~「リフレーミング」は心理学の技法で、これまでと異なる角度からのアプローチ、視点の変化、別の焦点化、解釈の変更という「フレーム」の架け替えによって、同じ「絵(状況)」でも違った見え方になり、生き方の健康度を上げていくことを言います。
子どもの自殺予防はできるのか(前編)~小中高生の自殺者数513人(2023年) 空前の高止まり
小学生13人 中学生153人 高校生347人(2023年:厚生労働省・警察庁) 小中高生の自殺者数の推移と、自殺者数の全体的な傾向を見ていきながら、 自殺のメカニズムと予防について考えます。 小中高生の自殺者数の推移と、全世代の傾向 2023年度の小中高生の自殺者数は513人(前年度514人:厚生労働省)と、高止まりしています。内訳は小学生13人、中学生153人、高校生347人(昨年度小17人、中143人、高354人)で、統計史上、総計514人が最多で、2023年度が2位ということになります。 数字だけでは、何も実態は見えてはきませんが、コロナ禍に見舞われた2019からの5年間で2398人(小…
不登校の中学2年生Kくんの母親の場合 「支援」の意味、「解決」とは何かをあらためて考えさせられたケースです 初回面接:母親の悩み 中学2年生のKくんの母親は、顰め(しかめ)顔で相談を始めました。 以下、母親の話した内容です。 Kくんが小学校高学年の時に夫と離婚、現在は実家で自分の母親と息子のK君との三人暮らし。家計は正社員の自分が支えている。 Kくんは学習に苦手な面があり、中学ではなかなかクラスに馴染めず、1年生の夏休み前から不登校になった。夏休み明けからは断続登校。あまり外にも出たがらず、冬休みには昼夜逆転して夜中はゲームで過ごし、休み明けから完全不登校になった。母親が登校を促したり、外出に…
「解決」ありきの支援は当事者を追いつめる 「つなげる支援」、「切らない支援」への転換を 「ひきこもり」は青天井で増加しています コロナ禍以降、全国的に「ひきこもり」が急増しています。 61万人(2020年)→105万人(2021年)→124万人(2022年)→146万人(2023年) と天井知らずの激増です。15歳~64歳の約2%の50人に1人が「ひきこもり」で、65歳以上を入れると200万人を超えています。 「全国ひきこもり家族会連合会(NPO法人):2023」によると、「きっかけ」は「退職」が1位で、就業経験は15歳~39歳で62.5%、40歳~69歳で90.3%と高く、ひきこもり状態の人…
小学校1年生の給食の強要から会食恐怖症になったIさん。 それをきっかけに不登校になったIさんは、中学校でも苦闘を続けました。 中学校への入学とフリースクール 体調を崩して欠席することを繰り返し、断続登校をしながら小学校を卒業したIさんは、中学校入学から昼食時の別室の配慮を得ながら登校を続けますが、すぐに体調を崩してしまう状況は変わりませんでした。 家庭でも腹痛や食欲不振、不眠などに悩まされます。その頃のIさんは、外食は勿論、車以外の外出ができない程になっていました。気分が落ち込み気味なると、車のシートのにおいが気になって家の中だけで過ごす時期もありました。 両親とIさんは、学校への登校をやめて…
会食恐怖症は、不登校のきっかけにもなっています。(Iさんのケース) (ケースは実際のものとは変えています) 会食恐怖症とは 食事を楽しむ人たちは世の中に多くいます。グルメと言われる人でなくても「食」への多少のこだわりを持つ人や、気に入った店の味に常連になる人も当たり前のようにいて、「会食」は人との交流を拡げ、楽しむ大事な社交の場にもなっています。 しかし、「会食」を楽しめない人たちも社会の片隅にいることを知っておくべきでしょう。 「会食恐怖症(Deipnophobia)」とは、人前で食事をすることに強い恐怖を感じる症状のことを指します。レストランなどでの外食や学校の給食などの場面が該当します。…
