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2022/07/14

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  • アイリス

    アイリスや晴るれば歩く日課にてアヤメ科アヤメ属の多年草。ジャーマンアイリス、ダッチアイリス、イングリッシュアイリスなどの総称。アイリスはギリシャ神話の虹の神で、その伝説から「恋のメッセージ」が花言葉。初夏に花菖蒲より少し小さい花をつける。色は白、黄、藍、紫など多彩。主に園芸種として栽培されている。道沿いにアイリスが咲いていた。これを見られるのも、晴れれば歩くという日課のお陰である。アイリスや恋の一語の遥かなるアイリス

  • 竹の皮脱ぐ

    竹皮を脱ぐや無言を押しとほし筍は伸びるにしたがって、下方の節から順に皮を脱いでいく。真竹や孟宗竹の皮には黒い斑点があるが、淡竹の皮にはない。真竹の皮には防腐作用があり、古くから食材を包むために用いられてきた。竹林に竹が皮を脱ぐのが多く見られた。静まり返っているので、まるで竹が無言を押し通して皮を脱いでいるようであった。小流れの音に竹皮脱ぎにけり竹の皮脱ぐ

  • 柿若葉

    遠くまで足を伸ばしぬ柿若葉柿の若葉は,、新鮮さを感じさせる明るい萌黄色である。葉はつやつやとして柔らかい。柿の木は庭木として植えられることも多く、家々の庭は初夏らしい明るさとなる。散策の足を遠くまで伸ばしてきた。すると、そこには萌黄色の柿若葉が見られた。自転車のペダルの軽し柿若葉柿若葉

  • 棕櫚の花

    令和はや六年となり棕櫚の花ヤシ科の常緑高木。庭に植えられるが、暖地では自生化している。雌雄異株。初夏の頃、葉のつけ根から黄白色の粒状の花を房状に垂れる。幹は柱、皿、鉢、盆などにされ、花は食用にもなる。葉は棕櫚笠、団扇、敷物などに使用される。令和はコロナ禍や地震など重い出来事が多かったが、早や六年となった。公園にはぼってりと重そうな棕櫚の花咲いていた。むくむくとこの世に現れて棕櫚の花棕櫚の花

  • 矢車草

    ショパン聴きたし矢車草に立ちキク科の一・二年草。矢車草は矢車菊の通称。ヨーロッパ原産。四~五月頃、長い枝先に菊に似た頭状花をつける。花弁に深い切込みがあり、矢車の形に似ているところからこの名がある。花色は青のほかに、白、赤、紫、桃色などがある。矢車草が沢山咲いていた。その前に佇んでいると、なぜかショパンのピアノ曲が聞きたくなった。矢車草群生にあり風の道矢車草

  • 清和

    下校児と一時歩く清和かな初夏の気候が清らかで穏やかなことをいう。中国では陰暦四月朔日を清和節という。古くは「和清の天」として詠まれている。今日は久しぶりに晴れて、五月らしい気持ちのよい日となった。歩いていて、一時下校児たちと一緒に歩くこととなった。天清和橋の上にて深呼吸清和

  • 朴の花

    街望む高さにありぬ朴の花モクレン科の落葉高木。山地に自生し、高さ二十メートル以上にもなる。五月頃、枝先に芳香のある六~九弁の黄色がかった白い大輪の花を上向きに開く。「朴散華」と詠われるが、実際は散華せず、花はやがて茶色になり、しおれて落ちる。朴の花が高いところに咲いていた。そこからは遠くの街が眺められる高さであった。坂にきて青空仰ぎ朴の花朴の花

  • 筍の草の中より出るもあり竹はイネ科タケ亜科の常緑木質植物のうち大形のものの総称。筍は竹の地下茎から出る新芽をいう。筍飯などの材料になる。食用になるのは主に孟宗竹、真竹、淡竹の三種。孟宗竹は二月~五月頃出て、次に淡竹で、真竹が最も遅く、五月~六月頃である。筍の産地は、鹿児島、熊本、徳島、京都などが有名。なかでも京都産は高値だが美味とされる。筍が竹林の中に何本も出ているのが見られた。だが、竹林の外の草地の中から出ているものもあった。筍をむけば小さくなりにけり筍

  • 水木の花

    川風に水木の花の揺れどほすミズキ科の落葉高木。山野に自生する。初夏の頃、枝先の散房花序に小さな白い四弁花を密集してつける。幹に樹液が多く、生長がきわめて早い。春の「花水木」はアメリカ産で別種。川風が強く吹いていた。川堤に水木の花が咲いていて、上下に揺れ続けていた。水木咲く伝説残る沢にきて水木の花

  • 立夏

    川中に釣り人のゐる立夏かな二十四節気の一つで、新暦五月五日頃にあたる。夏の初めの日であり、立秋の前日までが暦の上の夏である。すでに若葉のそよぎ、日の光、温度や風の動きなどに夏が来たことが実感される。立夏の今日、早くも川中に釣り人がいて、釣りをしていた。夏来る親子散歩の川堤立夏

  • 苜蓿(うまごやし)

    連れられて犬の喜ぶ苜蓿マメ科の多年草。ヨーロッパ原産。牧草として植えられたものが、広く世界中で野生化している。日本には江戸時代に伝来した。オランダから送られてきた器の間に、苜蓿の乾燥したものが梱包材として入っていたことから詰草と呼ばれた。花は晩春から初夏にかけて、茎の先に白い小花を球状につける。多葉性があり、四つ葉のクローバーは幸運のしるしとして珍重される。犬が連れられて広場にやってきた。一面苜蓿が咲いていて、犬はその上を歩くのを喜んでいるようであった。星団の如し白詰草の数苜蓿(うまごやし)

  • つばくらや瀬音の高きひとところスズメ目ツバメ科の総称。三月~五月にかけて南方から日本各地に飛来し、人家の軒などに営巣する。喉が赤茶色なのは普通の燕で頭から背にかけては紺色、胸は白、尾は黒で広げると白い筋が見える。素早く飛翔し、空中で昆虫類を捕食する。燕が盛んに飛び交っていた。そこは一際瀬音の高い流れのところであった。散策の歩を止めにけり群燕燕

  • 羊蹄(ぎしぎし)

    羊蹄や川平らかに平らかにタデ科の多年草。水辺の湿った土地に自生する。根葉は狭長楕円形で長い柄がある。羊蹄は漢名。新芽を酢の物などの食材とし、根を「しのね」(漢方では羊蹄根)といい、皮膚病の薬とする。「羊蹄の花」は夏。川縁に羊蹄が群生していた。その川は平らに平らに流れていた。ぎしぎしや翁は小犬連れきたる羊蹄(ぎしぎし)

