力に逆

  • 巨人の肩に乗ってみたい 『独学大全』

     勉強が大嫌いだった私。 ではあるけど、馬齢を重ねるほどに自分の無知を思い知らされ、ついに「どうにかしよう!」と一念発起。 したは良いものの、もはや導いてくれる人はおらず、「どうするの?」と戸惑うばかり。 学び方が分からないどころか、何を学

  • 巨人の肩に乗ってみたい 『独学大全』

     勉強が大嫌いだった私。 ではあるけど、馬齢を重ねるほどに自分の無知を思い知らされ、ついに「どうにかしよう!」と一念発起。 したは良いものの、もはや導いてくれる人はおらず、「どうするの?」と戸惑うばかり。 学び方が分からないどころか、何を学

  • 地域に認められ、受け入れられること

     福祉作業所の施設長を務める私は、法人が運営するグループホームの管理者も兼務しています。こちらも役職名は施設長です。 グループホームに入居する人たちの支援にも、施設長として携わっています。 日常生活でのささいな困りごとは、その都度、グループ

  • 地域に認められ、受け入れられること

     福祉作業所の施設長を務める私は、法人が運営するグループホームの管理者も兼務しています。こちらも役職名は施設長です。 グループホームに入居する人たちの支援にも、施設長として携わっています。 日常生活でのささいな困りごとは、その都度、グループ

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  • 新米刑事を相棒に 『冬の狩人』

     新宿警察署のベテラン刑事・佐江が活躍する、大沢在昌の“狩人シリーズ”。 今回は関東近隣の地方都市を舞台に、地元企業のスキャンダルに絡む事件へ、新米刑事と共に挑んでいく。 新聞連載だったせいか、一節(一章?)が短くて、物語の展開がスピーディ

  • 新米刑事を相棒に 『冬の狩人』

     新宿警察署のベテラン刑事・佐江が活躍する、大沢在昌の“狩人シリーズ”。 今回は関東近隣の地方都市を舞台に、地元企業のスキャンダルに絡む事件へ、新米刑事と共に挑んでいく。 新聞連載だったせいか、一節(一章?)が短くて、物語の展開がスピーディ

  • 過去は変えられる…?

     私はカウンセラーではないのですが、時おり、似た役割が求められます。 社会福祉士として行なう相談支援では、相手の悩みを聴いたり、何らかの助言をする局面があるのです。 そこで私は、相手の苦悩や迷い、悲哀に応じる際、参考となりそうな言説を、意識

  • 過去は変えられる…?

     私はカウンセラーではないのですが、時おり、似た役割が求められます。 社会福祉士として行なう相談支援では、相手の悩みを聴いたり、何らかの助言をする局面があるのです。 そこで私は、相手の苦悩や迷い、悲哀に応じられそうな言説を、意識して見付ける

  • 今後1000年も大丈夫? 『空海の風景』(上・下)

     司馬遼太郎による空海の伝記。 ノンフィクションとエッセイと小説が合わさったような本。 1000年以上も前の人物なので、足跡や業績については史実と捏造と錯誤が混在してる模様。 そこで著者は、遠方を望む「風景」として、あえて想像や創作を盛り込

  • 長いシリーズになりそう 『きたきた捕物帖』

     宮部みゆきの連作時代劇。 帯にあった「謎解き×怪異×人情」は実際そのとおりで、絶妙なブレンド具合でもって読ませます。 タイトルの「きたきた」が暗示してる、岡っ引き見習いだった朴訥な主人公・北一と、奇妙な体術を使う謎の青年・喜多治のコンビは

  • 相棒だって忙しい 『メインテーマは殺人』

     シャーロック・ホームズの友人・ワトソン博士とか、明智小五郎の助手・小林少年とか、バットマンの弟子・ロビンとか…。 彼ら“相棒”は意外と忙しい。 事件の謎に対して強引な憶測を展開し、物語の行方をミスリードする。勇み足によって事態を混乱させ、

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