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2019/10/20

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  • 目標不在

    新入社員 来週から私の部署に新入社員が配属になります。通常、新入社員に仕事を教えるのはすぐ上の先輩社員と相場は決まっていますが、我が部の場合、三十代半ばの中堅社員が“すぐ上”の先輩、対する新人は女性とあって、部長や課長が心配しているという話が漏れ伝わってきました。それを耳にした“先輩社員”は、自分が信用されていないことにひどく落ち込んでいるという話も漏れ伝わってきました。 せっかく欠員の補充ができたにも拘わらず、いざ受け入れる段になって及び腰になるのは、滑稽を通り越して呆れてしまいます。 指導役となるはずの中堅社員は、セクハラやパワハラとも無縁の、生真面目で冷静で ― いずれにせよ、何か問題を…

  • 働きにくさ

    前回の記事で触れたとおり、私の職場はコロナ禍以前の勤務形態に戻りつつあります。在宅勤務日数の制限もさることながら、執務室の人口密度上昇で以前よりも働きにくい職場になってしまったのではないでしょうか。 物理的な職場環境の悪化や働き方の不自由さの影響は、数日、数か月の短い時間では目に見えないかもしれませんが、転職を考えている社員の背中を、悪い意味で後押しする効果はあると考えています。 若手や中堅社員の退職数が増え始めたのは、もう十年近く前のことです。“終身雇用制度が実質的に終わりを告げたから”というのは、転職を考える理由のひとつであって、勤めている会社に何の不満もなければ、転職を考えることもないで…

  • 働き方改悪

    新年度より就業規則が改定となり、在宅勤務は週二日までに制限されました。コロナ禍において導入された在宅勤務。社員の間では評判が良かったはずなのですが、会社が気に食わなければ、社員にとってどんなに良い制度も取り上げられてしまうのだと分かりました。 リモートワークをきっかけに通勤の便の悪い地に転居した社員や在宅勤務を前提とした家事・育児の分担をしてきた社員は少なくありません。彼ら・彼女らにとっては、在宅勤務の制限は労働条件の改悪です。 “働き方改悪”の結果は、別のところですでに見え始めていました。在宅勤務制度と併せてフリーアドレス化を進めていた職場。当初、“実証試験的に”導入したはずのフリーアドレス…

  • 欠員補充

    新年度を迎えて一週間が経とうとしています。私の部署には新入社員一名が配属されることになっており、新人研修を終えてゴールデンウィーク前には欠員の穴が一つ埋まることになりますが、それで部署の仕事が俄かに楽になるわけではありません。 新入社員を受け入れる課は、かつては課長以下五名で仕事を回してきました。それが、この三年余りの間に、異動や転職によって減員となり、欠員が補充されないままに今では課長と部下一人になっていました。欠員は他の部署からの兼務で凌いできました。 昨日、新入社員を受け入れる課の課長と話す機会がありました。課長が「新人が仕事に慣れたら、いずれ私の仕事のサポートもしてもらう」と気前の良い…

  • 再雇用嘱託の退職

    使い勝手 来週から新年度というタイミングで三月の人事異動の追加発令が公表されました。追加されたのは両手で余るほどの自己都合退職者。その半分は定年退職後に再雇用された嘱託社員でした。 六十歳の定年後、本人が希望すれば五年間は嘱託として働ける制度にも拘わらず、年度末の区切りで複数名が自己都合で退職するというのは、私は今まで聞いたことがありませんでした。 ただ、それは私にとって大きな驚きではありません。 数年前から採算性の悪い地方の事業所を統廃合する計画が立てられており、それに伴い地元での新卒採用を中止していました。それ以降、人手不足は本社からの転勤者で回していましたが、今のご時世、単身赴任を嫌う社…

  • 春先

    春先のこの時期、私にはあまり良い思い出がありません。数年前の今頃、数十年前の今頃、自分が何をしていたか頭を過ることがありますが、それらは大概不快な記憶です。失恋の痛手、受験の失敗、メンタル不調 - 。同じ時期の良い思い出を探そうと思えばいくらでも見つかるのですが、悪い記憶が勝手に割り込んできて、明るい情景を押しのけてしまいます。 しかし、それは私の個人的な心持ちの問題で、妻に打ち明けるにはばかばかしく、ましてや専門家に相談するようなものでもあるまいと思い、静かに悩み続けてきました。 個人的でばかばかしい悩みは、ある時期を境にとても軽い、取るに足らないものに変わります。歳を重ねてストレス耐性が高…

  • 母の長話

    年に一回、高齢の母親に認知症の検査を受けさせるようにしています。 本人は、「ボケ老人扱いするな」と言うこともあれば、「いよいよボケてきたのかもしれない」と弱音を吐くこともあります。自分の都合の悪い時はボケたふりをしているのかもしれません。 今回もお医者さんの見立ては「異常なし」。息子としては一安心ですが、母の四人の姉のうち、すでに鬼籍に入っている二人は、ともに、晩年は認知症を患い、自分が何者なのかも分からずにこの世を去りました。 母が私のことを息子だと分かっているうちに看取ることができれば – などと思うのは不謹慎なのは分かっています。ただ、伯母たちの最期を知る人間からすると、長く生きる分幸せ…

  • 折り合い

    キャリアのために 以前、ある中堅社員が、育児休業を取得した後に自分の評価が大きく下がったと嘆いていました。それは今まで順風満帆で、同期の中でも出世頭だった彼のプライドを大きく傷つけました。 結局、彼は転職して会社を去って行きました。最後の会話で、彼は「(私のように)家族のためにキャリアを捨てることができなかった」と言いました。 私にとってキャリアとは固執したり捨てたりするものではなく、ましてや“家族のため”に捨てたという意識はありませんでした。 ただ、あの時、彼の誤解を解こうという気持ちが私の中から湧いてきませんでした。彼に自分のことを分かってもらう必要がなかったからです。それは、彼が会社を去…

  • 休職期間満了

    以前の記事で触れた休職中の同僚が、休職期間満了となり退職します。 lambamirstan.hatenablog.com 先週送られてきた彼からのメールには、今月末で退職することと、私からの返信は無用であると書かれていました。二年近く続いた彼とのメールのやり取りは、あっけなく終わりました。 彼は自分なりに職場復帰に向けて格闘していました。仕事を離れてゆったりと心を癒すことが彼にはできなかったのでしょう。彼のメールは、職場復帰への希望と、思うように体調が戻らない焦りが綯い交ぜになっていることが少なくありませんでした。 彼は主治医と相談の上、リワーク(職場復帰)プログラムに参加しリハビリ出社も試み…

  • 謝罪と勝ち負け

    「謝って済むなら警察は要らない」という言葉は、私たちの文化に根付いています。確かに、多くの場合、謝罪は問題を解決する第一歩です。しかし、最近の社内を見渡すと、謝罪を「勝ち負け」の一環として捉えられ、頭を下げることを拒む社員が増えているような気がします。もしかしたら、会社の外でも同じような傾向にあるのかもしれませんが、幸いにして私はそのような状況に巻き込まれたことはありません。 謝罪は、単なる言葉の羅列ではありません。それは、誠実さ、謙虚さ、そして他者への尊重を示す手段です。謝罪は、過ちを認め、修正するための機会でもあります。それを「敗北」の意味と勘違いして、自分の立場を守ることや自説を曲げない…

  • 寄る年波

    老眼 この一~二年で視力が急激に悪化しているようです。目の疲れを感じることも多くなりました。 四十代半ばにお医者さんから老眼だと言われ、眼鏡を新調してからしばらくの間は文字の読みづらさから解放されていました。 しかし、老眼が進むにつれて目の霞みは酷くなる一方です。最近は、読書用の眼鏡をかけていても三十分もすると字を追うのがつらくなってきます。 私は仕事柄、契約書類に目を通すことが多いのですが、今や文章を読むこと自体が苦痛になり、内容を理解するのに以前よりも時間がかかるようになってしまいました。ワープロソフトのズーム機能や文章読み上げ機能を使ってみても、どうもしっくりきません。 加齢で仕事の能力…

  • イライラとカリカリ

    心配事 妻は三年前の手術の後、毎年今くらいの時期に検査を受けています。がんは寛解とはならないものの、薬でコントロールできているようで、主治医の先生からは経過良好と言われています。 今年も検査の日が近づくにつれて、妻が沈みがちになっているのが分かります。万事順調、心配無用 -私の励ましの言葉は逆効果で、かえって妻の不安を煽っているようです。 そんな気配を察してか、下の娘は先週、休みを取って妻を旅行に連れ出しました。転職したばかりで休みの取れない上の娘は、独りで留守番するのは嫌だと言い出し、結局私も居残りさせられることになりました。 言い訳 上の娘は転職して以来、イライラしなくなり夜もぐっすり眠れ…

  • 歯がゆい思い

    使えない有休 年度末が近づき、人事部からは有休消化を促す“お触れ”が回ってきました。かつて、残業時間“ほぼ”ゼロを達成し、有給消化率も九割を超えた我が部署ですが、それも今は昔。業務量はそのままに欠員が常態化している今の体制では、与えられた有休の半分も使えれば御の字。これから忙しくなる年度末までの間に休みを取る雰囲気ではありません。 欠員が常態化していても、傍から見れば仕事は回っています。いや、仕事が勝手に回ることなどなく、残された部員が少しずつ負担を増やしてなんとか仕事を回しているのです。それは、あくまでも欠員が補充されるまでの間の“辛抱の時期”。しかし、そんな異常事態の中で仕事を続けていれば…

