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2019/10/20

  • 自分のミッション

    自分のミッション 我が家のリビングの片隅に、妻が物書きやちょっとした作業をするためのカウンターがあります。カウンターの端には妻と私の書きかけのエンディングノートが埃を被っています。 自分たちの最期をどのように迎えたいか – 当時の妻と私はそれぞれの健康に不安を感じることもなく、平均寿命くらいまでは生きられそうだと根拠の無い自信を持っていました。体の心配をする必要がなかったからこそ、エンディングノートを書く気になれたのだと思います。 私たちは、お互いにエンディングノートを話題にしなくなりました。私は人生の片づけ方を気に掛けるのはもう少し先にしたいと思い始めています。妻はどう思っているのか - 私…

  • 取り戻した自分時間

    気の抜けない休み まだ毎日会社に通っていた頃、通勤電車の中の私はメールのチェックや書類の確認に時間を割いていました。若い頃は電車に揺られながらの読書が貴重な息抜きでしたが、そんな息抜きの時間も仕事に奪われていました。 当時の私はいつも焦燥感を覚えていましたが、それは仕事の〆切や片づけても一向に減らない仕事の課題が原因なのだと自分なりに解釈していました。 しかし、今考えると、何かに急き立てられている感覚に悩まされていたのは、仕事のオーバーフローによるものではなく、自分の自由な時間が確保できない苛立ちのせいだったのでしょう。 あの頃は仕事用の携帯電話を手放せませんでした。いつどのような仕事が降って…

  • 職場復帰への道

    休職中 以前の記事で触れましたが、私の部署には休職中の同僚がいます。彼は奥さんと離婚した後、しばらくは世帯者用の社宅に住んでいましたが、そこも退去させられ、今は実家近くのアパートで独り暮らしをしています。彼がどうしているのかを知っているのは、会社の産業医以外では、私を含めたごく限られた会社の人間だけです。 lambamirstan.hatenablog.com 私は彼とは月に一度程度、お互いの近況をメールでやり取りしています。彼のメールは、数行で終わることもあれば、自分の思いを乗せた長文になることもあります。長文になる時は、大概、職場復帰が叶わない苛立ちで文面が埋め尽くされます。彼の心の揺れは…

  • 五月病

    連休前の気がかり 間もなくゴールデンウィークが始まります。私がまだ管理職だった頃は、家族サービスの傍ら、部下との期末面談のフィードバックを準備したり人事考課の素案を作ったりと、大型連休をフルで楽しむのは無理な話でした。それが、一昨年からは、そのような煩わしさから解放され、五月の大型連休は私にとって名実ともにゴールデンウィークとなりました。 他方、この時期、私の気がかりは同僚の「五月病」です。以前は、五月病と言えば新入社員が罹るものと考えていましたが、実はそうではありません。年度替わりの異動や役職の変更による環境の変化。そのような変化に対応している矢先に長い休みに入ることは、気分転換のチャンスで…

  • モチベーションとエンゲージメント

    企業価値と行動指針 日本語だと迫力に欠けることを、さも重要そうに見せようとする際に外来語への言い換えを使うことがあります。社内で最近流行っている言葉は「エンゲージメント」です。その言葉自体に斬新さがあるわけではありませんが、誰かが使い出すと社内文書の至るところで同じ言葉が現れ始めます。 困ったことに、社内の流行語になっても言葉の定義がされていません。ある者は「社員のやる気」だと言い、またある者は「仕事への関与度」だと言います。 何となく分かったようで分かっていない状態にしたいためにわざとカタカナ語を使用しているのではないかと勘繰ってしまうほど、使う側、受け取る側がそれぞれ勝手に解釈していて共通…

  • しがらみからの解放

    必要悪 今のように裏方的な仕事に専念するようになってから、私は仕事上のストレスをほとんど感じなくなりました。 以前の私にとって何が煩わしかったかと言えば、社内での“根回し”でした。案件を通すための会議があれば、議場で横槍を入れてきそうな役員や他部署の部長に事前説明を行ないます。また、自分の上司の担当役員が不用意な発言をしないように読み上げ原稿も用意します。 役員会議の形骸化は今に始まったことではありませんが、議論が紛糾することを恥と感じる役員がほとんどとなると、そうならないような事前の手立てを講じて、本番の会議は“シャンシャン”で終わらすようにすること自体が、案件そのものよりも重要視されます。…

  • 管理職のただ働き(2)

    管理職のただ働き 私が管理職を降りる少し前のことです。幹部会で人事部長が全社の上半期の残業時間を発表しました。配布された資料から、ほとんどの部門の残業時間が減少傾向にあることは一目瞭然でしたが、ある管理職から文句がつきました。一般社員の残業時間が減ったことは事実だが、幹部社員にそのしわ寄せが来ていることもまた事実。下半期は管理職の労働時間も統計に含めるべき。その管理職自身がしわ寄せを被っていることは言わなくても分かりました。一般社員の残業時間が減ったのは管理職のただ働きのお陰なのです。 人手不足の中、部下の残業時間を減らすには、業務の効率化だけでは不十分で、上司が一部の実務を引き受けなければ、…

  • 管理職のただ働き(1)

