【本】中上健次『十九歳のジェイコブ』~逃れようもなく定められていた血と呪縛によるカタストロフィー~
1、作品の概要 『十九歳のジェイコブ』は1986年に刊行された中上健次の長編小説。 文庫本で245ページ。 2014年に舞台化された。 ジャズを愛し、セックスとドラッグにまみれていく19歳の青年の懊悩と狂気を描いた。 2、あらすじ 十九歳のジェイコブは、故郷を飛び出し、モダンジャズ喫茶店に入り浸っていた。 学校にも行かず、定職にもつかず、ジャズ、セックス、ドラックにあけくれる毎日。 自分の住居すらなく、友人のユキの家や、誰からのところを転々とする日々だった。 キャス、ケイコらと自堕落な快楽に溺れながら、霞んだ意識の中でジェイコブは世話になっていた叔父の一家を惨殺することを繰り返し考えていた。 …
2023/09/10 12:56