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月夜の猫-BL小説です 霞に月の(工藤×良太)29までアップしました BL小説 霞に月の(工藤×良太)29、真夏の危険地帯(豪×元気)19、鬼の夏休み(工藤×良太)36 までアップしました。
月夜の猫-BL小説です 霞に月の29 BL小説 それでも、ワインをゴクゴク飲んだ良太はそのうち酔いがまわってくると、泣いていたのが「モリーのやつがね、しきりと彼女が欲しいって俺に訴えてきて」とへらっと笑うようになり、「だけど、さすがに俺にも、はい、彼女、とかってプレゼントするわけにもいかないじゃないですか」など
月夜の猫-BL小説です 鬼の夏休み36 BL小説 目を眇めるようにして良太と小谷を睨み付けていた工藤は、自然と怖い顔になっていた。 「工藤さん、どうかなさったの?」 そんな工藤を見て、理香が尋ねた。 「あ、いや、知った顔があった気がしたが違ったようだ」 あの野郎、いったいどこに行くつもりだ。 イラつきながら工藤
月夜の猫-BL小説です 鬼の夏休み35 BL小説 「手分けして探してどこか、談話室、空いとるよな? あそこに連れてこよか」 聞いてきた京助に千雪が提案した。 「談話室か」 緊張しながら良太は呟いた。 「誠が窃盗犯二人、自分の車で連れてくる、言うてた。諏訪の森公園あたりで追いついたらしい。車はダチに丁重に運転させ
月夜の猫-BL小説です 真夏の危険地帯18 BL小説 雛子との関係は昔から変わらず仲は良い方だろう。 多分、恋人が男だと告げたとしても、雛子はさほど驚かないに違いない。 のんびりとしているようで、実は元気などよりよほどどんと構えた性格なのだ。 ともあれ、さっき雛子が二日酔いかと聞いたのには、何も言わないで朝帰り
月夜の猫-BL小説です 鬼の夏休み34 BL小説 「ほんで、学生を使ってこそこそ窃盗やパパ活なんかやらせているのが、さっきのもう一人のオッサンや」 「……何か、段々、その通りだって気がしてきました。ってことは、駐車場、気を付けてた方がいいってこと?」 「せやな。帰りは各々好きな時に帰ってもらうことになっとるし
月夜の猫-BL小説です 真夏の危険地帯17 BL小説 すっかり実業家然とした涼子が、Gコーポレーションの自社ビルの前でたくさんのマイクに囲まれている。 「ですが、飛び入り参加してくれたギタリストはあくまでも純粋に音楽が好きなだけなんです。これ以上詮索されると、二度と彼がステージに立つことはないと思われます」 き
月夜の猫-BL小説です 鬼の夏休み33 BL小説 良太は少しばかり気が気ではない。 戻ると、工藤は年配の男と話していた。 「あら、藤田さん」 理香が声をかけると、フジタ自動車社長、藤田が振り返った。 「おや、理香さんじゃないか。広瀬くんも、久しぶり」 「お久しぶりです」 良太は皿を傍らのテーブルの上に置いて、
月夜の猫-BL小説です 真夏の危険地帯16 BL小説 「先日横浜ベイアリーナで行われた人気ロックグループ、GENKIのライブは大盛況だったことはもちろんなのですが、今、巷でネットで盛り上がっているのは、そのアンコールに登場した謎の超美形ギタリストのことなんです!」 ことさら大げさな身振りの女性リポーターの言葉に
月夜の猫-BL小説です 鬼の夏休み32 BL小説 「会社ってどこだっけ?」 「え、青山プロダクションです。一応プロデューサーです」 理香に聞かれて良太は、プロデューサー、を強調する。 「っていうと、ひょっとして工藤さんのとこ?」 俄然、理香の目が輝いた。 「そうですけど、昨夜も今夜も一緒に来てますよ」 胡乱気に
月夜の猫-BL小説です 真夏の危険地帯15 BL小説 元気は名刺を見ようともせずに、黙々と手を動かす。 「天木って言います。ファッション関係の雑誌なんですが、GENKIはちょくちょく取材させてもらっているんですよ。確かにコーヒーは美味いけど、やっぱ元気さんの天職じゃないよな」 無言で元気に拒否されているとわかっ