    意欲的な社員 コロナ禍以前、労働組合からの強い要望により、会社は在宅勤務制度導入の検討を始めたものの、とりわけ人事部は、リモートワークでは上司が部下の勤怠管理を行なえないことを理由に、頑なな態度を崩しませんでした。 もし、コロナ禍がなかったなら、会社が在宅勤務を認めることはなく、私も、今のように仕事と家族のケアの両立を続けることは出来ませんでした。 管理する側が全てそうとは言い切れませんが、“勤怠管理”と言った時に、それは、部下がサボらないよう監視することだと思い込んでいる管理職は少なくないと思います。部下を仕事に張り付かせておくことだけ考えてると、そのような発想になってしまうのでしょう。 成…

  • 来る人去る人

    意識調査 毎年、社員を対象とした意識調査なるものがあります。質問項目は多少の違いがあるものの、仕事、職場環境、上司との関係や経営陣の判断等に対して、五段階でそれぞれの満足度を答えて、理由を記す内容になっています。 意識調査の結果は、部長以上の管理職には伝えられますが、社内でオープンにされることは - 私の記憶の限りでは – 一度も無く、上司の裁量で部内展開して“お仕舞”となるのが常でした。 私がまだHR委員会のメンバーだった頃、意識調査に対して経営陣のフィードバックを求めてみてはどうかと具申したことがありましたが、一部の賛同者のサポートを得るに留まりました。 思うに、経営陣が社員からの意見を吟…

  • 良い眠り(2)

    lambamirstan.hatenablog.com 逃げ場としての睡眠 私の体内時計は、毎朝決まった時間に自然と目覚めるようにセットされているようです。目覚まし時計を枕元に置いてはいますが、この何年間かそのお世話になったことがありません。 最近は寒さが和らぎ、寝床から抜け出るのが苦にならなくなりましたが、目覚めた後の数分間、布団に包まりながらぼんやりとしているのは気持ちの良いものです。 以前の私にとって朝を迎えることは憂鬱でした。目覚めと同時に、昨日やり残した仕事のことやその日の仕事の段取りなどが頭を満たし、その状態のまま朝の支度をし、会社に向かいます。仕事を終えて帰宅しても、頭の中から仕…

  • 卒業

    卒業式 下の娘は、自己主張が強く、高校では担任の先生や同級生と衝突を繰り返してきましたが、大学入学を境に相手の気持ちを汲み取ろうと努力するようになりました。そこには、高校時代の苦い経験や、闘病中の親への思いなどいろいろな要因があったのでしょうが、ともあれ、角の取れた娘は頼りになる家族の一員に成長しました。 四年間の大半をコロナ禍の中で過ごし、おまけに病気の母親の心配も相まって、暢気に学生生活を楽しむことなど出来なかったはずです。しかし、娘はムードメーカーとして家族を盛り立て、かえって妻や私の方が支えてもらう立場になっていました。 一昨日は、そんな娘の卒業式でした。 家族の参列は二名までとのこと…

  • 食習慣の見直し

    産業医面談 私の勤め先では、健康診断や人間ドックの結果が出た頃に産業医との面談があります。三年くらい前まで私は肥満の境界線上を行ったり来たりしていて、尿酸値も高めで、毎年、産業医の先生からは体重を減らすように注意を受けていました。 それまでも、私としては適度な運動を心がけてはいたものの、夜の付き合いや不規則な食生活のため、決して健康体ではありませんでした。そのことは自覚してはいたのですが、生活全般を見直すことに前向きになれずに、ずるずると生きてきました。 ところが、二年余り前の妻の闘病や私自身の体調不良をきっかけに食生活の見直しをしてからと言うもの、体重は順調に減少し、昨年の産業医との面談の時…

  • 仕事の付加価値(2)

    低付加価値業務 AIチャットの業務への導入に伴い、会社の企画部門からは、来年度の組織目標に“低付加価値業務の見直し”と“余力資源の創出”を加えるようにとの“推奨”がありました。 “低付加価値業務”の定義がなされていませんが、定型の管理業務や会議の議事録作成など、収益のプラスにはならず、時間とコスト(人件費)がかかるものを付加価値が低い業務と言って良いと思います。 そのような低付加価値業務をAIがどこまで手助けしてくれるのかは分かりませんが、例えば、会議の内容を文章化する、所謂「テープ起こし」はAIならほとんど時間をかけずに出来るのでしょう。 しかしながら、私の経験からすると、何が言いたいのか要…

  • 仕事の付加価値(1)

    AIチャット 超保守的な社風の私の務め先でも、いよいよ(?)AIチャット・ツールを業務で使用することとなりました。 とは言え、AIチャットを使用するためのガイドラインすら準備出来ていないのが実情です。社内一斉配信のメールで、「AIチャットを使用する際にはリテラシーと倫理観を忘れずに」との注意を喚起がされただけでした。 IT部門がAIチャットの試験的な使用をしていたとの話は聞いていないので、恐らく“ぶっつけ本番”での導入なのでしょう。機密情報の漏洩リスクや予見困難なトラブルなどを十分検証しないままの見切り発車だとすると、大きな問題が発生した段になって“使用中止”となるかもしれません。そうなる前に…