不登校相談に訪れる親は、未だに母親が多数派で父親の相談は少なく、特に父親単独での継続相談はあまり増えません。 「子どもの学校のことは母親」という、古い社会通念がまだ色濃く残っているようです。 それどころか、子どもの支援をする母親の足を引っ張る父親が後を絶たないのも現実です。孤軍奮闘している母親がまだたくさんいます。 (ケースは実際のものとは変えています) けして泣かない母親Sさんの戦いの始まり Sさんは、幼稚園と小学校3年生の二人の女の子の母親で。父親の実家に同居していました。長女には、感覚過敏や集団生活への不安などの特性があり療育センターにも繋がっていましたが、小2頃から登校渋りが出てきまし…
不登校を治すより、学校を直そう(その3)~子どもを「見える化」して、ゆっくりと子どもに向き合える学校に
少人数クラス(25人学級)の早期導入で、教員が子どもに落ち着いて向き合える環境にしていきましょう 35人学級でも多すぎます 今は、現行の40人学級から35人への移行期になっています。計算上では40人学級では、1クラス20~40人の間、35人では17~35人の間の人数になります。実際には、前者は35人前後、後者は30人前後といったところでしょうか。 35人→30人前後でもこれまでの日本の学校のイメージとしては随分少なくなった印象です。 35人学級のイメージは教室の机で、35人で6列に約6人ずつ、30人では5人ずつになります。だいたいこのくらいの間ということです。 では、これからあなたが、30数人…
不登校を治すより、学校を直そう(その2)~親が困ったら、気軽にいつでも相談できる学校に
相談のハードルが低い「教育相談窓口」は、不登校の有効な初期対応になります。 学校の教育相談の現状 これまでの学校は、親が気軽に子どもの相談する場所ではありませんでした。 子どもに問題があると教員から親に連絡をして話し合ったり、スクールカウンセラー(以下SC)の相談を紹介したりすることが今までの主流です。相談の主体が学校にあり、親から急に相談を申し出られると、「クレームか」と学校は身構える傾向もまだみられます。 今はSCの教育相談が定着し「学校だより」などでも相談日を明示するようになってきていますが、相談日は決められていて、親にとってタイムリーな相談ができにくい状況です。また、「気軽に相談する」…
不登校を治すより、学校を直そう(その1)~困っていたら助けてもらう「社会モデル」の視点を学校に
学校生活の中で、「すべての子どもを手助けする仕組み」が必要です。 教育先進国のインクルーシブ教育をヒントにしました。 「個」の支援だけでなく、すべての子どもが日頃から支援される「社会モデル」への転換 現状の小中学校から、発展的に不登校対策を考えていきます。 もちろん現状の形で、「教員定数増で20人程度の少人数クラス」にシフトするだけでも、教員の目が行き届くようになります。これは現状を変えていくためには大切な施策ですが、さらに「個」を丁寧に見ていく学校教育にしていくことで不登校やいじめ防止の対策にもなる可能性があります。 ここでは、授業や学習活動の視点からだけでなく、学校生活全般に発展させた支援…
強迫性障害(Obsessive-compulsive disorder)は治療できる病気です
「病気だという自覚(外在化)」が治療の第一歩です。 ただの心配性や不安症、潔癖症ではなく、生活上の機能障害を引き起こす10大疾患の一つです。(WHO) (ケースは実際のものとは変えています) 強迫性障害の特徴 日頃から不安が強く、心配性で神経質な人や几帳面で潔癖症な人は多くいます。しかし、「強迫性障害」は、神経質や潔癖症の領域を徐々に超えていくために、自他ともに気づきにくく進行しやすい病気です。 強迫性障害には、「強迫観念」と「強迫行為」の二つの症状があります。 「強迫観念」とは、頭から離れない考えのことで、その内容が自分では「不合理」だとわかっていても、頭から追い払うことができません。 「強…
不登校対策で、流行り出した校内フリースクール(別室登校)を点検する
