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月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ30 BL小説 午前中いっぱいは、ハイキングコースを走ったり、二ヵ所にあるテニスコートのうち山荘の裏手のアンツーカーの方を臨時ドッグランにして犬たちを自由に走らせ、一緒にフリスビーをやったりして、犬も人間も思い切り楽しんだ。 その間中、幸也はなんだかんだと勝浩に絡んできて気がつ
月夜の猫-BL小説です 霞に月の67 BL小説 「それはまた……」 天野は気の毒そうな顔で良太を見た。 「いやいや、もう、いい思い出ってだけで、意気消沈してるわけじゃないですよ?」 「そうですか? さっき歩いてた時、かなり思いつめたような顔をしてたみたいだったから」 「え………」 ひょっとして、だから誘ってくれ
月夜の猫-BL小説です 幻月30 BL小説 滅多なことでは狼狽えることもない鈴木さんだが、彼女にしては怒り心頭といった目を二人の粗暴なやり方の刑事に向けていた。 「何か、出ましたか?」 年配の刑事と若手の刑事の二人組はやってきた小田の顔を見るとあからさまにムッとしたような顔をで頭だけ下げた。 「ちゃんと元通り
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ29 BL小説 幸也が部屋に戻ってきたのは、十二時になろうという時間だった。 「……ん……長谷川さん…」 ややあって、傍らに誰がが立っている気配に、寝ぼけ眼で勝浩は幸也を見上げた。 「悪い、起こしちまったか。いいから寝てろ。ちょっと煙草吸ってくるから」 くしゃっと勝浩の髪を撫
月夜の猫-BL小説です 幻月29 BL小説 木戸は千雪の言った通り、女が殺されたとされる時間の一時間ほど前に大きなスーツケースを引いてチェックインし、翌朝チェックアウトし、駐車場から車でホテルを出たようだ。 木戸は西早稲田のボロアパートに住んでいて、誰かと一緒でもなく一泊数万円ものホテルに泊まるには何らかの理由
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ28 BL小説 「何だよ、いつのまにそこの二人、できちゃってんの?」 「えー、知らなかった、美利と勝浩くんって、そうなのぉ?」 酒が入っているから、みんな勝手なことを言う。 「あの子が勝浩に告ってたって?」 犬たちにおすそ分けをしながら、幸也はへらへらやってきた検見崎を掴まえ
月夜の猫-BL小説です 幻月28 BL小説 麻布警察署の留置所でまた浅い眠りのまま朝を迎えた工藤は接見に来た小田を見て苦笑した。 「毎日ご苦労なことだな」 「他人事のように言うな」 小田は生真面目な顔で年季の入った鞄から手帳を取り出した。 「皆がお前のために動いている。しばらくの我慢だ。会社の方は問題なく動いて
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ27 BL小説 「うん、動物園とかでも面倒見切れなくなったからって、人間の都合であちこちやられて。動物の心をもっと考えろって、思いませんか?」 「全く人間は勝手な動物だよな」 「俺ね、小さい頃、動物園に連れて行ってもらうでしょ? なんでみんな檻の中にいるのかな、って思ってた。
月夜の猫-BL小説です 霞に月の(工藤×良太)64までアップしました BL小説 霞に月の(工藤×良太)64、恋ってウソだろ?!5、月で逢おうよ26、幻月27までアップしました。
月夜の猫-BL小説です 霞に月の64 BL小説 「身体休めないとダメだよ? モリー、頑張ってくれてるし。そうそう、さっきなんか、通りがかりの金髪人種が困ってたんで道案内までやってくれてたよ。英語、できる人は尊敬に値するね~」 宇都宮に持ち上げられた森村は「や、向こうで育ったというだけで」とちょっと笑う。 最近、
月夜の猫-BL小説です 幻月27 BL小説 「ありがとうございます。よろしくお願いします」 まさか谷川がそこまでやってくれるとは、良太も思っていなかった。 「へえ、そうなん? 確か奈々ちゃんのマネージャーやろ?」 千雪がちょっと目を丸くして聞いた。 「ええ、ボディガードとしても力を発揮しててくれますし、きっちり
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ26 BL小説 さすがに空気が違っていた。 山々の連なりにさえ、手が届きそうだ。 「ひゃっほうっ!!」 「ぜっけーだー!!」 九月も終わりのよく晴れた日の早朝、『動物愛護研究会』の一行を乗せた数台の車は、八ヶ岳の麓にある検見崎の山荘に向かって、ひた走っているところだ。 窓から
月夜の猫-BL小説です 幻月26 BL小説 二人が小田の事務所を訪れると、所長室に通され、調査員の遠野譲がコーヒーを出してくれた。 「工藤は元気だったよ。まあ面白くないのは当然だが、あの強靭な精神力の男だからな、今のところ否認と黙秘を続けている」 小田は言った。 「ところで一緒に行動していたのかい?」 「いえ
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ25 BL小説 「なんか勝浩、とってもいい抱きゴコチぃ」 「長谷川さ……!」 ちょっといい人だと思ったらすぐこれだ。 そんなことしないでほしい。 俺が、どんなに好きだったかなんて、知らないくせに! 今だって、また…………。 その時、勝浩の耳に聞き覚えのある声が聞こえた気がした
月夜の猫-BL小説です 幻月25 BL小説 いざとなれば最終手段とも言っていた。 最終手段っていったい……… 知る必要のないことって……… いや、やっぱ考えない方がいい。 それにしてもガチで暴力団の抗争? そんな工藤の存在が関係してるなんて……。 いや、向こうが勝手に引っ張り込もうとしてるだけじゃん! けど何?
