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月夜の猫-BL小説です 鬼の夏休み53(ラスト) BL小説 「ただ今戻りました!」 ちょうど三時のお茶には間に合ったので、良太は早速鈴木さんに、杉田さんからのケーキを渡した。 「お帰りなさい! あら、嬉しい! 何だかケーキが食べたいって思ってたとこなのよ!」 お茶を入れるという鈴木さんがキッチンに入っていくと
月夜の猫-BL小説です 真夏の危険地帯36(ラスト) BL小説 これでもかというほど長いキスの後、「……サカりやがって! 俺は疲れてるって言ってるだろ!」と元気は精いっぱい喚いてみる。 のだが。 既に獣状態と化している豪には人間の言葉は通じないらしく、豪はそれこそものも言わずにバスローブなどとっくに脱げてしまった
月夜の猫-BL小説です 霞に月の42 BL小説 「ってか、何でいるんだよ?!」 唐突に口走った良太に、「え、どうかした?」と森村が怪訝な顔を向けた。 「いや、ちょっと、あとで話す」 とにかく何か食べて気を落ち着かせてからだ。 良太はサンドイッチやローストビーフなどを皿にとったが、何を食べているかも把握していないく
月夜の猫-BL小説です 鬼の夏休み52 BL小説 俺んちはまあいろいろあったけど、複雑とかって言葉とは無縁だよな。 杉田さんのケーキは美味しかったけど、なんか、母さんのブラウニー、食べたくなったな。 そんなことを口にすれば、マザコンはいつになったら治るんだとかなんとか、工藤に嫌味を言われそうだから、やっぱり絶
月夜の猫-BL小説です 真夏の危険地帯35 BL小説 ここのところ晴天続きで暑いなんてものではなかったが、土曜のライブはいつも以上に盛り上がった。 さらにアンコールで現れたサプライズゲストには、オーディエンスは沸きに沸いた。 みっちゃんの思惑通り、ファンはいつサプライズゲストがまた現れるかと毎回ライブに足を運び
月夜の猫-BL小説です 鬼の夏休み51 BL小説 「俺がマネしてもスーツが浮くって」 未着用のスーツとクリーニング行きのスーツを別にしてペーパーバッグに入れると、あとはスエットを軽井沢に来るときに着てきたスーツに着替えて、リュックにタブレットや細々したものを入れて終わりだ。 ふっと息を吐くと、良太はベッドに座っ
月夜の猫-BL小説です 真夏の危険地帯34 BL小説 「金曜の夜には出るけど、お前、平気?」 元気は東に聞いた。 「何時頃?」 「しゃあない、お前に合わせるよ」 「うーん、じゃあ、八時とかでもいいか?」 「わかった」 考えてみればたかだかアンコールに一曲か二曲やるだけなんだから、何本もギター持ってったって仕方な
月夜の猫-BL小説です 鬼の夏休み50 BL小説 「あ、そうだ、東京のオフィスの皆さんにお土産にと思って、またケーキを焼いてきたのよ。冷蔵庫に入っているから、持って行ってね」 「ほんとですか?」 杉田さんに言われてウキウキと良太は早速冷蔵庫を覗く。 ショートケーキだ。 「保冷剤たくさんいれれば二、三時間くらい
月夜の猫-BL小説です 真夏の危険地帯33 BL小説 ざあっと夕立が通り過ぎて行った午後五時半を回った頃、伽藍にひょっこり東が顔を見せた。 「元気、あのお誘いってまだ有効?」 カウンターに座りしな、東が聞いた。 「どのお誘いだ? 記憶にないぞ」 「またまた、昨日言ってたろ? 週末に東京に行くってやつ。定員一人くら
月夜の猫-BL小説です 霞に月の41 BL小説 「ハハ、かなりギリでした。俺、野球ばっかやってたし」 そういえば戸塚教授、めちゃくちゃ厳しかったけど、みんなが言う程嫌いじゃなかったな。 そんなことを考えていた良太に、奥の方で直子がひらひらと手を振った。 「あ、知り合いが呼んでるみたいで、ちょっと失礼します」
月夜の猫-BL小説です 真夏の危険地帯32 BL小説 「バカ、ひとりでホテルなんか泊められるか。俺もホテルを取るから、紀ちゃんの部屋も俺が取るよ。こないだのお詫びに」 慌てて元気は提案した。 「え、そんなあ……元気ってば、太っ腹! じゃ、豪もホテル泊まればいいよね」 紀子の発言にまたしても東が一人で反応する。
