ほんの体温より高めの 湯に浸かる 免疫力が高まるとも 気分が明るくなるとも 言われている それでいくらかは信じてみたのだった 何もない日 ほかほかたぷたぷ うたうたのさのさ ほんの体温より高めの 湯に浸かる 珍しく 悲しいことが何もなかった日 ランキング参加中詩
猫街に暮らす詩人さんのひとりごと/毎日が最新作/著書『心をみる猫の医者』https://amzn.to/2ERppud ほか
2020.10.02 第五詩集『心をみる猫の医者』発刊 詩:いつきさらさ 絵:伊藤乃吏子 アイコン画:Mari Nishimura
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ほんの体温より高めの 湯に浸かる 免疫力が高まるとも 気分が明るくなるとも 言われている それでいくらかは信じてみたのだった 何もない日 ほかほかたぷたぷ うたうたのさのさ ほんの体温より高めの 湯に浸かる 珍しく 悲しいことが何もなかった日 ランキング参加中詩
滴る思い出は だがしかし誰かのもので 滴る響きは だがしかし虚空の砦に 滴る景色は だがしかし水面(みなも)にけむり 苦いも苦しいも大差なく 痛いも忌みも忘れ去る だがしかしいくるものなり だがしかし死にゆくものなり ランキング参加中詩
すくすくもりもり。 作業机の上、PCの向こう側に小さな森ができた。 初夏が近づき、手元まで風が訪れるから、小さな森も小さく揺れる。 何も考えたくないほどくたびれて、 何ものも縦にだって横にだってしたくなくて、 それだのに、 水が足りてないかな 光はどうかな、やさしく…優しさを忘れてなかったかな はたと我に返っては 小さな森に感謝する すくすくもりもり。 作業机の上、PCの向こう側に小さな森ができた。 初夏が近づき、手元まで光が訪れるから、小さな森も小さく揺れる。 ランキング参加中詩 ランキング参加中雑記
32通のメールが 振り分けられている ご丁寧に “彼女の嫌いな愛の言葉” なんて名付けられたフォルダに 届かないから即座に戻ってくる 戻ってきては振り分けられる 送信箱のは捨てるけど フォルダはいつまでも捨てられない 喧嘩もだいじ 笑い話も大切よ そんな夢物語は いつかあたしたちの間で 何もかも虚しくなった 32通のメールが 振り分けられている ご丁寧に “彼女の嫌いな愛の言葉” なんて名付けられたフォルダに ランキング参加中詩
新年度になり、何がどうしたというわけでもないが、自分用の弁当を作るようになった。 簡易的な容器に簡単な昼食を詰める。それだけのことだ。 冷凍食品を気まぐれに選ぶこともあるし、生真面目に野菜炒めをこしらえることもある。 朝食の片付けの前に、ささっと。 何かのついでに。気が向けば。 だから、決して毎日ではないし。 だから、ちっとも無理はしてないし。 だけど、やっぱり(持ち歩くわけではないが)弁当箱が欲しくなる。 そこで琺瑯の保存容器を買うことにした。 電子レンジにかけることはできないが、直火で使え冷凍もできる。弁当箱として使わない日は、茹で野菜なんぞを入れてもいい。 これでは、ものを増やしているの…
包丁で切り刻んでいると 興奮してくるの 人生で最後に刻んだのは なあに? そっと尋ねた意地悪なわたし それには応えず ままごとのお鍋をスプーンで混ぜている ほおら寒いねえ、シチューにしよっか 初夏の陽気だと どこかから天気予報が流れてくるのに あなたの中ではいつも冬だ 人生で最後に煮込んだのは なあに? そっと尋ねた意地悪なわたし ランキング参加中詩
先日、夜遅くに強い揺れに見舞われた。 ちょうどベッドに入ったタイミング。マットレスの反発かとも思ったのだが、様子がおかしい。 寝室から廊下へ移動、壁に体をピッタリつけて座り込み頭を守る。すぐに、長く強めの揺れがきた。 熊本地震のことがフラッシュバックし、体がぎゅうっと硬くなっていくのを、なんとか呼吸で調え(これで脈拍や血圧も安定値に近くなる)、揺れがおさまるのを待つ。 灯りの場所、非常食の場所、非常用トイレの場所、食器は引き出しの中だから大丈夫、洗って伏せたままのも心配なし、スマホはフル充電しておかねば…近県の友人は夜勤だろうか、などと思い巡らせているうちに揺れが落ち着いてきた。 落ちたものも…