  • キャリア採用

    私の会社の人事部は非常に権威的なところがあって、自分のところの部署には中途採用者を配属させることはほとんどしてきませんでした。ほとんどの部員は入社以来人事畑で“純粋培養”された社員です。十年近く前に、ダイバーシティ推進グループを立ち上げた際、そのグループリーダーにキャリア採用で入社した女性管理職を抜擢しましたが、彼女はいわば“例外”であって、それ以降、配置換えで人事部に異動する社員は出てきていません。 社員は入社時に“職掌”が決められ、基本的のそれがついて回ります。若いうちはジョブローテーションで二年から三年周期でいろいろな部署を回り、職掌も変わる可能性がありますが、「人事」の職掌がつけられた…

  • 変化する人生観

    異動の打診 今年に入ってから二度、異動の打診を受けました。子会社の管理職のポジションです。四月の“大異動”まであと一か月余りとなりましたが、人繰りがつかないとの噂を知らない社員はいません。 昨年も何度か異動の打診を受けた私でしたが、すべて断り続けてきました。かつて人繰りを考えなければならないポジションにいた私としては、上司の苦労は手に取るように分かります。しかし、今の私の頭には「会社のために」という思いはありません。 自分の時間と家族のための時間。それを確保できている今の状態が私にとっては最善の選択だと信じています。ほんの数年前まで仕事を理由に家族のことを後回しにしてきた私ですが、今は、仕事の…

  • メンタルケア

    病気休職からの復帰 先日、病気休職になった同僚の話を記事に書きました。 lambamirstan.hatenablog.com 毎年開催される社内の健康管理セミナーでは病気休職者数の統計が公表されるのですが、とりわけ精神疾患による休職者数が微増傾向にあります。 たしかに、私が若い頃は精神疾患での休職する社員はここまで多くありませんでした。同僚の中には、「ストレス耐性の低い社員が増えた」と嘆く者もいます。私はその考えを否定はしないものの、ストレス耐性など、無理をして高める必要はないと思っています。 会社で働く限り、人間関係や業務目標達成のプレッシャーなどのストレスはつきものです。ある程度の忍耐は…

  • 料理作りの張り合い

    料理作りの張り合い 今の家を建てる時に、私の身長に合わせてキッチンを設えてもらいました。「どうせ週末しか料理をしないのに」と文句を言う妻を押し切ってまでそうしたのは、たまの料理作りが私の息抜きになっていて、それを老後の楽しみのひとつにしたいという気持ちが私の中にあったからでした。 とはいえ、私は料理の腕に自信があるわけでも特別な拘りがあるわけでもありません。手の込んだ料理は作りません。いつものスーパーでほぼ決まった食材を買い込んで、できるだけマンネリにならないように組み合わせて料理するだけです。 今、毎日の食事のメニューは、妻のその日の体調によって決まります。以前は妻の分だけ別に用意していまし…

  • 中堅社員の休職

    中堅社員の休職 年明けから年度末の三月までの間は、子会社の決算や予算策定でどこの部署も忙しく、それに伴って職場の“鬱度”も高まります。若い頃の私が精神的に不調を来たしたのもこの時期なので、個人的に春先はあまり好きな季節ではありません。 私のよく知っている中堅社員が病気休職になりました。私がまだ部長だった頃に、次期課長の候補として引き抜きに失敗した社員です。 彼とは今まで一度も同じ部署で仕事をともにしたことはありませんでしたが、単発のプロジェクトで顔を合せることが度々ありました。仕事に対する意欲や人柄もさることながら、私はチーム・ビルディング長けた彼にとても助けられました。 兎角、期間限定のプロ…

  • 通院の付き添い

    三週間に一度、妻は抗がん剤の投与を受けています。倦怠感や吐き気、発熱やお腹の不調、それらがようやく治まる頃に次の通院日がやってきます。 そんな繰り返しは、そばで見ている私にとってもつらいものでしたが、今は比較的副作用の軽い薬になり、以前に比べると妻の体への負担も和らいでいるように見受けられます。 だからと言って、定期的な通院が憂鬱なものであることに変わりはありませんが、妻も私もそれを日常の生活に溶け込ませて、受け入れたふりができるようになりました。そして、副作用が鎮まって体調が快復するつかの間に、好きなものを食べたり小旅行をしたりと、ささやかな楽しみを見出すようになりました。 妻は当初、通院付…

  • 楽しみな入浴時間

    寒い季節、入浴時間は私の楽しみのひとつです。少しぬるめのお湯に肩まで浸かって雑念と戯れているうちに体の芯が温まってきます。以前は肩こりに悩まされていましたが、ゆっくり湯船に浸かるようになってからはそれもだいぶ改善されました。 かつて、日々仕事に追われていた頃は、お風呂の時間をもどかしく感じていました。自分だけの、リラックスできる時間のはずなのに、シャワーと一緒に頭の中の考えが流されてしまいそうな感覚に襲われ、カラスの行水で入浴を済ませると、次の日の会議の資料に目を通したり翌週の仕事の段取りを考えたりと、気が休まる暇のない生活を送っていました。 心にゆとりがなければ、気を休めることもできず、ます…

  • 娘のホームシック

    無駄遣いは授業料 私たちの娘二人には、就職してからある程度の生活費を家に入れさせています。それ以外は自分が自由にできるお金です。お金が足りないと不満を口にする娘たちに、妻は、せめて小遣い帳くらいはつけるように言いますが、娘たちには馬耳東風。 娘たちからすれば、やりたいことに対して給料が追いついてこない状態なのでしょうが、若いうちはそんなものでしょう。 振り返ってみると、結婚する前までの自分自身のお金の使い方は無駄が多いものでしたが、当時の私が自分なりに考えて使ってきたお金は、全て自己投資と信じていました。 娘たちにしても、何年か先になって、今夢中になっているものが色褪せて見えることがあるかもし…

  • 生きるために生きる

    生きがいの向こう側 妻が乳がんの摘出手術を受けてから丸三年が経ちます。がんを全て除去することは出来ず、がん細胞が増え始めたり転移したりする可能性が残るため治療は継続していますが、状態は安定しています。 毎年この時期、健康診断の日が近づくにつれて妻は沈みがちになります。五年生存率、十年生存率。自分はいつまで生きていられるのか。妻との会話の端々から、彼女が生への不安と死の恐怖を感じながら生きていることが分かります。そんな妻に、私は励ましや気休めの言葉を見つけられずに、ただそばについていることしかできません。 妻の闘病生活を支えてきて、私は生きることをより哲学的に捉えるようになりました。今まで何も考…

  • 我慢不要

    我慢不要 上の娘が転職して半月が過ぎました。給料は下がりましたが、自分の自由な時間が増え、夜もぐっすり眠れるようになったと言います。親としては、週末の寝坊は感心しませんが、娘が充電と称する惰眠をしばらくは見守ることにしました。 娘が変なことにならずに良かったと妻に言うと、娘を放っておくように言ったのは私だと詰られましたが、自分の子を心配しない親などいません。過保護な親を封印して娘に手を差し伸べるのを我慢していたのだと言っても後付けの理由だと撥ね退けられてしまうことでしょう。そう考えて、私は妻にそれ以上の抵抗はしません。 給料や報酬をコンペンセーションということがあります。給料を自分の差し出した…

  • 心の向きの変化

    私の「できない病」 一年の計は元旦にありと言いますが、私はここ数年、新年の計画なるものを定めていません。会社なら、新年度に際して新たな目標を設定して、具体的な目標水準達成のための取り組み方針を決めますが、私はそのような抱負は立てず、ただ心穏やかに暮らすことに専念したいと考えています。 以前の私は、つかの間の休息にほっとすることはあっても、心が安らいでいる実感を持てずに過ごしてきたような気がします。“気がする”というのは、そもそも自分の心の状態を意識することから目を背けてきたからです。 仕事や親の面倒、やることが増えることはあっても減ることはなく、自分のために使える時間が減ることはあっても増える…

  • 地震と骨折

    元日の能登半島の地震。近隣県も大きく揺れました。義兄は、地震直後に今は空き家となっている実家の様子を見に車を走らせました。妻の兄弟姉妹の中で唯一、地元で生活してきた義兄が実家を相続してこれまで手入れを続けてきています。 義兄は実家の管理の他に先祖代々の墓の“墓守”にもなっています。私の妻や北海道に移住した二番目の義兄は、兄の姿をやや冷めた感じで見ている風ですが、地元に残って親の遺志に応えている義兄を私は立派だと思っています。 築五十年の家は、途中何度か改築や修繕を行なっているものの、味わいのある古民家風の佇まいを残していて、義母亡き後も何度か身内の集まりの場となっていました。兄弟姉妹のそれぞれ…

  • 親の愚痴と子どもの愚痴(3)

