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【本】村上春樹『街と、その不確かな壁』~新作長編小説『街とその不確かな壁』との関連が予想される1980年に『文學界』に掲載された単行本未収録の幻の中編小説~
1、作品の概要 『街と、その不確かな壁』は、1980年に『文學界』9月号に掲載された中編小説。 『1973年のピンボール』のあとに書かれた。 『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』の習作のような作品。 単行本などには未収録の作品で、村上春樹自身が「あれは失敗」と語っている。 2023年4月13日刊行の新作長編小説のタイトルが『街と不確かな壁』で「、」がひとつ抜かれたものになっている。 2、あらすじ 18歳だった「僕」は、大好きだった「君」から、その街の話を聞く。 「僕」は「君」が死んだあとに、影を捨てて予言者として街を訪れる。 その街は壁に囲まれて、影=暗い夢を捨ててひっそりと暮らし…
チャーリー・パーカーは本当にベートーヴェンでスイングしたのか?
私がチャーリー・パーカーを知ったきっかけ 夢の中でチャーリー・パーカーが吹いてくれた「コルコヴァド」 ベートヴェンのピアノ協奏曲一番、三楽章でスイングする 「スイングする」とはどういう意味なのか? 私がチャーリー・パーカーを知ったきっかけ モダン・ジャズの父であり、伝説的なアルト・サックス奏者のチャーリー・パーカーの名を私が初めて耳にしたのは、20歳のとき意を決して、好きで聴いていたジャズピアノを習おうと思い、ヤマハのジャズピアノ教室の門を叩いた時のことである。 先生は「まずブルースから始めましょう」と言って、チャーリー・パーカーの「Now's time」を練習曲として指定されたのだった。私は…
その昔、私が犬と暮らしていたころ。 犬との散歩コースにある電柱に、看板が取り付けられていて、そこには、「お父さんお母さんに 言えないことは悪いこと」という標語が書かれていた。 それを見るたびに私は嫌な気持ちになっていた。ごく控えめに言って、くそむかつく、と思っていたわけだけれども、それがどういう風にむかつくのかをうまく言い表せずもやもやを抱えたまま、毎日、夕方になると犬と一緒にその看板の前を通り過ぎては、くさくさしていた。 本当に精神衛生によくない看板だった。 いびつな規範・ゆがんだ道徳を不気味な笑顔で押し付けてくる、この嫌な感じをなんと説明したら良いのだろう。なんてことを考えながら、気づいた…
シューマンの「謝肉祭」はOKでも「醜い女性」はいかがなものか
村上春樹氏「一人称単数」のなかの「謝肉祭 (Carnaval)」とは なぜシューマンを選ぶのか なぜシューマンの「謝肉祭」が無人島へもっていくピアノ曲なのか すべての女性は松竹梅である 村上春樹氏「一人称単数」のなかの「謝肉祭 (Carnaval)」とは またしても村上春樹氏の短編で思うこと、である。短編集「一人称単数」は図書館で借りているからね。返却期日までに気になることを書いておきたいのだ。文庫本も720円ででているから買えばよさそうなものだが、今のところ購入するべきかどうかは決めていない。さて、きょうはそのなかの一編、「謝肉祭(Carnaval)」について。 著者本人を思わせるクラシック…
「一人称単数」村上春樹 文藝春秋 村上春樹氏の短編「クリーム」とは 村上春樹氏は少年時代にピアノを習っていた 連弾のむずかしさを本当に経験したのだろうか 神戸の山頂近くにホールはないが豪邸サロンはある 村上春樹氏の短編「クリーム」とは 村上春樹氏の短編「クリーム」は、「一人称単数」というタイトルの短編集のなかに収められている。主人公の男性が、かつてピアノ教室でいっしょだった女の子からリサイタルの招待状を受け取った。出席するつもりで神戸の山の上を訪れたが会場がみつからず、代わりに見知らぬ老人から意味深なことばを投げつけられる・・・あれ、こんなシチュエーション、他にもなかったっけ?と思うのだが、こ…
3回目の『海辺のカフカ』今回は時間をかけて読みました。こんなところあったっけ?というところもあってちゃんと読んでいなかったの?3回目にしてようやく真剣に読...