もういいよ、の投げやりも もういいや、の優しさも もういいの、の憐れみも もういいね、の許しも 声色ひとつで変わるんだってさ 逆の意味にね
途中から、よくわからなくなって中断していた。 フランス語講座の話である。 「初心者講座ではあるが、一度は文法を通ってきた人向け」ということで、初めてフランス語に触れる者にとっては、少々ハードな内容だった。 それでも半年くらいは続いただろうか。 今は、読めるようになれば、という低めの目標設定をして、寝る前の僅かな時間にテキストを読んだり発声したり。そうこうしているうち、いつの間にか形容詞まで進んだ。 努力も頑張りも、そこにはない。あるのは、好奇心と習慣だけ。 ランキング参加中雑記
植物を年越しさせ、更に 花を咲かせる ささやか であるが、 詩人さんにとっては、難題である😅 水だけで育つように改良された植物 の 存在を知ったときは、文字通り 小躍りした 春から初夏へ移る頃 小さな蕾がついて 小さな花が開いた 美しく儚く だけども、 強くて強くて また生きていける まだ歩いていける、と 思うのだ ランキング参加中詩
ブログ(三つ運営中)でもSNSでも詳しくは触れていないが、自分ごとではないこと(平たく言えば家族ごと)が、そこそこ渋滞している。 共に暮らしていれば互いにもっと「渋滞」していただろうから、風通しというか見通しは明るくはないが暗くもない。 ただ、代理で行う手続きは結構やっかいだ。 関係性の証明、筆者自身の証明(マイナカードが役立った)、何枚も書いた委任状、何本もかけた解約電話、スマホで受ける未知の電話番号(以前にも書いたが役所の担当部署ということが多かった)など。 ことが起こった頃、一気に体重が落ちた。 不思議と風邪もひかず、大きな体調の変化もなかった。緊張感もあったのかもしれない。 日常は大い…
日常がどれほど空回ろうと、 喉も乾けば腹も空く 季節がどんなにねじくれようと、 花も咲けば葉も茂る あたしがどんなに泣き喚こうと、 あなたは難なく幸せ見つけて あの日のように笑うんだ ランキング参加中詩
すっかりうっかり忘れていた、楽しみな道具が届いた。 グレーターである。これで、根菜から果実までおろし放題となったわけだ。 ミキサーやジューサーを使っていた時期もあったが、作動音が小さくはないし、使うたびに多少の組み立てが必要になるので、故障を機に手放した。 明日にでも、新しい道具をおろそうと考えている。 手始めに、大根おろしをたっぷり作って、ざるそばとともに食すとしますかね。 ランキング参加中雑記
年季の入ったキッチンバサミを手放し、やっと気に入ったものを見つけて取り寄せた。数日前の出来事である。 ところで、「〇〇円以上で送料無料」というサービスがある。 確かにありがたいのだが、車のない我が家からすれば、送料よりも店と家を往復する方が費用がかかることがほとんどだ。 ある程度まとめての購入を心がけてはいるが、送料はそこまで気にしないことにしている。 キッチンバサミを購入した店は、ある料理家さんのいわばブランド店である。 「ブランド」と言っても、手の届きやすい価格設定がされており定番商品も多い。慌ててあれもこれも!…と買い込まなくていい。 キッチン用品のほかに衣料品も扱っており、サイズ調整の…
汗をかきやすい体質である。夏場は大変だ。1日のうち、何度かは着替える羽目になる。 ただ、去年はあまりにも暑くて、エアコンもそれなりに使っていた。それが影響したのか、年末にひどい風邪で寝込んだのである。 実際、夏場にうまく汗をかけた年は、寒くなっても風邪に見舞われることが少なかったように思う。 今夏も昨年以上の猛暑ではないか、との予想が一部で囁かれている。 対策として、春のうちから軽い運動や入浴で汗をかく習慣をつけるといいそうだ。気分も上々、体も軽くなり、一石二鳥以上である。 もちろん、日焼け止め対策もお忘れなく。 ランキング参加中雑記
