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エッセイ 心が所を得るということ <短詩型文学>
わたしは、ブログ村で、俳句や短歌も書かせてもらっているが、これはまったくの趣味の域を出ないもので、わたしが、一番読んでもらいたいと思っているのは、現代詩なのであるが。さて、自分の書くものの中で、何が一番出来が良いのだろうかとかんがえると、自分自身、分からなくなるのが、哀しい...
2022/11/02 22:11
文学
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リーダーで読む
【本】『迷宮』中村文則~泥濘の中に堕ちて、一緒に絡まり合いながら生きていく~
1、作品の概要 2012年に刊行された中村文則の長編小説。 『新潮』2012年1月号に掲載された。 特異な迷宮事件に引き込まれていく男と、事件の唯一の生存者である美しい女性との危うげな繋がりを描いた。 2、あらすじ 過去に母親から捨てられて、中学生まで自分の中にRという架空の友人を創造し、精神的なトラブルを抱えていた新見。 法律事務所に就職した彼は、かつて自身が強く惹かれた迷宮入りの一家惨殺事件「日置事件」で生き残った紗奈江と男女の関係になり、再び事件にのめり込んでいく。 紗奈江と以前関係を持っていた行方不明の男の捜索を探偵の男に依頼されて、彼に身柄を引き渡した新見。 同じように事件にのめり込…
2022/11/01 07:56
『白鯨』におけるピークオッド号とアメリカ
メルヴィルの「白鯨」(原題“MOBY-DICK OR THE WHALE”)は1851年に出版された。 Moby Dick: Or, the White Whale (Coterie Classics) (English Edition) 作者:Melville, Herman Coterie Classics Amazon 白鯨 上 (岩波文庫) 作者:メルヴィル,八木 敏雄 岩波書店 Amazon ユニークな部分として、始めの「主要登場人物紹介」において、各々の結末まで描かれている。たとえば主役のイシュメールは 物語の語り手として登場するが、『第一人称の語り手』の分限を遵守するのは第二十二…
2022/10/31 22:10
【本】白石一文『火口のふたり』~絡み合う蔦のように離れがたく愛欲に溺れていくふたり~
1、作品の概要 2012年に刊行された白石一文の長編小説。 東日本大震災後の未来が不確かになったこの国で、いとこ同士の男女が淫欲に堕ちていくさまを描く。 2019年に柄本祐、瀧内公美主演で映画化される。 2、あらすじ 兄弟同然に育った従兄弟の直子の結婚式に参列するため、郷里の福岡に帰省した賢治。 恋人同士だった2人の再会は、かつての禁断の関係を呼び覚まし、再び愛欲に溺れる日々が始まる。 まるで現実から逃れるように禁忌を犯す2人。 東日本大震災で未来が揺れ動く不安定なこの国をさらなる悲劇が襲おうとしていた。 www.youtube.com 3、この作品に対する思い入れ、読んだキッカケ このブログ…
2022/10/30 19:39
【本】小川洋子『ブラフマンの埋葬』~ブラフマンと「僕」の心温まる交流を描いた話、だったら良かったのにね~
1、作品の概要 『ブラフマンの埋葬』は、2004年4月に刊行された小川洋子の中編小説。 群像2004年1月号、2月号に掲載された。 単行本で154ページ。 第32回泉鏡花文学賞を受賞。 架空の小動物ブラフマンと「僕」の交流を描いた。 2、あらすじ 芸術家が集まる「創作者の家」の管理人を務める「僕」は夏の始まりのある日に怪我をしていた小動物・ブラフマンに出会う。 こっそりと自室でブラフマンを飼い始めた「僕」だったが、いたずら盛りで奔放なブラフマンに手を焼いていた。 「僕」は雑貨屋の娘に淡い恋心を抱いていたが、娘は元生物教師の男と密会を繰り返していた。 「僕」とブラフマンはいつも一緒に過ごしていた…
2022/10/30 19:33
芥川龍之介とオスカー・ワイルドの特殊性
国籍は違えど、芥川龍之介(1892~1927)とオスカー・ワイルド(1854~1900)には共通する特殊性を感じる。 ▶芥川代表作 蜘蛛の糸・杜子春 (新潮文庫) 作者:芥川 龍之介 新潮社 Amazon 羅生門・鼻 (新潮文庫) 作者:芥川 龍之介 新潮社 Amazon ▶ワイルド代表作 サロメ (岩波文庫) 作者:ワイルド 岩波書店 Amazon 幸福な王子―ワイルド童話全集 (新潮文庫) 作者:オスカー ワイルド 新潮社 Amazon 以下、両者の共通する特殊性に関し考察してみる。 ①芥川龍之介とオスカー・ワイルドの人生 両者の人生は芥川35年、ワイルド46年と短命である。また芥川は神経…