【本】村上春樹の新作長編のタイトルが『街とその不確かな壁』らしい!!まさかあの幻の作品が・・・。
☆ついに新作長編のタイトルが発表!!『街とその不確かな壁』☆ つ、ついに4月13日発売の村上春樹の新作長編小説のタイトルが明らかになりました!! そのタイトルは・・・。 『街とその不確かな壁』 です!! ん? んん? どっかで聞いたことがある気が・・・。 そうです。 実はこのタイトルは1980年9月号の『文學界』に掲載された『街と、その不確かな壁』のタイトルとほとんど同じなのですよ!! 「、」だけ、違ってますね!! 『街と、その不確かな壁』は、単行本化しておらず幻の中編として村上主義者の間では語り草となっている作品でした。 村上春樹曰く未完成な作品だった的なことを言っていたようでしたが、まさか…
「村上ラジオ」の放送スケジュールを確認した 「村上ラジオ」を聞き逃してしまうわけ 「らじれこ」をインストールするまで ラジオの放送局探しに手間取った 「村上ラジオ」の放送スケジュールを確認した 先日、珍しく「村上ラジオ」の放送前に、放送スケジュールを確認することができ、直近では2月26日と3月26日に放送があることがわかった。 私は先日の記事でも書いたように、村上春樹氏の短編のファンである。長編のファンではないが。そしてひょっとしてその短編より好きなのかもしれないのは、クラシックであっても、ジャズであっても、ロックであっても、氏が音楽についてさらっと語ったり書いたりした記事なのだ。 どうしてか…
ニテーシュ・アンジャーン「ドリーミング村上春樹」シネリーブル神戸
ニテーシュ・アンジャーン「ドリーミング村上春樹」 予告編で目にして「風の歌を聴け」を読みなおしました。とにかく、見なくっちゃという気分でシネリーブルのシートに腰掛けました。今日は「い
私は、まだ食べられる食べ物を捨てるのと同じくらい、まだ着られる洋服を捨てるのが苦手です。いきおい、選ぶ洋服は流行に左右され難い定番品や、最初から時代を遡っているようなヴィンテージ調のものが多くなるのですが・・。 そうして流行の埒外に身を置いていると、「なぜトレンドと呼ばれるアイテムには、中庸なデザイン・フィット感のものが少ないのだろう?」ということが些か不思議に感じられることがあります。例え...
サマにならない「ノルウェイの森」でノルウェイの森を彷徨う夢をみる
新曲は「ノルウェイの森」という難曲 簡単なコードで複雑な曲想がどうして可能なのか 昔はその良さがわからなかった 「ノルウェイの森」というのは素晴らしい誤訳(?) ピアノが弾けなくて小説に走るという不思議 新曲は「ノルウェイの森」という難曲 月に2回、レッスンを受けているジャズピアノの進捗状況といえば、3月下旬にあるアンサンブル練習に向けて、ベースとドラムのお兄さんたちにはいってもらう曲を選択しているところ。今のところ「The end of a love affair」と「Lullaby of the leaves」はなんとかできあがった。それでもうちょっとほかのもやってみようか、と先生に言われ…
1、作品の概要 村上春樹の第3作目の長編作品です。 『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』の「僕」と「鼠」の物語。 初めて書いた文庫本で上下巻になる「長い長編作品」で、それまでジャズバーを経営しながら小説を書いていましたが、店を人に譲り専業作家として本腰を入れて書いた意欲作です。 野間文芸新人賞を受賞しています。 この長い長編を書いたことで、新人が描く中編小説という芥川賞の候補から外れ、後に村上春樹が世界的な作家として評価されたため、「芥川賞最大の取りこぼし」と揶揄されたようです。 hiro0706chang.hatenablog.com hiro0706chang.hatenablog.…
川上未映子・村上春樹「みみずくは黄昏に飛びたつ」(新潮社)(その1)
川上未映子・村上春樹「みみずくは黄昏に飛びたつ」(新潮社)(その1) 川上未映子さんという人は、「乳と卵」(文春文庫)という作品で芥川賞をかっさらい、「先端で、さすわ さされるわ そらええわ