  • 大根の花

    大根の花や雲間に空見えてアブラナ科の一年草または二年草。四月頃、白色または薄い紫がかった十字形の四弁花を総状につける。種を採るため畑に残した幾株かに翌春薹が立ち小花をつけたもので、菜の花のような明るさはないが、ひっそりとした味わいがある。畑隅に大根の花が咲いていた。曇っていたが、雲間から青空が見えてきた。花大根いつもの農夫見当たらず大根の花

  • 青木の花

    びつしりと青木の花や日の回りミズキ科の常緑低木。山野の林内に自生するが、庭木として利用されることも多い。四月頃、小さい赤褐色の四弁花を枝先に集まってつける。花は地味で目立たないが、冬に棗形の美しい赤い実が生る。雑木林の隅に、びっしりと青木の花が咲いていた。午後になって、日差しが回ってきた。青木咲く来し方多き人の恩青木の花

  • 藤垂れて京上京(かみぎやう)の蕎麦処マメ科フジ属の落葉蔓性植物。山野で他の木に巻きついて自生する。野田藤系と山藤系に大別される。野田藤は茎が右巻き。晩春から初夏にかけ、枝の先に数十センチから一メートル以上に及ぶ長い総状花序をつけて下垂する。山藤は本州西部、南日本に分布。山林中に自生し、茎は左巻き、花は野田藤より大きく花序は短い。京都の上京区に蕎麦処がある。その店の脇に藤房が垂れていた。山藤の風に大揺れしてゐたり藤

  • ゴールデン・ウィーク

    ゴールデン・ウィーク歩くほかはなし四月末から五月上旬にかけての祝休日の多い期間をいう。四月二十九日昭和の日、五月三日憲法記念日、五月四日みどりの日、五月五日こどもの日などの祝日に、週休二日制の土日、振替休日などが加わると、約一週間以上の休日が続くゴールデン・ウィークとなる。晩春、初夏の好季節でもあり、国内、海外に旅行をする人も多い。「黄金週間」ともいう。ゴールデン・ウィークとなった。人々はキャンプをしたり、川で遊んだりしているが、こちらは何の予定もなく、いつもと同じようにただ歩くだけである。犬と瀬に入りたし黄金週間をゴールデン・ウィーク

  • 苧環の花

    苧環や山の空気を吸ひたくてキンポウゲ科の多年草。高山帯に自生する深山苧環を母種とする園芸植物。晩春に青紫の花をうつむきかげんにつける。園芸用に多く栽培されているのは西洋苧環。花の姿が紡ぎ糸を巻く苧環の形に似ているところからこの名がある。散歩をしていると、ある農家の塀の上に日本原産の深山苧環が咲いていた。その花を見ると、山の空気を吸いたくなってきた。をだまきの花や二人の立ち話苧環の花

  • 花水木

    水戸藩邸跡の近しや花水木ミズキ科の落葉小高木。北アメリカ原産。花が同属のヤマボウシに似るので、アメリカ山法師ともいう。四月頃、葉の出る前に沢山の花をつける。白と紅があり、四枚の花びらの先に切り込みがある。街路樹や庭木として植えられる。京都市上京区に水戸藩邸跡がある。その近くに花水木が咲いていた。川沿ひを歩けば楽し花水木花水木

  • 錨草

    蹲踞に寄り添うてをり錨草メギ科の多年草。丘陵や山麓などの雑木林に自生する。四月頃、茎の先に淡紫色の四弁花を下向きにつける。四枚の花弁には距という管状の突出部があり、その形が船の錨に似ているところからこの名がある。変種が多くあり、淡黄色の黄花碇草、日本海側には白色の常盤碇草などがある。源光庵では、蹲踞に寄り添うように白い錨草が咲いていた。開梆(かいぱん)も雲版(うんぱん)もあり錨草錨草

  • 躑躅

    五芒星提灯下の躑躅かなツツジ科ツツジ属の常緑または落葉低木の総称。晴明神社山野に自生し、また観賞用のため庭園に植えられる。野生は二十種以上、園芸品種は数百種にのぼる。晩春から初夏にかけて、紅、緋、紫、白、絞りなど漏斗状の合弁花で先が五~八裂した花をつける。京都市上京区の晴明神社を訪れた。魔除けのしるしで社紋である五芒星の書かれた提灯が、門に掛かけられていた。その下に躑躅が咲いていた。忘れめや初心の色の白つつじ躑躅

  • 若緑

    撫で牛の夕日に照るや松の芯松はマツ科マツ属の常緑針葉高木。「若緑」「初緑」は晩春に松の枝から出る松の新芽のことをいう。細い新芽は蠟燭のような形をしている。生長が早く、生命力旺盛な感じがする。北野天満宮の撫で牛に夕日が当たり、照っていた。脇の松に芯が立っていた。一日中京の青空松の芯若緑

  • 楓の花

    花楓御土居の上の道広し北野天満宮楼門楓はムクロジ科の落葉高木の総称で、種類は多い。北野天満宮本殿四月頃、新葉とともに花をつける。雄花と両性花があり、小さくて紅色。鶯橋・御土居(左側の斜面)蕚も花弁も五片で、八本の雄蕊がある。御土居は、豊臣秀吉が1591年(天正19)京都の周囲に築いた惣構(そうがまえ)。台形の土塁と堀からなり、総延長22.5kmにも及ぶ。北野天満宮の西側に御土居があり、沢山の楓が植わっている。楓が花をつけていた御土居の上の道は、かなり広かった。花楓下の方より瀬音して楓の花

  • 晩春・春深し

    晩春や悟りの窓は円き窓源光庵(京都市北区)春を三分した初春、仲春、晩春の三番目のこと。源光庵本堂二十四節気の清明(四月五日頃)から立夏(五月五日頃)の前日まで、陽暦の四月に相当する。四月も半ばを過ぎると、春もそろそろ終りという気分が強くなる。源光庵本堂内の血天井「春深し」は桜の季節を過ぎると、風物の様子にどことなく春も盛りを過ぎたと感じられる頃のことをいう。写真は、伏見桃山城の遺構であり、慶長五年七月(1600年)徳川家康の忠臣・鳥居彦右衛門元忠一党千八百余人が、石田三成の軍勢と交戦したが、武運拙く討死し、残る三百八十余人が自刃して相果てたときの恨跡。(源光庵のリーフレットより)源光庵の円形の窓は「悟りの窓」といい、角形の窓は「迷いの窓」という。それぞれ円型は大宇宙を表現し、角型は人間の生老病死の四苦八苦...晩春・春深し

