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前回までのシリーズで、「超「商品流通社会」と、著作権(1)~(8)」と題して、新しい経済、新しい社会制度の可能性を提示しました。 超「商品流通社会」という用語は耳慣れないので、今回、「ポスト資本主義社会と、著作権(1)~(9)」に改題します。 今回は、前回紹介した、「知的財産主導経済」と「知財主義社会制度」についてまとめます。 私の最大の問題意識は、IT技術、ネットワーク技術、AI技術などの「情報革命」が、一体何を加速させているのか、という問いです。 上の図の「○○主義?社会」は、果たして何なのでしょうか。 「情報革命」は、どのような経済・社会を加速させているのでしょうか・・・ 過去の「産業革…
前回は、農作物を生み出す土地の管理・運営に長けた社会制度が「封建主義社会制度」であり、商品を生み出す資本の管理・運営に長けた社会制度が「資本主義社会制度」であるという話をしました。 封建主義社会制度から資本主義社会制度への移行にあたり、何が決定的な契機になったのでしょうか。まずこれを考えてみましょう。 実は、封建主義社会においても、商品は生み出され、商品流通は行われていました。具体的には、農民が家内制手工業によって服飾品や日用品などを作り、それらが商品として都市部で売買されるということはありました。そして、各地域では陶芸品などの特産品が職人によって作られ、それらも他の地域に流通し、売買されてい…
前回では、著作物は仮想空間内でダイレクトで授受されるので、権利が権利を生む社会はネット空間の中で無限に拡大していくという話をしました。 20世紀モデルでは、著作物が化体した商品(書籍、レコード、放送番組など)が流通するので、その商品を製作・流通・販売する会社が著作権の処理を行っていて、著作権が前面に現れることはなかったのです。著作者は商品を取り扱う会社に著作権の管理を任せてしまい、会社に従属するかたちで著作物の創作を行ってきたのです。 これからは違います。物理的な商品が仮想空間内のモノに置き換わり、著作権がIT技術やAI技術によって目に見えるようになったとき、著作物の創作者と、その著作物を鑑賞…
前回まで、「情報の大航海時代」における著作権の問題について述べてきました。15世紀から17世紀までの大航海時代が世界史を一変させたように、現在発展途上にあるインターネット世界やメタバース空間は著作物の創作や流通の環境を大きく変えていく、そして、著作権の問題は今まで以上に重要かつ必要なものとなり、2次創作の取り扱いや創作者の地位向上に向けての取り組みが急務であるという話をしました。 この変化は、従来の社会、例えば商品流通を主体とする資本主義社会を進展させるものなのでしょうか。すなわち、今までの延長線上の出来事と考えてよいのでしょうか。 私はそうではないと考えています。 その私の考えをこれから皆さ…
前回までのブログで、「著作権を所有している人は誰か」と「著作権が発生する対象物は何か」について述べてきました。前者は「著作者」であり、後者は「著作物」でした。 「著作者」が、自分の「著作物」についてどんな権利を持っているのか。今日はそれについて考えてみましょう。 以前のブログで、夢の内容は、それを文章にして初めて著作物になるという話をしました。文章化されているので言語の著作物になり、言わばミニ小説のような物です。 貴方が自分が見た夢の内容をミニ小説にして、それをブログで公表したとします。読者の受けが良くて喜んでいたところ、後日、他のブログサイトでそのミニ小説と全く同じ内容の記事が掲載されている…
著作物について、今までいろいろ考えてきました。 ここでは、特殊な著作物について見ていきましょう。 ○ 共同著作物 貴方は、友人と一緒に漫才のネタを考えて、二人で漫才のシナリオを書いたとします。このシナリオは二人が共同して創作した物です。著作権法では、このような物を「共同創作物」としています。勿論、二人ではなく、三人以上の人が共同して創作した物も共同著作物です。 ○ データベースの著作物 昨今は、ビッグデータの管理や利用が重要になってきています。著作権法では、個々のデータをコンピュータによって検索できるように体系的に構成した物を「データベースの著作物」としています。ただし、データベースを構成する…