川上未映子・村上春樹「みみずくは黄昏に飛びたつ(その2)」(新潮社)
川上未映子・村上春樹「みみずくは黄昏に飛びたつ」(新潮社)(その2) さて、いよいよ「地下二階」です。一晩たって、考えたことなんですが、村上春樹さんが、どんな風に考えて、小説を書い
ディテールから考えた-説明しないで物語をつくるとは「職業としての小説家」村上春樹著-感想3-まとめ【ネタバレ有り】
村上春樹著「職業としての小説家」新潮文庫-本を読んだ感想になります。【注意】本文より引用、一部ネタバレも有ります。特に小説を書くための出発点ともいうべきところ、第5回「さて何を書くべきか」が興味深いので、そこを起点に考察しています。以前に、感想1として「さて何を書くべきかを読んでマテリアルについて考えた」、感想2として「マテリアルは細部の記憶-ヴィークルは言葉と文体-キャラクターは物語が決める」を書きました。なので3回目は絵画と対比することで、手法に接近したいと思います。
2010年公開の日本映画の紹介です監督は、トラン・アン・ユン。村上春樹原作、PG12指定のドラマ映画です。主演・出演は、松山ケンイチ、菊地凛子、水原希子、玉山鉄二、高良健吾。高校時代のワタナベは、友人のキズキと、キズキの長馴染みで恋人でもある直子と過ごす日々でした。しかしある日キズキが自殺してしまい、ワタナベは深く悲しみます。『誰も知らない場所ですべてを忘れてしまいたかった』地元を離れ東京で大学生となったワタナベは、ある日偶然直子を見かけ声を掛けます。キズキの話題には触れず、その後直子の二十歳の誕生日を祝います。ワタナベが用意したケーキとプレゼントを前に、直子は突然泣き出し2人は体の関係を持つのでした。しかしその後も直子は泣き続け、ワタナベは後悔しながらも直子に気持ちが知りたいと手紙を書きます。その頃ワタ...「ノルウェイの森」
ユニークな傑作「羊をめぐる冒険」(1982)は、様々な横糸縦糸から織りなされているので、あらすじを一筋縄でまとめることは容易ではない。しかし、次のようにレジュメすることもできるのではないか ― 主人公「僕」は人の名前をすぐ忘れる男で、小説冒頭で知り合いの女の子が交通事故で死んでも、彼女の名前が思い出せない。「あるところに、誰とも寝る女の子がいた。それが彼女の名前だ」などとひとりごつ。「僕」は、「名前というものが好きじゃない」などと宣言までする。謎の人物に謎の羊を北海道に探しに行く仕事を依頼される場面でも、見せられた名刺はすぐに回収され、その場で直ちに焼き捨てられてしまう。氏名は消される。 とこ…
【本】村上春樹の新作長編小説が4月13日に刊行されます!!祭りじゃ!!祭りじゃ!!絶対に当たらない内容とタイトルの予想がもはや妄想!!
☆てぇへんだ、てぇへんだ!!村上春樹の新作長編小説が発売するわ!!☆ 今日から2月。 なんか2月って、寒いし短いし、あんま好きじゃないんすよね~。 気持ちが落ちるっていうか。 寒いし、短いし・・・。 ってな感じで目覚めたヒロ氏。 お布団の中でスマホイジイジからのツィッターオープン。 するとBIGニュースが!! な、な、なんと・・・。 村上春樹の新作長編小説が4月13日に発売決定しました!! いやー、こいつぁ春(冬だけど)から縁起がいいや!! そろそろかなとは思ってましたが、嬉しいっすね!! 春がめちゃくちゃ待ち遠しいですね!! 春よ来い!! しかも原稿用紙1200枚で、めっちゃ長い感じっすね!…
自宅にある村上春樹さんの本 村上春樹さんの長編が4月に刊行 村上春樹さんの短編とエッセー、紀行文が好き まず図書館で読んでから本を買う リストの「ル・マル・デュ・ペイ」は村上春樹さんが教えてくれた 村上春樹さんの長編が4月に刊行 村上春樹さんの長編が約6年ぶりで刊行されるとのニュースを読んだ。「へぇー」と思っていたら某書店からも、「確実に入手できるよう予約を受け付けております」と営業メールが届いていた。 私は「へぇー」と思ったのは、ひょっとして村上春樹さんはもう長編をお書きにならないかもしれない、とひそかに思っていたからである。6年前に出た「騎士団長殺し」は賛否両論だったし、このごろは「村上ラ…
