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天竺堂通信 https://tenjikudo.com/

障害者施設(移行&B型)の管理者です。ダウン症者の兄として、社会福祉士として、日々の学びをつづります。その他、読書や自転車などなど…。

天竺堂
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八代市
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2019/03/29

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  • 草の根的なセーフティーネット 『「山奥ニート」やってます。』

    山奥で共同生活するニートの集団「山奥ニート」の実態が分かるノンフィクション。 和歌山県の山中には、全国から集まったニートたち15人が、小学校だった木造校舎で暮らす限界集落がある。 地元農家の手伝いなどで日銭を稼いだり、グループのゆるいルー

  • 変わったこと、変わっていないこと

    思いがけず、某福祉団体のシンポジウムに登壇することになりまして。 シンポジストとして発表する、資料づくりなどに着手しているところです。 資料に使える“ネタ”が見付かるのではないかと思い、ひさしぶりに当ブログの過去記事を読み返してみました。

  • シアワセ達人の事例集 『人間国宝という生き方』

    日本を代表するほどに価値ある物が「国宝」で、そんな宝物を生み出せる人びとが重要無形文化財保持者「人間国宝」。 国宝はそれだけで完結してるけど、人間国宝は将来的にも高価値な物を生み出せる可能性があるし、同様の人材を育成してくれる可能性もある。

  • 友達同士のワチャワチャな旅行記 『ボートの三人男』

    19世紀イギリスの青年3人と犬1匹が、手漕ぎボートに乗り込み、テムズ河を何日もかけてさかのぼる物語。 しばしば“ユーモア小説”として紹介されたりする。 河沿いの名所・旧跡のガイドとか、耽美的な記述がある一方、主人公が妄想をふくらませたり、

  • 嘉島町「浮島神社」:自転車のお守りをもらいに

    湧水池の向こうに見える浮島神社 熊本県嘉島町にある「浮島神社」を訪れました。 元来は縁結びや安産に“強い”とされる神社ですが。こちらでは自転車の安全祈願のお守りも扱っており、いただきに参拝したいと思っていたのです。 残暑厳しい9月の休日。

    地域タグ:熊本県

  • 予想外の展開に「そっちかよ!」 『異常(アノマリー)』

    仏人作家による、ジャンル横断的な群像劇。 フランスからアメリカへ向かう旅客機が、大西洋上空で嵐に遭い、乗客や乗務員に“異常”な現象が降りかかるという話。 この“異常”によって人生が大きく変化することになった搭乗者たち、その悲喜こもごもがド

  • 「マイペースで」と言う時の覚悟

    作業は器用にこなせるけれど、しばしば体調を崩してしまう人がいます。四肢を動かすこともままならないのに、熱心に働こうとする人もいます。 ウチの施設を利用する人たちは、障害程度も作業能力も、健康状態や勤労意欲なども、さまざまに異なります。 ま

  • 数奇な運命に翻弄されまくる一族 『百年の孤独』

    母方の祖父は102歳で亡くなった。その祖父の葬儀の真っ最中に、私の息子が生まれた。 私は産院にいたので、葬儀の様子は知らないが、祖父の曾孫が誕生したことが葬祭場でアナウンスされたそうだ。 祖父と曾孫は“ニアミス”だったけど、それだけとは思

  • 『純粋理性批判』読解記(その10)振り返ってみる

    淡々と読解は続いています。 読もうと思い立ち、この記事を書いたのは2021年6月1日。実際に『純粋理性批判』を読み始めたのは同年8月24日でした。 近ごろは、週に1~2節ほど読み進んでいます。読むペースは落ちましたが、それでも中断におちい

  • 個性豊かな全国22店を紹介『本屋、ひらく』

    地域の古本市に出店したり、職場のカフェで古本を販売したりしてるので、本を売ることの楽しさは経験として知っている。 なので、「本屋を開きたい」という人の気持ちも分かる。 本書では、個人で営む全国の22書店を紹介。 開店までの経緯、本屋にかけ

  • 一緒に働く相手 知らずに参入……?