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ24 BL小説 「あ、どうも…すみません……」 二人してブランコに腰を降ろし、ポカリスエットの蓋を取る。 ポカリを一気に半分ほど飲み干して、勝浩はようやく人心地ついた。 あたりはすっかり暗くなってしまった。 どこにいる、ユウ! 迷子になって寂しい思いをしているのではないだろうか
月夜の猫-BL小説です 幻月24 BL小説 「小田さんの方から、今の仕事の状況と同時にMEC電機のCMが入ったことを、工藤さんに伝えるように言ってください」 おそらくそれで工藤は、波多野が動いていることを知るわけか。 「わかりました」 良太は神妙な顔で言った。 「ではプラグインの藤堂さんがいらっしゃるまで、し
月夜の猫-BL小説です 恋ってウソだろ?!1 BL小説 瞼に走った光の帯が眩しくて、佐々木は寝返りをうった。 朝か………何時やろ…… 気分は悪くないが、身体が重い。 やっぱ夕べちょっと飲みすぎたかも………。 できればもう少し眠りたいと枕に頬をうずめた佐々木は、ふと額に暖かいものを感じて目を開けたのだが、超絶な違
月夜の猫-BL小説です 恋ってウソだろ?!-Tricky Night- BL小説 「誰にもやらない」などで登場した佐々木周平のエピソードです。 「好きなのに」へと続きます。工藤と良太にもリンク。 ■酔ってハロウインの夜に出会った男の腕の中で目が覚めた?! あり得ない出来事に混乱して佐々木は逃げ出したが、
月夜の猫-BL小説です 秋の陽10 BL小説 結局ベッドに雪崩れ込んでからも歯止めが効かずに工藤は良太を喘がせる。 いつか良太を離してやるなどと言っていた自分を思い出して工藤は己を嗤う。 息も整えきれない良太の胸を工藤の指が掠めただけで、全身が敏感になってしまっている良太は悲鳴のような声を上げて身体を捩った。
月夜の猫-BL小説です 霞に月の60 BL小説 武蔵野市にある書道家三宅雄一郎の自宅では朝から撮影が行われ、ようやく終わってクルーが引き上げたのは夜の十一時を回った頃だった。 心身ともに疲れ切った良太が車を乃木坂にある会社の駐車場に止めた時には既に真夜中を回っていた。 こだわりのディレクター下柳とこちらも自分の
月夜の猫-BL小説です 幻月23 BL小説 「とにかく、今は女を殺した真犯人を見つけない限り、工藤さんはまずい状況にあります。もし仮に真犯人を見つけられなかった場合、工藤さんが起訴される前に、すなわち工藤さんが容疑者として名前が出る前に、最終手段を行使します」 「最終手段……って……」 波多野はぞっとするような笑
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ22 BL小説 「こういう車で、サイドシートが犬と男、って面白くない図ですよね」 沈黙に耐え切れず、勝浩は口を開いた。 美利と大杉は猫を連れて垪和のワゴン車に乗り込み、ロクは後部座席に陣取った。 幸也の運転するアウディのサイドシートにおさまったのは、後ろにずらしたシートの前にキ
月夜の猫-BL小説です 幻月22 BL小説 「どういう………」 良太は息をのむ。 「工藤さんは表に出てはいけないんです。表に出るのならむしろ人気俳優にでもなって大々的に顔を知られるような存在であれば、ああいう連中も担ぎ上げようとか思わなかったかもしれませんし、狙われることもなかったかもしれませんが…………」
月夜の猫-BL小説です 霞に月の59 BL小説 「絶対あの准教授のせいよ」 アスカは断言した。 「准教授?」 「わかってるくせに。交流会の時にいたじゃない、香坂准教授。工藤さんの高校のクラスメイトよ」 もちろん秋山もわかっていた。 「工藤さん彼女と会ったんだって。ユキから聞いたのよ。良太はだから反旗を翻してるの
月夜の猫-BL小説です 幻月21 BL小説 千雪が良太にこっそりそう思わせておけと言ったのは、その時、千雪を襲った連中が千雪のことを工藤のイロと口にしていたところを見ると、千雪を工藤の女だと思い込んでいて、工藤の女を拉致するのが目的だったらしいからだ。 波多野は良太を小会議室といった部屋に案内し、やがて女性が良
月夜の猫-BL小説です 秋の陽8 BL小説 良太もちょっと可哀そうに思うのだが、何と言って声をかけていいかわからない。 「ちょっと、良太、万里ちゃんに振られた可哀そうなあたしに、俺でよければ、とかくらい言えないの?!」 とんだトバッチリだ。 「え、ああ、じゃあ、俺でよければ」 良太は棒読みのように口にした。