  • 蘖(ひこばえ)

    蘖や用水の道鳥鳴きて春になって樹木の切株や根元から続々と萌え出てくる新芽をいう。多くは断ち切られるが、里山の櫟や小楢などの場合は、建材や薪炭用に育てられる。「ひこばゆ」と動詞として用いることもある。用水沿いの道端の切株から蘖が出ていた。樹木の上では鳥が鳴いていた。人を見ぬ米軍基地や蘖ゆる蘖(ひこばえ)

  • 八重桜

    歩くときイヤホン耳朶に八重桜八重咲きの桜の総称。山桜から変化したもの。花期は四月中旬から五月上旬と、桜のなかで最も遅い。ぼってりとした花房は、普通淡紅色で濃淡があり、白色もある。散歩で歩くときはいつも耳にイヤホンをつけ、音楽を聴いている。八重桜を仰ぐときもそうであった。用水の上(へ)を風に揺れ八重桜八重桜

  • 紫荊(はなずおう)

    散策の彩一つ花蘇枋マメ科の落葉小高木。中国原産。日本には江戸時代に伝わった。庭木として栽植されている。四月頃、葉に先立って枝のあちこちに赤紫の小さな蝶形花をびっしりとつける。花の色が染料の蘇枋の色に似ているところからこの名がある。散策をしていると、ある家の塀の上に彩のある花を見つけた。花蘇枋であった。忘るるもしあはせのうち紫荊紫荊(はなずおう)

  • 蒲公英・蒲公英の絮

    園児らのゐて蒲公英の百二百キク科タンポポ属の多年草。道端、空地、土手などで普通に見られる。日本にはエゾタンポポ、カントウタンポポ、カンサイタンポポ、シロバナタンポポなどの在来種が分布するが、いずれも帰化したセイヨウタンポポに圧倒されている。三~五月頃、黄色または白色の頭花を花茎に一つつける。花のあとに形成される実は白い冠毛を持ち、風に乗って飛ぶ。これを蒲公英の絮と呼ぶ。草地で保育園の園児たちが遊んでいた。そこには蒲公英が百も二百も咲いていた。たんぽぽの絮吹くところ見られけり蒲公英・蒲公英の絮

  • 春疾風

    半月を落さむばかり春疾風春の強風、突風をいう。前線を伴った低気圧が日本海を通過するときに吹く南寄りの暖かい風で、荒れ模様の天気となることが多い。涅槃西風、彼岸西風などの季語に比べ、より身近で実感のある季語である。昼下がりの空に上弦の月が出ていた。その半月を落さんばかりに、一日中、春疾風が吹き渡っていた。武蔵野の雑木林や春嵐春疾風

  • 御衣黄桜

    川の上に揺れて御衣黄桜かなバラ科サクラ属の落葉高木。オオシマザクラを基に生まれた日本原産のサトザクラ群のサクラ。名前の由来は、貴族の衣服の萌黄色に近いため。別名は「ミソギ(御祓)」。四月頃、緑色の八重咲きの花をつけ、最盛期を過ぎると淡緑色から白色となり、次第に中心部が赤くなる。川岸に御衣黄桜が咲いていた。風が吹くと、川の上で毬状の花が揺れていた。遠回り御衣黄桜見るために御衣黄桜

  • 草苺の花

    草苺の花や坂なる切通しバラ科の木本状多年草。山野の疎林中に自生する。四月頃、新しい枝の頂に野茨に似た白色五弁花をつける。切通しが急な坂になっていた。その法面に草苺の花が咲いていた。一万歩花草苺まで来(きた)る草苺の花

  • 山吹

    山吹やアスレチックに子も親もバラ科の落葉低木。日本原産で渓流沿いなどのやや湿った山地に自生する。観賞用としても広く植えられている。四月頃、黄色の五弁花をつける。一重の山吹は実をつけるが、八重山吹は実をつけない。山吹がこんもりと咲いていた。近くのアスレチックでは子は勿論、親も一緒になって遊んでいた。山吹や小銭入れのみポケットに山吹

  • 諸葛菜

    踏み入りし林の道や諸葛菜アブラナ科の一年草。中国原産。日本には江戸時代に渡来した。耐寒性が強く、野生化して庭の隅や空地に自生する。三~五月頃、茎の先に大根の花に似た薄紫の四弁花をつける。三国時代に飢饉の際、諸葛孔明が栽培を奨励したことからこの名がついたという。「花大根」と呼ばれることもあるが、花大根は別種で「大根の花」をさす。林の中の道に踏み入った。その道端には諸葛菜が群れて咲いていた。雨後の濁る用水諸葛菜諸葛菜

  • 夜桜

    夜桜を眺むる人を見て足りぬ夜に観賞する桜の花をいう。桜の名所では、開花中夜にライトアップをして、昼とは異なる桜の表情を見せてくれる。人々がライトアップされた桜を愛でるのは、昔からの日本的情緒である。六本木のミッドタウンに夜桜を見に行った。まだ満開で、ライトアップされた夜桜を人々が座って眺め、歩きながら眺めていた。この平穏なひとときを、そんな人たちを見ることで満足した。夜桜や高層ビルも景として夜桜

  • 朝桜

    朝桜園児預けし自転車来朝に眺める清らかな桜をいう。特に晴れて青空のもとの桜は神々しくさえある。人々は朝桜の初々しい美しさと清新さに心打たれるのである。保育園に子供を預けてきた自転車が、朝桜の下の道を急ぐようにしてやってきた。朝桜境内すでに掃かれゐて朝桜

  • 花見

    安寧の世なればこその花見かな桜の花を観賞し、楽しむことをいう。桜花を愛でる習慣は、平安時代に起こったが、後に武家の間にも広まった。豊臣秀吉の「醍醐の花見」は有名。江戸時代も元禄以降になると、庶民の間にも広まった。華やかで自由な気分から、四季の行楽として最も親しまれた。花見に行った。人々が自由に花見ができるのも、世の中が平穏無事だからこそと思った。その下を歩く楽しさ花見人花見