    異業種交流会のような集まりに参加したことがあります。 さまざまな職業の人たちとの懇談は、私に少なからぬ刺激をもたらしてくれました。 そこで出会ったAさんについて書きます。 私が福祉作業所の施設長であると聞き、名刺を差し出しながら話しかけて

  • 阿蘇山上ターミナル-JR阿蘇駅前:中岳火口から阿蘇谷へ快走

    阿蘇登山道路からながめる米塚 熊本県を代表する観光地・阿蘇山に輪行しました。 と言っても、山道を漕ぎ上ったりしたわけではありません。私の2段変速のブロンプトン(S2L-X)による登攀は、非常に困難ですし、レジャーとしては無茶です。 ブロンプ

    地域タグ:熊本県

  • 阿蘇山上ターミナル-JR阿蘇駅前:中岳火口から阿蘇谷へ快走

    阿蘇登山道路からながめる米塚 熊本県を代表する観光地・阿蘇山に輪行しました。 と言っても、山道を漕ぎ上ったりしたわけではありません。私の2段変速のブロンプトン(S2L-X)による登攀は、非常に困難ですし、レジャーとしては無茶です。 ブロンプ

  • 高い期待値 主人公・北一の成長 『子宝船』

    事件現場に落ちてた物品の持ち主とか、近隣をウロついてた不審人物とか、そんな連中を引っ張ってきてガンガン拷問し、無理矢理に「私がやりました」と言わせる。で、一件落着。 ……こんな“捕物”ばかりだったらしい江戸時代に、真犯人をしっかりと見極め

  • 個人の弱さ補う 組織運営の安定感

    おいしいうどん屋さんが地元にありまして。店主による手打ちうどんが評判で、昼時にはいつも行列ができている人気店です。 その店が、2週間ほど閉店しました。店主の病気が原因でした。 営業が再開された時、うどん屋のファンである私たちは、ホッと安堵

  • 松本マンガのエッセンス凝縮 『大純情くん』(1~3)

    主人公・物野けじめは、安アパートの四畳半部屋に暮らしながら、ど根性で将来を切り拓こうとしてる貧乏少年。 アパートが建つ昭和っぽい地域は「旧市街」とされ、怪しげな機械がはびこる高層ビル群の谷間にある。 世間の荒波にもまれてけじめがヘコんでる

  • 凶悪な撲殺魔 鮫島と対決 『黒石』

    世の中には、いろんな殺し方、殺され方があって、それぞれに悲惨ではあるだろうけど。 個人的に「イヤだ」と強く思うのが撲殺。鈍器でもってなぐり殺すこと。 殺したり殺されたりしたことのない私でも、なぐったりなぐられたりした経験は少々ある。 かつ

  • 論破が難しい「反出生主義」 『生まれてこないほうが良かったのか?』

    「反出生主義」という思想がある。 「人間は存在すべきではない」みたいな考え方で、格差社会や環境問題などを背景に、近ごろ注目されてる模様。 私たち人間が受ける快楽が多いことを「善い」状態、苦痛が多いことを「悪い」状態とする場合、この世に人間

  • 弟思いでも優しいわけでもありません

    私生活でのことを書きます。 私にはダウン症の弟がいて、彼は50歳代。養育している両親は、共に80歳代。3人は、私の家の近隣に住んでいます。 年齢相応に老いている両親は、それでも比較的、健康には恵まれているようです。 旅行などで泊りがけの遠

  • つながり合う良さ 理想のゲートボールチーム 『GBパーク』

    ゲートボールには良い思い出がない。 ちなみにゲートボールは、制限時間がある5対5のチーム競技。スティックで打ったボールを、3つのゲートに順次くぐらせてゴールし、その得点を競う。 大学時代に体育の授業でプレイした時、老人向けの健康スポーツだ

  • 満州の架空都市 半世紀にわたる群像劇 『地図と拳』

    戦争に行ったことはないし、誰かを殺そうとしたこともない。 なので、銃弾飛び交う前線に放り出された新米歩兵の気持ちは分からない。 それでも、戦争について見聞した知識や情報と、自分の経験を基に、想像してみることはできる。 例えばそれは、濁流み

  • 放送大で「社会生活プランナー」取得

    私が放送大学に在籍していることは、以前に書きました。 放送大で私は、科目群履修認証制度の「社会生活企画プラン」に挑戦、毎年1~4科目ずつ履修してきました。 4年ほどコツコツ積み上げてきた単位が、このたびプランの認証取得条件に到達。 そうし

  • 残酷な倫理的問題に苦悩『方舟』

    地下洞窟に設けられた3層の建築「方舟」。 たまたま男女が集まってるところに地震が発生、出入口が岩で塞がれると同時に、地下水が浸水し始める。 やがて、誰か1人が犠牲になれば、他の全員を助けられると判明。そんな中で殺人事件が起きてしまう。 …

  • ナナメ上へと転がっていく 『とんこつQ&A』

    予定や約束、やっておきたい雑事などを忘れずに行なえるよう、手帳に書き込むことにする。 ところが、要件を書き忘れたり、手帳を見るのを忘れたり、手帳をどこかに置き忘れるなどして、どうにもうまくいかない。 そこで、要件の書き込み方を工夫したり、