    親の期待 今まで義姉の口から吐かれた言葉をつなぎ合わせると、連れ合いと結婚して、三十歳前までに一男一女を儲け、自分は専業主婦としてパートで家計を助けながら子育てもこなしてきた - というのが自負なのでしょう。 結婚して子供を産み育てる - 義姉としてはそれが自然な“営み”であって、自分の子供たちもそうするのが自然だと考えていたのだと思います。 しかし、義姉の視点からすれば、子どもたちは“残念ながら”自分の期待とは違う人生を歩んでいます。甥と姪が二十代の頃には、身内が集まるたびに、孫の顔を早く見せてくれと冗談めかして言う義姉でしたが、やがてその顔から笑顔は消え、溜め息が混じり、そして、甥も姪も身…

  • 親の愚痴と子どもの愚痴(2)

    発覚 姪のマンション購入は一年余り前の話でしたが、当時それを知っていたのは妻と二人の義兄だけでした。妻は姪から「両親には自分から話すので」と口止めされていました。 私は嫌な予感しかせず、過去の記事でもそのように書いていました。 lambamirstan.hatenablog.com この記事を書いたのは昨年の九月のことでしたが、その時すでに姪がマンションを買って賃貸のアパートから引っ越ししたことは二番目の義兄から義姉に伝わっていました。 義兄は定年退職の後、縁もゆかりもない北海道に終の棲家を求めて移住しました。そこには、身内との距離を置いて自由になりたいとの思いがあったのではないでしょうか。義…

  • 親の愚痴と子どもの愚痴(1)

    義姉の愚痴 コロナ禍以来、盆暮れ正月に親族で集まることはなくなりました。この正月も義姉から久しぶりに会いたいと言われた妻はそれをやんわりと断ったそうです。年明け早々に身内の愚痴を聞かされたくないというのが理由でした。 私は、妻が義姉を疎んじていることを知っています。年を追うごとに姉が母親に似てきたと言う妻。生き方全般に干渉されることを嫌い、姉との距離を取ろうとする妻の気持ちも分かります。 義姉の愚痴の大半は子どもに関するものです。早く結婚して孫の顔を見せてもらいたい - 身内が一同に会するたびに義姉の口からこぼれる“期待”。それを適当にかわしてきた甥と姪でしたが、やがて甥も姪も身内の集まりに顔…

  • 短い家族旅行

    仕事納め 年内の仕事が片付いたので、二十八日の仕事納めの日は有給休暇を取りました。上司からは、納会の参加者が少ないので顔を出してくれないかと頼まれましたが、それを丁重に断って、妻と二人、家でのんびりと家族の納会を行ないました。 今年は、コロナ禍の影響でしばらく中止となっていた納会が復活しましたが、ふたを開けてみれば、若手社員はほとんど参加していない模様です。かつて若手社員の数が多かった時代ならいざ知らず、最終勤務日に酒盛りの買い出し要員になることが分かっていて、喜んで出社する者などいるはずもありません。 忘年会も納会も、これからは会社行事ではなく、気の置けない者同士の楽しみになっていくのかもし…

  • クリスマスの別れ

    何でもない休日 クリスマス当日よりもイブが主役になったのはいつ頃からなのでしょうか。我が家も気が付けば二十四日に少しだけ贅沢な料理とケーキでお祝いするようになりました。 今年のイブは日曜日だったので、下の娘は予約していたケーキの受け取りとアルコール類の調達、私は家で料理の仕込み、と手分けをして準備を進めました。 次の日は平日なので、夕食を早めにスタートさせようと言ったものの、待ちきれなかった娘たちは日が暮れる前からすでに酒盛りを始める始末。妻と私もそれにつられて宴会に合流してしまいました。 夕食を終えて、ケーキも食べて、それでもまだ宵の口。それから家族四人で他愛のない話とお酒でイブの夜を過ごし…

  • エンゲージメント

    人事制度改革の目玉 ここ数年、社内でよく聞かれる言葉のひとつが「エンゲージメント」です。もちろん、婚約や雇用契約という意味合いではなく、会社に対する社員の忠誠心や愛着、仕事への思い入れや熱意といったところでしょう。 社員のエンゲージメントの向上を図るための人事制度改革 – そんな話が今年の春先から耳にするようになって、先月から今月にかけて社員向けに何度か同じ内容の説明会が行われました。 今回の人事制度改革の“目玉”は、端的に言えば給与体系の見直しです。人事考課や昇格・降格の結果としての給与にメリハリをつけることで、社員の仕事に対する取り組み姿勢や会社への愛着が向上する - 会社がそう判断したの…

  • 後輩の死

    私の一年下の後輩が単身赴任先で亡くなりました。 私が海外駐在から帰国したのと入れ替わりに彼は地方の事業所に転勤となりました。若い頃は、気が向けば仕事終わりに居酒屋をはしごするような間柄でしたが、お互いに飲み交わすタイミングを逸したまま十五年余りが過ぎていました。 通常、単身赴任は三年から四年が目安なのですが、彼が家族と離れて暮らすようになってからすでに八年が過ぎようとしていました。人手不足から、彼の後任がなかなか見つからなかったためです。 たまのメールのやり取りでは、本社に戻りたい彼の気持ちが伝わってきました。彼からの最後のメールは去る八月に届いた業務連絡でしたが、文末に短い夏休みを取って帰京…

  • 後輩の死

    私の一年下の後輩が単身赴任先で亡くなりました。 私が海外駐在から帰国したのと入れ替わりに彼は地方の事業所に転勤となりました。若い頃は、気が向けば仕事終わりに居酒屋をはしごするような間柄でしたが、お互いに飲み交わすタイミングを逸したまま十五年余りが過ぎていました。 通常、単身赴任は三年から四年が目安なのですが、彼が家族と離れて暮らすようになってからすでに八年が過ぎようとしていました。人手不足から、彼の後任がなかなか見つからなかったためです。 たまのメールのやり取りでは、本社に戻りたい彼の気持ちが伝わってきました。彼からの最後のメールは去る八月に届いた業務連絡でしたが、文末に短い夏休みを取って帰京…

  • 家族との時間

    今年も残すところ二週間となりました。 過去の記事でも何度か触れましたが、歳を重ねると時間があっという間に過ぎていくように感じます。一昨年よりも昨年、昨年よりも今年、一年はより短くなり、より愛おしくなりました。 過去には、年末年始を出張先で独り過ごしたこともありました。大晦日の夜まで自室で仕事をしていて、娘たちに泣いて怒られたこともありました。 あの頃の私にとって年末年始の家族とのひと時は、“来年やり直しのできるもの”だったのです。家族との時間はいつでも取り戻せると思って ‐ それを言い訳に、私は目の前の仕事をこなすことしか考えていませんでした。 年末年始の休みだけではありません。娘たちの誕生日…

  • 食生活の見直し

    人間ドック 先々月に受けた人間ドックの結果が送られてきました。数値は全て正常の範囲。体重はこの三年間で約十キロ減りました。体重減に伴って、経過観察となっていた高尿酸血症からも今回“卒業”できたので、私の体は数値だけ見れば健康体だと言えそうです。 妻の闘病開始を機に毎日の食事メニューや食生活の見直しを行なったのですが、私自身の体質改善にも良い効果をもたらすとは想定外でした。 食生活の見直し 食事メニューの見直しは、妻の通院している病院の栄養士さんによる指導が基になっています。当時の我が家の食生活を栄養士さんに大まかに伝えたところ、揚げ物はほとんど作らず、食事全般として薄味傾向なのでその点は問題無…

  • 娘の退職

    先週の金曜日は、上の娘の最終出社日でした。仕事は午前中で終了し、年内は有給休暇を消化することとなります。彼女にとっては学生時代以来の長期休暇。家でゴロゴロしているのだろう ‐ そんな私の予想に反して、娘は休暇の間に友人との旅行や一人旅の予定を目いっぱい詰め込んでいるようです。 lambamirstan.hatenablog.com 「持ち帰る私物が多いから」と私は荷物持ちを頼まれていて、娘とは勤務先のビルの入り口で待ち合わせていました。昼休みも終わろうかという頃に姿を見せた娘は、少しはにかんだような表情を浮かべていました。それは、彼女が何かをうまく成し遂げた時に見せる顔でした。 この一年余りの…

  • 家事負担の難しさ

    家事負担の難しさ 一昨年、妻が手術を受ける際に約二か月間介護休業を取得しましたが、その時に、仕事をそのまま続けながら家事代行や介護のサービスを利用することも考えました。 介護休業の間は会社からの給与は停止され、雇用保険から介護給付金の支給を受けることになりますが、給与相当額が満額もらえるわけではありません。 働き方を変えずに妻の介護や家事も滞りなく行なう方法を模索しましたが、私が介護休業を取ることに決めたのは、損得勘定ではなく自分がどうしたいのかを考えた結果でした。 手術前の約半年間、妻は抗がん剤の投与を行なっていたため、すでにその時から私と娘二人で家事を分担しながら進めようとしていました。 …

  • 若手社員の退職と働き方の選択肢

    若手社員の退職 先月と何が変わったというわけではありませんが、「師走」と聞いただけで何となく心がそわそわしてきます。 私とペアを組んでいた若手社員は今月一杯で会社を去ることになりました。退職日は来年一月末ですが、最終勤務日は今月の二十五日。あとは残っている有給休暇の消化に充てられます。 彼からはすでに先々月には退職の話を聞かされていました。彼は決して軽率短慮な人間でないことを分かっていたので、それが相談ではなく自分で出した結論なのだと受け止めました。 彼はゴールデンウィーク直前に海外駐在の打診を受けたものの、それを断り現職に留まることにしました。婚約者との結婚を控えていた彼は熟慮の結果、人生の…