  • 山桜

    打ちつ放しゴルフの音や山桜バラ科の落葉高木。宮城県以西の山野に自生し、栽植もされる。四月上旬から中旬に、紅褐色の艶やかな新葉とともに、一重の淡紅色または白色の五弁花をつける。奈良の吉野山の山桜が最も有名である。高台にゴルフ練習場があり、近くに山桜が咲いていた。打ちっ放しのゴルフの音がそこまで聞えていた。散策のひとりとなりて山桜山桜

  • 夕桜

    帯なせり川面に映る夕桜バラ科の落葉高木。桜は日本の国花。現在全国に広まっている染井吉野は、明治初期に東京の染井村(豊島区)で作られた品種。夕方に眺める桜を「夕桜」といい、夕日に染まった桜には得も言われぬ趣がある。静かな流れの川面に夕桜が映っていた。それは連なって帯を成していた。川に出て句座の帰りの夕桜夕桜

  • 枝垂桜

    駐屯地より夕べの喇叭糸桜バラ科の落葉高木。枝が長く伸びて垂れたようになる桜をいう。別名、糸桜。江戸彼岸から生まれた園芸品種で、大木となる。古くから神社や寺の庭に植えられており、京都の丸山公園の枝垂桜、平安神宮の紅枝垂、三春の滝桜などが有名。三月下旬から四月頃、葉に先立って細く垂れた枝に淡紅色の花をつける。白色、八重咲きもある。散策路の枝垂桜が花をつけていた。すぐ隣の自衛隊駐屯地から夕べの喇叭の音が聞えてきた。引力の見えたるしだれ桜かな枝垂桜

  • 木蓮

    木蓮や夕べの風に煽られてモクレン科の落葉低木。中国原産。三~四月頃、葉に先がけて外側が紅紫色、内側が白色の六弁花を空に向かって開く。白木蓮は別種だが、中国原産の落葉小高木。三~四月頃、枝先に芳香のある白色の六弁花をつける。花弁とほぼ同形の白色の蕚片三個がある。公園の一角に紫木蓮が咲いていた。夕方吹く風に花びらが煽られていた。青空を見たし白木蓮咲けば木蓮

  • 花曇

    花曇マレットゴルフ音立てて桜の咲く頃の曇り空をいう。この頃は、日本列島を前線が通過して小さな低気圧が発生しやすくなるため、すっきりしない空模様の日が多い。音読みの「養花天」は漢語的な表現である。今日は、東京で桜が満開の宣言があったが、空は花曇であった。その下で、年配の人たちが楽しんでいるマレットゴルフの珠を打つ音がしていた。用水を歩く鷺をり養花天花曇

  • 連翹

    連翹の光集めて誰(た)もをらずモクセイ科の落葉低木。中国原産。三~四月頃、葉に先立ち、葉腋に対生して黄色い筒状の四弁花をびっしりとつける。花のあとに、小さな卵形の葉が燃え出す。連翹が咲いているひとところがあり、光を集めていた。だが、周りには誰もいなかった。連翹や市井に隠れ住むもよき連翹

  • 雪柳

    日当たりて川へなだるる雪柳バラ科の落葉低木。川岸や岩場などに自生するが、庭や公園に植えられることが多い。三~四月頃、小さな白い五弁花を小枝の節ごとにつけ、雪が積もったように見える。そのため、この名がついた。花弁を米に見立てて、「小米花」「小米桜」とも呼ばれる。川岸に雪柳が咲いていた。雪柳には日が当たり、川へと雪崩れるようであった。夕べには光となりぬ雪柳雪柳

  • 落椿

    カメラ手のふたり寄りきぬ落椿散り落ちた椿の花をいう。山茶花は花びらがばらばらに散るが、椿は花ごとぽとりと落ちる。椿はほとんど上向きに落ち、落ちたばかりのときは、地面にまだ咲いているような感がある。それぞれが一眼レフカメラを手にした若い夫婦らしきふたりが、椿に近づいてきて、咲いている椿と落椿を撮っていた。落椿木洩れ日差してあるがまま落椿

  • スノーフレーク

    スノーフレーク歩き始めの川堤ヒガンバナ科の多年生球根植物。地中海沿岸地方原産。「鈴蘭水仙」「大松雪草」の別名もある。三月~四月花茎の先に鈴蘭に似た白い釣鐘形の花を四~八個つける。花の先端に緑の斑が入っている。葉は水仙に似ている。耐寒性があり、庭先に球根を植えると、毎年春に花をつける。川堤の歩き始めのところに、スノーフレークが咲いていた。白く、小さな花が愛らしかった。スノーフレーク小犬を連るる少女きてスノーフレーク

  • 麗か

    麗かや親子がボール遊びしてすべてのものが春光を浴びて、明るく気持ちよく見えるさまをいう。心地よい温度のみならず、光線の明るさが中心にあるといえる。「長閑(のどか)」に似ているが、長閑はもっと心理的な要素が含まれているように感じられる。今日は風もなく、穏やかで、少し暑いくらいであった。正に麗らかな一日で、公園では親子がボール遊びをしているのがあちこちで見られた。公園の芝に自転車うららけし麗か

  • 初桜

    川沿ひを歩く人増え初桜春になって初めて咲いた桜の花をいう。「初花」ともいい、その年初めて目に触れた桜を指す。毎年、桜の咲く時期は気候、風土、品種によって異なる。咲き始めたばかりの一輪二輪の花を目にした喜びが込められている。また、やっと目にした桜の花には、それまで待ち望んできただけに大きな感動がある。午前中は激しい風雨であったが、昼頃雨は止み、午後は急速に晴れてきた。川沿いを歩く人も次第に増えてきた。川堤には初桜が見られた。(東京は今日、気象庁より桜の開花宣言があった。)啓翁桜初花やベンチの媼遠目して初桜

  • 沈丁花

    霊園に門などはなし沈丁花ジンチョウゲ科の常緑低木。中国原産。庭木として植えられる。漢名は瑞香。三月~四月頃、赤い小花を球状につける。開花すると四裂の白い花びらの内側を見せる。星形の花弁のように見えるのは蕚片。白色種もある。甘く強い香りが特徴。和名の「沈丁花」は、沈香と丁字の香りを併せ持つからとも、香りは沈香で花の形は丁字であるからともいわれる。霊園の入口に沈丁花が咲いていた。その霊園には門などはなかった。坂上りきて沈丁の香なりけり沈丁花