月夜の猫-BL小説です 霞に月の(工藤×良太)40までアップしました BL小説 霞に月の(工藤×良太)40、真夏の危険地帯(豪×元気)31、鬼の夏休み(工藤×良太)創作BL小説連載中です
月夜の猫-BL小説です 霞に月の40 BL小説 お仕着せを着たギャルソン風の青年がトレーに飲み物を掲げて二人の前にやってきた。 二人ともシャンパンをもらい、奥には軽食やつまみが用意されているとギャルソン風に説明を受けて、腹が減っていたのを思い出した良太と森村はそちらの方に向かう。 が、すぐに理香に声をかけられて
月夜の猫-BL小説です 鬼の夏休み48 BL小説 ちょうど不景気が日本中をどんより覆っているような年だったからか、面接に四人の学生がやってきて、三人はそれなりに体力も知力もありそうなメンツだったが、一人、痩せてリクルートスーツが浮いているような場違いなのが混じっていた。 しかし案の定、工藤が中山会組長の甥云々と
月夜の猫-BL小説です 真夏の危険地帯31 BL小説 何が非常勤任務だ! いつも見かけは冷静なはずの元気だが、つい洗い物に水を一気に出し過ぎて慌てて緩める。 みっちゃんの話によると、ギターのタダシが何と盲腸で入院してしまい、急遽助っ人は頼んだのだが、一平のノリが非常に悪いから、週末の土曜、千葉のライブ一日だけ、
月夜の猫-BL小説です 霞に月の39 BL小説 土曜日は四時頃までドキュメンタリー番組の編集に顔を出していた良太は、慌てて会社に戻ってくると自分の部屋に上がり、シャワーを浴びて髪をざっと整え、夕べ選んでおいたスーツを着た。 無礼講だと言われたし、ドレスコードも必要なさそうだったが、工藤が紹介してくれたテーラーで
月夜の猫-BL小説です 鬼の夏休み47 BL小説 しかも警察内部に暴力団同士で相打ちにさせて潰そうと画策している者がいるらしく、工藤自身にも害が及ぶ危険性があるとも。 かつて汚職で失脚した桜木元外相の息のかかった輩が工藤を貶めるべく虎視眈々と狙っているというのだ。 「桜木元外相は失脚して表舞台からは退いたものの
月夜の猫-BL小説です 真夏の危険地帯30 BL小説 客も少ないのをいいことに、テーブルに陣取って、これはどこで撮った、ここの海は恐ろしくきれいだった、と豪は紀子相手にカメラの画像を見せ始めた。 「うわ、可愛い! これ、さわりたい、コアラ!」 紀子は一つ一つの画像に声を上げている。 「しかし、蒸し暑いな…台風く
月夜の猫-BL小説です 霞に月の38 BL小説 「あ、俺は、他に予定ないので大丈夫です」 良太はさり気なく答えた。 「しかし何だ? 異業種交流会とか」 「はあ、でもほんとにいろんな業種の人が集まるみたいで、ほら、来週から『コリドー通りで』放映じゃないですか。秋には『大いなる旅人』も封切りだし、何かしら仕事にプラ
月夜の猫-BL小説です 鬼の夏休み46 BL小説 「わ、フレンチトーストだ!」 ダイニングテーブルに並んだオニオンスープやトマトやキュウリ、アボカドなどのサラダ、ベーコンとスクランブルエッグ、野菜ジュースという文句なしの朝食を見た途端、良太は腹が減った気がした。 ふわふわのフレンチトーストにバターとベリーのジャ
月夜の猫-BL小説です 真夏の危険地帯29 BL小説 「なんだ」 つい声が不機嫌になる。 「……あんま、時差ないから、まだ起きてるかと思って」 「お前、GENKIの事務所に寄ったんだってな」 「……みっちゃんに聞いたんだな」 「わざわざこっちまで出向いてな」 しばしの沈黙があった。 「わかってる! あの人、み
月夜の猫-BL小説です 霞に月の(工藤×良太)37までアップしました BL小説 霞に月の(工藤×良太)37、真夏の危険地帯(豪×元気)28、鬼の夏休み(工藤×良太)45までアップしました。 今年は異常な暑さが続いております。 皆様どうぞご自愛くださいませ。
月夜の猫-BL小説です 霞に月の37 BL小説 「浜村さんって、会長の関係者?」 「ああ、息子さん」 やっぱり、名前同じだと思った。 工藤、浜村会長と会って、どうだったんだろう。 そういうことあんまし言わないからな。 「なんか、セレブ多いですよね」 「まあ、無礼講やし、ええんやない?」 「はあ」 モリーには悪い