自治体一斉の取り組みは、教員の意識の差を埋められるのか。 校内フリースクールで再び「不登校」にならないためのチェックポイント。 不登校対策で急激に流行り出した校内フリースクール(別室登校)とその歴史 不登校の児童生徒のための「別室登校」は今までの数十年、工夫してやってきた学校と、まったくやらない学校に分かれていました 前者では、教室に入れない子どもに対して、今までも相談室登校、保健室登校などが学校裁量で行われてきています。担任や養護教諭、管理職などが交替で様子を見ていたり、中学では空き時間の教員が時間を決めて交替で学習支援をしたり、工夫をしてきた学校もあります。自治体によっては予算を付けて支援…
「東京都スクールカウンセラー大量雇止め」にみる都政の子ども支援軽視 ~公務員の会計年度任用は冷酷な非正規雇用制度です
「派遣切り」以上の惨さ(むごさ)です。(週20時間以下の雇用は雇用保険対象外) 「ブラックリスト」があるという噂も聞こえてきます 東京都で、ベテランのカウンセラーが大量雇止めになりました 2月3日付の東京新聞に「簡単に代わりが務まるの?スクールカウンセラーが次々と雇止めに・・・それは「年度末」だから」という記事が掲載されました。」 以下記事抜粋を書きます。 (2/3付、東京新聞) 「東京都の非正規公務員として児童生徒や保護者からの悩みを聞いて支援してきたスクールカウンセラー(SC)から、3月末で「雇い止め」に遭うとの訴えが労働組合に相次いで寄せられている。2日までに33人の都SCが相談した。労…
再考・不登校29.9万人~教員やSC(スクールカウンセラー)の労働環境と雇用の実態を抜きに議論はできません
「不登校・今のスタンダード」 全国の小学校各クラス1名弱、中学校各クラス2~3名が不登校 中規模小学校では全校で10人前後、中学校では全校で30人前後 不登校や問題行動の増加、学校問題の顕在化 不登校の激増に対して文科省は各自治体の支援体制の向上や学校内の別室登校の体制強化、スクールカウンセラーの増員、フリースクールなどの対応に言及し、先日はNHKでも「不登校30万人」の特集番組が組まれて論議され始めています。 議論は、当然ながら学校現場や支援体制の改革について焦点化されがちですが、コロナ禍で激増した不登校を生んでいる学校現場の窮状や教員のブラックな労働環境、スクールカウンセラーの雇用問題への…
子どもの睡眠時間は足りていますか~体内時計の不調から起こる、起立性調節障害は不登校の原因にもなります
世界一睡眠時間が短い日本人。小中学生の睡眠不足が問題になっています。 授業中の眠気、集中力不足、無気力、イライラ、頭痛や不眠、自律神経の失調など。 安定した睡眠リズムを司る体内時計が心身の健康を守ります。 規則正しい食事習慣と安定した睡眠がストレスから心身を守ります 厚労省「健康づくりのための睡眠ガイド(こども版2023)」では、以下の2点が提唱されています。 ・小学生9~12時間、中学・高校生は8~10時間の睡眠時間を確保する。 ・朝は太陽の光を浴びて、朝食をしっかり摂り、日中は運動をして、夜ふかしの習慣化を避ける。 人それぞれ適正な睡眠時間には個人差がありますが、厚労省が示した一般的な睡眠…
「バイパス」としての役割と選び方。 「不登校=フリースクール」ではありません。選択肢の中の一つと考えましょう。 不登校のなりたて(急性期)は、まず休養させる 子どもが不登校になると、いつ再登校?別室登校できる?適応指導教室か?フリースクールか?つい特効薬が欲しくなり、親子で焦ってしまいますが、本当は「休養」が何よりの滋養になる時期です。 とは言え、仕事で子どもだけ家に置いて仕事に出られない事情もあると思います。それでも、無理に登校させられないし、まして学校の別室登校に行くのもかなりストレスが高いはずです。また、朝、皆と同じ時間に登校できないと、小学生の場合は独りで登校させられないので親は送迎し…
パンデミックが終わっても、コロナ禍の影響は現在進行中です。 小中学生の不登校はすでに約30万人になり、潜在的な不登校を含めると40万人を超えるという民間調査も報道されています。(ケースはすべて実際のものとは変えています) パンデミック後の不登校の激増の背景を考える時、コロナ禍抜きで子どもを理解することはできません。それぞれの学齢の子どもたちがコロナ禍をどう生きてきたのかを知って、個々のより深い不登校理解につなげる姿勢が求められています。 子どものコロナ禍での3年間の成長過程の学齢ごとの表にしてみました。それぞれの学年の子どもに何があったのかを子ども側に立って見てみましょう。 パンデミック期の子…