月夜の猫-BL小説です 霞に月の27 BL小説 「せやなあ」 千雪は肯定するように頷いた。 「それ、ほんまに近しいもんやないとわかれへんよなあ。工藤さんのご学友の小田先生や荒木検事とかも、工藤さんがこの世に未練がないみたいに生きてるんが歯がゆいて思うとるんやないか?」 やはり千雪も工藤のそういう面を感じ取ってい
月夜の猫-BL小説です 鬼の夏休み31 BL小説 門が開いたので、良太は車をゆっくりと進めた。 昨夜と同様車寄せでは藤原とスタッフが出迎えてくれて、良太はスタッフにキーを預けた。 その時、何かしら引っ掛かりがあるような気がして、一度振り返ったが小首を傾げつつ、藤原に案内されて工藤とともに中に入っていった。 ホー
月夜の猫-BL小説です 真夏の危険地帯14 BL小説 たまたまカップを下げてきた紀子にも聞こえたらしく、元気と豪の顔を交互に見た。 「コーヒーゼリーとアイスコーヒー追加ね」 紀子は豪の台詞には関知せず、ことのほか明るい声で元気にオーダーを告げた。 今度は元気が静かに怒ったのがすぐにわかったからだ。 普段は優しく
月夜の猫-BL小説です 霞に月の26 BL小説 「寒うはないけど、なんか、ええなあ、炬燵て」 千雪は炬燵に脚を突っ込んで和んでいた。 「はあ、結構この部屋にくると、みんな炬燵に根がはえるみたいで」 良太は苦笑した。 二月半ばには、この狭い部屋に何人もが押し掛けて酒盛り状態だった。 「へえ、妹さん、彼氏連れて来た
月夜の猫-BL小説です 鬼の夏休み30 BL小説 「あ、ありがとうございます」 良太はさすがに大きなチョコレートプレートを食べた後は胸やけがしそうになって、紅茶をゴクゴク飲んだ。 「明日は何時頃こちらを発つ予定です?」 杉田は紅茶を良太のカップに注ぎながら尋ねた。 「十時くらいには出ます」 「あら、じゃあ、朝食召
月夜の猫-BL小説です 真夏の危険地帯13 BL小説 やれやれ、とそんな事情からご機嫌斜めな紀子には細心の注意を払わねばならない元気は嘆息し、それでも自意識過剰かもしれないがこの店が辺鄙な田舎町でよかったと思うのは、日がな一日こういう「客」に店を占領されなくて済むことだった。 確かに、東京にいた頃は元気の携帯には
月夜の猫-BL小説です 霞に月の25 BL小説 「あ、まさか、締め切りが迫ってて、バックレようとか思ってます?」 「フン、残念ながらギリで間に合うたわ」 「そっすか? だって時々、携帯切って編集さんやり過ごそうとかやってるじゃないですか」 前科があるから千雪の言葉を鵜呑みにすると危ないこともある。 「シルビーの
月夜の猫-BL小説です 鬼の夏休み29 BL小説 こういう時、昔ならつい煙草に手が行くのが常だったが、最近は自分だけでなく周りにも害があるなどと言われて、禁煙までは行かないが、ポケットに煙草を入れるのはやめている。 「さあさ、座って下さいな、ほら、ぼっちゃんも」 良太は吹き出しそうになるのを何とか堪える。 ダイ
月夜の猫-BL小説です 真夏の危険地帯12 BL小説 そんな毎日にすっかり同化していた元気だが、謎のギタリストなる、まるで見知らぬ自分が勝手に世の中に出て暴走しているのを見ているような気がする。 どっちにしても、ちょっとみっちゃんと話さなきゃな。 川べりの道を歩く元気の頭の中を、ネットの記事や動画がぐるぐると駆
月夜の猫-BL小説です 真夏の危険地帯11 BL小説 四年前、別れを告げてこの町に戻ってきた元気を忘れられず、豪はストーカーのように元気を思い続けて、最近注目のカメラマンのくせに、ついに元気の住む近くの町に引っ越してきてしまうほど元気一筋な男で、いつも元気の顔を見ると喜んで尻尾を振って駆けてくるリュウと次元が一
月夜の猫-BL小説です 鬼の夏休み28 BL小説 「ただ今帰りました~」 別荘に着き、声をかけながら中に入ると、キッチンから音が聞こえた。 杉田はキッチンにいるらしい。 「杉田さん?」 「あら、良太ちゃん。お帰りなさい」 「ただ今戻りました。これ、どうぞ。クロワッサンがすごくうまくて」 良太がベーカリーの袋を