【読書】これを読めばバーに行きたくなる!?村上春樹『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』
村上春樹の小説には音楽と酒がよく出てくるけど、シングル・モルトに特化したエッセイ『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』を読んだ。文章も素敵だし、現地の息遣いが伝わってくる奥様撮影の写真も素晴らしい。ボトルと一緒に本棚に並べたい一冊。
どっさり読んだので、ちょこっとずつ感想を書いてみた。 ++++ ◆職業としての小説家 村上 春樹 なぜこんなに独特な文章なのか、なぜメディアにでないのか、なぜ海外でも知られているのかを村上さん自身が解き明かされています。 勝手に売れて勝手に海外で名が知られたいったのかと思ったら、海外では自分で出版社に売り込みに行っていたのだから驚きです。 静観体質で実は動ける村上春樹のようです。 文章が独特だから、尊敬する先生のオヤジギャグまでも哲学的に書くのだから笑ってしまった。 職業としての小説家 (新潮文庫) [ 村上 春樹 ] ++++ ◆剣持麗子のワンナイト推理 [ 新川 帆立 ] ドラマ化された「…
村上春樹氏の6年ぶりの新作だそうです!Haruki Murakami’s First Novel in 6 Years
村上春樹さんの6年ぶりの新作だそうです!「~年ぶり」を英語でThe first time in ~years.。「世界的に有名な」を英語で~。発売は4月で……。
1月29日に放送された村上RADIO(村上春樹がDJをしている番組)をラジコで聞いていたら、最後に印象的だった話をしだした。 対ウクライナ戦争に出征した息子が戦死したある母親に面と向かって、プーチンが言い放った言葉についてのコメントだった(村上氏は「ニューヨークタイムズ」の...
毎月29日はブックの日📚なので行ってきた🚙🚙500円以上の買い物で300円引きのクーポン券が配布されるのでこれはかなりお得なので行かないと損をした気分になる今回も迷いに迷ってこの4冊に絞った💦💦■ドストエフスキー/カラマーゾフの兄弟(下)■筒井康隆/アホの壁■ユリイカ~村上春樹特集~■町田康/テースト・オブ・苦虫(4)まず最初に向かうゾーンは文庫本の100円棚の(ま)行📚目当ては町田康さんの本チェックから入り...
主人公の「私」は、雨田具彦のアトリエに住む内に、小さな物音に気付いた。 そして、天井裏で、「私」は、「騎士団長殺し」という、タイトルが、書かれた、雨田具彦の…
村上春樹さんの『ダンス・ダンス・ダンス』の羊男と僕 について考えていました。羊男はわたしたちの内なる声とも言える役割を果たし ているような気がします。 高度資本主義の過剰なシステムによって、森に追いやられ、 生死の境で語りかける存在・・・沈黙の声のようなものとしての羊男は、「何かと何か を繋げる」ことが自分の仕事だと語ります。
【本】村上春樹『スプートニクの恋人』~広大な宇宙空間ですれ違う二つの彗星~
1、作品の概要 『スプートニクの恋人』は、1999年4月に村上春樹の長編小説。 講談社より刊行された。 書き下ろし。 単行本で310ページ。 すみれに恋する「ぼく」と、すみれが劇的に恋に落ちたミュウとの奇妙なトライアングルの物語。 2、あらすじ 「ぼく」が想いを寄せるすみれは、ある時「平原をまっすぐ突き進む竜巻のような激しい恋」に落ちた。 すみれの初恋の相手は、既婚女性のミュウ。 ミュウはすみれを自分の事務所で働かせて、小説を書くこと以外に興味がないすみれを変えてしまう。 「ぼく」はすみれに想いを告げぬまま彼女の支えになり、他のガールフレンドたちと体の関係を結んでいた。 ミュウの仕事の関係で、…
評価:90点/作者:村上春樹/ジャンル:文学/出版:2017年 『騎士団長殺し』は、村上春樹の長編小説の第十四作。 2023年時点において、村上春樹の最新の…
【本・村上春樹】村上春樹の作品の感想まとめ&名刺代わりの村上春樹作品10選!!