  • 風光る

    風光る川の中州に鷺のゐて麗らかな春の日に、風がきらきらと輝いているように見えることをいう。春は日差しが強まり、草木や水面や建物などに反射してまばゆく感じられる。それを風が光ると感じた季語である。川の中州に鷺がいた。そこを吹く風が光って見えた。久々に白き富士あり風光る風光る

  • 菜種梅雨

    菜種梅雨レターパックを小脇にし三月から四月菜の花が咲く頃、しとしとと降り続く長雨をいう。本来の意は、その頃に吹く雨を含んだ南東の風のことであったようであるが、今では雨天を指す。暗さの中にもどこか明るさの漂う気分がある。昨夜から菜種梅雨となっていた。その中を、レターパックを小脇に抱えて、郵便局のポストまで出しに行った。野菜なき直売所なり菜種梅雨菜種梅雨

  • 鳥曇

    すれ違ふ人なき道や鳥曇雁や鴨などの渡り鳥が、春になって北方へ帰っていく頃の曇り空をいう。その雲を鳥雲といい、この頃の風を鳥風という。この風に乗って鳥は北へ帰っていくという。また、帰る鳥の群れをなして羽ばたく音が風音のように聞こえるので、鳥風という説もある。川沿いの道を歩いた。鳥曇というべき曇り空であったため、すれ違う人がいなかった。木を映す潦あり鳥曇鳥曇

  • 馬酔木の花

    花馬酔木池の向かうに茶室ありツツジ科の常緑低木。日本固有種。山野に自生するが、庭に植えられたり、盆栽にもされる。三~四月頃、鈴蘭に似た白色で壺状の花を枝先に多数総状に垂らす。有毒植物で、牛馬が食すると痺れて酔ったようになるのでこの名がある。標準和名は「あせび」。園芸品種には桃色の花もある。日本庭園に馬酔木が咲いていた。池を隔てた向こう側には茶室があるのが見えた。馬酔木咲く畑にいつもの農夫ゐて馬酔木の花

  • 辛夷

    青空に似合ふ辛夷と仰ぎけりモクレン科の落葉高木。日本原産。山林に自生し、庭木にもされる。三月中旬頃から、葉に先立って木蓮よりやや小振りの白色六弁花をつける。花には芳香があり、一樹を真っ白に覆うと、春が来たことを実感する。辛夷の花が咲いていた。この白い花は、青空によく似合うと思い、見上げていた。花辛夷昼月掲げゐたりけり辛夷

  • 柳の芽

    芽柳と風に吹かれてゐたりけり柳は種類が多いが、なかでも枝垂柳の芽はその美しさを讃えられる。早春に伸びた柳の枝に、三月頃、浅緑の新芽が吹き出す。芽吹いた柳が池畔や街路で揺れているさまは、いかにも春らしい。川に風が吹いていた。川岸に立ち、柳の芽と一緒に風に吹かれていた。シューマンの「ライン」聴きをり柳の芽柳の芽

  • 桃の花

    缶珈琲微糖にしたり桃の花バラ科の落葉小高木。中国原産。三月下旬から四月、真っ直ぐな枝に桃色の花を密集してつける。一重と八重がある。桃の花は万葉時代から愛でられてきた。単に桃といえば桃の実をさす。観賞用の花桃には、白、緋、紅白咲き分けの源平もある。散歩していて、温かい缶珈琲を飲みたかったので、自動販売機で微糖のものを選んだ。近くに咲く桃の花を眺めながら飲んだ。桃咲いて何もなき畑明るうす桃の花

  • 彼岸会

    つひに雨降つてきたりし彼岸道春分の日を中日とする前後三日の七日間を彼岸といい、この期間に各寺院で営まれる法会を彼岸会という。彼岸は、煩悩の此岸から悟りの世界へ至るという意味をもち、中日には太陽が真西に沈み、衆生が西方浄土の所在を知ることができるようにするための仏事を行うようになった。これが古来からの祖霊信仰と結びつき、墓参りが行われる。お中日に墓参りをしようとして彼岸道を歩き出したところ、ついに雨が降ってきた。武蔵野の風雨激しやお中日彼岸会

  • 椿

    白芯卜伴散策の人ら見上ぐる椿かな紅椿ツバキ科の常緑高木。燭紅春、緑の葉の間に紅や白の美しい五弁花をつける。その美しさを「玉椿」と称える。日本にもともと自生していたのは藪椿であり、それをもとに園芸種が多数作られた。一重咲きと八重咲きがある。川沿いの道は散策の人やジョギングの人達が多く通る。道の脇に咲いている椿は、その人たちに見上げられていた。乙女椿近づいて乙女椿にときめきぬ椿

  • 涅槃西風(ねはんにし)

    固まつて帰る学童涅槃西風釈迦の入滅した日である涅槃会(旧歴二月十五日)前後に吹く西風をいう。俗に西方浄土からのからの迎え風というが、まだ寒さが残る頃の西風である。また、春の彼岸の頃にあたるので、「彼岸西風」ともいう。涅槃西風が吹きつけ、校庭の土埃が巻き上がり流れる中、学童たちは固まって帰って行った。西方へ向かふ旅客機彼岸西風涅槃西風(ねはんにし)

  • 春の川

    夕日には金色となる春の川温んできた春の水の流れる川をいう。春になって雨や雪解けなどで水嵩を増し、勢いよく流れる川、田畑の間を縫うように流れる小川、野や町をゆったりと流れる川など、春の川には様々な表情がある。春に膨らむ猫柳、芽柳などが川面に映えていよいよ春らしい景色となる。浅瀬に夕日が差していた。春の川は眩いばかりの金色となっていた。春の川夕日明りに鯉睦み春の川

  • 木瓜の花

    池あれば見に行かむとて木瓜の花バラ科の落葉低木。中国原産。日本には、実が薬用になるので、江戸中期に渡来した。春、葉に先立って花をつける。枝には鋭い刺がある。深紅の花をつける「緋木瓜」、紅白の混じった「更紗木瓜」、白一色の「白木瓜」など品種が多い。一重のほか八重咲きもある。近くに池があるというので、見に行きたいと思い歩き出した。その途中、木瓜の花が咲いていた。健やかな明日を願ひぬ更紗木瓜木瓜の花

  • 春光

    麻布台ヒルズ春光返しをり春光は本来、春景色や春の風光をいう言葉であるが、春の光として詠む句が多くなった。ガーデンプラザまばゆい光や春らしい柔らかさ感じさせる。麻布台ヒルズギャラリー春色、春望なども同様に、春の景色をいう。麻布台ヒルズ森JPタワーこの三月十三日に食品エリアのマーケットがオープンしたばかりの麻布台ヒルズを訪れた。ビルの前に立つと、ヒルズの象徴であるタワーが春光を眩しく返していた。春光の溢るる川に親子かな春光

