メインカテゴリーを選択しなおす
首都カリアリから国道で北へ約1時間。古代の火山地帯であるモンテ・アラジン自然保護区の看板が見えてくる。ハイキングや自然観察が楽しめるスポットであり、決して大きな町ではないが観光地としての人気は高い。だが、まだ時刻は商店やカフェがオープンする前で。人通りの少ない町の景観だけを楽しみ、ハインリヒが運転する車はさらに北上する。そうして直線が続く国道を20分ほど走った頃。オレンジ色の屋根の家々が見えてきた。...
「あぁ、天使か…」ぽつり、と。欠伸交じりの声が聞こえ、夢現の場所を彷徨っていたアルフレードはまだ重たい瞼を押し上げた。ふわり、と舞う白いレースカーテンが視界の端に入る。と同時に見えたのは、半身を起こし、気だるげに前髪を掻き上げているハインリヒの横顔。くぁ、と狼や獅子のように大きく口を開けて欠伸をしている無防備な姿に思わず笑む。普段は気配に聡い人だが、見られていることに気付いていない。朝陽に促されて...
好奇心を選んだ猫はどうなったのか。9つある命を全て使い切ってしまったか、それとも、満足感に生き返ったか。前者が教訓として語られることが多い諺だが、どちらかと言えば後者の気分だなとアルフレードはそっと口端を緩めた。過ぎる快感は、身体にとっては負担にしかならない。そもそも受け入れる構造になっていない身体を開く行為なのだから、無理が生じるのは当然のこと。関節も腰も鈍く重たい。酷い熱を出したときのように全...
遊郭潜入にノリノリの伊黒さんが書きたかっただけ。 あと例のシーンで後ろ向いてて顔わからないから何でもアリかなと思って…。 無限列車編までは履修必須。 煉おばタグ付きですが、やっぱり伊黒さんが恋愛対象として見てるのは蜜璃ちゃんだけ(おばみつ前提)です。 でも煉おばで肉体的接触があります。 このシリーズの伊黒さんは自分が美人だって解ってて、だからこそ顔を傷つけられたことが腹立たしいという設定。 ただしその価値基準に触れたのは逃げ出してからだから、みすみす傷付けさせた当時の自分にもムカついてる。 イベント用の話を書かないとなんですが、他にも書きたいネタがあって大変…。#伊黒小芭内 #宇髄天元 #煉󠄁おば #煉󠄁獄杏寿郎
地中海の中央部に位置する島、サルデーニャ島。現在はイタリア領となっているが、その何千年もの歴史は実に複雑だ。様々な勢力に支配されたことでこの島にしかない独自の伝統や習慣が今も根付いており、20世紀初頭のイギリス文化における重要な人物の1人に数えられているD.H.ローレンスはこう言い表した。「この地は他のどこにも似ているところがない」、と。彼のその言葉はサルデーニャ島を世の中に広く知らしめるきっかけとなり...
波の音。それは、幼い頃を過ごしたあの美しい港町の音。朝の爽やかな潮風は遠い記憶を引き寄せる。瞼の裏に感じる陽光の気配は、「おはよう」と髪を撫でてくれた母の手の温もりを、「よく眠れたようだね」と抱き上げてくれた父の腕の優しさを呼び起こした。まだ眠気はあるが、睡魔にしがみつきたいほどのものではなく。アルフレードはぬくく柔らかな記憶に包まれた多幸感の中で、手足を伸ばした。全身に感じる微かな倦怠感は、情交...
空腹、とは違う。だが、限りなくそれに近い感覚が消えない。胃よりももっと、ずっと下。そして、もっと奥。そこが、足りない。胃が固形物を求めているせいだと言い聞かせて果物を食べたが、一度自覚してしまったそれはなかなか頑固で。身体の奥にじわじわと熱が溜まっていき、同時に不足感が募っていく。臍の下辺りを掌で摩りながら、アルフレードはプールサイドに置かれている椅子に腰掛けて空を仰いだ。そこには雲ひとつない突き...
ローテーブルに整然と並べられた白い封筒が10枚。宛名も封蝋もされていない、無地のそれ。一体これは何だろう、と首を傾げながらアルフレードはコーヒーカップを両手に持ったままハインリヒの姿を探した。と、バルコニーへ続く窓が開いていることに気付く。風が吹き込み、カーテンがふわりと揺れる。その拍子にハインリヒの後ろ姿が見え、風に乗って彼の声が聞こえてきた。話している内容までは聞き取れなかったが、口調と声音は穏...