2022/10/30 18:07
詩「いちょう」空みつえ
いちょうの木がおちば ちらして とおりみちをつきあかりのようにそめていくの わらいごえがきこえるいろして おつきさまがまひるにでたかがやきをあたりにまぶして きいろい葉が「これからよ」なんてうれしそうに
2022/10/30 16:56
【本】三島由紀夫『潮騒』
1、作品の概要 1954年に刊行された書き下ろし長編小説。 第1回新潮文学賞を受賞。 ベストセラーとなり、5度も映画化された。 古代ギリシアの散文作品『ダフニスとクロエ』より着想を得た作品。 現代文明より隔離された離島での純朴な少年と少女の恋愛を描いた。 2、あらすじ 現代文明から隔絶された歌島で漁師を営む若い新治は、父を早く亡くし、母と弟を助けながら毎日懸命に働いていた。 ある時、村の有力者・照吉の娘・初江を見かけて気にかけるようになる。 次第に惹かれあう2人は監的哨で抱き合い、結婚の約束を交わすのだった。 初江に想いを寄せる安夫、新治を快く思わない照吉が2人の仲を引き裂こうとするが、2人は…
2022/10/29 21:07
酸茎食べたい(沙石集)
京都の漬物で「酸茎すぐき」というのがあります。「すいくき」とも「賀茂菜」とも呼ばれることがあると言います。 京都駅構内の土産物店で買って食べたことがありますが…
2022/10/29 02:19
読書ライフはクッションと共に!おすすめ8選+α
読書をしていると、腰痛や首痛、肩こりになりがちです。長時間同じ姿勢をしているわけですから、体に負荷がかかるのも当然です。その為、姿勢をコロコロ変えたり、読書に集中できないこともしばしば。そんな時は読書用のクッションがおすすめ。本を読む体勢は人それぞれですが、今回は「寝ながら読書」「座って読書」の二つに分けて紹介します。お気に入りの相棒となるクッションを見つけて、充実の読書ライフを手に入れましょう。...
2022/10/29 01:56
【本】小川洋子『猫を抱いて象と泳ぐ』~言葉で通じ合えなくてもいい、魂で響き合えれば~
1、作品の概要 2009年に刊行された小川洋子の長編小説。 『文學界』2008年7月号~9月号に連載された。 2010年本屋大賞5位に入賞した作品。 人形を操ってチェスを指す少年の一生を描いた。 2、あらすじ のちにリトル・アリョーヒンと呼ばれる少年は、生まれつき唇がくっついてしまう障害があり、唇に脛の皮膚を移植する手術を行った。 幼い頃に廃バスの中に住むマスターからチェスを教わった彼は、めきめきと実力を付けていくが、やがてマスターとの悲しい別れがやってくる。 海底チェスクラブで「リトル・アリョーヒン」人形の中でチェスを指し続ける彼は、ミイラという少女の助けを借りて、盤下から様々な相手とチェス…
2022/10/28 20:14
【本】江國香織『去年の雪』~時間も運命も超えて織り成される人生という名のタペストリー~
1、作品の概要 2020年に刊行された江國香織の連作ショートショート。 「小説 野生時代」2017年11月号~2019年7月号に連載された。 100人以上の登場人物が織り成す時を超えた物語のタペストリー。 2、あらすじ 時間も生死も超えて。 100人を超える登場人物達の人生が交わる不思議な物語。 とある街で、3つの時代で時間が交錯し不思議な出来事が起こっていた。 現代の誰かの物語は、中世の物語に繋がり、近代にも伝わる。 水面にいくつも投げ込まれた石つぶて達が起こす波紋は重なり、広がっていく。 去年の雪 作者:江國 香織 KADOKAWA Amazon 3、この作品に対する思い入れ、読んだキッカ…
2022/10/28 20:11
【自分】村上春樹/うずまき猫のみつけかた~読了後メモ~【専用】
10月24日(月) 読了🎉アメリカのケンブリッジに住んだ1993年から1995年にかけての滞在記。ボストン・マラソンに向けて昂揚していく街の表情、「猫の喜ぶビデオ」の驚くべき効果、年末に車が盗まれて困り果てた話、等々なごやか(?)なエピソードの中に、追悼特集で報じられたニクソン元大統領の意外な一面や、帰国後訪れた震災後の神戸の光景がキラリと光る。水丸画伯と陽子夫人が絵と写真で参加した絵日記風エッセイ集📚※前作は「や...