  • 肥薩おれんじ鉄道薩摩大川駅前-阿久根駅前:初秋の阿久根市を行く

    道の駅「阿久根」から海を望む 鹿児島県北部の阿久根市へ、輪行に出掛けました。 今回は、ブロンプトン仲間であるTさんとの2人旅。旅慣れているTさんが、行程を組み立てて下さいました。 午前8時20分。八代市の肥薩おれんじ鉄道八代駅で、Tさんと待

    地域タグ:鹿児島県

  • 『障がい者が主役の喫茶(カフェ)を地域にひらく』

    ウチの施設にはカフェが併設されています。 就労継続支援B型事業の一環として運営しており、障害のある利用者さんたちが調理や接客などを行なっています。 カフェがオープンしたのは、もう十何年も前。施設の建て替えに合わせて設けました。 実は、建て

  • 「1年前と比べてどうか?」

    何をどうしたいのか、相手の意図がつかめない…。きちんと伝えているはずなのに、こちらの指示が通らない…。 障害者福祉の現場では、しばしば経験することです。 それに加え、「いくら言っても分かってもらえない」「何度も注意しているのに改めてくれな

    地域タグ:熊本県

  • 著者公認の“外伝” 『三体X 観想之宙』

    SF大作『三体』の二次創作というか外伝というか番外編みたいな物語。 三体世界へスパイとして送り込まれた雲天明はどうなってたのか…という、本編で語られなかった部分を、熱心なファンが補完&創作して発表。後に著者公認となったそうな。 本編さえ上

  • 『純粋理性批判』読解記(その9)図を活用して理解する

    『純粋理性批判』には、概念的・抽象的な事柄がたくさん出てきます。 「直観」とはどのような作用か? 「空間」とは何なのか? 「時間」とは何なのか? それらは丁寧に詳細に説明されてはいるのですが、文章を読み進むだけでは、今ひとつ理解が及びませ

  • 凡人の健気さが浮かび上がる 『空をこえて七星のかなた』

    大きな夢を抱いて挑戦し、成し遂げる人がいる。その活躍をながめ、うらやむ人たちもいる。 立場も事情も異なる両者だけど、どちらも主人公として日々を生きており、それぞれにドラマがある。 …本書は、ある魅力的な女性の半生をつづった連作短編集。 読

  • やっぱ阿修羅王が素晴らしい 『百億の昼と千億の夜』(完全版)

    光瀬龍の原作は、SFのオールタイム・ベストのひとつ。 個人的な評価だけど、同じように考える人は少なくないんじゃなかろうか? 萩尾望都によるマンガ版も、個人的にはマンガでのオールタイム・ベスト。 原作の視覚的解釈の面白さもさることながら、や

  • 手帳を愛用しています

    毎日の行動や予定の管理。近ごろはスマートフォンを駆使している人も多いようですが。私は長年、手帳を愛用しています。憶えておくべきことや、忘れたくないことは、すべて手帳に書き込みます。 先ほど「愛用」と書きましたが、製品や記入方法などは、これ

  • “原点”であり“最高峰”でもある 『愛蔵版 英雄コナン全集』(1 風雲篇)

    ヒロイック・ファンタジーの“原点”であり“最高峰”でもある、何だか「仮面ライダー1号」みたいな存在がコレ。 未来少年とか小学生探偵じゃないぞ。 古代世界を放浪し、凶漢や怪物と闘い、屍山血河を越えて帝王に上り詰めた、冒険者の一代記。ようやく

  • アヤフヤな戦いへの奇策 『アグレッサーズ 戦闘妖精・雪風』

    スポーツであれば、勝敗の決着はルールで決められてる。ルール無用のケンカでも、どちらか一方が闘えなくなるか、あるいは死んでしまえば、それで決着だろう。 …ならば、戦争は? どちらかの軍勢の、いちばん偉いヤツが白旗を掲げたら決着か? それとも

  • 生活介護事業を始めて

    ウチの施設では、新たに生活介護事業を始め、同時に就労移行支援事業を廃止しました。 これによって、多機能型であるウチは、就労継続支援B型と生活介護の2事業を行なう施設となりました。 背景にあったのは、利用者さんたちの介護ニーズの高まりです。

  • ウルフガイを彷彿と 『月の王』

    伝奇アクションの古典的名作である平井和正『ウルフガイ』作品群の、インスパイアみたいなオマージュみたいな、活劇たっぷりの娯楽小説。 主人公は驚異的な身体能力の持ち主で、月齢に合わせて強くなるという、その名も大神明(!)。 戦前の上海を舞台に

