ジャイアンツのV10が消滅して長嶋さんが現役を引退したのは、私が小学校に上がった年だったので、私は長嶋さんの選手としての活躍ぶりを知りませんが、あまり感情を表に出さない父が、長嶋さんの引退セレモニーを見て涙していたのをよく覚えています。 小学生の頃、私はよく父のキャッチボールに付き合わされました。私が父にキャッチボールをせがんだのではなく、半ば無理やりやらされていたのです。 父にとって残念だったのは、私が一向に野球に興味を示さなかったことです。私にとって幸いだったのは、父が『巨人の星』のようにスパルタ式に私に野球を教え込む程の熱意はなかったので、やがて私はキャッチボールから解放されました。 長…