  • 生き方選び

    止められない時間 内的な時間の長さは年齢に反比例するというのはよく知られている説で、私も実際にそのような感覚を抱いています。 時間が短くなる分、 - これも感覚に過ぎないのですが - やれることが限られてきます。おそらく、私の中では、限られた時間を無駄にしたくないとの気持ちから、物事に取り組む集中力が以前よりも高まった気がします。 今の私は、限られた時間をできるだけ自分や家族のために使いたいと考えます。会社で働くことがどれほど社会のお役に立っているかはともかく、それを社会的役割だとすると、もう一方の家族に対する責任や役割も同じくらい、あるいはそれ以上に大切にしたいと思うようになりました。 仕事…

  • 他人目線の幸せ

    金の切れ目が縁の切れ目 ホストクラブをめぐり、刃傷沙汰や多額の借金を負わされる女性の続出に端を発して、政府がホスト規制に乗り出すというニュースを読みました。 お気に入りのホストの売り上げに貢献するために体を売ったり、犯罪に手を染めたりする女性が増えれば、何らかの対策が必要とは思います。ただ、借金の返済に税金を投じる可能性ありなどと聞くと、私としてはモヤモヤ感を払拭することができません。昔から水商売の女性に貢いで身を亡ぼす男性はいましたが、税金で救済しようとする動きはなかったと思います。 人の気持ちを利用してお金儲けをする方が悪いに決まっているという考えもあるのでしょうが、満足感や自己肯定感を得…

  • 心の性と温泉とトイレ

    心は女性 先日、温泉施設の女性風呂に入った男が逮捕されましたが、「心が女性なので、なぜ女性風呂に入っていけないのか全く理解できない」と供述したとのこと。 件の男の性自認はさておき、本当に“心が女性”であるなら、女性専用の入浴施設に全裸の男が入ってきたときの恐怖や不安を理解できるのではないかと私は思いました。 今回の事件と、いわゆるLGBT法との関連性を指摘する報道もあります。同法が今回の犯罪のきっかけを作ったとは断定はできません。しかし、変質者に都合の良い言い訳を与えてしまった可能性は否定できない気がします。 LGBT法が、自認する性別と合わない体に生まれてきた人の苦しみを理解し、差別のない社…

  • 清く正しく美しく

    宝塚ファンの母 宝塚歌劇団団員の自殺をニュースで知って、私の頭に浮かんだのは、母親が鳳蘭さんの大ファンだったことでした。母は今でも鳳さんのブロマイドや演目のチラシを大切に持っています。 当時幼稚園児だった私は、母に連れられて一度だけ有楽町の宝塚劇場を訪れたことがあります。周りが大人の女性ばかりだったため、子どもの私は戸惑いと怖さで母にしがみついていたことしか覚えていません。 たぶん、私が宝塚歌劇を見たのは - 内容すら覚えていないので見たと言えるかは疑問ですが – その一回限りでしたが、母は知人と連れ立ってしばしば観劇に出かけていました。 劇を見に行った後、しばらくの間、台所で下手な歌を繰り返…

  • 鍋開き

    鍋開き ようやく冬らしい気温となり、この週末に今シーズン初めて鍋料理をしました。例年に比べて約1か月遅れの“鍋開き”を一番喜んでいるのは下の娘です。先月からスーパーに買い出しに行く度に違う種類の鍋つゆを買い込んでいたので、すでに我が家には四回分の鍋の素が備蓄されています。十一月半ばになり、よそのうちの一つをようやく開封することとなりました。 鍋をつつきながら飲むお酒が格別なのだと宣う娘。誰に似たのだろうと妻と私はお互いに押し付け合いますが、元々は二人とも“行ける口”なのですから、私たちの遺伝子が開花した結果であることに間違いありません。 我が家では、アルコールが平日の食卓に登場することはなくな…

  • 老兵は死なず

    老兵は死なず 最近、私は自分の仕事に対して何となく“気が済んだ”ような感覚に囚われることが多くなりました。 それは、仕事に対する情熱を失ったのとは違いますが、自分の気力や諸々のことを考える頭の中の余白をもっと別の自分の興味のあることに振り向けたいという欲求が芽生えているような気がします。 決して仕事の手を抜くことはしませんが、以前のように誰かのために一肌脱いだり、格好をつけて火中の栗拾いや猫の鈴付けをするような真似はしなくなりました。「老兵は死なず」なのです。 私の上司は、第一線を退いた私に依然としてよその部署との調整を頼もうとします。人から頼られるのは悪い気はしませんが、利用されるのはもう止…

  • 娘の転職

    娘の転職 上の娘が来年一月に転職することになりました。希望していた会社から内定通知書を受け取ったのは三連休の前日、最終面接を受けた直後のことでした。 昨年の今頃、娘は塞ぎ込むことが多くなり、心配性の妻は気が気でない状態でした。 lambamirstan.hatenablog.com そんな娘でしたが、ここ数か月の間は吹っ切れた様子でした。私が“壁”を乗り越えたのだと勘違いしている間に、娘は現在の職場に見切りをつけて独り転職活動を始めていたのでした。 娘が転職することを私に打ち明けたのは一か月前のこと。すでに希望する会社は四社に絞り込まれ、それぞれの会社で最終面接一歩手前まで駒を進めていました。…

  • 十一月の夏日

    秋刀魚と鰤 ここ数年、秋刀魚が高級魚になってしまって、口にすることがなくなりました。今年は、スーパーに出回っている秋刀魚もだいぶ手頃な値段になりましたが、それでも値段の割りに身が細くて、まだ様子見です。代わりに我が家の食卓によく登場するのは鰤になりました。 鰤はそのまま塩焼きにして大根おろしで食べるのも良し、照り焼きにしても良しと、私にとっては飽きない食材ですが、妻や娘たちは鰤の“臭み”が苦手のようだったので、調理の際に血合いを丁寧に取り除き、振り塩をして水分をふき取ると格段に食べやすくなることを学びました。これからの季節は鰤大根もお勧めです。 暦は十一月に変わりましたが、冬の料理の出番はまだ…

  • 元気のバロメーター

    旅行とウナギ ネットのニュースで、生活保護利用者のデモの様子が取り上げられていました。たまには旅行がしたい、ウナギが食べたい – それが憲法で保障されている「健康で文化的な最低限度の生活」に欠かせないものなのか、私にはよく分かりませんが、あれが食べたい、これがしたいと言えるのは、心身が健康で、なおかつ“最低限度の生活”が満たされているからこそ、なのだと思います。 私が三十半ばで仕事をしばらく休んだ時は、体を動かしたり考えたりすること自体が煩わしく、食欲や何かをしたいという欲が湧いてきませんでした。心身ともに病んでいた、あるいはその一歩手前では、仕事などできる状態ではなく、ましてや、前向きに行動…

  • タバコの話

    全面禁煙 私の勤め先が入居しているビルは、今時では珍しく各フロアに喫煙ルームがありました。肩身の狭い喫煙者にとって長く憩いの場でしたが、昨春に使用禁止となってしまいました。 “喫煙タイム”への風当たりや社員の健康管理などいくつかもっともらしい理由はありますが、使用禁止の直接的な理由は、他のテナントの従業員がうちの会社の喫煙ルームを利用するようになったことだと同僚から聞かされました。 うちの社員が、“よそ者の”喫煙ルーム使用を禁止するよう総務部に求めたのが発端で、自分たちの憩いの場を失ってしまったわけです。 喫煙ルームは共有エリアに設置されているので、うちの会社が部外者を立入禁止とする権限はあり…

  • 娘たち

    上の娘の習い事 上の娘がまだ幼稚園に通っていた頃、私は家事や子育てをほとんど妻に任せきりでした。週末の休みの日にできる限りの穴埋めをしてきたつもりでしたが、今でもたまに妻からはチクリと嫌味を言われます。 妻は特別教育熱心というわけではありませんでしたが、娘たちのやりたいことは可能な限り実現させてやりたいと考えていたようです。今にして思えば、妻は娘を通じて自分が幼い頃に叶わなかったことを代理体験したかったのかもしれません。 一時期、上の娘のスケジュールは習い事で埋まっていました。ピアノ、水泳、新体操、英会話・・・ほかにもまだあったかもしれません。全て、友達が通っていたものを深く考えもせずに自分も…

  • 自分ができること

    明日の保証 二年半前に妻は左乳房切除の手術を受けました。術後、主治医の先生に呼ばれた私は、手術は成功したものの、リンパ節へのがんの浸潤部位が取り切れずに残っていること、今後は放射線治療と抗がん剤投与を続けること、そして、他の臓器への転移のリスクについて説明を受けました。 手術成功と聞いて、ほっとした私の顔は説明を聞くにつれて暗く沈んで行きました。先生は私に安易な期待を持たせる言葉の代わりにこんなことを言われました。 健康な人もそうでない人も、明日生きている保証はない。 先生の言葉はもっと優しく丁寧な言い回しでした。この先生きていられる時間がどれほど残されているのか不安を感じながら過ごすよりも、…