また雨になる 耳たぶが冷たくなって 確信した また春が滞る 指先が冷たくなって 確信した 散っても散っても それを見ず ただ くる初夏さえ怖いと思った また雨になる 耳たぶが冷たくなって 確信した また春が滞る 指先が冷たくなって 後めたくも安堵する ランキング参加中詩
お気に入りの青い傘を、猫店主の店で壊してしまう。無論、店主と取っ組み合いの大喧嘩の果てにということではない。 店が終わったあと、二人してコーヒーを淹れ、バックヤードで固いプリンを堪能した。 あまりの美味しさに詩人さんの使い慣れない魔法が発動し、物こそ飛ばなかったがバッグの中で「べきぼき」と不穏な音がした。 持ち歩いていた折り畳み傘に何が起こったか…は、ご想像におまかせする😭 猫そっくりの店主は少し毛を逆立てたが、雨が降らないうちに帰ったほうがいい、と優しく言った。 そんなことがあって、折り畳み傘を探していた。 できれば青くて、できれば日傘にもなって、できれば魔法にも…いや、高望みはするまい。 …
なんのひとつも 生まれこない苦しみを 知り抜いているとは言わぬが なんもかんもと ランキング参加中詩
選びがちな色がある 薄いピンク、桜色と君は呼ぶだろうか スマホカバー ボールペン そして 久しぶりの一筆箋 春でもないのに 夏でもないのに ましてや恋でもないのに 選びがちな色がある 薄いピンク、桜色よと君は笑うだろうか キーケース 淡く溶けるケーキ そして 久しぶりの一筆箋 春でもないのに 夏でもないのに ましてや恋でもなかったのに ランキング参加中ミュージアム
数えきれなかった あたしの中のあたしだけしか知らないはずの 数えきれなかった 湧きあがってはかき消され やがて干上がって 数えきれなかった 律したことも歪んだリズムも 見送った背中も。 ランキング参加中詩
コトコト煮るのではない。 圧力をかけるのである。ひたすらに。 以前にも書いたが、予防接種の副反応を見越して煮物を作り置きした。 38度近く発熱しそれが下がった頃、大根を煮ただけのシンプルな煮物が美味しく、体調も回復していった。 それ以来、なんとなく不調を感じたらとにかく大根を買ってくる。 生食がいいのだ、という説が有力ではあるが、それだとお腹が冷えてしまう気がして、やはり一度火を通してから食すことに決めている。 大根は、いい。 寄り添ってくれる健気さと芯の強さが、いい。 ※詩と雑記のブログであって、料理ブログではない(念のため) ランキング参加中雑記
わたしの痛みをわたしは知らない あなたの痛みをわたしは知らない わたしはわたしの何を知り あなたはあなたの何を知り わたしの痛みをあなたが知るとき あなたの痛みもまた癒されるか わたしはあなたを知らない あなたはわたしを知らない ランキング参加中詩
ランキング参加中詩
パラパラとおこぼれを あたしにとって愛はそれっぽっちの 飢えるを知らず 乾くを知らず パラパラ降りかかるのを あたしにとって愛はそれっぽっちの 与えるでなく 満たすでなく パラパラ剥がれていく あたしにとって愛はそれっぽっちの ランキング参加中詩
ランキング参加中詩
あなたが立ち止まれば闇は後に あなたが振り返れば光は前に あなたが手を伸ばせば妬みは肩先に あなたがうつむけば愛は背中に ランキング参加中詩
感情がもたついて 足どりまで鉛のようだ 舌はパリンパリンに乾いて 愛を歌うことも忘れ 灰色に染まる景色 それでもまだあなたを忘れられない なのにまだあなたに会いたい ランキング参加中詩