2022/10/27 11:42
芥川龍之介の『鼻』に描かれた鼻は「長い」と表現する
2022/10/26 06:08
芥川龍之介の『鼻』の続き: 鼻を皿の中に突っ込む
2022/10/26 06:07
シラノ・ド・ベルジュラックの鼻は「大きい」
2022/10/26 06:06
南総里見八犬伝のこと 2022/10/24 月
遅咲きの苦労人 『南総里見八犬伝』曲亭馬琴 というNHK制作の番組をヒストリーチャンネルでやっていたのを見ました。曲亭? 滝沢馬琴じゃないの? と思ったら滝沢は本名の姓で馬琴はペンネームという表記になるのでペンネームは曲亭馬琴というのが正しいのだそうです。 南総里見八犬伝は...
2022/10/25 18:18
【本】中村 文則『逃亡者』~信仰、戦争、愛。この小説には、その全てが書かれている~
1、作品の概要 2020年4月刊行。 新聞で連載されていた作品を単行本化した。 2、あらすじ 第2次世界大戦時に、敵味方問わずに多大な影響を与えた「熱狂」と呼ばれる伝説のトランペット・・・。 偶然その楽器を手に入れてしまったジャーナリストの山峰は、謎の組織のBに追われることになる。 彼は、山峰に「一週間後君が生きている確率は4%だ」と告げる。 山峰は、事故で死んだヴェトナム人の恋人・アインとの間にかわした約束を守るために彼女と自分のルーツ・歴史を調べて小説にしようと奮闘する。 それは、彼のルーツである長崎の地、日本においてのキリスト教とその弾圧、第2次世界大戦の凄惨な記憶と核爆弾、そしてトラン…
2022/10/25 12:04
【本】遠野遥『改良』~歪んでいるのは世界か私か?~
1、作品の概要 遠野遥のデビュー作。 『文藝』2019年冬季号に掲載。 第56回文藝賞を受賞。 ルッキズムに取り憑かれた青年が、女装し始める。 2、あらすじ 密かに女装をして自らの美しさを高めていくことに耽溺している20歳の青年の「私」 幼馴染のつくねと懇意にして彼女に性的な欲望を感じて、デリヘル嬢のカオリに激しい性的欲望を感じながらも、「私」は自らの美しさに磨きをかけていく。 女装をしてデリヘル嬢のカオリを迎えることを決意した「私」の世界が急速に崩壊し始める。 改良 (河出文庫) 作者:遠野遥 河出書房新社 Amazon 3、この作品に対する思い入れ、読んだキッカケ 新世代の旗手。 太宰治じ…
2022/10/25 12:02
詩「かげの入口」空みつえ
じめんにのびるかげはりついてむにむにと よるをつれてくるみかづきの国の入口 そのさきっぽをつかめたら よるのくうきたちとあくしゅができるようなきがして 石段にくっついたわたしのからだのかげをつつく
2022/10/23 15:29
【本】中村 文則『王国』~不条理な運命に抗う者たちの再生の物語~
1、作品の概要 2011年に刊行された中村文則の長編小説。 彼の10冊目の作品。 『掏摸』の姉妹編。 『文藝』の2011年夏号に掲載された。 『掏摸』でも登場した木崎と対峙しながら、運命に翻弄される1人の女性を描いた。 2、あらすじ 施設で育ったユリカは、難病に苦しむ友人の子供の翔太を助けるために矢田から紹介された裏社会の仕事に手を染めるが、翔太は息を引き取ってしまう。 生きる目的を見失いながらも、組織の仕事をこなすユリカは、得体の知れない化物のような男・木崎に出会ってしまう。 絶対的な死を目前にして、ユリカはあがき、木崎と矢田を騙して生き延びようとする。 運命から逃れようともがく彼女の叫びは…
2022/10/22 19:10
【本】川上未映子『春のこわいもの』~まぼろしのように宵闇に霞む月。新しい生命の蠢きと濃い死の影と~
