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『時計じかけのオレンジ』 および、ベートーヴェン/ハトよめ/バッハ
『時計じかけのオレンジ 完全版』 - 早川書房 アンソニー・バージェス著『時計じかけのオレンジ』(1962)──何らかのかたちで皆さんもご存じであろう、20世紀の名作文学です。 ⬇ €nglish ꚍҽχt Ъełoш! ⬇ この小説『オレンジ』のことを、私が久びさに思い出したのは……。ツイッターにて〈ヤングアダルト層への推せん図書!〉として、かのHKE(Lucid)さんが、そのタイトルを挙げていたからなのです(☆)。 と言われた《HKE》とは、もちろんデヴィッド・ルッソさん(☆)。ずっとこのブログが、ヴェイパーウェイヴの関係のヒーローのひとりとして注目してきている……ああ、その人です!かつ。…
中島岳志『超国家主義』 - 神秘的ナショナリズムと、エヴァ〈人類補完計画〉
中島岳志『超国家主義 - 煩悶する青年とナショナリズム』(2018, 筑摩書房) ご紹介いたします一冊の本、『超国家主義 - 煩悶する青年とナショナリズム』(2018, 筑摩書房)。著者の中島岳志さんは、広い意味での〈政治学者〉でおられるようです。しかしこれは、論文のような堅い本ではありません。 ⬇ €nglish ꚍҽχt Ъełoш! ⬇ その本文の主要部は、まあそのニホンの《超国家主義》と呼ばれる思想や運動──端的に言ってしえば、明治から昭和・戦前のウルトラ右翼──に関わった人々の、銘々伝みたいな断章らです。各チャプターのタイトルに名前の出ている《主義者》たちは、約24人。 そして本書は…
DISCHARGED 発電所: ヤンデレ・ラブ (2022) - 支配する、〈コンプライアンス〉
D I S C H A R G E D 発電所: ヤンデレ・ラブ (2022) - Bandcamp 在グァテマラのヴェイパーウェイヴ系アーティストである、《Rift09》さん。昨2021年から、ご活動中のようです(☆)。 その彼のここまでの代表作めいたアルバム『リミナルスペース』(2021)を、すでに当ブログでご紹介しています(★)。あれは、とてもよかったですね! ⬇ €nglish ꚍҽχt Ъełoш! ⬇ そしてそのリフトさんの変名のひとつが、《D I S C H A R G E D 発電所》。この名義からは、〈いかにも的なヴェイパー〉とは少しフィールの異なった、奇妙なエレクトロニック…
谷川ニコ等『私がモ(…)お前らが悪い! 小説アンソロジー』 - もし私がいなければ、何もかもが悪い!
谷川ニコ等『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! 小説アンソロジー』(2019) - 講談社BOOK倶楽部 『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!〜小説アンソロジー』(2019)、これを拝読しました。今21世紀の初頭を飾っている傑作マンガ、『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』──通称『わたモテ』、その公式の二次創作めいたアンソロジーです。 以前にこの場でご紹介しました、『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!〜ミステリー小説アンソロジー』(2021)。それのシリーズ的な前作で第一弾だと、考えられる書でありましょう(★)。 本書に収録されているものは、小説五編とイラスト…
M・フィッシャー『資本主義リアリズム』 - そして私どもはウツ…またはサイコパス、さらに無敵の人
M・フィッシャー『資本主義リアリズム』 (2018) - 堀之内出版 マーク・フィッシャーさん(1968-2017)は、イングランドの著述家・教育者です(☆)。そして『資本主義リアリズム』(2009)は、彼によるさいしょの刊行物です(☆)。 その邦訳書を一読しましたので、少し感想のようなこと&エトセトラを、以下に書きます。いやさいしょに申したほうがいいのでしょうか、私はこの書の内容や主張らに、約九割くらい同意です! 大いに共感しています!! さて。ここでフィッシャーさんがあばき出している《資本主義リアリズム》の、うすら居心地よい牢獄──とは言え、固くカギのかかった場所とも違うようですが──。こ…
J・ボードリヤール『象徴交換と死』(1976) - 死に対しては…死を差しむけて
ジャン・ボードリヤール『象徴交換と死』 - ちくま学芸文庫 まずちょっと、時事的なお話から入りますと。去る2022年7月8日、ニッポン国の前の前だかの元・総理大臣さんが、まあその暗殺されました(☆)。 だからどう……と、私が思うことも別になく。その死んだ大臣さん&その信奉者さま方の愛用していたことばを借りれば、〈こういうこともまた、一種の“自己責任”なんスかねぇ〉……などと、感じたばかりでした。 イスラムっぽい紛争地域でジャーナリストが、〈見殺しという殺人〉の被害者になることも、自己責任だとすれば。またいっぽう、たいして好かれてない政治家がろくなぼうぐもそうびせず街頭に出て、そういうめにお遭い…
J-P・サルトル『汚れた手』(1948) - ピュアである気で、だが、ときとして…
Les mains sales de Jean-Paul Sartre - archive.org 『汚れた手』──“Les mains sales”──、長きにわたったジャン=ポール・サルトルさんの執筆歴からすれば、やや初期の作でもあるような戯曲。とうとつのようではありますが、どこかの路上でさいきんふと、それのことを思いだしたんですよね。 この戯曲『汚れた手』は1948年に初演されたものだそうで、当時としてはきわめてヴィヴィッドな題材を扱っています。すなわち。ヨーロッパの辺境国──私の印象ではユーゴスラビアがモデル──における対ナチスのレジスタンス運動……そしてその内部からの分裂と破局、とい…