日の出前はとても寒くなるから 上着を忘れないで 寒がりなあなたはいつも そう言って送り出してくれる 早起きは一体どれくらい得なのだろう 今となっては日常でしかないから てくてく歩きながらそんなことを考える 日の出はどんどん早くなり 命もますます駆け足だ 少し広くなったベッドに あなたはまだもぐっているだろうか 朝はまだ寒いとこぼしながら ランキング参加中詩
ちりちりと コーヒーメーカー楽しげに 想ひ人らよ幸あれ夢あれ 祈りあれ ランキング参加中詩
布を裂き紙を裂き ガラスを引っ掻いた そうまでしてようやく 「今日も生きてる」 そう確信する というよりどこかで絶望することに 安心を覚えるのだ 手放すことは日常になり 入れる知識は邪魔になり 乾いたり潤ったりしながら いずれ腐っていくものらしいが 布を裂き紙を裂き ガラスを引っ掻いた そうまでしてようやく 「今日もあたしでしかない」 そう絶望する ランキング参加中詩
もぐりこんだ寝床は あ、と声が出るほど温もりがなかった そうか今日からひとりだった 送り届けもせず 見送られるのも苦手で だから なんとなく片手を上げただけで終わっていった もぐりこんだ寝床は あ、と声が出るほど温もりがなかった やっと今日から自分に嘘をつかなくてすむ ランキング参加中詩
マスクなしで人と会う機会が、ちょっぴり増えた。久しぶりのポイントメイクを楽しんでいる。 ふだんは日焼け止めクリーム程度。そこにほんの少しクリームファンデを混ぜて肌にのせる。こうすると乾燥しにくい。 敏感肌用のものを選んではいるが、外出しない日はメイクも休む。 もともと「しっかり化粧をする」ということを求められる職場ではなかったのと、学生時代もノーメイクか舞台メイク(誇張ではなく舞台に立つ機会がそれなりにあったのだ)。 メイクをしなければならなかったあの頃、あれば飛びついていたかもしれない。 それがいわゆる「ぽんぽんチーク」である。 ラクダ🐪🐪🐪 ではなくて、楽だ。 無添加商品も敏感肌用もあり、…
春のかき消えるように 人が逝くのであれば 涙の乾くを覚えず 季節が差し替えられるように 人が逝くのであれば 哀しみの乾くを覚えず いつか いつかはと とめどなく流れ いつか いつかへと とめどなくあふれ 今年の春をそれでも愛す ランキング参加中詩
愛をうたうとき 少し背伸びする 憎しみを紡ぐとき 少し懐かしくなる 悲しみを編むとき 少しやさしくなる あなたを思うとき わたしは幸せになる ランキング参加中詩
本をひらき耳をすませ 心をひらき全て吸い込んで 口をひらき言葉を澄ませ 心をひらき全て取り入れて いっぱいいっぱいになって ぎゅむぎゅむになって 隙間もすみも見当たらない 見かねて問いただす 満足しているのか本当に 消化不良を起こしているのでなければ いいのだが ランキング参加中詩
愛情たっぷりの食事は チルドできるけれど 愛情たっぷりの食卓は チルドしたら最後 どうやっても元には戻らない 保証するよ その意味ではまだ 感情のほうが救いがあるかも知れぬ ランキング参加中詩
ランキング参加中詩
引っ掻いてもこぼれない 息を吹きかけても散らばらない 愛はそんなものなのだろうか それとも 憎しみが固まったものだろうか 生きるなら愛だけでも 終わるなら憎悪だけでも なのにどちらかだけでも 人は人とならぬよう 宿命(さだ)められている 引っ掻いても傷つかない 息を吹きかけてもこぼれない 愛はそんなものなのだろうか それとも 憎しみが固まったものだろうか ランキング参加中詩
不安をのせ また夢をのせ 風ひとつ吹かないが まあ構わぬとばかり 乗り込んだ 桜を染めそめ 頬を染めそめ 風ひとつ吹かないが まあ構わぬとばかり 空を歩いた 終わりかけたハルト 始まりかけたナツノ 間にまに漂う 風ひとつ吹かないが まあ構わぬとばかり 星を眺めた ランキング参加中詩
空模様が揺れている 恋の終わりがけ 実らぬと悟った先の あの時間のように 空模様が揺れている 子ども時代の終わりがけ 戻らぬと悟った先の あの時間のように 空模様が揺れている 初夏の始まりがけ もう一歩と誓った先の あの時間のように ランキング参加中詩