子どものために良かれと思う親の価値観の押しつけが、子どもの健康を損なわせます。 (ケースは実際のものとは変えています) 社会不安が、我が子の商品価値を高めたい親の気持ちに火をつける 中学受験の広がりがメディアでも多く扱われるようになりました。昨年12月30日付の毎日新聞では「令和のリアル 中学受験」と題して特集を組んでいて、臨床心理士で著書に「やりすぎ教育 商品化するこどもたち」がある武田信子さんの、「親の価値観を拒めず 追い詰める危険性 子どもとの対話を」インタビュー記事で掲載しています。 武田さんは、冒頭で「社会の先行きが不透明な中で、多くの親は子どもに先行投資するかのように塾や習い事に通…
「児童期」「青年期」(思春期)を支えるために。 エリクソンの「生涯発達」(ライフサイクル)の視点から不登校支援を考えます。(ケースは実際のものとは変えています) 「人間は生涯発達する」(エリクソン) エリク・H・エリクソン( Erik H.Erikson, 1902- 1994)は、ドイツ出身のアメリカの発達心理学者で、人間は生涯発達すると考え、心理社会的発達理論を提唱しました。「ライフサイクル」と「アイデンティティ(自己同一性)」という概念を定着させたことで知られています。 エリクソンは、人間の一生を8段階の「時期」に分けて、「心理社会的危機」と課題の達成によって獲得する「要素」を分類しまし…
私立校の不登校~支援級スタートから県立高校トップ校に合格したNくんの紆余曲折
私学教育の「建学の精神」は何処に行ったのか?人間教育の理念は忘れられたのか? Nくんとの出会い ある日、適応指導教室の入り口に立って活動の様子を見ていると、すっと横から私が首から下げたネームホルダーを勝手に手に取って眺めている中学生の男の子がいました。 「カウンセラー」と、読む声がしてびっくり、顔を見て「よろしくね」と私が言うと、目が一瞬合ってから、ちょっと頷いたようにしてネームホルダーを手から離し、黙ってそのまま部屋に入っていきました。Nくんとの出会いはこれだけですが、私には意外に鮮烈な記憶になっています。 私のその時のNくんの印象は、見た目中学生の小3少年でした。その後、母親が相談に繋がり…
発達障害は先天的ですが、二次障害は障害ゆえに社会が負わせた後天的な傷です。 社会の無理解と不寛容が主な原因です。 Yくんの過酷すぎる二次障害(実際のケースを変えて書いています。) ASDの診断と不登校・父親の叱責 地域療育で小学校低学年時にASD(自閉症スペクトラム障害)の診断を受けたYくんは、進級するに従って、同級生たちと過ごす学校生活に苦痛を感じはじめていました。 自分が何か言うたびに浮いていく。皆の雰囲気が読めずに会話に入れない。親しい友人関係も続かず苦しんでいました。高学年になると学校の欠席が増えていきました。 丁度その頃が仕事のトラブルでうつ病になった父親が家で静養している時と重なり…
ASDの人たちには、五感(視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚)に感覚過敏がある場合が多くあります。それぞれの人によって感覚過敏がある知覚や程度、対象などは違いがありますが、それらが日常生活に支障をきたしていることが多くみられます。「敏感」ではなく「過敏」なのです。 感覚過敏とはどんなものか、当事者たちの声を参考にして考えていきます。(参考資料:「発達障害を生きる」集英社) Dくんの訴え(実際のケースとは内容を変えています) 何年も前のことです。夏休みの前に、久しぶりに面接にやってきた中学1年生になったDくんに会いました。半年ぶりに見るDくんは背も高くなり肩幅も拡がって、少し大人びたカジュアルなオシャ…
HSCは発達障害ではありません~5人に1人はHSC(HSP)です