  • 様々な真実

    信奉の反動 先日、会社のコミュニケーションタイムに先輩社員と雑談をしていた時に、最近亡くなった大江健三郎さんの話題になりました。 先輩は、大江さんの熱心な信奉者だったそうですが、沖縄での集団自決を取り上げたルポルタージュ、「沖縄ノート」が名誉棄損で訴えられた裁判と、大江さんの裁判への対応から、「大江信者ではなくなった」そうです。 恥ずかしながら、私は、中学生か高校生の時分に一度切り「沖縄ノート」を読んだだけで、また、裁判の経過については新聞記事で知った以上の情報を持ち合わせていなかったので、先輩のように憤慨することもありませんでした。 先輩が大江信者でなくなったのは、法廷で自らの主張を述べるこ…

  • トフラーとオーウェル(2)

    1984 ジョージ・オーウェルの「1984」を初めて手にしたのも私が中学生の頃でした。アルヴィン・トフラーの「第三の波」は、情報革命がもたらす負の影響とともにそれを乗り越えるためのヒントを与えてくれましたが、「1984」で描かれた近未来には希望の光はありませんでした。 もっとも、未来学を扱った学術書とディストピア小説を同列に扱うのは間違いかもしれません。しかしながら、中学生の頃に私にとっては、フィクションだと分かっていても、オーウェルが描く近未来は生々しく、現実味を帯びたものに感じられました。 東西の冷戦下だった80年代。社会主義国家では監視や言論統制により国民は抑圧されて生きている一方で、日…

  • トフラーとオーウェル(1)

    第三の波 アルヴィン・トフラーの「第三の波」を初めて読んだのは、私が中学生の頃でしたが、当時の私には“情報革命”と言われてもピンと来るものはありませんでした。そのような社会の大変革が起こるにしても、それはずっと先の未来の話程度にしか受け止めていませんでした。 しかし、それから約四十年経ち、トフラーが予見していた、在宅勤務やライフスタイルの多様化は現実のものになっています。私が思っていた“ずっと先の未来の話”ではなかったのです。 他方、トフラーは、情報過多や情報格差による社会の混乱、プライバシーの侵害の増加、価値観の対立、人工知能のシンギュラリティについても言及しており(まだ、他にもあったかもし…

  • 家族らしさ

    小旅行 妻の体調の変化は先が読めないので、家族旅行の計画を前もって立てることが出来ません。先月、彼女が熱海の梅まつりに行きたいと言った時も、結局、体調が優れないまま、時機を逃してしまいました。 我が家から熱海までは、日帰りするには遠く、泊りがけで行くには微妙な距離です。これまでは、他に旅行先の候補もあって、「いつでも行けるから」と家族旅行の候補地から外され、やがて話題にも上がらなくなりました。 そうこうしているうちに、妻の闘病やコロナ禍のため、家族旅行自体、先送りを続けてきましたが、先週、私は思い立って、熱海への家族旅行を妻と娘に持ちかけました。梅まつりは終わってしまいましたが、河津桜がちょう…

  • 運転免許証返納の英断

    免許返納 先日、義兄が運転免許証を返納しました。今年の夏に七十五歳になる義兄は、年齢よりも若々しく見え、これまで無事故無違反のゴールド免許保有者でした。 そんな義兄が、昨年末に自損事故を二度起こしました。そして、今月に入って、車庫入れの際に自宅の塀を壊してしまいました。 立て続けに運転ミスを起こすようになったため、義兄は病院で検査を受けることにしたそうですが、それに先立って、運転免許証の返納を決断したのだそうです。 義兄のように車の運転が生活の一部となっている人は、運転能力の衰えが見えにくいのだと思います。今日出来たことは明日も出来ると考えがちですが、高齢の域に達すれば、少しずつ出来ていたこと…

  • 花粉症対策

    発症 今年は花粉の飛散量が過去十年で最大となり、昨年の12倍に達すると報じられています。我が家の女性陣は毎年、これからゴールデンウィークあたりまで大変な時期を過ごすことになるのですが、私は幸いにしてこれまで花粉症とは無縁でした。 ところが、今年は目のかゆみと鼻水に悩まされるようになりました。妻や娘たちに比べたら、まだ症状は軽い方なのでしょうが、毎年下の娘が口癖のように繰り返していた「目を取り出してゴシゴシ洗いたくなる」ようなかゆみが私にもようやく分かりました。 花粉症対策 妻と娘たちは、以前、処方薬を試したことがありました。処方薬には抗ヒスタミン剤やステロイド剤などいくつか種類がありますが、残…

  • 拍車のかかった少子化

    危機的状況 二月末に公表された厚労省の人口動態統計の速報で、昨年の出生数がついに八十万人を割り込んだことが判明しました。これは、同省の予想よりも十年余り早いペースだそうです。 「少子化に歯止めがかからない」。同じようなセリフを何度も繰り返し聞かされると、危機感が希釈されるような気がしますが、具体的な数字を示されると、すでに危機的状況にあることが分かります。 コロナ禍や経済的不安が少子化傾向に拍車をかけたことは容易に想像できますが、歯止めをかけられないばかりか拍車がかかってしまった少子化が、今後改善される見通しはあるのでしょうか。 少子化の要因は複雑で、子育て支援の制度を拡充すれば問題が解決され…