  • 菜の花

    菜の花に夕日明りや川堤アブラナ科の越年草の油菜の花をいう。春、高く薹を立て、黄色の四弁花を傘状に密集させてつける。油菜は菜種油の採種用として栽培されてきたが、現在では西洋油菜にほとんど取って代わられた。切り花として栽培したり、蕾を食用として出荷している。川の土手に菜の花が咲いていた。夕日を受けて黄色い花が一層明るかった。花菜風一人歩きを楽しみて菜の花

  • 春日

    春日燦ボール遊びの親子ゐて春の太陽をいう天文の季語。別に、春の一日をさす時候の季語である「春の日」「春日」がある。春の昼は長く、暖かい。そのなかを太陽がのどかにわたってゆく。日暮れには夕日が西空を染め、郷愁に誘われる。広場に春の日が燦燦と降り注いでいた。その下で親子がボール遊びに興じていた。林へと春の入日の大きかり春日

  • 薺の花

    広がりて畑の一角花薺アブラナ科の二年草。春の七草の一つ。七草粥に入れて食べる風習がある。道端、田畑、空地などどこででも見られる。直立した茎が伸び、その先に白い十字形の四弁花を多数つける。倒三角形の実を結ぶが、これが三味線のばちに似ているところから三味線草、ぺんぺん草とも呼ばれる。薺の花が広がっていた。それは畑の一角にあった。気散じにぺんぺん草を鳴らさむか薺の花

  • 黄水仙

    園児らに迎への車黄水仙ヒガンバナ科の多年草。南ヨーロッパ原産。日本には江戸末期に渡来し、観賞用に栽培された。三月頃、葉の間から花茎を伸ばし、頂に香りの高い濃黄色の六弁花を数個つける。切り花としても好まれ、園芸品種が多数ある。道端に黄水仙が咲いていた。近くの保育園には園児らの迎えに車が何台も来ていた。畑には夕日差しきぬ黄水仙黄水仙

  • 青麦

    青麦に日のちらちらとして眠し春、穂の出る前の葉や茎が青々としている麦のことをいう。麦はイネ科の一、二年草。初冬に蒔かれ、発芽し、寒さに耐えて冬を越した麦は、暖かさの中で勢いよく若葉を成長させる。そして、畑全体をみずみずしい鮮やかな緑で覆い尽くす。畑の青麦が日にちらちらとしていた。そののどかな風景を見て、何となく眠くなった。学童の通ふ道なり麦青む青麦

  • 蓬生ふ子供ら遊ぶ声のしてキク科の多年草。山野に自生する。葉は深く切れ込み、裏面に白い綿毛が密生する。葉に香気がある。若葉を積み、搗いて草餅を作り、色や香気を楽しむ。また、生長した葉は干して葉裏の綿毛を集め、灸に用いる艾(もぐさ)の原料にする。空地に蓬が生えていた。そこに、近くで遊んでいる子供たちの声が聞えていた。ジョギングの翁の多き蓬かな蓬

  • スノードロップ

    木洩れ日のスノードロップ絵画めきヒガンバナ科の多年草。地中海東部原産の球根植物。日陰を好み、花壇、落葉樹の下の植え込み、鉢植えなど観賞用に利用される。二、三月頃に釣鐘型の白色の花を下向きにつける。別名「松雪草」「雪の花」と呼ばれる。木洩れ日の中、スノードロップが咲いていた。その様子は、まるで絵画を見るようであった。松雪草に屈めばひとも屈みけりスノードロップ

  • 山茱萸の花

    山茱萸の花へ自ずと足向かふミズキ科の落葉小高木。中国、朝鮮半島原産。古くから生薬として用いられたが、現在ではほとんど観賞用花木として栽培されている。早春、葉の出る前の枝先に黄色の小さな四弁花を球状につける。和名を「春黄金花」という。木が黄色で埋め尽くされた山茱萸の花が咲いていた。その花を見るやいなや足が勝手にそちらへ向かっていた。山茱萸の花やをみなの管理人山茱萸の花

  • 春陰(2)

    春陰といへど少しく歩きけり春になっても曇って寒さがぶり返すことがある。暗く雲が垂れ込めた日は陰鬱な気分となる。「秋陰」と似ているが、春陰はこれから暖かく、より明るくなる時期だけに、憂いを帯びた陰りを感じさせる。春陰で肌寒く、歩く人もほとんど見られないが、健康維持のため少しだけ歩いた。春陰やレターパックを小脇にし春陰(2)

  • 喇叭水仙

    喇叭水仙パークトレイン近づき来ヒガンバナ科の多年草。ヨーロッパ原産。日本には明治末年に渡来。観賞用に広く栽培される。花の色は白または黄色であるが、ピンクやクリーム色などの新種もある。花の中央の副花冠が発達し、喇叭状をしているところからこの名がある。公園に喇叭水仙が固まって咲いていた。そこへパークトレインが近づいて来た。喇叭水仙乳母車には小犬乗り喇叭水仙

  • 下萌

    麺麭買つて帰る道なり下萌ゆる下萌は、早春、地中から草の芽が萌え出ること、またはその芽をいう。野に山に草が萌え出て、明るい春の到来を告げる。古来、下萌は、人知れず恋い焦がれる「下燃え」という意味にも通っているようである。麺麭を買って帰る道の両側は、丁度草が萌え出ていた。土手青む犬には犬の意思ありて下萌

  • 雛祭

    茅葺の江戸の庄屋の雛(ひひな)かな三月三日、女児の成長を願い、雛壇に雛人形や調度を飾る行事をいう。雛に桃の花を飾り、白酒、菱餅、あられなどを供えて祝う。もともと人形(ひとがた)で身体の穢れを祓い川に流した上巳(じょうし)の日の祓の行事に、雛遊びの風習が習合したものである。江戸時代から紙雛に代って内裏雛が多く作られるようになり、豪華な段飾りへと発展した。茅葺の江戸時代の庄屋が移築されていた。そこに雛の七段飾りが設けられていた。雛の夜の酒を少しく過ごしけり雛祭

  • 春寒(はるさむ)