  • 妻と母

    妻と母 「今年いっぱい持たないかもしれない」、「もうすぐお迎えが来る」 - かれこれ二十年あまり聞かされていた母親の口癖は、妻が乳がんの宣告を受けたのを境に鳴りを潜めました。 私は、母の“死ぬ死ぬ詐欺”を適当にあしらっていましたが、妻はいつも母を励ましていました。母が弱音を吐くふりをしていたのは、親身になって接してくれる義理の娘の気を引こうとしていたからなのかもしれません。 私は、現在、月二回程度母親の様子を見に行っていますが、以前は、仕事の都合がつかないときは妻に代わってもらうこともありました。当初、私は妻に泊りがけで母の面倒を見てもらうのを躊躇しましたが、彼女は嫌な顔一つせずに引き受けてく…

  • 写真の整理

    写真の整理 先日、帯状疱疹で一週間仕事を休んでいましたが、寝込むほど症状が悪かったわけでもなく、とは言え、外を出歩くこともできませんでした。発疹の痛痒さが気になり読書に集中できず、何となく落ち着かない時間を過ごしていました。 そんな時に、ふと前々から妻に言われていた写真の整理に取り掛かることにしました。放っておけばまた妻の小言を聞く羽目になるわけで、お互いに気まずい気分になる前に仕事を片づけてしまおうと思ったのでした。 溢れる写真 下の娘が小学校に上がる前までのフィルムカメラを使っていた頃は、現像する都度、写真を選り分けてアルバムに収めていたので整理はできています。整理すべき写真は、現像してア…

  • 仲間の退職

    厄介払い 今月もまた私が懇意にしていた仲間が退職します。自己都合退職など今更珍しくもありませんが、社内で「仲間」と呼べる数少ない同僚の退職となると、私にとって重みが違います。 彼がキャリア採用で入社したのはもう二十年近く前のこと。三十代半ばの彼に初めて会ったのは私の駐在先でした。 フットワークの軽さと頭の回転の速さ。有能な社員を絵に描いたような彼は、入社早々、同じ部署の周囲の人間との“温度差”に違和感を覚えていました。 それでも彼は、若手や中堅社員を巻き込んで勉強会を開いたり、新たなビジネスモデルを上層部に提案したりと、積極的に周囲に働きかけを行ないました。 しかし、駐在中の私の耳に伝わってく…

  • 帯状疱疹再発

    帯状疱疹再発 今週に入ってから微熱と胸の真ん中あたりにチクチクした痛みを感じるようになり、まさかと思って胸の周囲を見渡してみると脇の下に小さな発疹がいくつか見つかりました。 翌日病院で診てもらうと、案の定、帯状疱疹でした。私は三年前に帯状疱疹に罹っていたので、再発ということになります。前回(三年前)は、蕁麻疹と神経痛と思い込んでしまい、診察を受けた時には発疹と痛みもかなり酷い状態になっていて、治るまで思っていた以上の時間がかかりました。幸い、今回は早い段階で受診できたので大事には至らないそうです。 先月には新型コロナに感染し、今月は帯状疱疹と、月替わりで病院巡りをするはめになってしまいました。…

  • 人生の総まとめ

    再雇用嘱託 私が就職した頃、会社の定年は五十五歳で、その後二年間は再雇用嘱託として働くことができました。二十代の私の目からは、再雇用嘱託の人たちはほとんどが時間を持て余しているように見え、私も自分の仕事人生の最後はそうなるのかと思うと一抹の寂しさを感じたものです。 今は六十歳定年の後、最長で六十五歳まで嘱託として働くことができます。長く働ける環境が整っていることは、仕事人生に生きがいを感じている人にとっては喜ばしいことです。 「人生100年時代」だからと言って健康寿命が格段に延びるとは思いませんが、六十代は、第一線からは退くとしても、働くのが当たり前の世代になるのでしょう。ただし、再雇用後、現…

  • 必要な分だけ

    電気代の大幅増 九月の終わりに差しかかり、ようやく暑さから解放された感があります。 日々、節約を心がけてはいるものの、この夏の我が家の電気代は大幅に増える結果となりました。六月に電気料金が改定された時からある程度の覚悟はできていましたが、それに追い打ちをかけるかのような酷暑で、昨年以上にエアコンの使用時間が増えてしまったのが原因です。 とは言え、エアコンの使用を控えることで体調不良になってしまっては元も子もありません。健康管理にかかるコストはそれなりに必要なのだと受け入れるしかありません。 電力会社が軒並み過去最高益を達成しても、これが利用者に還元されることは期待できないので、今年の電気代を基…

  • 旅行券

    旅行券の塩漬け 毎年、この時期になると社内で永年勤続表彰が執り行われます。コロナ禍の間、表彰式と懇親会は中断していましたが、今年は三年ぶりの復活となりそうです。 一方で、転職者の増加により勤続年数の長い社員が激減していることから、表彰式は早晩廃止されることになるとの話も出ています。 私は二年前に三十年勤続を迎え、記念品と旅行券をもらいましたが、旅行券は特定の旅行会社を通じて使う必要があります。あらかじめ日にちを押さえなければならず、妻の体調の関係もあり、先々の予定を立てることができない私たちにとって、旅行券は使う当てのない代物でした。 銀婚旅行 私たちが海外駐在で約八年間日本を離れていた間、独…

  • 老いとの闘いと和解

    老いとの闘い 私が白髪染めを使うようになったのは、三十代後半の頃でした。それから数年の間白髪染めのお世話になりましたが、しばらく毛染めを怠っていたある日、生え際の白髪の量が増えていることに気づいて、我ながら驚いてしまいました。おそらく、会社の同僚はそのことを知っていても気が付かないふりをしてくれていたのだろうと思います。 白髪に限らず、三十代から四十代にかけては、“老いとの闘い”と言うと大袈裟かもしれませんが、私は随分と無駄な抵抗を繰り返していたような気がします。小じわに老眼、中性脂肪に尿酸値と次から次に押し寄せる老化現象の兆候に悪戦苦闘していました。 もっとも、中性脂肪や尿酸値は食生活が原因…

  • ピアスの穴

    下の娘がピアスの穴開けをしたのは先月の半ばのことでした。妻は「体に傷をつけるのは嫌だ」と反対し続けていましたが、鼻や臍に穴を開けるわけでもなく、親が目くじらを立てる話でもないでしょう。“たかがピアス”で、娘と、それに巻き込まれた私は妻を説得し、ようやくピアス穴の開通にたどり着きました。 先日、妻の通院に付き添った際、いつものように主治医の先生との問診で、妻は先生にピアスの穴開けをしたいと言い出しました。私は驚きましたが妻は至って真剣な様子。先生は感染症の危険があることを説明した上で、「あと少し我慢しましょう」と優しく妻を説き伏せてくれました。 ピアスをしたいと言った妻は決して唐突そう思ったわけ…

  • 親離れ 子離れ

    マンション騒動 今年四十路を迎えた姪が中古のマンションを買ったのは、もう半年近くも前のことでした。妻と私はささやかな引っ越しのお祝いを届け、姪の新生活を祝福しました。 母親からの結婚圧力に嫌気がさして姪が独り暮らしを始めたのは、私たちが帰国した直後のこと。姪は、独り暮らしに反対を続ける親を説得しきれず、親の留守中に引っ越しを敢行しました。 義姉の心中を推し量ることはできませんが、遅れてやってきた“娘の反抗期”で、すぐに実家に戻ってくると考えていたのだとしたら、賃貸のアパートを引き払って持ち家を手に入れた娘の覚悟は大きなショックだと想像できます。 妻は姪から新居への引っ越しを口止めされています。…

  • 懐かしの本とビデオ

    読み直しの楽しみ 起床後の夜の明けきらない時間、窓を開けると気持ちの良い空気を肌に感じます。 家族の寝静まっている間、洗濯機を回している時間が私の読書タイムです。以前は通勤の電車の中や就寝前が読書の時間でしたが、久しく遠ざかっていた読書を再開してから試行錯誤した結果、朝一番にページをめくる方が本の内容に集中できるような気がしています。 以前の記事で触れましたが、最近の私は新しい書籍を買い求めることはせず、本棚で眠っている既読の本を読み直しています。 手垢のつくほど何度も読み返した本は別にして、かつて楽しんだ本も時間が経つとどんな内容だったかあやふやです。そんな記憶力の無さが幸いして、再読作業は…

  • 義兄の終活

    第二の人生 定年退職後に北海道に移住した義兄は、終の棲家で第二の人生を謳歌しているようです。 義兄は、誰にも相談せずに遠く離れた地で老後生活を送ることを決めました。転居の事後報告を受けた義姉は弟の行動を身勝手だと怒りました。それでも、放っておけないのか、その年の夏には旅行もかねて義兄の生活ぶりを確認しに出かけています。 妻は、そんな姉兄の様子を少し距離を置いて窺っているようでしたが、姉の弟への接し方を見て「母親に似てきた」と、あまり好意的に捉えておらず、どちらかと言えば兄の肩を持つような口ぶりです。 両親亡き後、義姉は、四人の兄弟姉妹の“長”としての責任を感じているのかもしれません。しかし、義…

  • 趣味あれこれ(3)