  • ウルフガイを彷彿と 『月の王』

    伝奇アクションの古典的名作である平井和正『ウルフガイ』作品群の、インスパイアみたいなオマージュみたいな、活劇たっぷりの娯楽小説。 主人公は驚異的な身体能力の持ち主で、月齢に合わせて強くなるという、その名も大神明(!)。 戦前の上海を舞台に

  • 『純粋理性批判』読解記(その8)スキマ時間に読む

    読み始めのころよりもペースは落ちましたが、読解は続いています。 1週間で1~5節ほどでしょうか。 かなりのスローペースではありますが、これが数カ月ほど続いているので、もう低下することはなさそう。読解のペースが定着してきたとも言えそうです。

  • 類を見ない刺激や感慨が 『闇の国々』(1~4)

    フランスのマンガ(バンド・デシネ)による、ボリューム満点の邦訳版、全4巻。 異世界「闇の国々」での事件や冒険を描いたオムニバスの作品群で、今後も創作は続くらしい。 舞台となる闇の国々は、風土も住民も現実のヨーロッパ社会に似てるけど、奇怪な

  • 次の社会を考える 『人新世の「資本論」』

    経済格差は拡がるし、環境破壊も過重労働も進む一方で、地球温暖化が止まらない…ろくなことがない資本主義社会。 広く叫ばれてる「SDGs」なんか焼け石に水でしかなく、社会システムを根底から変える必要があるそうな。 で、著者が提唱するのが「脱成

  • 異なる読み味楽しめる 『N』

    道尾秀介のユニークなミステリ。 6章で構成され、各章は独立した物語だけど、舞台や登場人物などにゆるい関連がある。 章の順序を変えて読むと、そのたびに異なる感慨が生じ、つまりは720通りの読み味が楽しめるという。 なかなかに凝った趣向。 私

  • 異なる読み味楽しめる 『N』

    道尾秀介のユニークなミステリ。 6章で構成され、各章は独立した物語だけど、舞台や登場人物などにゆるい関連がある。 章の順序を変えて読むと、そのたびに異なる感慨が生じ、つまりは720通りの読み味が楽しめるという。 なかなかに凝った趣向。 私

  • 異なる読み味楽しめる 『N』

    道尾秀介のユニークなミステリ。 6章で構成され、各章は独立した物語だけど、舞台や登場人物などにゆるい関連がある。 章の順序を変えて読むと、そのたびに異なる感慨が生じ、つまりは720通りの読み味が楽しめるという。 なかなかに凝った趣向。 私

  • “仲間”が増える 楽しみと頼もしさ

    毎年3月には、社会福祉士の国家試験の合格発表があります。 そのため、かつてウチの施設で実習を行なっていた学生たちが、「合格しました!」と報告に来てくれることがあります。 1カ月程度の実習であっても、その時は教師と生徒のような関係性だったの

  • さらに楽チン♪ ホイール移動を快適化

    キャリーバッグやカートのように、押したり引いたりしてスムーズに動かせる 福岡県福岡市にある折りたたみ自転車専門店「ローロサイクルワークス福岡」に先日、愛車をメンテナンスに出しました。 ついでに、いくつかの部品を新たに取り付けてもらいました。

  • “反応”で逃げないために 『自分の意見で生きていこう』

    著者によると、私たちの返答は「意見」と「反応」に分かれるらしい。 後者は「へー」「ふーん」みたいな相づちのほか、情緒的な感想とか、批判や質問などを指すそうな。 反応に共通するのは「ポジションを取らない」という、自分が賛成なのか反対なのかを

  • イルカのような… 『カラスの親指』

    詐欺師たちのスリリングなコン・ゲームが展開する本書には、「イルカのような」と描写される人物が登場する。 ツルリとした顔、優しそうでヤンチャそうな目、ツンとした唇にはいつも笑みが浮かんでる…みたいな感じだろうか。 ところで、本書は映画化され

  • イルカのような… 『カラスの親指』

    詐欺師たちのスリリングなコン・ゲームが展開する本書には、「イルカのような」と描写される人物が登場する。 ツルリとした顔、優しそうでヤンチャそうな目、ツンとした唇にはいつも笑みが浮かんでる…みたいな感じだろうか。 ところで、本書は映画化され

  • 湿地で生きる孤独な少女 『ザリガニの鳴くところ』

    ザリガニが鳴くのかどうか、私は知らない。 小学生のころ、理科室の水槽で飼ってたアメリカザリガニの世話係をやったことがあるけど、鳴き声は聞けなかった。 本書によると、ザリガニの鳴くところは「茂みの奥深く、生き物たちが自然のままの姿で生きて」