  • 拍車のかかった少子化

    危機的状況 二月末に公表された厚労省の人口動態統計の速報で、昨年の出生数がついに八十万人を割り込んだことが判明しました。これは、同省の予想よりも十年余り早いペースだそうです。 「少子化に歯止めがかからない」。同じようなセリフを何度も繰り返し聞かされると、危機感が希釈されるような気がしますが、具体的な数字を示されると、すでに危機的状況にあることが分かります。 コロナ禍や経済的不安が少子化傾向に拍車をかけたことは容易に想像できますが、歯止めをかけられないばかりか拍車がかかってしまった少子化が、今後改善される見通しはあるのでしょうか。 少子化の要因は複雑で、子育て支援の制度を拡充すれば問題が解決され…

  • 夫婦の加点主義

    演じる自然体 結婚して三十年も寝食を共にしていると、お互い空気のような存在になってしまい、付き合っていた頃の新鮮さなど思い出すこともなくなってしまいます。 付き合ってた頃は、自分が結婚相手として相応しい人間だということをアピールすることに余念がありません。それは、妻も同じことで、お互いに「気の置けない相手」、「自分が自然体でいられる相手」だと思っていても、そこには、ある程度相手に合わせ、相手から “結婚相手として相応しい人間”に見られるような努力がありました。結果、お互いに相手に対する好感度が高まり結婚に至ります。 ところが、結婚して実際に一緒に暮らすようになると、相手の前でいつまでも“努力”…

  • 欲求の質

    原動力 以前の記事で何度か人間の欲求について書いてきましたが、私は自分の経験から、欲と言うものは歳を重ねるにつれて無くなって行くものなのだと思っていました。 食欲や性欲は肉体の成長とともに高まり、肉体の衰えと共に鎮まって行く。現に私の肉体の盛衰と欲とは相関しているようです。また、物欲や見栄のような、ある意味人間らしい欲求も歳と共に薄らいでいます。 そのような諸々の欲は、これまでの私の活力の拠り所であると同時に、ストレスの根源でもありました。若い時の私はその点、単純で、お腹が満たされることにより、あるいは妻と肌を重ねることにより、欲が満たされた気になりました。 欲が鎮まると言うことは、満たしたい…

  • コオロギとザリガニ

    コオロギチョコ 先日、下の娘が買ってきたコオロギチョコなるものを分けてもらいました。コオロギと名がついていても粉末状にしたものをチョコレートに練り込んでいるので、口の中に異物感があるわけでもなく、私には何の変哲もないチョコレートバーでした。 その手の話題に疎い私に娘はにわか仕込みの知識を披露してくれました。食の多様化の選択肢として、昆虫食の可能性を追求するのは悪いことではなさそうな気もしますが、私は食料危機で食べるものに困らない限り、コオロギを進んで食することは無いでしょう。 私の隣でコオロギチョコを楽しんでいる娘は、幼稚園に上がったばかりの頃、家族旅行で訪れた信州でイナゴの佃煮を前に怯えて泣…

  • しわ寄せの不満

    注意喚起 先日全社員に配信された「注意喚起」のメールでは、産休・育休から復職した社員や時短勤務の社員に対しての“気配り”についての記載がありました。実際に何かのトラブルが起こらない限り、この手の注意喚起は行なわれないのですが、実例が示されていないため、具体的なトラブルの内容までは分かりません。 とは言え、産休・育休から最近復職した社員や時短勤務を行なっている社員が誰なのかは少し調べれば分かってしまいます。中途半端なプライバシーの保護はかえって不正確な“噂”となって社内を歩き回ることになるので、あまり得策とは言えません。 それはともかく、休業明けの社員や時短勤務の社員につらく当たる人の心中はどの…

  • 虚無と充実(2)

    “こうありたい”自分 日常の中での“こうあるべき”自分と、本来の“こうありたい”自分。私は長い間、“こうあるべき”自分こそ人生の目標なのだと考えていました。“こうありたい”自分をある程度犠牲にするのは目標を達成するためにはやむを得ないことと自身に言い聞かせてきました。 しかし、自分は何のために生きているのか、何を成し遂げたいのか、何を楽しみたいのかを冷静に考えて見ると、それは“こうあるべき”自分とは随分とかけ離れたものだということに気がつきました。 妻の看病をするために仕事から離れると決めた時点で、私は、一緒にいたい人に寄り添い支えることが、自分のやりたいことだと気づいていたのだと思います。約…

  • 虚無と充実(1)

    夢のその先 私が今の勤め先に入社した頃、海外駐在が目標のひとつでした。今思えば、なんて子供じみた目標を掲げていたのだろうと恥ずかしくなってしまいますが、仕事を知らない若造にとっては、“海外で活躍することイコールカッコいい”と短絡的に考えていたのでした。それが、本来自分が望んでいたことなのだと思い込んでいました。 当時の私にはその先を見据えるだけの考えも無く、手段と目的と目標が“一緒くた”になっていて、そのことにすら気づいていませんでした。 比較的仲の良かった同期入社の社員は、日頃、「偉くならないと自分のやりたいように仕事が出来ない」と口癖のように言っていました。彼は、入社して五年足らずで会社を…