    凝り性と飽き性 私には、ずっと続けている趣味の他に、一時的に“ハマった”趣味もありました。「ジグソーパズル」と「キッチン占領」は、今でも妻に蒸し返される定番の話です。 まだ娘が生まれる前、何のきっかけかは忘れてしまいましたが、ジグソーパズルにハマったことがありました。毎晩、寝る前に数ピースずつ組み立てるのが楽しみだったのですが、妻からしてみれば、部屋の一角を占領するやりかけのパズルは邪魔でしかなく、私の不在中に勝手にパズルを完成させてしまって、夫婦喧嘩になったこともありました。 休日の午前中から夕食の仕込みのためにキッチンを占領した時、昼食をカップ麺で済ますことが何度か重なり、コスパの悪い夕食…

  • 趣味あれこれ(2)

    思い続ける趣味 私の妻は、結婚前から着物の着付けを習っていて、成人式や七五三の時期にはフォトスタジオで着付けのアルバイトができるくらいの腕前がありました。いつかは自分の教室を持ちたいと考えていた妻でしたが、二年前の手術以来、着物に触れることはなくなりました。部屋の片隅には練習用のトルソ(胴体だけのマネキン)が白布を被せたままになっています。 手術の影響で妻の左手にはしびれが残り、着付けに必要な握力がなくなってしまいました。そのことは事前に主治医の先生から説明されており本人も覚悟していたことです。手術前に娘二人に振袖を着せて写真を撮ったのも、妻なりに思うところがあったからなのでしょう。 妻にとっ…

  • コロナ感染

    今週月曜日の昼食後から急に体調が悪くなり発熱もみられたため、翌日に発熱外来を受け付けている近所の病院で診察してもらったところ、新型コロナに感染していることが分かりました。 いつ、どこで感染したのか。先週出社した時くらいしか思い当たりません。新型コロナが第五類感染症に移行して以来、社内での感染者の報告は取りやめてしまったので、社員の中で新型コロナがどの程度蔓延しているかは分からず、同じフロアで働く同僚のうち感染者がいるのかいないのかも知り得ません。 私が新型コロナに感染したこととしばらく休むことを伝えると、先週から今週にかけて隣の課でも感染者が出たと教えられ、また、上司自身も発熱はないものの不調…

  • 趣味あれこれ(1)

    社内ゴルフコンペ コロナ禍のために三年間中止となっていた社内ゴルフコンペが再開されることになりました。もっとも、私は海外駐在中に膝と腰を痛めて以来、クラブを握ることはなくなりましたので、コンペに参加することはありません。 以前は各部が毎年持ち回りでコンペの幹事を受け持っていましたが、それも二十年近く前から参加者の減少のために有志数名が幹事をするようになりました。 入社した頃、上司や先輩からは「ゴルフは何かと必要になるから」としつこく勧められましたが、私はずっと断り続けていました。当時の社内ではゴルフをしない人間の方が珍しく、私は付き合いの悪い若手社員に思われていたことでしょう。 それでも所属し…

  • 選択ミスとプランB

    選択ミス AとBの二つの選択肢があって、Aを選んで失敗すると、「やはりBを選んでおけばよかった」と後悔する – 若い頃の私がそうでした。様々な場面で、選ばなかった“選択肢B”が積もり積もって、それがストレスになっていました。 思うに、自分の意に沿わなかった結果は、往々にして勝手な期待を抱いていたことが原因なのですが、私はそれを“選択を誤った”ことにしてやり過ごそうとしていたのでした。 正しい選択をしていれば上手くいったはず。なぜ選択を誤ってしまったのか。そんなことを悶々と考えていては精神衛生上よろしくありません。 私が三十代前半にしばらく休養したことは過去の記事でも何度か触れましたが、その時カ…

  • DXとAI

    無駄な仕事 今や多くの会社ではDX推進やAI導入が検討され、または、実際に着手され始めているのだと思いますが、私の勤め先でも多分に漏れず、昨年公表された中期計画の目標に掲げられました。 具体的に何がどう変わるのかは現在精査中 ‐ 企画部門の説明から、これがまたしても“御家流”の勇み足だと理解できました。 DXやAIなどの言葉が知れ渡る以前より、業務の合理化・効率化については、複数の部門から提言があったものの、それを全社的に推し進めようとする動きにはなりませんでした。 生産性の低い仕事 - 会社の収益への貢献度が極めて低い仕事 – を無駄な仕事と切り捨てることができれば、目下会社が頭を悩ませてい…

  • 公募制と人の取り合い

    花いちもんめ 私の勤め先で社内公募制度が導入されたのは二十年近く前になります。いわゆる紛争地域でのプロジェクトを立ち上げ、そこに人員を派遣する段になって、労働組合から派遣候補者の意向を最大限配慮するように注文がついたことがきっかけでした。 社命とは言え、特別手当がつくからとは言え、安全対策は十分に取られているとは言え、命の危険に晒される場所に喜んで向かおうとする社員はそう多くはありません。 幸いにして、問題の駐在地でこれまで死傷者は出ておらず、いつしか公募制での派遣から通常の“社命による”派遣に戻りましたが、社内公募という制度だけは残りました。 人手不足が顕著となる以前の人事異動と言えば、部署…

  • プラネタリウムとかき氷

    同窓会 妻の元に高校の同窓会の案内が来ました。開催日は来年のお盆だというので、随分と気の早い案内ですが、会場を予約する都合から出席者の人数を把握しておきたいというのが同窓会幹事の意向のようでした。「それにしても」と私は思いましたが、クラス会ではなく、学年全体での同窓会を予定しているとのことなので、一年がかりの準備が必要なのだと納得しました。 妻は先々月、中学校の同窓会に出席しています。中学校にしても高校にしても、これだけ長い間同窓会が続いているのは、幹事の方々の地元愛の賜物です。 翻って、私は小学校、中学校、高校、それぞれの同級生との交流は無くなってしまったので、妻のように昔話に花を咲かせる相…

  • 友人

    出不精 新型コロナにまつわる自粛ムードが解けて、娘たちが外食する機会も増えました。平日は家族全員そろって食卓を囲む機会も減りましたが、これが本来の日常だったのだろうと思います。 私にも社内外で懇意にしている人から声をかけてもらう機会が増えましたが、夜の宴席のために外出するのが億劫に感じてお誘いを断っています。自粛生活で家でのくつろぎに楽しみを見出したおかげで私は出不精になってしまったようです。 もっとも、外出が面倒に感じるようになっただけで、気の置けない知人との語らいまで嫌いになったわけではありません。コロナ禍の間も数か月とおかずにオンライン飲み会をしてきた友人がいます。同業他社の技術者で、か…

  • 時間を楽しむ

    置き去りにした時間 小学生の頃、夏休みは一年の中での最大の楽しみでした。一か月余りの休みの間、宿題はそっちのけで毎日遊び回り、それでも飽き足らずに次の日が来るのが楽しみで仕方がありませんでした。 楽しい時間はあっという間に過ぎると言いますが、あの頃の夏休みは不思議ととても長く感じられました。成長するにつれて体感の夏休みは短くなり、仕事をするようになってからは、夏休みどころか季節の移ろいすら心から堪能しないうちに時間だけが過ぎていきました。 子どもの頃、自分のやりたいことをするために求めていたものが時間でした。大人になってからは、やらなければならないことを処理するために時間に追われるようになりま…

  • 会社の存在理由

    顔のない集団 私は転職経験がないので、自分の勤め先を見て「会社とはこういうもの」と理解しようとするしかありませんでした。 しかし、その狭い世界は、ひょっとしたら世間一般からすると“ズレていて”、標準的ではないのかもしれません。 私が過去の記事で度々触れている“社内の人材不足”は、元をたどれば就職氷河期の採用抑制が要因なのですが、それと相まって、会社の予想を超えた人材流出を食い止められずにいることが一層の拍車をかけています。入社年次によっては生え抜き社員がゼロの年もあります。 人材不足を補うためのキャリア採用は開始から十余年経ちます。管理職でもキャリア採用組が目立ち始め、中堅・若手社員は世代によ…

  • 妻のわがまま

    夜中のアイス 妻のわがままは今に始まったことではないのですが、ここ最近はリクエストが子供じみているような気がします。 先日の夜中、妻が寝付けず、冷たいものが食べたいと言い始めました。闘病生活のストレス発散か、私を困らせて喜んでいるのか – それで妻の気が晴れるのであれば、おやつ代と私のコンビニまでの往復の散歩は大した負担ではありません。 私がコンビニに出かけようと身支度をしていると、娘たちもごそごそと寝床から這い出してきて私に買い物を言いつけます。 深夜零時過ぎに大の大人が四人してアイスクリームを食べている家庭はどのくらいいるのだろう、と私はつまらないことを考えつつ、猛暑がしばらく続きそうなの…

  • 全てを手に入れたい(2)

    周囲の思い 産休・育休から復職した本部下。彼女が所属する課は、課長以下中堅社員以外は全員別の部署からの兼務者でした。この一年間は中堅社員が一人でほとんど全ての実務をこなしてきたので、彼女の復職でようやく一息つけそうな見込みだったのです。 課長や中堅社員のそのような思いとは裏腹に、彼女は今の部署では自分の希望を叶えることができないと見切りをつけてしまいました。そして、自分の希望が達成できないのであれば、転職も辞さず – そんな含みを持たせた言い方をするのでした。 彼女が不在の間、課を守ってきた上司や先輩社員は面白くないでしょう。人手不足の中、産休・育休で欠員が出ても補充はなく、現有人員で凌ぐしか…