月夜の猫-BL小説です 鬼の夏休み45 BL小説 ここの空気が助長させるのか、夏の名残にけしかけられたのか、財界の大物連中相手に負けじと背伸びをしていた良太が可愛いかったのと、女たちに絡まれていたのがイラついたのとが心の中でせめぎ合い、情動へと駆り立てた。 何よりあれだ。 ちょろちょろうろつく良太に、俺の傍にいろ
月夜の猫-BL小説です 真夏の危険地帯28 BL小説 「まあな、俺としては、豪がお前がGENKIに関わるのを邪魔するとかしなければって、黙認してたんだが。なるほど、豪に執念深くここまでお前を追ってこられて住み着かれて、押し切られたと。元気は結構乙女だったわけだ。誰よりも好きくらいじゃいや、オンリーユーじゃないと
月夜の猫-BL小説です 霞に月の36 BL小説 そんなことを考えていた良太だが、翌日下柳から入った連絡で、俳優が二人になるのを知った。 「良太ちゃん、こないだ直子ちゃんと話してただろ、ほれ、異業種何とかって集まり? ひとみがくって言って来たんで、俺とひとみ、人数に入れといてくれ」 「え、何でひとみさんが………」
月夜の猫-BL小説です 鬼の夏休み44 BL小説 曾祖父は頑健な男だったが、滅多なことでは怒ったりしなかった。 かといって工藤のことを放りっぱなしでもなく、学校の話などよく聞いてきた。 曾祖母は品のいい優しい人だったが、極端に工藤をかまうということもなかった。 だが、当時は嫌われていると思っていたのだが、今思う
月夜の猫-BL小説です 真夏の危険地帯27 BL小説 「一度会ったきりなのに? 確かに、あんな状況だったのに、怒られるどころか朝ゴハンすすめられて、大学のことくらい話したか、二人が出かけるまで和やかだったな。まあ、男だし、ただの友達と思ってくれたのか、一家弁護士とかエリート家族だから、許容量が大きいとか? でも
月夜の猫-BL小説です 鬼の夏休み43 BL小説 どうせ極道などとまともに取引なんかできるか、とでも考えていたのだろうとは容易に推察できる。 いつもそっちで勝手に決めればいい、というスタンスでいるのだが、これが藤田や美聖堂の斎藤には何故か気にいられて、これまで長い付き合いになったりしているのだから不思議だ。 紫
月夜の猫-BL小説です 真夏の危険地帯26 BL小説 そしたら、もしかしたら、父親はまだ生きていてあの店を続けていたのだろうか。 時間が戻せるとしたら、自分はどういう選択をしたのだろう。 元気はフン、と自嘲する。 もしとかたらとか、考えても詮無いことだ。 時は戻ることはないのだ。 にしても、今日は昔のことばか
月夜の猫-BL小説です 霞に月の34 BL小説 良太は猫たちにご飯をやり、着替えると、軽くサンドイッチで夕食にして、車で高輪へと向かった。 工藤に言われてから、空いた時間に高輪のジムへ週一、二回通っている。 お陰で身体の調子が前よりいい感じだ。 「でも、あれか。もし、そのイベントで、工藤に誰かが見つかったら、ジ
月夜の猫-BL小説です 鬼の夏休み42 BL小説 浜村と渡良瀬が立ち去ると、紫紀が言った。 「お疲れ様です。工藤さんも良太ちゃんも、肩凝ったでしょう? ちょっと奥で一服されてはどうですか?」 工藤はすぐにも帰りたそうな気配だったが、「ありがとうございます」と先に良太が答えたので、眉を顰めながら工藤も良太の後に続
月夜の猫-BL小説です 真夏の危険地帯25 bl小説 しかしな、とみっちゃんは続けた。 「たまに一平が元気にありつけるとなれば、一平のパワーは倍増するんだけどさ、ほら、ネコを遊ばせるときみたいに、たまにキャッチさせてやらないと興味をなくすだろ? つまり全然、報われないってことになると、一平は仕事だろうが放りだし
月夜の猫-BL小説です 霞に月の(工藤×良太)33までアップしました BL小説 霞に月の(工藤×良太)33、真夏の危険地帯(豪×元気)24、鬼の夏休み(工藤×良太昨年夏)41までアップしました
月夜の猫-BL小説です 霞に月の33 BL小説 「それはまあ、わからんでもないけど。せや、最近法医学研究室にアメリカから来はった准教授が、工藤さんにちょうどええかもて」 「おや、そうなの?」 「それと、桐島の友人のバイオリニストが美人で陽気なんですわ」 「へえ、なるほど、異業種交流会だ」 「工藤さんと良太にそれ