☆村上春樹作品の感想をまとめてみます☆ このブログの運営も3年を超えました。 色々書いてはおるのですが、作家さんによっては作品が複数になる方もいるので、まとめ記事を作ってみました。 まぁ、カテゴリーもあるんですけどね・・・。 これからは過去記事の貼り付けもこの記事をひとつペタっと貼ればいいので良いかな、と。 村上春樹はやっぱり何だかんだ一番好きな作家で、何度も何度も再読しています。 もう25年以上読んでいますが、全く飽きないどころか歳を経たことで、余計に深く惹かれるようになった作品も多くあります。 例えば19歳の時に読んだ『ノルウェイの森』と、45歳の時に読んだ『ノルウェイの森』は感じ方が全く…
1、作品の概要 村上春樹初の短編小説集。 1980年~82年に掲載された7編の短編小説が、1983年に刊行されたもの。 時期的には、「羊をめぐる冒険」と「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」の間に刊行された。 hiro0706chang.hatenablog.com 2、あらすじ ①中国行きのスロウ・ボート 主人公の「僕」は、港街に住んでいたせいか中国人と知り合う機会が多かった。1人目は小学校時代の学力テストを受けに行った試験官、2人目はアルバイト先で知り合った女の子、3人目は高校時代の同級生で28歳の時に再会する。 「僕」は、3人との一瞬の関わりを叙情的に振り返り、遠い中国のことを思…
評価:85点/作者:村上春樹/ジャンル:文学/出版:2002年 『海辺のカフカ』は、村上春樹の長編小説の第十作。 村上春樹の作品としては、珍しく、十五歳の…
主人公の「僕」にとって、綿谷昇は、異次元の世界に住む、理解の出来ない、憎むべき、相手であったが、クミコは、仲が良かったわけではないが、兄と時々、連絡を取って…
村上春樹「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集 1997-2009」
必要最小限度の露出をも拒む作家さんがよくこんな本を出したな、と(苦笑)思わず、2度見したもんね。文藝春秋はいい仕事した←時期的にインタビュー内容は重複する...
【本】村上 春樹『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』~交錯し、共鳴し合う2つの世界。自意識と現代社会の病理を物語で表現した村上春樹史上最高の傑作!!~
1、作品の概要 1985年に刊行された村上春樹の4作目の長編小説。 初めての書き下ろし小説。 第21回谷崎潤一郎賞受賞。 文庫版では上下巻で刊行された。 物語は「ハードボイルドワンダーランド」と「世界の終わり」の2つの物語からなり、全部で40章からなる。 2、あらすじ 「ハードボイルドワンダーランド」 近未来、データを計算しロックをかける計算士として有能な「私」は風変わりな生物学の博士からシャフリングの技術を用いた依頼を受ける。 シャフリングは計算士を統合する「組織(システム)」より禁止された技術のはずだったが、博士は許可を取っており、「私」は言われた通りにデータをシャフリングにかける。 お礼…
評価:95点/作者:村上春樹/ジャンル:文学/出版:1994年 『ねじまき鳥クロニクル』は、村上春樹の長編小説の第八作。 本書は、三部構成であり、「第1部…
「バースデイ・ガール」村上春樹著-感想【ネタバレ有】人間は何を望んだところで自分以外にはなれない
バースディは祝ってもらうものではない。外国では自分(誕生日を迎えた本人)が周りの人をパーティに招待して感謝を伝える日だそうです。つまり(小さい時から親に祝ってもらうもの以外では)他の人からの何かを望む日ではない。この話の場合には20歳の若い女性が“誕生日に祝ってほしい”という子供じみた気持ちに対しての答えを書いているように思った。それは端的に形あるもの・プレゼントについての話ではない。大人になって人生に対しての心持ち・姿勢を示唆するものでです。*「バースデイ・ガール」 村上春樹著 株式会社新潮社刊 を読んだ感想になります。【注意】内容についてのネタバレがあります。小説を読んでから読むことをおすすめします。
1、作品の概要 1983年に刊行された18編からなる短編集。 伊勢丹主催のサークル会誌「トレフル」に連載された。 2、あらすじ?・目次 えっと、18偏もあるので細かいあらすじは割愛しますが、不思議な話と、エッセイとショートショートの間の子みたいな話が多いようにおもいます。 カンガルー日和 4月のある晴れた朝に100%の女の子に出会うことについて 眠い タクシーに乗った吸血鬼 彼女の町と、彼女の緬羊 あしか祭り 鏡 1963年/1982年のイパネマ娘 バート・バカラックはお好き? 5月の海岸線 駄目になった王国 32歳のデイトリッパー とんがり焼の盛衰 チーズ・ケーキのような形をした僕の貧乏 ス…