  • “生まれてくれた”親孝行 『あなたの人生の物語』

    子供が親よりも先に死んでしまう“逆縁”は、重い親不孝とされる。 立派な偉人に育ってくれそうにはないし、むしろ世間に迷惑をかける愚物で終わるかも知れない。それでも、その子の死を見届ける哀しみに比べれば、ずっとマシだと。 ところで私は、子供に

  • 『認知症世界の歩き方』

    障害のある人たちを支援している私ですが。 その相手が、どのような困難を覚え、どれほどに苦しんでいるのか、私には分かりません。 観察したり話を聴いたりした上で、相手の身になってみて、困難や苦しみを想像する…私ができることはそれだけです。 認

  • 怪異のメカニズム 『遠巷説百物語』

    お化けや妖怪などの、不可思議なものたち。 現実に在るとは思えないけど、目撃や遭遇などの体験談が少なからず伝えられてるからには、まったくのデタラメ、絵空事というわけでもなさそう。 これはどういうことか? そのメカニズムを描いてるのが本書。

  • 犯罪捜査の緊迫感 『第三の時効』

    やたらと仕事ができて、自分にも他人にも厳しい…そんな人材がいる職場は、成績は上がるだろうけど、一緒に働く身としてはなかなかにツラい。 そこが警察みたいな、仕事自体が“社会正義”を体現してるところだと、惰弱に逃げにくいから余計にツラい。 本

  • それこそが妖怪 『前巷説百物語』

    多くの人命が失われる大事件が起きた時、しでかした者に対し、「殺してしまえ」「こんな奴は死刑だ」なんて声が上がったりする。 犯人の命を奪えば、遺族らの憎悪や悲哀は一時的に治まるかもしれない。 それでも、事件によって生じた損失は、決して埋めら

  • 『純粋理性批判』読解記(その7)読書ノートに記入する

    『純粋理性批判』を読み進めながら。重要に思える箇所や、自分なりに理解したことなどを、段落ごとに読書ノートへ書き込んでいきます。 ノートのページは、あらかじめ縦に4分割しています。 この4分割は、左から順に「段落番号」「内容への感想(ツッ

  • とにかくデカい 『円』

    SF大作『三体』著者による短編集。全13話。 表題作は、不死の秘密を求める始皇帝が、秦の大軍勢でもって“人間コンピューター”を創り出すという物語。 この他、シロナガスクジラを操って麻薬密輸に及ぶ話とか、寒村の学校と銀河大戦がつながる話とか

  • 引き出しと組み合わせ

    ウチの施設を利用し始めたばかりのAさんについて。 私が「どんな人?」と訊くと、現場のベテラン支援者たちは、古参の利用者さんを例に「フレンドリーなBさんという感じかな」「Cさんを用心深くしたような印象ですね」。 支援の手法においても同様。

  • 見方を変えれば… 『失われた岬』

    深山幽谷の草庵で、悠然と思索にふけったり。洞窟や僧房の暗がりで、無我の境地を求めたり。有機無農薬栽培の作物を食べ、天然繊維の簡素な服を着て、スピリチュアルな仲間と晴耕雨読の共同生活をおくったり。 …これらの人たちは、何だか高尚なことをやっ

  • 見方を変えれば… 『失われた岬』

    深山幽谷の草庵で、悠然と思索にふけったり。洞窟や僧房の暗がりで、無我の境地を求めたり。有機無農薬栽培の作物を食べ、天然繊維の簡素な服を着て、スピリチュアルな仲間と晴耕雨読の共同生活をおくったり。 …これらの人たちは、何だか高尚なことをやっ

  • 異質な要素が? 『機龍警察 白骨街道』

    シリーズ6作目。 ミャンマーの密林での過酷な強行軍と、兵器開発をめぐる汚職事件の捜査が、交互に展開していく。どちらもスリリングで読ませます。 今回は、機甲兵装に絡むところに、“十二神将”や“八部衆”みたいなノリとか、立体機動や水陸両用みた

  • 別のミステリー1冊分を封入 『ヨルガオ殺人事件』(上・下)

    ミステリーを読む時は虚心坦懐を心がけてる。と言えばキザだけど、つまりは謎解きをあきらめてる。 読みながら手がかりを探し出し、トリックやミスリードを見破り、犯人を突き止める…なんて作業は登場人物に任せて、私は物語を楽しむことに専念する。 犯