1、作品の概要 2022年2月に刊行された6篇からなる川上未映子の短編集。 全篇書き下ろし作品。 パンデミック前夜の東京で紡がれる春のまぼろしのような物語たち。 2、あらすじ ①青かける青 21歳のわたしは、入院している病院から手紙を書く。 ーきみに会えたことはわたしの人生に起きた本当に素晴らしいできごとでしたー ②あなたの鼻がもう少し高ければ 地方から上京して大学に入学したトヨは、ファッションや美容のSNSにハマっていた。 その界隈のカリスマのモエシャンが企画する「ギャラ飲み」の面接に応募するトヨ。 彼女は面接会場でインパクトある外見のマリリンと出会う。 ③花瓶 寝たきりの老女が語る、在りし…
2022/10/22 19:09
【本】小川洋子『ホテル・アイリス』~少女と初老の男が味わう倒錯的な性と支配~
1、作品の概要 1996年に刊行された小川洋子の長編小説。 少女と初老の男との間のエロスと支配について描かれた。 2022年2月に監督・奥原浩志、主演・永瀬正敏で映画化された。 2、あらすじ 母親が経営する古ぼけたホテル・アイリスで働く美しい17歳の少女マリは、ホテルでトラブルを起こした初老の男の声に強い興味を惹かれていた。 やがてマリは母親の目を盗んでその初老の男・翻訳家と逢瀬を重ねて愛し合うようになる。 異常に几帳面で紳士的だが、怒り出すと別人のように尊大になる翻訳家は、支配的な方法で若いマリの身体を執拗に嬲り続け、彼女も暗い悦びを覚えるようになる。 亡くなった翻訳家の妻の存在はどこか後暗…
2022/10/22 19:08
【本】江國香織『落下する夕方』~すれ違う魂の、その一瞬の物語~
1、作品の概要 1996年に刊行された江國香織5作目の長編小説。 1998年に原田知世主演で映画化された。 8年同棲していた彼から別れを切り出された梨果が、彼が恋している女性・華子と一緒に住み始めて次第に彼女に惹かれていく奇妙な三角関係を描いた小説。 2、あらすじ 梨果は8年同棲していた健吾から、ある日突然好きな女性ができたと別れを告げられる。 茫然自失の梨果のもとに健吾が好きな女性・華子が訪ねてきて同棲生活が始まる。 あまりに自由奔放で子供のような華子に戸惑う梨果だったが次第に彼女との生活に馴染んで受け入れるようになっていく。 一方で健吾に対する愛情は消えてしまうことはなく、気持ちは揺れ動い…
2022/10/22 19:06
【本】村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』~デタッチメントからコミットメントへ、ねじまき鳥に導かれて抗いようもなく運命の大いなる渦に巻き込まれていく~
1、作品の概要 『ねじまき鳥クロニクル』は、1994(第1部第2部)~1995年(第3部)に刊行された村上春樹の長編小説。 第1部『泥棒かささぎ編』、第2部『予言する鳥編』、第3部『鳥刺し男編』の3冊からなる。 第1部は「新潮」1992年10月号~1993年8月号に連載され、第2部と第3部は書き下ろされた。 第47回読売文学賞を受賞。 短編小説集『パン屋再襲撃』に収録されている『ねじまき鳥と火曜日の女たち』が『ねじまき鳥クロニクル』が冒頭部分になっている。 短編小説集『TVピープル』に収録されている『加納クレタ』に加納クレタ・マルタが出てくるが、キャラクターは大幅に異なっている。 『パン屋再襲…
2022/10/22 18:50
【本】吉田修一『ミス・サンシャイン』~誰よりも幸せだった私を、どうか忘れないで~