「次の休日は朝から遊びに行こうか」アルフレードがハインリヒにそう誘われたのが先週のこと。いよいよ明日がその日だ、といつもよりも早い時間に鳴るようにアラームをセットして。気分が高揚して寝付けないなんて子供のようだ、と笑って。それでもいつもより早い時間に眠りについた。そして、朝。身支度を済ませて早々に家を出た2人は市内のカフェで軽い朝食をとり、「どこに行くの?」「まだ秘密だ」というやり取りを何度か繰り...
www.xifuren.work やっと『マッシュル』で【腐】ネタを取り上げる時がきました。もう語りたいことは山ほどあるんだが気持ちに言葉が追いつかない。どうやってまとめればいいんだぁ~。 POP UP STORE公式画像1 【腐】関連 CP一覧 マッシュ・バーンデッドとそのCP フィン・エイムズとそのCP ドット・バレットとそのCP 今後のマッシュル 【腐】関連 CP一覧 とりあえずどんなCPがあるのかを一覧にしようと思ったんだけど、自分でやるよりpixivを参照した方が早いし、見やすくてわかりやすいと思うので、そちらのリンクを貼ります。 dic.pixiv.net 何しろ登場人物が多い上に…
www.xifuren.work 前回のベイX記事はこちら☝ 原作の連載&アニメ放送開始時にはあれほど楽しみにしていたベイXですが、モチベが下がるのと共に【腐】関連についても興味がダダ下がりしています。しかしながら世間では非常に盛り上がっており、この記事を記すのにあたって久々にpixivを覗いてみたら投稿数もグンと増えていました。やはり地上波での放送ってのが強みですかね。ただし、爆ベイやベイバ時代からのベイジャンルクラスタの皆様に限ると、通常のイラスト等は投稿しても【腐】には関わっていない方が殆どで【腐】ネタ投稿の大半は御新規さんでした。 なんつーかな、ベイXと前の三世代とはあらゆる点で方向性…
www.xifuren.work この4月よりヒロアカの放送が開始しましたが、今は1~6期の総集編(つか、デクについて、オールマイトについて等、テーマを決めての編集になっている)を放送しており、7期の放送そのものは5月からのようです。これまではユーネクの配信で履修したため、地上波で観る=リアタイするのは初めて。7期に関してはもうちょいあとにコメするとして、あ~、やっぱりいいわ、焦出(いきなり【腐】ネタに言及の振り)。 ヒロアカは健全な作品ですから(改めて言うまでもない)NL描写はあってもBLはなし(普通はない)。しかし、そこはジャンプ系、深読みの余地はいくらでも残しておいてくれる。作品を詳しく…
www.xifuren.work えーと、今日は何日ですか? 4月8日、じゃあないよねぇ? いや~、今年のシュウバルの日、毎年欠かさず描いていた新規イラストを落としてしまいました。 #シュウバルの日2024タグお借りします……がせっかく用意して頂いたのに新規が間に合わずそれでも推しCPを祝うべく過去絵で失礼します🙇♀️出来上がり次第上げます(完成日時未定) pic.twitter.com/VvBb2ZqEaN — 稀腐人@マレフィ (@smakichi2019) 2024年4月8日 こうなったら遅刻でもいいから何とか仕上げたい。つーことで4月18日、すなわち「シュウ(4)と(10)バルト(8…
24時間に動いている空調システムのおかげか、3日間留守にした部屋の中にも常に新鮮な空気が送り込まれていたようで。特に換気の必要はなく、これが普通のマンションならそういうわけにはいかなかっただろうな、とアルフレードは感心しながら冷蔵庫を開けた。ハインリヒの実家で休暇を過ごすことが決まったあの日、生ものや日持ちのしない食材を無駄にしてはいけないと保冷バックに詰め込んで持って行った。冷蔵庫には瓶詰のピクル...
オーバーシュライスハイムからミュンヘンまでは車でおよそ40分。3日間の休暇の余韻に浸りながら残りの時間を惜しむようにゆっくりとティータイムを楽しんだ後、ハインリヒとアルフレードはグラースの運転で陽が暮れる前にはマンションに帰り着いた。顔馴染みのコンシェルジュがわざわざカウンターから出て迎えてくれたのを嬉しく思いながら、留守を預かってくれた彼に礼と帰宅の挨拶を交わす。事故のニュースを知った彼は、あの日...
目の前に並ぶ皿の量に、アルフレードは丸い瞳を更に丸くして。次いで困ったように眉を下げ、ハインリヒを見上げた。縋るような、助けを求めるその眼差しに苦笑し、ハインリヒも次から次へと出てくる料理に肩を竦める。「これはさすがに食い切れないだろ」「アルちゃんがお泊りしていってくれるのが久しぶりで嬉しくなっちゃったのよ」「まだ時間も早いからな、ゆっくり食べればいい」父のフリッツに促され、並んで椅子に腰を下ろす...