  • 八代市新港町「くまモンポート八代」:八代港にできた新名所

    くまモンの巨像は人気の撮影スポット 熊本県が誇るゆるキャラ「くまモン」。 ゆるキャラとしての知名度は、おそらくナンバーワンでしょう。その人気は県内外をはじめ海外にまで及びます。 2020年10月、熊本県八代市の八代港に、大型クルーズ船停泊拠

  • バトルマンガに通じる面白さ 『推理大戦』

    似鳥鶏の連作ミステリ。 世界的に貴重とされるキリスト教の聖遺物の所有権をめぐり、各国の宗教組織から“代表”を募って推理ゲームで競わせるという、奇妙な企画が発表される。 実際にエントリーしてきたのは、さまざまな難事件を解決してきた、各国が誇

  • 『純粋理性批判』読解記(その6)読み始める

    ようやく読書にかかります。 読もうと思い立ってから、実際にページをめくるまでに数カ月。趣味的に無理なく進めようと意識してみたところ、このようなペースになってしまいました。 私が選んだ光文社版『純粋理性批判』は、段落ごとに、通し番号と小見出

  • 『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』

    以前に書いた「私たちが受け取っているもの」において、「視覚障害のある人に、美術館で絵画について説明し、鑑賞を支援する」という活動に触れました。 障害者への支援とは、実は双方向の行為かもしれない…との認識をもたらした、ひとつの例として挙げら

  • 情景から“孤独”がにじみ出る 『ロンサム・カウボーイ』

    片岡義男の連作短編集。初期の名作。 1970年代のアメリカにおける、さまざまな人生の形。 登場するのは、長距離トラックの運転手、荒野に建つカフェの女店主、酒場を渡り歩くハスラー、地方を巡業するロディオ・カウボーイ…などなど、全14話。 半

  • 誰だってキラキラしたい

    ウチの就労継続支援B型を利用していたAさん。 一般就労を果たし、現在は民間企業で働いています。 真面目な人柄のAさんは、言動も穏やかで控えめなのですが。 まったくの“別人”に変わり、周囲を驚かせることがありました。 ウチの利用者さんたちが

  • 『純粋理性批判』読解記(その5)どの邦訳を選ぶか

    とりあえず、読むための事前準備が終わりました。 これから『純粋理性批判』そのものを読んでいくのですが。 日本語で読める『純粋理性批判』は、ひとつではありません。異なる邦訳が、いくつも出版されているのです。 書店で普通に購入できるものとして

  • キャプテン・アメリカが悪に 『シークレット・エンパイア』(1・2)

    キャプテン・アメリカが悪者だったら…との趣向で描かれたアメコミ大作。 いくつかの事故と陰謀が重なり、マーベル世界の過去が改変される。 スティーブ・ロジャースは幼少期にヒドラ(悪の秘密結社)に洗脳されており、その後で米軍に入隊、超人血清が投

  • 毒も栄養も血肉に変える 『遊読365冊』

    “地上最強の生物”とか呼ばれる某人物によると「毒も喰らう/栄養も喰らう/両方を共に/美味いと/感じ――/血肉に変える/度量こそが/食には肝要だ」。 これは読書にも当てはまりそう。 本書は松岡正剛が1981年に雑誌掲載した読書ガイドが基にな

  • 『純粋理性批判』読解記(その4)入門書や解説書を読む

    けわしい山にいきなり登ろうとすると、慣れない山道で足を痛めたり、道に迷ったりしてしまうことも。 そのようなトラブルを防ぐには、事前にトレーニングをして足腰をきたえたり、地図などで行程を確認しておくことなどが求められます。 同様に、『純粋理

  • 八代市妙見町「ホタルの里公園」:涼を求めて

    ホタルの里公園。中洲にはバーベキューをする人たちが 八代市の妙見町へ、ブロンプトンで出かけました。 市内中心部にある自宅から見ると、東の山手。往復で10kmあまりのポタリングとなりました。 八代平野を貫通するように、九州自動車道の八代インタ

  • 裏社会の“保安官” 『続・用心棒』

    ストリップクラブの用心棒をしながら、犯罪組織間のパワーバランスを維持する“保安官”を務める主人公。 性格は地味めなのに、ダイヤモンドを強奪したり、テロ組織を出し抜いたり、ニューヨークの真ん中でど派手に立ち回る。 したたかで滑稽で残酷な、裏

  • 『純粋理性批判』読解記(その3)読書ノートを作る

    前回「その2」で、『純粋理性批判』の読書手順を自分なりに考えました。 今後は、その手順に沿って進めていきます。 まずは「『純粋理性批判』用の読書ノートを作る」。 非日常的(?)なことに挑戦するので、あえて「モレスキン」などの高価なノートに