月夜の猫-BL小説です 霞に月の58 BL小説 「話ならいつでも聞くから、連絡しなさいよ? 当分はまだ東京にいるから」 タクシーのドアを閉める前に、香坂は言った。 「おう、またな」 工藤はそう言ってタクシーを見送った。 聡明でさばけていて美人で、あんないい女、とんといないな。 だからこそ、加絵と遊んだ時のような
月夜の猫-BL小説です 幻月20 bl小説 もう行っちゃうの、今度飲み行こうよ、という坂口の名残惜し気なセリフを後にして、良太は二時過ぎにスタジオを出ると、三時まで二十分ほどもある時間にMEC電機本社の駐車場にいた。 「しっかりしろよ、俺」 三時まで十分となったところで、良太はもう一度声に出して言うと、車を降り
月夜の猫-BL小説です 霞に月の57 bl小説 中学でも工藤の伯父がヤクザだという噂はあっという間に広まっていたから、曽祖父は後見人の顧問弁護士を通じて工藤を私立の高校に行かせるように手はずを整えていた。 生徒のほとんどを海外からの赴任組の子どもや帰国子女が占めていた高校では、相変わらず工藤の出自は知られていた
月夜の猫-BL小説です 幻月19 bl小説 そんな顔をしていたのだろうか。 「まあ、いろいろ、夕方の打ち合わせのこととか」 「新しいドラマ?」 「いえ、CMなんですけどね」 そう、港区芝にあるMEC電機の広報部で四時からCMの打ち合わせが入っていた。 昔から家電のMEC電機として親しまれてきたが、今の正式名称は
月夜の猫-BL小説です 秋の陽6 bl小説 「何か、でも、いいよねぇ、高校生とかに戻りたいなあ」 万里子がため息交じりに言った。 「万里子さん、高校生の時からドラマに出てらしたわね」 鈴木さんが言った。 「そうなんだ。一年の時だけよ、高校生活満喫できたの、二年からこの世界に入っちゃったから。今でも思うのよ、あの
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ18 bl小説 迷惑を被ったのは勝浩だけではなかったし、乱暴したりするわけではなかったけれど。 勝浩は三年生の終わりに転校してしまったので、きっと幸也はそんなこともすっかり忘れているに違いない。 中学二年の時、父親が東京本社に栄転になると聞いて勝浩も喜んだが、当時人に貸して
月夜の猫-BL小説です 幻月18 bl小説 翌日は朝から良太は出ずっぱりだった。 工藤が顔を出すはずだったスタジオでは『田園』の撮影が行われていた。 朝『レッドデータ』のスタジオに顔を出し、昼からはこちらに向かったのだ。 「おや、良太ちゃん」 久々に見た脚本家の坂口は、景気のいい声で良太ににっこり笑った。 「何
月夜の猫-BL小説です 月で逢おうよ17 bl小説 ユウが検見崎を急かしたので、検見崎はもう何も言わず、ユウと一緒に外に飛び出した。 しんと静まり返った部屋のベッドで眠る勝浩の、すうすうという寝息が幸也の耳にも聞こえてきた。 「無防備に可愛い顔して寝てるんじゃないよ」 勝浩の頬を指でちょんとつつき、幸也はボソ
月夜の猫-BL小説です 霞に月の(工藤×良太)55までアップしました bl小説 霞に月の(工藤×良太)55、月で逢おうよ(幸也×勝浩)16、幻月(工藤×良太)17、秋の陽(工藤×良太)4までアップしました。
月夜の猫-BL小説です 幻月17 bl小説 「だよな。俺も社長には世話になってっからよ。こんなとこで、工藤に引導を渡されてたまるかよ」 小笠原が声高に言った。 「そうですよね! ありがとうございます!」 良太はまた皆に深々と頭を下げた。 「チラッと話にもあったように、警察より早く、千雪さんらが動いてくれて、情報
月夜の猫-BL小説です 秋の陽4 bl小説 「そうそう。工藤さんに急に原作者に会わせるって言われて、このオフィスに来たら、千雪さんがいて、あたし、初めはてっきり俳優さんかモデルさんだと思ったんだ。そしたら原作者だって言うでしょ? もうびっくりよ」 万里子は明るく笑う。 「ですよね~、あれは詐欺だ」 良太もうんう
月夜の猫-BL小説です 幻月16 bl小説 小笠原のCF撮影の立ち会いで、一度仕事上でも良太は波多野と顔を合わせたことがあった。 だが、千雪の言うように、今こちらから波多野に近づくのは双方にとってまずいことになりかねない。 特にこんな時だからこそ。 確かにもし裏であっちの輩が関係しているとしたら、とっくに波多野