身じろぎひとつしないで眠り続けているハインリヒの髪を梳き、アルフレードはその手で前髪を払って彼の額に触れた。まだ目の下に隈はあるが、熱はないな、とほっと安堵の息を吐いてから少し伸びてきた襟足を指に絡める。その拍子に、項にある小さなホクロが見えた。普段は髪に隠され、近付いただけでは見ることができないもので。無防備な彼の姿に独占欲と優越感が充たされていることに気付いてしまい、オレも大概だなと小さく肩を...
ミュンヘン北部に位置する、オーバーシュライスハイム。自然豊かな小さな町で、歴史的な建造物や観光名所も数多い。1912年に設立された国内最古の現存する飛行場は今でも現役で、その敷地内にはドイツ博物館の分館にあたる航空宇宙博物館がある。展示場はコンパクトだが、第二次世界大戦に実際に使用された戦闘機や近代の航空機やロケットが展示されていることで有名だ。この博物館の隣にはバイエルン公ヴィルヘルム5世の隠遁の場...
熱を奪い合うように。一方で与え合うように。そして、共有するように。体温も鼓動もどちらのものか分からなくなるまで重なり、心の充足感がもたらした優しい微睡みに身を委ねて。睡眠時間は到底足りていないが、軽やかな気持ちで目覚めて。そうして、ベッドの上から見送ったハインリヒを玄関で出迎えたアルフレードはその早過ぎる帰宅に目を丸くした。彼を送り出してから、時計の針はまだ2周しかしていないのだ。そして、彼の後ろ...
ワイドキングサイズのベッドに敷かれているシーツの色は、ミッドナイトブルー。白やアイボリーなどの淡く柔らかな色を好んで使うアルフレードが選んだものとしては珍しい。それも無地で、寝室に相応しい落ち着きはあるが、一見すると地味な印象を抱かせる。寝室の四方ある壁のひとつは全面ガラスで、2面は白い壁紙だがベッドの頭側の壁はチョコレート色に塗られている。そのためシーツを暗色にすると寝室全体が遊び心のない空間に...
すごい1日になっちゃったね、と苦笑するアルフレードに淹れたてのミルクティーを差し出しながら、ハインリヒも肩を竦めた。「疲れただろう」「ハインもね、お疲れ様でした。さっきまで電話鳴りっぱなしだったけど、ひとまずは落ち着いたみたいだね」「あぁ、やっとだ。そろそろ叩き壊すところだった」「ホテルから病院に向かう前からすごかったもんね。あれってどこから情報が伝わるの?」事故のニュースの速報は出たかもしれない...
鼓動が煩い。息が切れる。指先は冷え、血の気が引く。擦れ違った看護師が「廊下を走らないでください」と叱責する声を背中に聞きながら、ダイトは処置室と書かれているプレートの中から目的の番号を探す。本来は静かなはずの廊下にも人が溢れ、ざわざわと空気が落ち着きない。だが、それに構う余裕もなく、ダイトは見つけ出した番号の部屋のドアを勢いよく引いた。「無事か!?」ノックもなく突然開いたドアとそこから転がるように...
「今回もカマーバンドじゃなかったかぁ…」ぽつり、と零されたアルフレードの声は周囲の音に搔き消されるほど小さなものだったが、ハインリヒの耳には届けられた。足を止め、どうしたと問う。「え?」「今、カマーバンドがどうのと言っていただろう?」「あ、口に出ていた…?」はっとした顔をして口許を手で隠すアルフレードにハインリヒは口端を緩めた。随分と幼い仕草だが、どうしてこうも艶っぽく見えるのか。その柔らかな金糸の...
お疲れ様です!! お久しぶりの有島です!! え〜……めっちゃ久しぶりにブログ書くな……と思いまして……日付見たら……なんと!! 10日!!放置!!!∑(゚Д゚):(;゙゚'ω゚')...
ビジネスやネットワーキング、文化的な交流を目的とし、特定の社会的な階層や特権階級のメンバーが集まるイベント。それらを一般的に、社交パーティーと呼ぶ。親しい友人や家族とカジュアルな雰囲気の中で気軽な会話や交流を楽しむこともまたひとつの社交パーティーではあるが、それとは何もかもが違う、とアルフレードは煌びやかな会場を見渡した。所謂、上流階級と呼ばれる人間たちによるそれはまさに“社交”と呼ぶに相応しい。会...