  • 気持ち良く送り出せるよう

    ウチの施設を十年近く利用していたAさん。 このたび、就労移行支援A型の作業所へ移行することになりました。 A型作業所での3日間の実習が無事に終わり、移行後への自信が持てたそうです。 どこかスッキリとした様子のAさんが印象的でした。 施設長

  • 読書の効用 生真面目に説く 『草子ブックガイド』(1~3)

    主人公は内向的な女子中学生。 一緒に暮らす父親は、画家志望なんだけど、日雇い労働と飲酒に明け暮れてる。離婚した母親は、版画家として成功し、別の家庭を築いてる。 そんな主人公の唯一の娯楽が読書。 近所の古本屋の棚からこっそりと1冊持ち出し、

  • デカくてスゴくて 『三体3 死神永生』(上・下)

    中国産SF大作の完結編。 外宇宙から迫り来る危機また危機に、人類文明はありったけの科学技術と工業力でもって抵抗する。 その行く末を、冷凍睡眠を繰り返しながら見守り続ける主人公。 昭和時代の児童向け絵解き科学読本(学研のジュニアチャンピオン

  • 『純粋理性批判』読解記(その2)どう読むか

    読むと決めた『純粋理性批判』。 とは言え、漫然とページをめくっていても、書かれていることが理解できず、すぐに挫折してしまうでしょう。 インターネットを見回すと、『純粋理性批判』を読もうとした人たちの“挫折体験”が読めます。その多くは「普通

  • 私たちが受け取っているもの

    先日インターネットで視聴した、あるシンポジウム。 哲学や政治学の専門家たちが、「利他」や「能力主義」などについて議論する内容でした。 シンポジウムの中で「障害者への支援とは、支援者が一方的に助けているのではなく、互いに何かを与え合っている

  • 構想膨らませた意欲作 『小説 火の鳥 大地編』(上・下)

    手塚治虫のライフワーク『火の鳥』の「大地編」を、桜庭一樹が小説として書き継いだ意欲作。 日中戦争後の上海において日本軍が、長寿をもたらす未知のホルモンを分泌する伝説的な鳥を捕獲するため、タクラマカン砂漠への調査隊を組織して…というところま

  • 波紋拡げたインタビュー集 『世界の悲惨』(1)

    フランスの社会学者・哲学者ブルデューが指揮し、市井の人びとに行なった聴き取り調査の本。 全3巻のうち、第1巻を読む。 本書のコンセプトは「社会は表立って表現されることのない苦しみであふれている、その声にならない苦しみに耳を傾けよう」。 イ

  • 波紋拡げたインタビュー集 『世界の悲惨』(1)

    フランスの社会学者・哲学者ブルデューの指揮で、市井の人びとに行なわれた聴き取り調査の本。 全3巻のうち、第1巻を読む。 本書のコンセプトは「社会は表立って表現されることのない苦しみであふれている、その声にならない苦しみに耳を傾けよう」。

  • 先天的障害と自己責任論

    私の実弟はダウン症。染色体異常による疾患で、知的障害などを伴います。 これまで何度も言及してきたことです。 ダウン症は先天性であり、1000分の1程度の確率で発現するとされます。 可能性は誰にでもあるので、各種事故や病気、薬害などによる障

  • 先天的障害に絡む自己責任論

    私の実弟はダウン症。染色体異常による疾患で、知的障害などを伴います。 これまで何度も言及してきたことです。 ダウン症は先天性であり、1000分の1程度の確率で発現するとされます。 可能性は誰にでもあるので、薬害や医療事故による障害と比べれ

  • 濃厚キャラが物語に影響 『星系出雲の兵站 -遠征-』(1~5)

    往年の時代劇大作『柳生一族の陰謀』に、烏丸少将という悪役が登場する。 演じてるのは成田三樹夫。徳川三代将軍をめぐる幕閣内の暗闘につけ込もうと策謀する、公家の役だった。 顔は白塗り、口調は「おじゃる」、それでいて頭は切れるし、腕も立つ。普段

  • 濃厚キャラが物語に影響 『星系出雲の兵站 -遠征-』(1~5)

    往年の時代劇大作『柳生一族の陰謀』に、烏丸少将という悪役が登場する。 演じてるのは成田三樹夫。徳川三代将軍をめぐる幕閣内の暗闘につけ込もうと策謀する、公家の役だった。 顔は白塗り、口調は「おじゃる」、それでいて頭は切れるし、腕も立つ。普段

  • 『純粋理性批判』読解記(その1)思い立つ

    ある日、ふと『純粋理性批判』を読んでみようと思い立ちました。 私は大の読書好き。 読書は最高の娯楽と思っています。ゲームやスポーツ、音楽、映画など、さまざまな娯楽がある中で、最も面白く、刺激的にして感動的なものが、私にとっては読書なのです