1、作品の概要 2022年1月に刊行された吉田修一の長編小説。 文藝春秋2020年10月号~2021年10月号に連載された。 往年の大女優の80代の女性と、20代の男性の心の交流を彼女の半生を辿りながら描かれた。 2、あらすじ 20代の大学院生岡田一心は、アルバイトをきっかけに往年の大女優・和楽京子こと鈴さんと出会う。 古い映画を通して、彼女の足跡に触れる一心は次第に彼女と心を通わせるようになる。 恋人・桃ちゃんとの失恋から立ち直るきっかけをくれた鈴さんに次第に惹かれていく一心。 鈴さんと一心はお互いが過去に亡くした大事な人、長崎という共通の故郷など不思議な結びつきがあった。 一心は、鈴さんの…
2022/10/21 14:46
【本】村上春樹『TVピープル』~資本主義社会とバブルへの密やかなるアンチテーゼ~
1、作品の概要 1990年に刊行された村上春樹の短編集。 『TVピープル』(par AVION1989年6月号掲載)、『飛行機ーあるいは彼はいかにして詩を読むようにひとりごとを言ったかー』(ユリイカ臨時増刊号1989年6月号掲載)、『我らの時代のフォークロアー高度資本主義前史』(SWITCH1989年6月号掲載)、『加納クレタ』(書き下ろし)、『ゾンビ』(書き下ろし)、『眠り』(文學界1989年11月号掲載)の6編からなる。 1990年アメリカ『ザ・ニューヨーカー』に『TVピープル』が掲載された。 2、あらすじ ①TVピープル ある日曜日の夕方にTVピープルたちが僕の部屋にやってきて、TVを置…
2022/10/21 14:44
短編小説『海の家』 横尾宏之 (5)
5 小学校は賑やかに新学期の朝を迎えていた。教室の中では皆が数人のグループを作り、夏休みの話で盛り上がっ…
2022/10/21 05:04
【本】小川洋子『最果てアーケード』~不吉な影のように光を侵蝕していく「死と喪失」~
1、作品の概要 2012年に刊行された10編からなる連作短編集。 「BE・LOVE」連載コミック『最果てアーケード』の原作として書き下ろされた。 世界で小さなアーケードで大家兼配達係りとして働く女性と、風変わりな店主達の物語。 表紙の装画を酒井駒子が担当した。 2、あらすじ 父母を亡くして、遺された小さなアーケードの大家兼配達係として働く「私」。 アーケードの店主たちは誰もからも個性的で、お客さんも一筋縄ではいかない人たちばかり。 濃い死の影に彩られた風変わりのエピソード、人々の想いが篭められた商品一つ一つに宿ったエピソードが紐解かれていく。 最果てアーケード (講談社文庫) 作者:小川 洋子…
2022/10/20 22:04
短編小説『海の家』 横尾宏之 (2)
2 すわ子は黙ってはいたが、まどかに惹かれていた。どんな人なのかとても興味があった。しかし、小学生の自分…
2022/10/20 11:59
短編小説『海の家』 横尾宏之 (3)
3 すわ子は下を向いて、広志の店に戻ってきた。 「叔父さん。ごめんなさい」 悄然とすわ子は言った。 …
短編小説『海の家』 横尾宏之 (4)
4 「広志さんって、夏以外はどこかで料理人されているの?」 とすわ子に聞いた。 「いいえ。学生の時に…
短編小説『海の家』 横尾宏之 (1)
1 少女は飽かずに砂浜と海とを眺めている。砂浜には所々にビーチパラソルか立てられている。海水浴客のそれぞ…
2022/10/19 20:08
【本】中村文則『自由対談』~中村文則作家20周年を記念した豪華対談集!!~
☆僕の大好きな作家・中村文則パイセンが作家20周年でめでたい!!☆ 2022年7月26日に刊行された、作家・中村文則の対談集です。 33名と対談した36本の対談集。 計448ページの超絶ボリューム!! 「映画・音楽」「文学Ⅰ」「社会問題・テクノロジー」「文学Ⅱ」の計4つのカテゴリーに分けられて、縦横無尽に様々な人々と様々なテーマで語りまくっています。 そして・・・。 僕が買った初めてのサイン本でもあります!! ドーーーーーーーン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 中村文則さんが7.24にこの本にヒロ様って書いてサインしてくれたと思うと嬉ションしそうですよ!! ちなみに『惑いの森』のイ…