  • 全てを手に入れたい(1)

    キャリア面談 この時期、私の勤め先ではキャリア面談なるものが行なわれ、上司は部下から将来取り組みたい仕事や転勤・駐在の希望などを聴取します。人手不足の中、各人のキャリアプランに筋道をつけるゆとりがあるかと言えば甚だ疑問ですが、人を育てることが会社の役割だとすれば、社員の希望を聞き置くだけではキャリア面談の意味はありません。 先日、元部下の女性社員から相談を持ち掛けられました。彼女は五月の連休明けに約一年間の産休・育休から職場復帰したばかり。上司の課長とキャリア面談を行ったものの、話がかみ合わなかったと不満を口にしていました。 私はすでに部下を管理する立場にないので、正直、この手の相談と、その後…

  • 忍耐力と行動力

    挫折耐性 仕事もプライベートも順風満帆であるに越したことはありませんが、私のこれまでの人生でそのような時期はとても短く、大半が大小の悩みを解決するために時間を費やしてきました。 何かを達成した爽快感よりも苦い経験を味わったことの方が圧倒的に多かったのですが、今こうして普通に生きていられるのは、失敗や挫折との向き合い方を学んだことが大きいような気がします。 受験の失敗と浪人生活から始まり、就職先も第一志望の会社では無く、就職後も仕事を干されたり、メンタル不調でしばらく仕事を休んだりと、公私の公の面では残念ながら“華々しい経歴”を手に入れることは叶いませんでした。しかし、そのような負の経験を自分な…

  • 独居老人の母

    熱中症 連日猛暑が続くとエアコンの利いた家から外に出たくなくなります。以前は日中、家を留守にしていたので、昼間にクーラーを使うのはもったいないと思っていましたが、在宅で仕事をするようになってからは、気温がピークに差しかかるお昼前にはエアコンをオンにするのが普通になってしまいました。 電気代は嵩みますが、家にいながらにして熱中症になるのは馬鹿げているので、必要な出費は無理に抑えないようにしようと割り切っています。 この三連休は母の家の片づけなどをしてあっと言う間に過ぎてしまいました。リウマチを患いながらも独り暮らしを続けている母ですが、老いの波は確実に押し寄せています。本人はいろいろと言い訳をし…

  • 家族優先とキャリアアップ

    成り手不足 私と仕事のペアを組んでいる若手社員。海外駐在の打診を断り、別の会社で働くお相手との結婚を予定どおり進めることになりました。 別居婚や結婚を遅らせることも選択肢にはあったようですが、二人で相談を重ねて出した結論に、私は他人事ながら胸を撫で下ろしました。 lambamirstan.hatenablog.com 今や、子どもの教育や親の介護など、それぞれに家庭の事情を抱える社員は、簡単に転勤に応じることが少なくなりました。もっとも、“家庭の事情”など、今に始まったことではなく、かつてはそれを押して単身赴任する社員の方が多数派でしたが、夫婦共働きが普通になり、単身赴任を受け入れられる社員は…

  • 在宅勤務 その後

    事情聴取 私の勤め先で在宅勤務制度が導入されてかれこれ三年経ちましたが、会社は制度を縮小し“原則出社”に戻したい意向のようです。 私個人としては、妻のケアと仕事の両立を考えると、現在のように“原則在宅勤務”で働く方が都合が良く、仕事に支障を来しているわけでもないので問題を感じてはいません。 先日、課長から妻の病状や在宅勤務継続の必要性について聞かれました。私は家族の介護を優先しながら仕事をするには今のような働き方が最適だと答え、逆に会社は何を問題と捉えているのかを尋ねました。 おそらく、課長は部長に言われて私の様子伺いをさせられただけなので、こちらからの質問に答えるだけの情報は持っていないはず…

  • 万引き防止

    万引き防止 我が家の近所に野菜の無人販売所があります。売っている野菜は、それぞれ形が悪く、大きさが規格外なだけで、鮮度や味が落ちるわけではありません。最近はきゅうりが旬ですが、スーパーで買うよりも同じ値段で倍ほどの量が手に入ります。家計を守る身としては有難い味方なのです。 そんな無人販売所ですが、最近は私と同年代の奥さんが店番をするようになりました。訳を聞くと、“勝手に”品物を持って行ってしまう人がいるからとのこと。万引き防止の策とは言え、この暑い最中に外での店番は大変なことです。 いつもお世話になっている近所のスーパー。その入り口に、万引きは理由の如何に関わらず警察に通報するとの注意書きが貼…

  • 子の幸せ、親の期待

    親族の集まり 毎年、この時期になるとお盆の過ごし方を考えることになります。“考える人”は私ではなく妻です。義父母の法要をするかしないか、姉兄とのやりとりが彼女にとっては煩わしい年中行事になっているようでした。 昨年は義母の七回忌にあたる年でしたが、義兄二人がコロナに感染してお盆の集まりは中止になりました。さて、今年はどうするのか。妻は、先日中学校の同窓会に出席するために里帰りした際に墓参りも済ませたからと、兄姉に早々に予防線を張っていました。 義父母が鬼籍に入った後も、しばらくはお盆や年末に妻の兄姉家族と旅行に出かけたものですが、甥や姪も中年の域に差しかかり、そのような家族のイベントには顔を出…

  • ストレスチェック

    金属疲労 年に一回、職場でストレスチェックを行なうことになっています。各社員がアンケートに答えて“ストレス度”を診断され、スコアが悪ければ産業医との面談が待っています。 果たしてどれだけの社員がストレスチェックに正直に答えているのだろう - 私は素朴に疑問を感じるのでした。本音でアンケートに回答した結果、産業医から「休養を要する」などと宣告されることを望んでいる社員はほとんどいないでしょう。 自ら体調の異変を覚えて、会社に休職を願い出る社員がいるとは聞いたことがありません。周囲も、部下や同僚が業務に支障を来たすまでは、優しい言葉はかけてもそれ以上の働きかけをすることは滅多にありません。 私がこ…

  • 歳は取るもの

    おじさん 義姉と妻は十五も歳が離れているので、傍からは姉妹というより伯母と姪のように見えます。 私が妻と結婚した時、義姉夫婦には中学生の男の子と小学生の女の子がいました。私にとっては義理の甥と姪になるのですが、姪から「おじさん」と呼ばれた時には、当時二十代半ばの私はその言葉に少なからず戸惑いを覚えました。 彼女からしてみれば私は叔母の連れ合いなのですから、「おじさん」であることには間違いありませんが、その呼び方は何とかならないものかと妻に尋ねました。 妻は、自分が高校生の時にはすでに「おばちゃん」と呼ばれていたのだから、と私の遠慮がちなクレームを一笑に付し、さらに、小学生から見れば二十代半ばを…

  • 管理職が不足する日

    昇格試験 数年前から導入された“新”昇格制度は、外部のコンサルタント会社が行なうアセスメントで合否を判定するものでした。 これまでは、上司の推薦と役員面接をパスすれば晴れて幹部社員のチケットを手に入れることができましたが、それも形式的で、“合格率”はほぼ100%。良い悪いは別として、当時は上司に部下を幹部社員に引き上げる権限があったのでした。 最近の昇格試験の合格率は知りませんが、今年、私の所属する部門全体でのアセスメント受験者は六名で、合格者は四名だったそうです。不合格者の二名は過去二回アセスメントを受けていたので、今回で三回連続不合格となり、会社の規程で来年はアセスメントを受けることができ…

  • 片思いのスキンシップ

    マッサージ係 スキンケアなど無頓着な私だったのですが、ここ数年、ひじやひざ、かかとの“ガサつき”は酷いモノで、放置できない状態になりました。小まめな水分補給は欠かさないようにしているつもりでも、体の保湿力は加齢には抗えないのでしょう。 冬の間、保湿クリームが手放せませんでしたが、ここ最近、ようやく肌の状態も良くなってきました。若い頃は湿度の高い梅雨の時期は鬱陶しいものでしたが、今はこのしっとりとした空気がとても好きです。 妻は私と違って、以前はどちらかと言うと多汗症気味だったのですが、抗がん剤の投与を開始して以来、肌の乾燥に悩まされるようになりました。薬の影響で血行が悪くなることが原因のようで…

  • 片思いのスキンシップ

    マッサージ係 スキンケアなど無頓着な私だったのですが、ここ数年、ひじやひざ、かかとの“ガサつき”は酷いモノで、放置できない状態になりました。小まめな水分補給は欠かさないようにしているつもりでも、体の保湿力は加齢には抗えないのでしょう。 冬の間、保湿クリームが手放せませんでしたが、ここ最近、ようやく肌の状態も良くなってきました。若い頃は湿度の高い梅雨の時期は鬱陶しいものでしたが、今はこのしっとりとした空気がとても好きです。 妻は私と違って、以前はどちらかと言うと多汗症気味だったのですが、抗がん剤の投与を開始して以来、肌の乾燥に悩まされるようになりました。薬の影響で血行が悪くなることが原因のようで…