  • 『純粋理性批判』読解記(その1)思い立つ

    ある日、ふと『純粋理性批判』を読んでみようと思い立ちました。 私は大の読書好き。 読書は最高の娯楽と思っています。ゲームやスポーツ、音楽、映画など、さまざまな娯楽がある中で、最も面白く、刺激的にして感動的なものが、私にとっては読書なのです

  • 『純粋理性批判』読解記(その1)思い立つ

    ある日、ふと『純粋理性批判』を読んでみようと思い立ちました。 私は大の読書好き。 読書は最高の娯楽と思っています。ゲームやスポーツ、音楽、映画など、さまざまな娯楽がある中で、最も面白く、刺激的にして感動的なものが、私にとっては読書なのです

  • 『純粋理性批判』読解記(その1)思い立つ

    ある日、ふと『純粋理性批判』を読んでみようと思い立ちました。 私は大の読書好き。 読書は最高の娯楽と思っています。ゲームやスポーツ、音楽、映画など、さまざまな娯楽がある中で、最も面白く、刺激的にして感動的なものが、私にとっては読書なのです

  • 穴を掘って埋め戻す仕事 『ブルシット・ジョブ』

    地面にスコップで深さ1メートルほどの穴を掘り、それを埋め戻すという作業を繰り返して、高い賃金がもらえるとしたら、やるだろうか…と自分に問うてみる。 バカバカしいことであっても、貧しさに苦しんでる状況だったら分からない。どれだけ困窮したら、

  • 穴を掘って埋め戻す仕事 『ブルシット・ジョブ』

    地面にスコップで深さ1メートルほどの穴を掘り、それを埋め戻すという作業を繰り返して、高い賃金がもらえるとしたら、やるだろうか…と自分に問うてみる。 バカバカしく思えても、貧しさに苦しんでる状況にあれば分からない。どれだけ困窮したら、どれだ

  • またもや謎の“商人”が 『魂手形』

    宮部みゆきのライフワーク的な伝奇シリーズ、その第7巻。 百物語の聴き手である富次郎は、聴き終えた物語にちなんだ絵を描くことを自分に課してる。 モチーフの選択が毎回、ナナメ上あたりにズレてるように思えるんだけど、それはそれで面白い。 富次郎

  • またもや謎の“商人”が 『魂手形』

    宮部みゆきのライフワーク的な伝奇シリーズ、その第7巻。 百物語の聴き手である富次郎は、聴き終えた物語にちなんだ絵を描くことを自分に課してる。 モチーフの選択が毎回、ナナメ上あたりにズレてるように思えるんだけど、それはそれで面白い。 富次郎

  • 工賃への戸惑い 抱えつつ

    ウチの施設は、毎月10日が工賃支給日です。利用者さんたち1人ひとりに、前月分の工賃を渡しています。 各人の工賃額は、前月の作業時間に応じて決まります。作業時間が長ければ高額に、短ければ低額になります。 要するに、工賃は“時間給”なのですが

  • 工賃への戸惑いを抱えつつ

    ウチの施設は、毎月10日が工賃支給日です。利用者さんたち1人ひとりに、前月分の工賃を渡しています。 各人の工賃額は、前月の作業時間に応じて決まります。作業時間が長ければ高額に、短ければ低額になります。 要するに、工賃は“時間給”なのですが

  • 風変わりで魅力的な探偵 『IQ』

    ロサンゼルスに住むアフリカ系アメリカ人。20代半ば。無許可の探偵。 明敏な知性、鋭い観察眼、大胆な度胸と行動力、奇妙なボランタリー精神の持ち主。銃器は嫌いだが、知識は豊富。地元の地理、犯罪組織の事情、身近な法律に加え、コーヒーの淹れ方、車

  • 誰もが別の顔を隠してる 『嘘の木』

    フランシス・ハーディングによる、ミステリ風味のファンタジー。 舞台は19世紀後半のイギリス。 主人公は利発な少女で、著名な博物学者の父親が捏造事件を起こし、一家で離島に移り住むことに。 ところが、スキャンダルは島まで伝わり、父親は家族を残

  • あえて飛び込む 『面(ジャケ)食い』

    久住昌之の食べ歩きエッセイ。 タイトルの「面(ジャケ)食い」とは、知らない土地で飲食店を訪ねる際、自分の勘だけを頼りに飛び込んでみること。レコードの「ジャケ買い」をもじった言葉らしい。 著者が全国各地で敢行した、飲食店への飛び込み体験が、

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