月夜の猫-BL小説です 霞に月の24 BL小説 「このシリーズの主人公である六条渉は、幼い頃に家族を強殺されるという凄惨な経験を持っているので、罪を犯した人間に対して極端な憎悪を抱いています。ともすると非情に被告人に対して厳罰を与えかねない自分と常に闘っているというような深い闇があります。また六条に限らず、刑事の
月夜の猫-BL小説です 真夏の危険地帯10 BL小説 「元気、昨日はどこ行ってたの?」 さくっと紀子は切り込んだ。 「昨日? だから将清たちと会うって言っただろ?」 優作が見せてくれた携帯の動画を思い出して、どうやら紀子が既に元気が何をしていたか知っているような気はしていた。 昔の元気を知っている連中なら、や
月夜の猫-BL小説です 鬼の夏休み27 BL小説 「そうか。工藤さんそういう義理難いとこあるしな。けどまあ、昨日から夏休み珍しゅうとらはったんやろ?」 千雪は頷いた。 「はあ、何かドラマの若いタレントが風邪でスケジュールに穴をあけたとかで、怒ってましたけど、ちょうど休みになったからよかったっていうか、急に軽井沢行
月夜の猫-BL小説です 霞に月の23 BL小説 「クッソ、まんまと良太の姦計にはまってしもたわ」 食事を済ませてNTVへ向かう車の中で、後部座席の千雪はボソリと言った。 「何ですか、その言い方、人聞きの悪い」 「美味いもんでつられる俺も俺やけど。ちゃっかり着替えまで用意してきとるし」 千雪は大学での上下ジャージ
月夜の猫-BL小説です 鬼の夏休み26 BL小説 「俺、何か、中山組の先代が工藤さんのそのお嬢さんに一目ぼれして無理やりみたいなこと考えてましたけど」 「今、八十歳くらいか? 先代は十年くらい前に亡くなったけど、お嬢さんの方は今もバリバリの姐御や、いう話」 良太はしかし、少し眉を寄せた。 「でも、そんなみてきた
月夜の猫-BL小説です 真夏の危険地帯9 BL小説 「四年前は、それに豪の元彼の優花ちゃんまで絡んでたから、お前、身を引くつもりで、田舎にひきこもったんだろ? けど、今は一応、お前と豪がくっついて、優花ちゃんも容認して事務所で仕事してるわけで、ああ、今は確か優花ちゃん、マサとつき合ってるんだし、お前、もうバンド
月夜の猫-BL小説です 鬼の夏休み25 BL小説 「旧軽のカフェでしたっけ?」 ハンドルを切りながら良太は千雪に聞いた。 「前に、通りかかっていっぺん入ってみよ思うとったんや」 ナビに案内されて辿り着いた店は、ちょっとした林に囲まれた古い木造の建物だった。 ランチメニューはパスタやカレーと自家製パンが最近ちょっ
月夜の猫-BL小説です 真夏の危険地帯8 BL小説 黒ずくめだがタンクトップに上着を着ているだけ、一平にしてはマシというところか。 「一平? 本人? びっくりした」 優作が言った。 「誰だ?」 元気の左隣に腰を降ろした一平が元気に尋ねた。 「同期の毛利と江川だろうが。それにお前、去年も会ってるだろ、ライブも来て
月夜の猫-BL小説です 真夏の危険地帯7 BL小説 「くっそ、こういうのってみっちゃん、わざとライブ撮影容認しているっぽいぞ」 「ああ、うまく利用しているな」 将清が頷いた。 「それよか、これどうすんだよ、こっそりじゃなくなってんじゃん」 全くこれでは、内緒でライブに出たつもりだったのに元気のことを知っている人
月夜の猫-BL小説です 霞に月の(工藤×良太)21までアップしました BL小説 霞に月の(工藤×良太)21、鬼の夏休み(工藤×良太)23、真夏の危険地帯(豪×元気)6までアップしました。 大変お暑うございます。 時節柄、皆様どうぞご自愛くださいませ
月夜の猫-BL小説です 真夏の危険地帯6 BL小説 「何で一平が俺のホテル知ってんの? 一平には教えるなって浅野にも言ってあったはずだけど」 今回の上京は実のところプライベートでも極秘機密で目的も上京する事すら誰にも教えていない。 しかも一平って、冗談だろ、またぞろおかしな誤解を招くだろうが。 ただでさえ、豪の
月夜の猫-BL小説です 鬼の夏休み23 BL小説 「京助さんと千雪さん、あれって、双方横暴でもどっちかっていうと、京助さんの方が弱いよな、惚れてる分」 一見して京助の傲慢さに千雪が振り回されているようで、その実、どちらかというと千雪の方が振り回しているようだ。 「まあ、しょうがないよな、惚れてるんだから」 良太