月夜の猫-BL小説です 鬼の夏休み41 BL小説 京浜ホールディングスのブレインはこの人か。 良太は心の中で頷いた。 広報にも詳しいらしい。 「そうですか。彼の仕事は素晴らしいですね。実は一ファンなのですよ。お会いしたことはありませんが、これまでの業績は聞き及んでいます」 「ええ、とても、常人にはない発想と技量
月夜の猫-BL小説です 霞に月の32 BL小説 「うーん、それって、表向きはってことだよね?」 すると千雪は少し眉を寄せる。 「まあ、二人とも頑なやし、特に工藤さん。出自があれやからってのはわからないでもないけど、いくら何でもって思うし、この辺で何か起爆剤になるようなことがあれば、や、この際、二人とも別の誰かと
月夜の猫-BL小説です 鬼の夏休み40 BL小説 「キャストは有名どころが出演されるんでしょうか?」 渡良瀬は聞いた。 「まだ正式には決まっていないようですが、先生が推しておられる俳優さんはどなたでもご存じの方になるのではと思いますが」 「なるほど」 にっこりと渡良瀬は笑った。 「あら、良太ちゃん、探したのよ~
月夜の猫-BL小説です 真夏の危険地帯23 BL小説 悪いのはちゃんとはっきりさせなかった自分だ、元気を勝手に好きになったのは自分だからと豪は言うが、自分に非がないわけがないと元気はわかっている。 起きるべくして起きてしまった結末に、そしていろんな感情のせめぎ合いから、あの時、元気はこの街に逃げ帰ったのだ。
月夜の猫-BL小説です 鬼の夏休み39 BL小説 良太を見つけた工藤は険しい顔をしたが、すぐに表情を戻して、話に戻った。 「ああ、いいところにきたね。浜村さん、青山プロダクションの広瀬くんです」 紫紀が良太を認めるとすぐに二人の男に紹介した。 浜村と呼ばれた男は五十代くらいだろうか、穏やかな顔つきのスマートな男
月夜の猫-BL小説です 真夏の危険地帯22 BL小説 詩も歌詞も元気の中では同じ引き出しに属し、今も市内の同人誌にこっそり参加しているのだが、昔から書き綴ったノートはかなりの冊数になる。 「この詩なんか、宮沢賢治とか三好達治とか元気の好きな作家のニオイでいっぱい」 「そう…すか?」 言い当てられたことがきっかけ
月夜の猫-BL小説です 鬼の夏休み38 BL小説 「いや、俺はお客ってほどでも。ひょっとして警察行ったんですか? 知り合いが捕まえたって?」 良太は聞いた。 「ああ、ダチとその仲間、まあ、ちょっとバイクのテクがある連中四、五人で車追って、のっとった男二人、引き摺りだして、捕まえたて」 「バイクだけじゃなくて腕っぷ
月夜の猫-BL小説です 真夏の危険地帯21 BL小説 「今日は秋に出す『久遠』の編集会議です」 少し頬を赤らめながら少女は答えた。 「へえ、だって君ら三年だろ? 夏期講習とか忙しいんじゃないの?」 「でも『久遠』は今年で百号の記念号だから気合入ってて、私らも顔出してきたんです。すごいですよね、ほぼ年一回か二回発
月夜の猫-BL小説です 霞に月の30 BL小説 「異業種交流会、ですか?」 翌日、出社してきた森村に、良太は昨夜千雪に提案された話をすると、森村は怪訝な顔で聞き返した。 「まあ、合コンとはちょっと違うけど、もっと広い意味でというか」 良太としても今一つピンとこないのだが、千雪の言うには、年齢や職業、性別問わず
月夜の猫-BL小説です 鬼の夏休み37 BL小説 「お金に決まってるじゃない! いい服着ていいもの食べて、いい暮らししてるあんたたちなんかにわかんないわよ!」 ちょっと見可愛いと思われるだろう顔がゆがんだ。 良太までをも小谷は睨み付ける。 「いや、俺の服はただこのパーティのために社長に買わせられただけなんだけど
月夜の猫-BL小説です 真夏の危険地帯20 BL小説 豪はオーストラリアに発ったはずだ。 朝、車の音で元気が目を覚ました時には既にいなかった。 「どっかいい店連れてけよ」 客が入ってきたのと入れ替わるように、じゃ、あとで、とみっちゃんは店を出て行った。 何だよ、重要な問題って。 またしても頭を悩ませそうな何かに