  • 自分の死の準備

    死の不安 私が小学校に上がったばかりの時でした。父親の経営する会社の従業員の方が亡くなりました。我が家の裏手のアパートに独り暮らしで、朝食も夕食も私たち家族と一緒でしたので、私がずっと親戚のおじさんだと思い込んでいた人でした。 その朝、出勤時にアパートの階段から転げ落ちたおじさんは、我が家での朝食の後、急に具合が悪くなり救急車で病院に運ばれ、そのまま帰らぬ人となりました。 身寄りのなかったおじさんの葬儀は、父が喪主となって執り行われました。私は初めて人の死顔を見ました。頭には包帯が巻かれていましたが、穏やかな寝顔にしか見えませんでした。 今まで自分に優しくしてくれた大人が突然いなくなり、私は子…

  • 知見の散逸

    不要となる仕事 英文契約書の読み方に関する書籍は数多く出版されていますが、座学だけではスキルを養うことは出来ないので、出来るだけ多くの現物に当たって経験を培うことがスキルアップの近道です。 契約書の読み方以前に、英語の読み書きが出来ることが必要であることは間違いないのですが、今や非常に優れた英訳ソフトが普及していて、私も、私と一緒に仕事をしている若手社員も、初見の契約書は最初に自動翻訳して原文と和訳のつき合わせをするところから仕事を始めています。 これだけでも、随分と仕事は楽になりましたが、前後の文脈から適切な訳を選ぶことや、分かりやすい意訳に直すことに関しては、まだまだ英訳ソフトよりも生身の…

  • 働く目的

    休息 ほんの三年前まで、私の生活は仕事を中心に回っていました。土日祝日も半分以上は出社して仕事をこなしていましたが、「仕事とはそういうもの」と、そのこと自体に疑問を感じることなく生きてきました。 一年を通じてそんな状態だと、たまの休みが取れても英気を養おうとする気力も湧いて来ず、翌週のための小休止として無為に時間を過ごしてしまいます。妻や娘たちにとって私は当てにならない存在で、休みの日は“女子三人”でのお出かけが当たり前になっていました。私としては、家族と出歩きたい気持ちはあるものの、体を休めたい気持ちが勝っていました。 その穴埋めをしようと、何とか有休を取って家族と行動するにしても、常に頭の…

  • 歳を取ってからの気づき(2)

    人並み 自分は人並みなのか、周囲の人間よりも優れているのか、劣っているのか – 他者と自分を比較しても、それで自分が変わるわけではなく、また、他者に対する優位性だけを求めて努力するというのも本末転倒です。 自分が誰かを羨んでも妬んでも、立場を入れ替えられるわけではありません。誰かの真似をしても、それで心が満たされるものでもありません。 子どもの頃、友人が新しいおもちゃを手に入れると、それと同じ物を親にねだった経験がありますが、今思えば、それは本当に自分が欲しかった物ではありませんでした。他者が持っている物は自分も持っていたい ‐ 子供心ながら、横並びの心理が働いたのでしょう。 人並みでありたい…

  • 歳を取ってからの気づき(1)

    物の価値 年長の方からのアドバイスが身に染みて分かるようになるのは、実際に自分が歳を重ねてからなのだと思います。頭では理解しても実感が伴わなければ、行動に移すことはなかなか出来ません。ある日、はっと気づいて過去の自分を恥じたことが何度もあります。 新入社員の頃、複数の会社が共同出資して立ち上げた関連会社に出向になりました。私の上司は総合商社からの出向者だったのですが、その人から私は仕事と人生訓を教えられました。 今の私が自分の中で反芻し、また、自分の娘たちの伝えようとしていることの多くは、その人からの受け売りです。 自分が一生でどうしても手に入れたいもの、実行したいことの優先順位の大切さ。その…

  • フリーアドレス

    フリーアドレス 私の勤め先は、新型コロナによる緊急事態宣言を機に出社と在宅勤務を併用するハイブリッド型の勤務形態になりました。依然として感染防止のために部署ごとで出社率を調整しているので、普段の出社率は五割から六割の間に収まっています。 以前は狭苦しく感じた事務所も人口が半分程度になると圧迫感も薄まります。私は事務所の人口密度はこのくらいが最適なのではないかと考えていました。ところが、先日、総務部の知り合いから、来夏からフリーアドレスを導入して、その後事務所の一部を返還する予定であることを聞きました。 恐らく、経費節減のために事務所の賃借面積を縮小することが目的なのでしょうが、フリーアドレス導…

  • 寿司テロの痛々しさ

    寿司テロ 外食チェーン店での客の迷惑行為が話題になっています。以前も似たような話があった記憶があります。今回の「寿司テロ」にせよ「バイトテロ」にせよ、その結果は、当の本人たちの軽はずみな考えに見合わない深刻なものになることは知らないはずもないのでしょうが、このような迷惑行為は、厳罰化や防止策の抜本的な見直しが行なわれない限り後を絶たないのだと思いました。 迷惑行為が、同席者の“ウケ”を狙ったものなのか、SNSでバズることが目的だったのかはさておき、食べ物を粗末に扱うことや、後から来る別の客のことを考えない行ないに弁解の余地はありません。 店側が被る被害の甚大さからすると、「寿司テロ」のキャッチ…