2022/10/19 19:29
【本】村上春樹『女のいない男たち』~そうおれは傷ついている、それもとても深く~
1、作品の概要 2014年に刊行された村上春樹の短編集。 全6編からなる。 女性に去られてしまった男たちを描いた。 『ドライブ・マイ・カー』『イエスタデイ』『独立器官』『木野』は『文藝春秋』に、『シェエラザード』は雑誌『MONKEY』に掲載されて、表題作の『女のいない男たち』は書き下ろされた。 『ドライブ・マイ・カー』は2020年に監督・濱口竜介、主演・西島秀俊で映画化されている。 2、あらすじ ①ドライブ・マイ・カー 俳優の家福は、20年連れ添った妻を癌で亡くしてしまう。 彼女は夫以外の複数の男と寝ていたが、家福は彼女にそのことについて言及することができなかった。 目の病気のため運転が困難に…
2022/10/16 21:06
新小説の連載開始!
恋愛小説作家「愛川耀」のネコ日記 作家ネコちゃん、長編小説『ワシントン恋物語』の連載を開始しました。ラブストーリーの舞台はネコちゃんの古巣、ロマンチックな(…
2022/10/16 10:21
湯活バイブル|書籍編(文学)
湯活バイブル|書籍編(文学) 文人・墨客・エッセイスト・その他の湯活を文学で巡る旅
2022/10/16 05:36
【本】平野啓一郎『マチネの終わりに』~繊細な心理描写と美しい文章で語られる、ある愛の物語~
1、作品の概要 2016年4月に刊行された、平野啓一郎の長編小説。 2015年3月から2016年1月まで毎日新聞で連載された。 第2回渡辺淳一文学賞受賞。 天才ギタリストの蒔野と、海外で活躍するジャーナリストの洋子の恋を描いた恋愛小説。 2019年11月に福山雅治、石田ゆり子が主演で映画化された。 2、あらすじ 若い頃から世界で注目されている天才的なクラシックギターのアーティストである蒔野は、東京でのコンサートの打ち上げで意気投合した国際ジャーナリストの洋子に心を惹かれるようになる。 洋子には婚約者がいたが、フランスに戻ったあともメールとスカイプのやり取りで蒔野に好意を持つように。 バグダッド…
2022/10/14 15:54
台湾の親日さを理解するための映画と文学:明日10月13日より隔離義務撤廃
各国の入国規制の緩和や、帰国時の陰性証明が不要になったことを受けて、年末年始の海外旅行をご検討されている方も少なくないのではないでしょうか。しかし、年末年始というと国際線の航空チケットをとるのは難しく、円安でただでさえ高騰しているホテル代も大きく値上がりしてしまいます。 ...
2022/10/12 07:22
句集『春の鴨』より (8)
田仕舞の煙に追はれ下校の子 季語は「田仕舞」で秋。 私は現在、広島県福山市の生まれ育った町に住んでいる 。私が…
2022/10/11 15:00
第2章 昭和後期 4 学歴差別(4) 夏目漱石
~聞きもしないのに 「おかげさまでS大に合格」~ 僕が高校2年生の時だったでしょうか。全校集会の話はほとんど忘れているのに、数少なく覚えている一言があります。 「おかげさまでS大に合格しましたけれども・・・」 S大学というのはいわゆる受験の難関校の一つです。当時の同級生や同学年の生徒の中で、ここに合格できる学力のありそうな人は極めて少数でした。 もちろん、僕も問題外でした。話をしていたのは田辺さ...