    春寒し川辺の石に石叩き早春の寒さのことをいう。「余寒」や「冴返る」と同じであるが、すでに春になった気分が強い。「料峭」は春風が寒く感じられることをいう。今日は気温が低く、春寒しという感があった。川に行くと、川辺の石に鶺鴒がいて尾を振っていた。料峭や帽子目深きジョガーゐて春寒(はるさむ)

  • 木の芽(このめ)

    天を指すものばかりなる木の芽かな春に芽吹く木々の芽の総称。俳句の場合は「このめ」と読む。「きのめ」は、木の芽和え、木の芽田楽のように特に山椒をさす。木の芽立ちは木の種類、寒暖の違いにより遅速がある。色も萌黄色、浅緑色、緑色、濃緑色などがあり、形状もさまざまである。あちらこちらで木の芽が見られた。そのどれもが天を指すものばかりであった。健やかに生きむ木の芽に力得て木の芽(このめ)

  • 春の鳥

    目白春禽の一瞬貌を見せにけり尉鶲(雌)春に見かける鳥をいう。椋鳥春は、繁殖期を迎えた鳥が活発に活動するため、鳥が目につく季節である。背黒鶺鴒縄張り宣言や囀りが盛んになるので、人々はそこに春らしさを感じる。鵯春の鳥が盛んに枝移りをしていた.なかなか貌を見せないが、一瞬だけ貌を見せてくれた。小啄木(こげら)里山を鳴き移りをり春の鳥春の鳥

  • 紅梅

    紅千鳥紅梅へそそぐ日差しやありがたき紅色の花をつける梅のことをいう。花期は白梅よりやや遅い。花の色は艶やかである。八重寒紅白梅に比べると、若々しい華やぎがある。広い公園に紅梅が咲いていた。その紅梅に降り注ぐ日差しをありがたいと思った。鹿児島紅紅梅や渡つてみたる池の橋紅梅

  • 金縷梅(まんさく)

    まんさくを絞る強風とはなりぬマンサク科の落葉小高木。山野に自生するが、観賞用として植栽もされる。早春、葉に先立って黄色い線状のねじれた四弁花を枝いっぱいにつける。金縷梅の名は、他に先がけて「まず咲く」ことから転じたとも、黄色い花が稲穂を思わせ、豊年満作につながるからともいわれる。今日も春北風が吹き、金縷梅の花を絞るほどの強風となった。金縷梅や滑り台には子が一人金縷梅(まんさく)

  • 春北風(はるきた)

    春北風や畑のビニール波打ちて日本海を通り過ぎた低気圧が北海道の東の海上に達し、西から移動性高気圧が進んでくると、一時的に西高東低の冬型の気圧配置に戻ることがある。この時に吹く北寄りの風を「春北風(はるきた)」と呼ぶ。「ならい」は、東日本の太平洋側、特に関東地方で吹く冬の季節風の呼び名。春先にも吹き、これを「春北風’(はるならい)」という。春北風は「春はまだこれから」と思わせる寒さを伴った風である。春北風が激しく吹き渡っていた。そのため、畑の野菜を覆っているビニールが波打っていた。春北風秩父連山紺深く春北風(はるきた)

  • 月影月影は好きな梅なり若きより南高梅バラ科の落葉小高木。中国原産。日本には八世紀頃、漢方薬の烏梅(うばい)として渡来したとされる。長束(なつか)早春、他の花に先がけて芳香のある五弁花をつける。八重咲きもある。思いのまま梅の名所として、偕楽園、吉野梅郷、熱海梅園、月ヶ瀬梅林、北野、南部(みなべ)梅林などがある。月影枝垂梅の中で一番好きなのは「月影」という名の梅。野梅系、青軸性で、花が薄く緑がかった一重てある。若い頃から好きだった。白加賀白梅や小澤征爾も鬼籍にと梅

  • 春の月

    薄雲のかかつてゐたる春の月単に月といえば秋の季語なので、特に春の一字をつけて春の季語とする。春の夜は大気中に水分が多いため、月は潤んで見える。秋の月はさやけさを愛で、春の月は艶なる風情を楽しむ。今日は満月だったが、春らしく薄雲が出て月がにじんで見えた。春満月見てよりカレー作りけり春の月

  • 菠薐草

    目に優しはうれん草の深緑アカザ科の一・二年草。西アジア原産。早春の代表的な緑色野菜で、ビタミンCや鉄分を含む。お浸し、和え物、炒め物などに広く使われる。根元の赤い在来種は江戸時代に渡来し、丸葉で根の白い西洋種は明治時代に渡来した。畑に菠薐草の列が見られた。菠薐草の深緑色は目に優しかった。酒すすむ菠薐草の炒め物菠薐草

  • 獺(かわうそ)魚を祭る

    獺祭(だつさい)やたあれもをらぬ川堤七十二候の一つで、二十四節気の雨水の初候。陽暦二月十九日から二十三日頃までの約五日間に当たる。獺が捕らえた魚をすぐには食べず、岸辺に並べておくという意味である。なお、正岡子規の別号「獺祭書屋主人」はこれにちなむものである。獺魚を祭るの候となった。本来なら少しずつ暖かくなる時期であるが、今年は初春が暖かすぎた反動で厳しい寒の戻りとなっている。そのせいで、川堤には歩く人は誰もいなかった。魚祭る獺(をそ)や暗雲垂れ込めて獺(かわうそ)魚を祭る

  • 冴返る

    イヤホンはシベリウスなり冴返る立春を過ぎて暖かくなりかけた頃に、また寒さが戻ってくることをいう。再びの寒気によって、心身の澄み渡るような感覚が戻ってくる。早春の寒さという点では「余寒」「春寒」と似ているが、「冴え」という言葉からは、色や光のより感覚的な働きがある。散策するときはイヤホンをつけて音楽を聴いている。シベリウスの曲を聴き、冴え返った感が更に深まった。寒戻る木を映しゐる潦(にはたづみ)冴返る

  • 薄紅色

    薄紅梅明日安かれと佇みぬバラ科の落葉高木。中国原産。色の薄い紅梅の花をいう。華麗な紅梅と違い、清楚な美しさがある。薄紅梅が咲いていた。その下に佇み、明日も穏やかな一日であるようにと願った。川岸の薄紅梅に日差しけり薄紅色

  • 雨水

    黒雲の速き流れも雨水かな二十四節気の一つで、陽暦二月十九日頃に当たる。降る雪が雨に変わり、積もった雪や氷が解けて水となるとの意から、雨水という。雨水直前の朔日が旧正月(春節)であり、旧正月の日付を決める基準である。雨水の今日は曇り、一時雨も降った。黒い雲の流れが速いのも雨水であると思った。雨水かな浅瀬を鯉の泳ぎゐて雨水