「心も体も、何に敏感かは一人ひとり違います。」~エレイン・N・アーロン(カナダ・臨床心理学博士 2015) HSC=人一倍敏感な子(The Highly Sensitive Child)アーロンの心理学の概念です。(大人はPerson) 「敏感」だが「過敏」ではないHSC(HSP) HSCとはどんな子どもなのでしょうか?今メディアでも扱われることが増えたので興味を持たれた方もいるのではないかと思います。関係した本も多く出版されています。 HSC(HSP)の提唱者のアーロンの著書をまだ読んでいないは、HSCを正しく知るために、まずアーロンの著書を読んでください。 ここではアーロンの言う「HSC・…
不登校の急性期・回復期・成長期~学校以外は何処へでも行ける元気な不登校になるためには
不登校の原因は十人十色ですが、学校に行きづらくなる「急性期」や、休んで少しエネルギーが回復し始める「回復期」、心身ともにエネルギーが高まって暇を持て余し始める「成長期」という流れは多くのケースでみられるものです。 今回は不登校の理解のために、ありがちなエピソードや実際の話など取り交ぜて書くことにしました。もちろんすべてのケースに当てはまるものではありません。 不登校の、「安定期」と「不安定期」とは? 「安定期」と「不安定期」は交互に現れるのが一般です。 精神的に最初に不安定になるのが、状況の変化が起こる「急性期」です。後に詳しく書きますが「苦しいこと」のみ多い時期です。その途中で「再登校」を焦…
子どもの支援と学校 ~学校教育はデッドエンドを迎えるのか・子どもの支援の向かう先は
子どもの支援の立場から、思いつくままに今の学校教育の課題を挙げてみました ・激増中の不登校は30万人。 ・世界平均の2倍のクラス定員。相変わらずの集団教育。 ・教員の過労死ラインを超える過重業務と深刻な教員不足。 ・まったく進まない部活動地域移行。 ・個別支援プログラムも作らず、支援スタッフもいない一般級の発達障害児への支援。 ・統合的インクルーシブ教育の拒否(一般級と支援級に学籍分離) ・教育理論の背景のない教員養成。 ・猛暑日の増加にもエアコンの完備が進まない学習環境。(2022年、普及率は教室95.7%特別教室61.4%、体育館等11.9%) ・過疎地の学校や特別支援学校の統合による遠方…
「発達障害」は診断名ではありません。四つの障害の総称する社会的概念です 近年「発達障害」はメディアでも多く扱われるようになり、広く知られるようになりましたが、まだまだ「誤解や偏見」が多いように思います。正確な情報や、学校現場での取り組みの紹介などが十分に伝えられていないために、本質的な理解が進んでいないのです。 まず、経緯から説明すると、「発達障害developmental disorder」という概念は1987年DSM-Ⅲ-R(アメリカ精神医学学会の診断分類マニュアル)に登場した医療の「診断名」でしたが、1994年DSM-Ⅳで再分類されて、「発達障害」という「診断名」は消えました。 しかしそ…
子どもの情緒発達を支える愛着形成 ~リカバリー(recovery)よりリニューアル(renewal)の立ち直りを目指す不登校支援を
子どもの「情緒の発達」の重要性 子どもの発達を見ていく時、私たちは以下4つの側面から見るのが一般的です。 ①身体的発達(身体が大きくなる。運動機能が成長する。) ②認知・知覚の発達(視覚・聴覚などが成長して、自己の外界のことを理解する。) ③情緒の発達(感情が豊かに芽生え、自尊感情と他者への感情、自己抑制機能などが身につく。) ④社会性の発達(他者との関わり、コミュニケーション、遊び、ルール理解、仲間意識、他者への共感などを獲得する。) 一般的に、乳幼児期には、親(養育者)は①から④までを身近に世話をしながら子どもから敏感に感じ取って、注意深く育てていきます。 成長して、小学校に入学して児童期…
不登校・親だって学校に行きづらい ~親のしんどさを支えるには