2022/10/11 12:30
句集『春の鴨』より (7)
築城の世を知る色を変へぬ松 季語は「色変へぬ松」で秋。 2022年。広島県福山市の福山城は築城400年を迎える…
2022/10/08 13:41
詩「はのリフレイン」空みつえ
はがおちる くるりくるりとおどりながらおちるというより舞う そのいっしゅんのうつくしさにあきのおとずれを感じて やきついてはなれない はの舞うおとがリフレインする
2022/10/08 11:33
クンチャーン・クンペーンの話
バンコク小旅行ネタ、特に355列車乗車記をお待ちの読者には大変申し訳ないが、先にこのシリーズをアップさせてほしい。何しろ赴任初期に書いた記事でもう5ヶ月近...
2022/10/07 00:04
【自分】俺のメモ書き②~読めなかった漢字、気になった言葉などなど~【専用】
ニンゲンは犬に食われるほど自由だ藤原新也/メメント・モリ より村上春樹/雑文集マテリアル 材料サルベージ 海難救助クロノロジカル 時系列的メタフォリカル 隠喩的なさま 直接的に意味がわかるのではなく間接的に意味を伝えることカタストロフィ 災害にしん herring赤にしん red herring 興味はひかれるが実際にはあまり意味がないことトルーマン・カポーティ/最後の扉を閉めろthink of nothing things,think of wind何で...
2022/10/03 00:37
句集『春の鴨』より (6)
鉄色に揺らぐ寒鯉たたら村 季語は「寒鯉」で冬。 広島県北部の庄原市の古代たたら工房を吟行したときの句。 正確に…
2022/10/02 15:13
【自分】俺のメモ書き~読めなかった漢字、気になった言葉などなど~【専用】
駄目なことの一切を時代のせいにはするなわずかに光る尊厳の放棄自分の感受性くらい自分で守ればかものよ茨木のり子/自分の感受性くらい より町田康/テーストオブ苦虫4墨守(ぼくしゅ) 頑固に守ること惹かれる (ひかれる)不埒(ふらち) 道理にはずれ不届きなこと虚ろう(うつろう)箒(ほうき)懊悩(おうのう) なやみもだえること輾転反側(てんてんはんそく) 悩みや心配のために眠れず何度も寝返りを打つこと無聊(ぶ...
2022/09/29 16:35
詩「こんいろあさがお」空みつえ
あさがおさいた よぞらのいろのまるでそううちゅうのひろがりを ぎゅっとしぼっておはなにしました とでもいうようにはてしなくふかくははおやのようなやさしさで
2022/09/29 08:28
句集『春の鴨』より (5)
茹でゐるを眺めつつ酒夜鳴蕎麦 夜鳴蕎麦は冬の季語。 屋台に坐ると、取り敢えず焼酎を頼み、しばらく考えてラーメン…
2022/09/27 15:02
【本】平野啓一郎『顔のない裸体たち』~インターネットが引き起こす解離。本当の自分ともうひとりの自分~
1、作品の概要 『顔のない裸体たち』は、平野啓一郎の中編小説。 『新潮』の20005年12月号に掲載され、2006年3月に刊行された。 野外露出を撮影するという異常な性癖を持つ男女をルポタージュのような形で描いた。 2、あらすじ 半年ほど前にあったセンセーショナルかつ滑稽なとある事件に関わった吉田希美子(よしだきみこ)と片原盈(かたはらみつる)は、とある出会い系サイトで出会い体の関係を持つようになる。 自分たちの行為をカメラに収めることに喜びを感じるようになった二人の行為はエスカレートして、野外での露出を試みるようになる。 暴走し続ける自己承認欲求と性的欲望は、取り返しのつかないカタストロフィ…
2022/09/23 20:01
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