月夜の猫-BL小説です 真夏の危険地帯5 BL小説 無論最初から何もかもうまくいくわけではなかったが、みっちゃんが虎視眈々と準備を重ね、その広い人脈やネットをフルに使う頭脳戦略は徐々に功を奏し、メンバーは皆同格、ギャラはしっかり頭割りとなって、それぞれ意欲的に活動しつつ、現在に至っている。 元気の肩書である嘱託社
月夜の猫-BL小説です 鬼の夏休み22 BL小説 別荘に戻ると、ダイニングテーブルに、ワインクーラーに冷やした冷酒と杉田のメモが置いてあった。 「お酒を召し上がるのなら、いくつかおつまみが冷蔵庫にあります」 良太が冷蔵庫を開けると、ナスの煮びたし、里芋の含め煮、キュウリの梅肉和えなど、工藤の好きそうな小鉢がいく
月夜の猫-BL小説です 霞に月の21 BL小説 「四月は杉田さん、ほら、軽井沢でお世話になった年配の女性だけど」 「大丈夫です。ちゃんとわかります。いろいろ杉田さんとはお話もしたので」 「四月がバースデイなんだけど、大々的じゃなくてこじんまりとでいいので、平さんみたいにお祝いしたいんだ。それで、何かいい案がない
月夜の猫-BL小説です 真夏の危険地帯4 BL小説 しかしいい加減、そんな事務所の思惑や干渉をさすがに一平もうざったく感じ始め、決定打は事務所側が売れる音楽路線云々と口にしたことだった。 「おい、みっちゃん、事務所辞めるぞ」 事務所側に対して不快そうな目を向けただけで、一平が昔のように怒鳴りつけたりしなかったの
月夜の猫-BL小説です 鬼の夏休み21 BL小説 良太は何もかもが済んでから父親から連絡をもらって、それこそ青天の霹靂だった。 ただし、債権者しかもたちの悪い連中にいつの間にか債権が譲渡され、ガラの悪い連中が良太のアパートに押し掛けたのは、中野弁護士の誤算だったようだ。 中野から直接良太にも連絡がきたが、何か手立
月夜の猫-BL小説です 真夏の危険地帯3 BL小説 「GENKI」のオリジナルメンバーで今はペンネーム「G」で曲を提供してくれている我が社の嘱託社員かつ株主、ただし社外秘、涼子は葛城に元気のことをそう簡潔に紹介した。 学生の頃からメンバーは涼子に頭が上がらなかった。 「GENKI」の発足は高校時代からバンドをや
月夜の猫-BL小説です 鬼の夏休み20 BL小説 「あ、そうだ、さっきプリンとかお渡ししたんで食べてくださいね」 別れ際、良太は千雪に伝えると、駐車場から車を回してくれた公一からキーを受け取って運転席に乗り込んだ。 工藤が助手席に座ると、良太はそろそろとアクセルを踏む。 藤原と公一が頭を下げて見送るのをバック
月夜の猫-BL小説です 霞に月の19 BL小説 佳乃さんとは、そういう関係ではないって言ってたけど、未だにちゆきさんを忘れられずにってのは、工藤、哀しいぞ、それ。 小説家の千雪さんに未だに横恋慕してるっていうんでもないのなら何だよ? 考えたら、四十超えて、俺なんか相手にしてっから、工藤、結婚とかもできないんじゃ
月夜の猫-BL小説です 真夏の危険地帯2 BL小説 黒のベンツは人知れず横浜ベイアリーナを出ると、横羽線を走り山下町へと向かった。 「ふう、死ぬかと思った……涼子のやつ、いくら何でもカツラとかないだろ! このクソ暑いのに!」 ブロンドのかつらやベネチアンマスクを控室で外し、後部座席に乗り込んだギタリストは大き
月夜の猫-BL小説です 鬼の夏休み19 BL小説 「大も最近、紫紀さんてより、京助のクローンみたいになってきたやろ?」 大学生になったという大はこころなしかスキー合宿の時より背が伸びたようで、ほぼ京助と変わらないくらいだ。 「性格は似ても似つかない感じの真面目さですけどね」 千雪は苦笑する。 「そのとおりやから
月夜の猫-BL小説です 真夏の危険地帯1 BL小説 横浜ベイアリーナで行われている真夏のライブは、人気ロックグループ「GENKI」のライブ史上でも最高の盛り上がりを見せていた。 「なんか、すごくない?」 ステージの袖で腕組みをしてステージとオーディエンスを眺めやりながらブラウススーツの浅野涼子は呟いた。 今まで