と言うことが今朝あった、と話し終えたハインリヒはグラースから差し出されたコーヒーを受け取り、ゆっくりと口を付けた。かつてはその液体を流し込むばかりで、味わうことはなかった。いや、その行為に意味を感じなかったと言うべきか。吐き出してはいけない言葉を、表に出してはいけない感情を流し込むためだけにそれを利用していたに過ぎない。だが今は、こうして立ち止まり、香りと味を楽しむ余裕ができた。余裕ができた、と気...
手繰り寄せた布をもそもそと身に着け、アルフレードは睡魔の手を振り払うように目を擦った。小さく欠伸を零しながら半身を起こし、広いベッドから何とか抜け出す。ワイドキングサイズのそれには上等なスプリングが使われており、淡いクリーム色のシルクのシーツは肌触りが良い。それに誘われるままうっかり二度寝してしまったことも一度や二度ではなく、後ろ髪を引かれながらもアルフレードはまだ覚醒しきっていない身体をぐっと伸...
悪夢に魘されて飛び起きるのでもなく、浅い眠りのままぼんやりと覚醒するのでもなく。瞼越しに感じる光が徐々に身体を包み、日向の中で、穏やかな気持ちで、目を覚ます。溜め息から始まるのではなく、清々しい気持ちで迎えた朝。しっかりと休息を得た身体は軽く、心も弾む。思考もクリアで、アルフレードは早々にベッドに別れを告げた。ぐーっと両腕を上げて身体を伸ばし、夜着の上に薄手のカーディガンを羽織る。寝室を出る足取り...
国境を越え、いくつかの都市を抜けて。アウトバーンからの景色を楽しみながら、ウィーンからミュンヘンまでのおよそ4時間30分の道程をたっぷりと堪能して。美しいオレンジ色の屋根が建ち並ぶ中に聳え立つ近代的な高層がビルが見えてきた頃には、すっかり陽が暮れていた。ミュンヘンの空が夕日に染まる頃には帰り着いている予定だったが、つい寄り道を繰り返してしまったな、とフルアは口端をそっと緩めた。助手席には、先ほどから...
身体に染み込んだ習慣から呼吸のように自然に後部座席のドアを開ければ、不思議そうな眼差しを向けられる。ドアを開けられることなど初めてではないだろうにどうしたのだろう、とフルアも疑問を滲ませた視線をアルフレードに向けた。「アル君?」「えっと、前じゃダメですか?」「はい?」助手席に、とおずおずと指を差され、そこでようやく合点がいく。彼を乗せるときはプライベートな感情が優先されるとはいえ、上司であるハイン...
ヒュッと、息を飲む引き攣った音は悲鳴に似ていて。ハインリヒは足を止め、その音の先を見た。瞳は見開かれているが、その焦点は虚ろで。頭で考えよりも先にハインリヒは呼吸を忘れて微動だにしないアルフレードの肩を抱き寄せた。搭乗ゲートへ急ぐ者、次の目的地に向かう者、長旅を終えて帰って来た者たちが入り混じる国際空港のコンコースは鉄道の最終便が迫る時刻であっても賑わっている。大きなキャリーを引く者たちが訝しそう...
www.xifuren.work 6/25にロジカル真王の第10話がコロコロオンラインにUPされましたが、いやぁ、衝撃の展開でした。 ※この先はネタバレを含みますので御注意ください。 カズシグ初描きだったのに 前回の記事で「カズシグの関係の発展も楽しみ。シュウバル並みに【腐】な展開をしてくれるといいなぁ」と記したばかりなのに、そんな二人がトーナメントの第一戦で対決することに。ああこれ、初っ端からシグマが負けて消えるパターンじゃん。そんでもってこの先、カズは並み居る強敵を苦労の末に倒していく、一方の京は順当に勝ち進んで、決勝戦はこの二人ってことになるんだろうな。ただし、カズが京にあっさり勝つとは…
www.xifuren.work るろ剣の1期が完結、呪術2期は今月いっぱい、ジャンフェスに於いてはその呪術とヒロアカの原作連載が来年中に完結という情報が上がり、当のヒロアカと鬼滅が春からアニメ開始、幽白実写ドラマは話題沸騰……ジャンプ系のネタが次々に出てくるのですが、今一番語りたいのはやはりベイX【腐】じゃあないかってんで、そっちを優先してしまいました(笑)。カテゴリが偏らないようにするという誓いはどこへやら、ここのところずっとベイXだな。まあ、いいか。 つーことで、今回は【腐】ネタです。ブログのメインタイトルでおわかりのとおり、このブログは基本的に腐った話を提供しているのですが、最近の記述…