  • 出戻り志願

    元同僚 昨年末、元同僚からメールが届きました。差出人の名前に懐かしさを覚えた私でしたが、メールアドレスは見慣れないものだったので、「迷惑メールかもしれない」とそのまま放置していました。 ところが、年が明けてからしばらくして、再び同じ差出人からメールが届きました。相手も私が不審に思っているものと感じたのでしょう。今度は本人と私にしか分からない思い出話を持ち出してきました。そこまでされて疑うわけにもいかず、私は仕事の合間に彼に電話をかけることにしました。 彼が転職した時、私は海外駐在中だったので、会って直接話は出来ませんでした。ただ、私に送ってきた退職の挨拶メールは、会社に対する恨みつらみに満ちた…

  • 金づる候補

    金づる候補 私の父は六人兄弟姉妹の長子でしたが、叔父叔母たちは、父の事業が傾き始めた途端に疎遠になり、私自身も父方の親類との付き合いはありません。 先週、叔母の一人から私に電話がありました。もう会うこともないだろうと思っていた人の一人でした。携帯電話の番号は母から聞いたのだと言います。二十年以上も音沙汰の無かった叔母からの連絡に、私は嫌な予感を覚えました。 叔母は母よりも上の年代なので、もうすぐ九十歳に手が届くはずですが、声の調子は高齢者とは思えない張りがありました。長い間音信不通だったことを忘れたかのような馴れ馴れしい口調に、私は不快感を覚えながら適当に相槌を打っていました。 他の兄弟姉妹が…

  • 親の領域、子どもの領域

    菓子折り 今までもブログの記事を書く時には、その場で頭に受かんだことを書き留める感じでしたが、それにしても、最近の私の思考は自分でも取り止めのないものだと思っています。 先日、義母と妻の話の記事で娘のランドセルのことに触れました。そのランドセルでもう一つ思い出したことがありました。 娘がまだ低学年だった頃、同級生の男の子にランドセルを傷つけられることがありました。妻に言われて見てみると、確かにランドセルの背の部分に引っかき傷のようなものがありました。担任の先生との間の「連絡ノート」には、同級生が文房具で悪戯をして娘のランドセルに傷をつけたことと、先生がその場で当の本人に厳重に注意をして、娘にも…

  • 義母と妻

    蟠り この春に就職を控える下の娘から、配属先によっては独り暮らしになるかもしれないと聞かされました。まだ確定ではないものの、心配性の妻にとっては大きな不安の種になりました。 娘たちはいつか巣立っていくもの ‐ 心の準備は出来ていたはずなのに、いざそれが現実味を帯びてきて、妻は再び自分の本心と親としてのあるべき姿の間で煩悶しています。 私が会社に入って妻と知り合った頃、すでに彼女は親元を離れて独り暮らしをしていました。勤務先は実家から通える距離でしたが、妻は母親の過干渉や束縛から逃れたかったのです。 妻と私の結婚に最後まで反対したのは義母でした。一番大きな理由は、私が“転勤商売の男”だったところ…

  • 慶弔予算

    家計簿 新年も半月余りが過ぎてから、今年の家計予算を立て忘れていたことに気がつきました。例年なら十二月に入ると何度もページを捲ってヨレヨレになった家計簿を読み返しつつ、妻と新年の家計予算の作成に取り掛かるのですが、今年はまだ昨年十二月分の家計簿も締めないままとなっていました。 今は日々のお金の出入りは私がアプリで管理していて、それを妻が週単位あるいは一か月分まとめて手書きの(!)家計簿に転記してつき合わせをしています。 以前は、家計の管理は妻に任せ切りでした。結婚以来、妻は手書きの家計簿を使い続けていましたが、闘病開始を境に私が家計管理を行なうことにしました。 ところが、妻は私に家計を任せるこ…

  • 家族の有難み

    乾燥肌と手荒れ 乾皮症気味の私にとって、空気が乾燥する冬は厄介な季節です。かゆみを伴う肌のガサガサを抑えるため、保湿クリームが手放せません。 もう一つの冬場の悩みは手荒れです。洗い物が多い夕食後は食洗器のお世話になりますが、それ以外は手洗いにしています。食器類を洗う際にはゴム手袋をすればいいのでしょうが、私はどうも手袋の感触が苦手なのと、嵌めたり脱いだりする手間も面倒なので、つい素手で水仕事をしてしまい、結局手荒れに悩まされることになります。 若い頃も水仕事は素手で行っていたのですが、今ほど酷い手荒れにはなりませんでした。加齢のために体内の水分量が減っているのでしょう。娘たちも洗い物をする時は…

  • 良い眠り

    良い眠り 三年前に体調を大きく崩した時、診察を受けたお医者さんから睡眠不足を指摘されました。当時の平均睡眠時間は三時間から四時間程度でした。 私は学生時代からショートスリーパーで、それが自分に合っているのだと思い込んでいました。ただ、今振り返ってみると、体調を崩す前の数年間は、布団に入ってもすぐに寝付くことが出来ず、睡眠の“質”は良くはありませんでした。 その後、睡眠時間を増やすよう努力してきて、今では六時間前後は眠れるようになりました。何よりも目覚めた時にぐっすり眠れた充実感を得られるようになったことから、睡眠の質も確かに向上しているのだと思います。 当初は、夕食や入浴の時間を早めにしたり、…

  • 介護考(2)