評価:90点/作者:村上春樹/ジャンル:文学/出版:1985年 『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』は、村上春樹の長編小説の第四作。 『風の歌…
村上春樹×佐々木マキ『羊男のクリスマス』~不思議でほっこりする絵本~
もうすぐクリスマスですね~。 毎年、子供たちのプレゼント希望が2転3転して、振り回される季節がやってきましたよ(^_^;) 今日は、クリスマスにピッタリなこの絵本を紹介します 村上春樹の『羊男のクリスマス』です♪ 『羊をめぐる冒険』で出てきた、あのヘンチクリンな羊男の話です。 hiro0706chang.hatenablog.com 佐々木マキさんの挿絵が可愛いですね☆ 村上春樹のファンタジー全開のストーリーと佐々木マキさんのイラストのコラボが絶妙です。 羊博士や、『1973年のピンボール』の双子などおなじみの登場人物に、ねじけや、なんでもなし、海ガラスの奥さんなど訳のわからないキャラクターが…
☆前書き、父親との関係を語る内容☆ 村上 春樹の新刊が出ました!! 「文藝春秋」2019年6月号に掲載されていた『猫を棄てる』ー父親についてかたるときーというエッセイです。 そろそろ短編集が刊行されるかなと思っていたら、エッセイのほうが先でしたね。 薄くて小さい本で100ページぐらいです、 挿絵も多くてさらっと読めますが、内容はなかなか濃くて満足でした。 エッセイ『職業としての小説家』でも感じましたが、随分と村上春樹自身の内面、考え方やパーソナルな部分について語っている内容だなと感じました。 元々、そんなにオープンな性格の方(いや、会ったことないけどw)ではないし、海外で暮らす時期も長かったの…
【本】村上春樹『螢・納屋を焼く・その他の短編』~ノルウェイの森の基になった短編『螢』が収録~
1、作品の概要 1984年に刊行された短編集。 ノルウェイの森の基になった短編『螢』、韓国で2018年に映画化された『バーニング』の原作『納屋を焼く』などの5編が収録されている。 2、あらすじ ①螢 18歳の大学生「僕」は、学生寮でユーモアな同居人共にどちらかというと厭世的な学生生活を送っていた。 地元で自殺してしまった友人の彼女と偶然再会し、デートするようになる。 少しずつ距離が縮まっていくが、「彼女」の求めていたのは「誰か」であることを「僕」は知っていた。 ②納屋を焼く 2年前に31歳だった「僕」は、結婚パーティーで20歳のパントマイムを習っていた「彼女」と仲良くなり、時々会うようになる。…
評価:85点/作者:村上春樹/ジャンル:文学/出版:1988年 『ダンス・ダンス・ダンス』は、村上春樹の長編小説第六作。 1979年の『風の歌を聴け』、1…
【本】村上レシピで『ノルウェイの森』の緑がワタナベに振舞った料理を作ってみた!!ヒロズキッチンスペシャル♪
村上春樹の小説を読んでいて思うのですが、美味しそうな料理を食べたり、お酒を飲んだりする場面が多いですよね!? しかも、サンドイッチや、パスタなどちょっとこだわりをかんじさせるような細かい描写が多いですよね。 サンドイッチの具材ひとつとっても細かい描写があったり・・・。 そんな、村上春樹の小説で出てくる美味しそうな食べ物のレシピを集めた本がこの『村上レシピ』です!! 前から気になっていなのですが、図書館で見かけたので借りてきました~。 んで、今回は『ノルウェイの森』で緑がワタナベを自宅に招いて料理を振舞う場面があるのですが、その料理を再現してみました。 題して「小林緑のおばんざい」です。 ブラジ…
【本】村上春樹『回転木馬のデッドヒート』~人生のエアポケットに現れる奇妙な物語の断片たち~
1、作品の概要 1985年10月に刊行された村上春樹の全9編からなる短編集。 講談社の文芸PR誌『IN☆POCKET』で隔月で連載された作品と、2編の書き下ろしを加えてた。 2、あらすじ ①はじめに・回転木馬のデッド・ヒート この短編集の前口上的序文。 今作の短編たちは、事実に即した文章であり、それらを小説の容れ物を用いたスケッチである。 ある種の無力感のように春樹の心中にたまっていったおりたち。 回転木馬のデッドヒートのようにどこにも行けない。 ②レーダーボーゼン 妻の友人とひょんことから2人きりになった筆者は、彼女から父親と母親が離婚したきっかけについて語られる。 とても唐突な離婚で、母は…