  • 春の土

    大胆な人の足跡春の土春になって凍てがゆるんだ土をいう。柔らかく黒々とした土には、ひとしお春の訪れを感じる。雪と氷に閉ざされた地方で生まれた「土恋し」がもとになった比較的新しい季語である。畑に大胆な人の足跡があった。畑は柔らかく、踏めば足跡がくっきりとつく春の土であった。飛び立ちし鳥の足跡春の土春の土

  • 古草

    古草や散歩の犬とすれ違ひ春になって残っている古くなった前年の草のことをいう。去年生えてまだ枯れずにある草で、常緑の多年草なら殆どがあてはまる。古草は古草のみがあるだけではなく、若草の中に混じっているものをさす。川沿いの道に古草が残っていた。その前で、散歩をしている犬とすれ違った。古草の野に遊ぶ子のをらざりし古草

  • 魚氷(ひ)に上(のぼ)る

    魚は氷にひたすら歩く川堤七十二候のうち立春の三候をいう。二月十四日頃から十八日頃までの約五日間に当たる。この時期になると少しずつ暖かくなり、川や湖の氷が割れて、その隙間から魚が氷の上に跳び上がるという意味である。魚氷に上る時節となった。暖かくなったので、ひたすら川堤を歩いた。魚は氷に上りそろそろ旅心魚氷(ひ)に上(のぼ)る

  • 春一番

    春一番走らせ畑の土埃立春後、初めて吹く強い南風のことをいう。強力な日本海低気圧へ吹き込む風で、大体二月末から三月初めに吹く。だが、今年は本日、関東、北陸、四国の各地方で二週間も早い「春一番」が観測された。元々は壱岐地方の漁師が使っていた言葉であったが、気象用語として定着した。今日、春一番が吹いた。畑の土埃を走らせ、凄まじい勢いであった。春一番鴉四十羽流しけり春一番

  • 小松菜

    小松菜の畝の幾列夕迫りアブラナ科の一年生または越年生の草本。葉の大きい濃緑色の野菜。耐寒性が強く、葉質が軟らかで繊維が少ないため、汁の実、浸し物などにする。東京の江戸川区小松川が原産地といわれ、この名のもととなった。若い菜は鶯菜とも呼ぶ。畑に小松菜が幾畝もあった。畑には夕暮れが迫っていた。小松菜のパスタに開けぬ白ワイン小松菜

  • 早春

    早春の山並見ゆる畑かな立春以後、二月いっぱいくらいをいう。まだ寒さが厳しいなかにも春の息吹が感じられる。気候や生物の営みに明るさや活力が感じられるようになる。「春浅し」と時期的にほぼ同じである。散策していると、人の営みが感じられる畑があった。そこからは、早春の青い山並が望まれる、そんな畑であった。早春や散歩の犬の見目よくて早春

  • 野梅

    カメラマン野梅と夕日浴びゐたり山野に自生する梅、または野に咲く梅をいう。一月から二月にかけて美しい白色一重の花を気品よく咲かせ、開花すると芳香を漂わせる。野梅は最も多く分布しており、庭園にも植えられる。川岸に野梅が咲いていた。若いカメラマンが望遠付きのカメラを持ち、野梅とともに夕日を浴びていた。川沿ひの道逸れ来れば野梅かな野梅

  • 斑雪(はだれ)

    をちこちに米軍基地の斑雪かなまばらに降り積もった春の雪、または解けかけてまだらに残っている雪をいう。春の雪は解けやすいが、日差しや地形によりすぐ解けるところ、降り積もるところができ、まだらに解け残るのである。また、はらはらとまばらに降る雪のこともいう。散歩していると米軍基地があった。広々とした基地の中のあちこちに斑雪が見られた。片側や畑の隅のはだれ雪斑雪(はだれ)

  • 春泥

    春泥や自転車通る森の道春のぬかるみのことをいう。春先は雨量が増え、気温もまだ低いので、土の乾きが遅い。特に凍解け、雪解けなどによって生じる泥濘は人々を悩ませる。森の中の道が春泥となっていた。そこに自転車が通った轍が残っていた。春泥を恐る恐るに学生ら春泥

  • 春陰

    春陰や畑道に誰(た)も出会はずに春の曇り空をいう。「花曇」と似た季語であるが、初春から晩春まで花時に限らず使われる。明るい春にあって憂いを帯びた陰りを感じさせる。春陰の中散策をした。畑道を歩いたが、誰にも出会わなかった。春陰の夕日のありど野に立てば春陰

  • 藪椿

    S字型散策路なり藪椿ツバキ科の常緑高木。暖地、特に太平洋側の海岸近くの丘陵に自生する。数多くの園芸品種のもととなった種類である。春早く、枝先に紅色の五弁花を一個ずつつける。別名、山椿。散策路がS字型に曲がっていた。その脇に藪椿が咲いていた。藪椿前を男の走りけり藪椿

  • 春浅し

    春浅し空青くして畑白き立春以後の春とは名のみの頃をいう。降雪もあり、木々の芽吹きにはまだ間がある頃である。だが、寒さの中に春はその気配をわずかに漂わせている。「早春」とほぼ同じ季語だが、「春浅し」の方が語感が柔らかい。春雪の降った後、一気に晴れ渡った。空は青くして、畑はまだ真っ白であった。春浅しの感があった。浅春や用水に鷺二羽降りて春浅し

  • 春の雪(2)

    ポストへと春雪の道歩きけり春の雪はすぐに解けやすいが、曇っていて気温が低いと解けずに残っている。外に出てみると、昨日降った春の雪が畑や空地に真っ白に残っていた。二年振りの春の雪も滑ったりしなければ、見ていて楽しいものであった。郵便物を出しに、長靴を履いて春雪の道をポストへと歩いて行った。いつもの道が長く感じられた。父母のゐしころ思ひ出す春の雪春の雪(2)

  • 春の雪

    自転車を転がし行けり春の雪立春以降、春になってから降る雪をいう。関東以西では、ことに春先に思わぬ雪に見舞われることがあり、春を呼ぶ雪ともいわれる。春の雪は、冬の雪と違って解けやすい。午後に春の雪が降り、夕方には降りしきって真っ白に積もった。保育園に幼児を迎えに行った自転車は、乗らずに転がして帰って行った。春雪や日課の散歩叶はずに春の雪

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