    同居反対 私は二週に一回の頻度で母の様子見をしてきましたが、コロナ禍以前は、仕事の都合で妻に代わってもらうこともしばしばありました。結婚当初から、妻は実の息子である私よりも母と馬が合い、嫁姑問題とは無縁で、将来母と同居するのも厭わないことを口にしていました。 他方、母は、「誰の世話にもならない」と言うのが口癖でしたが、もし、私たちとの同居を申し出たらどのような反応を示したでしょうか。最終的には提案を受け入れたかもしれません。 妻の母への気遣いは有難いことでしたが、私は親との同居に反対し続けてきました。三十年近くも別々に暮らして来た者同士が一緒に暮らせば、改めて共同生活のリズムを立て直さなければ…

  • 介護考(1)

    呆気無い最期 過去の記事で何度か触れましたが、私の父親は六十六歳でこの世を去りました。事業を畳んで、地方の観光地に終の棲家を構え、母と二人の老後生活を楽しめるようになって六年足らず。その最期は呆気無いものでした。 当時私は海外駐在中で、クリスマス間近に長女が生まれました。お互いの親に孫の顔を直接見せられない私たちは、娘の写真を日本に送りました。しばくして、義母からは写真が届いたとの電話が来ましたが、私の親からの連絡はありません。 きっと電話が来るのを待っているのだろうと、私は両親に電話をしました。普段電話口に出るのは母親でしたが、その日はたまたま父が電話を取りました。他愛の無い話の後、長女の写…

  • 正月気分

    年賀状整理 これまでの正月と言えば、知人から届いた年賀状を整理するのも一仕事でしたが、それも今は昔。会社関係者との年賀状のやりとりは、海外駐在を機に終わりにしました。帰国後は、会社自体が虚礼廃止の下、同僚や上司との間の年賀状のやり取りを終わりにするよう励行したおかげもあり、受け取る年賀状の数も大幅に減りました。 今の家に引っ越した六年前には、年賀状のやり取りだけの関係になった相手にも引っ越しの挨拶状を出したものの、その年の終わりに、私はほとんど相手先に年賀状仕舞いの挨拶状を送りました。いまでは、高齢でメールアドレスを持たない相手方には年賀状を出しますが、それも片手で数えるほどです。 以前なら、…

  • 大晦日

    在宅勤務での仕事が主になってからの二年余りで、家の中の様子が大きく変わりました。それまで、共働きで平日は留守にしていることがほとんどだった我が家は「片付かない家」でした。 それが、妻の闘病生活で様子が一変しました。妻にとっては我が家が病室でした。新型コロナの蔓延が拡大している最中でもあったことから、お医者さんからは、免疫力の弱っている妻に感染させないように注意することが大切だと言われました。 さすがに家を無菌室のようには出来ませんが、可能な限り家の中を清潔に保つにはどうしたら良いか自分なりに考えた結果、念入りに掃除することと、手に触れる場所を徹底的に消毒することにしました。今では、家中を神経質…

  • 当てに出来ないもの

    当てに出来ないもの バブル崩壊後に就職した私は、入社以来これまで、景気の良さを実感したことがありません。いつかまた景気は戻ると期待しながら、気がつけば定年まで片手で数えられる年齢に達してしまいました。 過去に何度か触れましたが、結婚当初に初めて作った家計のキャッシュフロー表は、その後何度か見直しを行なったものの、全て“下方修正”でした。収入は思いどおりには上がらず、ボーナスももらえるだけ有難い、といった感じでした。 私が幹部社員になってからのボーナスは、記憶違いでなければ、毎度、「幹部社員減額」として一割から二割減らされました。もらえるだけ有難いとは言え、私の頭の中では、ボーナスなどいつ支給さ…

  • 心穏やかに

    業務終了 今年も残すところあとわずかとなりました。 週末は、家族四人で小ぢんまりとクリスマスパーティーを楽しみましたが、今年はどういう風の吹き回しか、娘二人が料理を担当することになり、私と妻は、予約してあったケーキの受け取りとお酒とつまみの買い出しだけで役目が終わったので、とても楽をさせてもらいました。 家族全員で年末を過ごすのもいつまで続くか分かりません。親としては、クリスマスなのに娘たちに浮いた話のひとつも無いのは少々気がかりではありますが、そんなことに愚痴をこぼしていては罰が当たります。 さて、会社も今年の営業はあと三日で終了。数年前までは、何かと翌年に持ち越しになる仕事があったのですが…

  • 体質改善

    職業病 毎年十二月に人間ドックを受診することになっていたのですが、今年は予定していた週に酷い風邪をひいてしまったため、年明けに予約を変更してもらいました。 以前は、人間ドックは憂鬱なイベントでした。肝臓の数値や尿酸値が高めで、毎回お医者さんからは食生活を改めるよう注意されることがお決まりでした。とは言え、不規則な食事時間や関係先との付き合いなど、“健全な”食生活を送るのは仕事柄無理だと勝手に諦めていました。 それが、この二年間で、検査結果の数値だけを見れば、私の体質は大きく改善しました。体重は十キロ近く減り、ほぼ学生時代の体形に戻りました。血液検査や尿検査でも要注意の数値は無くなりました。 コ…