  • 悩みの消失

    警告と機会 前回の記事を書いている時、我ながら昔の自分を思い出して苦笑してしまいました。 lambamirstan.hatenablog.com ひとつひとつの問題は決して解決不可能ではないのに、一度に何とかしようとして全てが中途半端になり身動きが取れなくなってしまう – コロナ禍の直前までの私がまさにそのような状態でした。 会社では、マルチタスクに対応できない部下に向かって「段取りが大切」などと分かった風な言葉で指導していた私が、自分のこととなると全く“なっていない”有様でした。 仕事そのものはまだ“回せている”自信がありました。部員の転職で生じた穴は私を含めた管理職が休日出勤や残業でカバー…

  • 守るべきもの

    もぐらたたき 会社の中で他人の話を広めたくて仕方が無い人間は後を絶たず、「ここだけの話」と前置きのついた噂話が広まらなかった試しはありません。 私が若い頃、反りの合わなかった当時の上司は、方々で私のことを吹聴して回っていました。「言うことを聞かない」、「上司に歯向かう」のは事実でしたが、それ以外の根も葉もない噂は上司が話したことなのか、尾ひれがついて拡散したものなのか分かりません。それらをいちいち否定しても、広まった話を回収することはできません。 もっとも、人の噂など賞味期限のあるものなので、相手にせず放っておくに限ります。ムキになってもぐらたたきゲームに付き合ってしまえば、疲弊する自分が一番…

  • ノイズだらけの人魚姫

    思い入れ 先週末、妻の中学校の同窓会が開かれました。妻の体調はその日になって見なければ分からず、道中で具合が悪くならないとも限りません。私は妻に同行することを提案しましたが、「ダンナ同伴は恥ずかしい」と即座に却下される始末。押し問答の末、下の娘が文句を言いつつも妻の一泊二日の里帰りに同行することで話がまとまりました。 週末に取り残された私と上の娘。私は久しぶりに映画でも見に行こうかと調べてみると、「リトル・マーメイド」の実写版が公開初日だと知りました。初日では席の予約も難しいかとぼやいていると、娘は、キャスティングに難ありなので見たくないと言います。恥ずかしながら、最新情報に疎い私は、実写版が…

  • 良き隣人(3)

    職場崩壊? 人事部がハラスメント警察となり、一部の部下がクレーマー化しているのが今の職場だと言えます。 人事部はハラスメント研修の位置づけを「働きやすい職場の創出と維持」とし、職場では面倒なことを起こさず、良い人を演じるよう – そのようなことを明言はしていませんが – 社員に要求しています。 立場の弱い者を守る仕組みを作ることは必要ですが、上司が部下を注意すべき時に注意できない環境は、一部の社員を除き、働きやすさとは別のところに向かっているような気がしてなりません。 真面目に仕事に取り組んでいる社員から見て、手抜きをしている同僚が上司から何の注意もされず、その状態が放置されれば、やがて職場の…

  • 良き隣人(2)

    ハラスメント認定 職場での禁止行為を明確化することでハラスメントの件数は減るはずでした。ところが、完全にアウトなハラスメント事例は減少したものの、“ハラスメントになり得る”グレーゾーンの事例は社内での統計を開始した十数年前から微増しています。 思うに、ハラスメント行為と認定されるか否かは受け手の取り方による部分が大きく、同じ言動でも相手が不快に思えばハラスメントになってしまう可能性があります。全く同じ叱咤激励も、信頼を寄せている上司の言葉と険悪な関係にある上司の言葉では受け手の心情は異なるのです。 そして、そのような状況に戦々恐々としているのは部下を持つ上司です。セクハラやマタハラは、関連する…

  • 良き隣人(1)

    ハラスメント研修の効果 組織の中に身を置いている限り、人間関係にまつわるストレスから解放されることはない ‐ 私はそのように割り切っています。 三十余年の会社人生で私が体験したトラブルや悩みを“分類”してみると、大体が人間関係に絡んだものです。私が当事者でなくても、関係者間のコミュニケーションの悪さや敵対意識などが仕事の流れを阻害するケースは有りがちで、それに巻き込まれて余計な仕事が増えることも、また有りがちです。 職場環境の良し悪しと人間関係は切り離せませんが、組織内の人間関係を良好に保つための方法については、個々人のコミュニケーション能力や調整力に頼らざるを得ません。 他方、職場での禁止行…

  • 異動拒否

    打診 先週、部長に呼ばれ、関連会社への出向の打診がありました。関連会社であろうと本社であろうと管理職の職責は大して変わりません。私が管理職を降りたのは、職責を全うすることと家族との時間を大切にすることの両立ができないと判断したからでした。 また三年前のような働き方ができるのか、私には自信がありませんし、当時のような働き方に戻りたいと願う気持ちも湧いて来ません。自分自身が穏やかな心を持ち続け、家族と向き合える状態を維持することが私の望みであり、今、私はその望みどおりに過ごしています。 部長は私が断ることを予想していながらも、“人事部からの要請で”異動の打診をしたのだと言いました。そして、私は部長…

  • 余人をもって(2)

    攻めと守り 低付加価値業務の削減や組織スラックの創出は、本来、事業の飛躍のための“攻めの手段”なのだと思います。 翻って、私の勤め先で、そのような攻めの手段が有効かと問われれば、必ずしもそうではありません。現有人員は足元の業務を回すのに手一杯です。無駄な仕事の断捨離が実現できたとしても、その効果は人手不足による業務負荷が多少軽減されるに留まるだけでしょう。 ようやくマイナスがゼロなるだけでは組織としての余力を生み出すことにはなりません。そのためには、DXやCXの着手を論じる以前に“守り”としての人材確保が先なはずです。 どこの部署も年々“所帯”が小さくなっています。かつての“課”は課長以下少な…

  • 余人をもって(1)

    恒常的な定員割れ 業務の効率化については、過去の記事で何度か触れたことがあります。 lambamirstan.hatenablog.com lambamirstan.hatenablog.com 何をもって“効率化を達成できた”とするかについてはいろいろな考えがありますが、かつて私が管理職だった時に効率化達成の指標としたのは“残業ゼロ”でした。 結果として、年間を通じての残業ゼロの達成は叶いませんでしたが、私の部署では数か月間、残業無しで所定の業務を滞りなく行なえる状態が続きました。それがストップしたのは、上からの指示で他部署の仕事を引き受けることになったからです。 業務の効率化によって残業時…

  • 病院食はバランス食

    料理の味付け 食べ物の好みや料理の味付けは育ってきた環境によって左右されます。妻と付き合い始めて、初めて彼女の手料理を口にした時、私にはとても淡泊に感じられました。 せっかく作ってくれた料理にケチをつけることはしませんでしたが、妻は私の表情を読み取ったのでしょう。彼女が物心つく前に父親が胃がんを患い、以来、実家の食事は薄味になり彼女の舌もそれに慣れてしまった、というような話を聞かせてくれました。そう言えば、ご飯の炊き方も私にとってはかなり柔らかめでした。 結婚してからは私も料理を作るようになりましたが、妻からは味付けをもう少し控え目にするように頼まれました。 料理の味付けを急に変えるのは意外に…

  • 家事の公平感

    当番制からワンオペへ 妻が抗がん剤の治療を開始すると決まった時、私と娘たちで相談して家事を当番制にすることを決めました。上の娘は就職したばかり、下の娘は大学二年生。三人で公平に負担を分かち合うことで全て上手く行くと考えていましたが現実はそう甘くはありません。 三人の誰かに急な予定が入って当番に穴を空けてしまうと、途端に公平感が失われてしまいます。家事そのものではなく、決めていたとおり進まないこと自体がストレスになります。無理に作った家事のルールのために家族の関係がギクシャクしてしまっては元も子もありません。 私がワンオペで家事をやろうと決めたのは、妻が治療に専念でき、家族がひとつになれる環境作…

  • 贅沢のすすめ

    金銭感覚 我が家では、結婚記念日と家族それぞれの誕生日は外で食事することになっています。妻と私の金銭感覚からすると少々高めのお店を毎回選んでいるのですが、これはお金の使い方にメリハリをつけるためにあえてやっていることで、ほとんど外食をしない私たちにとってはささやかな贅沢の範囲内です。 外食に限らず、贅沢も度が過ぎれば浪費になってしまうので、その点は弁えなければなりません。幸いにして、妻も私も“もったいない”の境界線は結婚当初から変わっておらず、お互いに心地良いお金の使い方を肌感覚として共有しているので、これまでお金にまつわる諍い事とは無縁でした。 もし、妻が私の許容範囲を超えた浪費家や吝嗇家だ…

  • 老後の予行演習

    フェーズの変化 異国の地を訪れて人生観が変わったなどと言う話を聞きますが、私はこれまで自分の人生観を変えた体験に出逢ったことはありません。 そもそも、私はこれまで自分の生き方を模索しつつも、確信できるようなものを見つけられないまま、五十代半ばに差しかかってしまいました。それでも、このブログを始める頃には、今まで以上に残りの人生の生き方を真剣に考えようとしていました。 コロナ禍や、妻の発病、そして私自身の体調不良がほぼ同じタイミングで降りかかったのは偶然のことでした。私としては映画やドラマにありがちな展開を望んでいたわけではありませんが、そんな偶然は私の人生観を変えるほどのものではなかったにして…

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