学校に相談に行くのはあたり前なのか 「文科省が発表した2022年度の全国小中学校の不登校児童生徒数29万9048人のうち専門機関への相談がないケースは約11万4000件。18万5000件(61.8%)は専門機関への相談をしている」と10/26の記事で紹介しました。 専門機関(医療機関や、スクールカウンセラー、自治体の相談センターなど)への相談にすることで、子どもへの理解が深まり、学校での適正な配慮にも繋がる場合も多いと思います。そして多くのケースは継続的な相談が必要です。統計では、単発の相談なのか継続相談なのかはわかりませんから、計上されたものがすべて安心というものでもありません。 また、専門…
子どもの成長・発達のための支援とは~家庭や学校を責めても解決には繋がらない
子どもの成長・発達には、子どもの側に立った養育環境や教育環境、地域や社会の環境が必要です・マズローの欲求5段階説から 「マズローの欲求5段階説」という、心理学者マズローが提唱した「自己実現理論」があります。以下に紹介した有名な「三角形」は、子どもの成長・発達を考えるときに大変理解しやすいと言われています。人間はこの三角形の底辺から頂点に向かって成長・発達していくことを表しています。土台があってこそ次の段階があるということです。 三角形の底辺の下から1段目は「生理的欲求」2段目は「安全欲求」です。生きるための心と身体の衣食住の生活環境の健康度が保障され、安眠できる環境を求める欲求を示しています。…
不登校になったFさんが、学校に「三下り半(みくだりはん=離縁状)」を突きつけるまで~「学習評価・評定」を考える
Fさんは三歳で平仮名が読めて、数字を理解して簡単な足し算もできたので、お母さんは「この子は天才だ」と思ったそうです (事例は実際のものを変えています) 皆さんは、三歳の子どもの姿がすぐにイメージできるでしょうか? お子さんがいる人でも、子どもが大きくなるとなかなか思い出せなくなりますし、身近に子どもを見かけることがない方にはよくわからないと思いますが、三歳は最後の乳児検診がある年齢です。チェック項目はたくさんありますが、メインテーマは「言語発達」です。 「初語」を経て単語を発し、「二語つなぎ」、「三語つなぎ」と発達していきます。相互性も発達して会話ができるようになっていきます。それに伴う情緒の…
不登校に生きる希望をみる~コロナ禍での不登校の爆発的増加は、学校教育の危機かもしれないが、人間が生きることについては悲観するだけの材料ではない
少子化の中での「不登校」の激増、自死件数の増加が意味するもの 文科省が発表した2022年度の全国小中学校の不登校児童生徒数29万9048人のうち専門機関への相談がないケースは約11万4000件と訊くと更に深刻さが増します。でも裏返して考えると18万5000件(61.8%)は専門機関への相談をしていることになります。 取りあえずは「見える所」に来られた子どもたちと、まだ「見えない所」にいる子どもたちがいる訳です。そして、まだカウントされていない、息を潜めて登校し続けている相当数の「不登校」予備軍が存在しているのは確実です。 また、2022年度には小中高の子どもたちの「自死数」が年間500人を超え…
不登校29万9048人をリフレーミングする・不登校を人数だけで、十把ひとからげに論じることは、一人一人の子どもの現実を見えなくしてしまうことに繋がります
不登校29万9048人 文科省が今年10月に発表した2022年度の「問題行動・不登校調査」調査によると、全国の小中学校で年間30日以上の欠席をした不登校児童生徒数が29万9048人になったそうです。(昨年度比22.1%増、10年連続増加、小学校10万5113人、中学校19万3936人 全在籍数の3.2%) 少子化が国内問題にされている中で、不登校の子どもは僅か5年前の2017年度の14万4031人の二倍超になり、今や30万人に限りなく近づいています。具体的に数字をイメージすると、全国の中学校の各クラス2名以上いることになり、日本の人口の3.2%と考えると、静岡県一県の人口を超えるほどです。 根…
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