  • ぬくぬく

    快復途上 一週間ぶりに仕事に復帰したものの、何となく本調子ではない状態が続いています。倦怠感とまでは言えないものの、仕事をしていても集中力が続かず、小まめに休憩しながらなんとか目の前の業務をこなしています。 若い頃なら、風邪は働きながら治すものと言い聞かせて出社したこともありましたが、今は誰かに頼りにされる役を演じるよりも、自分の体を労わりたい気持ちの方が勝っています。鞭打つ体はすでに若くは無く、老体の域に達しています。 特に、この一~二年の間、亡くなった知り合いの数が増えたことも私の考え方に影響を与えていると思います。 人生の満足度は、決して生きた時間と比例するものでは無いのでしょうが、亡く…

  • 自主隔離生活

    発熱 先週、月曜日の昼くらいから悪寒と倦怠感を覚えたため、熱を測ってみると思いのほか高く、午後休暇を取って地元のPCR検査センターで検査を受けました。結果が判明するのは翌日でしたが、帰宅後、私は寝室で自主隔離生活を始めることになりました。 この二年余り、新型コロナに感染しないよう用心に用心を重ねてきたはずでした。闘病中の妻はもちろんのこと、娘二人にも感染防止については口が酸っぱくなるほど注意していた当の本人が感染してしまったとなっては、そして、それが家庭内感染に広がってしまったとしたら、悔やんでも悔やみきれません。 外出時にはマスクを着用し、帰宅後は手洗い・うがいを徹底していたにも拘わらず、完…

  • 達成感とカタルシス

    他人事 私が管理職を下りた直後、親しい同僚のひとりから連絡がありました。彼は、三十年積み重ねて来たキャリアをあっさりと捨ててしまった私の判断を残念がっている様子でした。 彼は、家族の面倒と仕事を両立させる手立てはあったはずと考え、誰とも相談せずに決断を下した私を水臭いと怒っていました。 私としては、自分や家族に関することは誰かに相談するものでは無く、自分で決めるしかないものと考えていたのですが、彼に私の気持ちが伝わったかは分かりません。 当の私も、自分の決断は決して浅はかなものではないと考えるものの、一時の感情で性急な判断をしてしまったのではないか、と当時の気持ちを振り返ることはあります。最善…

  • 余計な手間

    年末ののんびり 今年も残すところ一か月を切りました。この二年間、コロナ禍の影響もあり年末年始に親族が一同に会するようなこともしなくなりました。今年も家族四人でゆったりと新年を迎えることになりそうです。 以前は、年末年始の貴重な長期休暇を無為に過ごしてはもったいないと、いろいろと予定を詰め込んだものですが、忙しない年の瀬の後、心と体をリフレッシュさせるにはのんびりするのが一番と思うようになったのは、私が歳を取ったからなのでしょう。 余計な手間 自粛ムードが緩まってきて、私の勤め先では今年は納会を復活せるような噂がありました。しかし、聞くところによると、労働組合からの大反対で今年“も”納会は中止が…

  • 心の壊し方

    彼からの手紙 彼からその手紙が届いたのは、退職して三か月余り経った頃のことです。メールに添付された手紙は、細い毛筆体のフォントで認められていて、気軽に読むものでは無い雰囲気を醸し出していました。 入社七年目、海外駐在中に不調を訴えて帰国した彼は、そのまま病気休職扱いとなり、約二年後に退職しました。 私は、彼が短期駐在に出るまでの一年足らずの間、仕事でつながりがありました。仕事が出来る以上に周囲への気配りに長け、物事を円滑に進めるための術を心得ていたところは、同年代の他の社員には無い、彼独特の強みでした。 彼が大きな悩みを抱えていたことは、その手紙を読むまで私は気づきませんでした。表面的には朗ら…

  • 食事の話

    食事の習わし 妻と私は、結婚してからの四年余りの間共働きでした。家事の分担は公平にしようと思っていながらも、帰宅時間はいつも私の方が遅く、平日は先に帰宅する妻が夕飯の支度をしてくれていました。 帰宅が早いとは言え、妻も疲れて帰ってくるわけで、毎度手間をかけた料理を作るのは無理があります。そこで、週末に二人で手分けをして料理の下ごしらえや作り置きをして翌週を迎えるのがスケジュールになりました。 週末に何かの都合で時間が取れなかった時は、平日の夕食はスーパーの総菜売り場のお世話になりましたが、妻は栄養のバランスを考えて品物を選んでくれるわけですから、それもまた手間だったはずです。 結婚当初は収入も…

  • 陰口

    陰口 昭和の刑事ドラマなどで出てくる脅迫文は、新聞から切り抜いた活字を組み合わせて作ったものが定番でした。子どもの頃、お遊びで新聞や雑誌を切り抜いて“脅迫文”を作っていて親に酷く叱られたことを覚えています。 下らないことをしている暇があったら家の手伝いでもしろと母は眉をひそめたものでしたが、役に立たないことほど熱中してしまうのが子どもなのです。 幸いにして、私はこれまで誰かを誹謗・中傷したり、脅迫したりすること無く過ごして来ましたが、自分の考えと相容れない人に不快感を覚えてしまうことは多々ありました。ただし、思うことがあれば、その本人に言えば済む話で、誰かに愚痴をこぼしたり、悪評を広めたりする…

  • 普通の一日

    治療の終わり 妻は現在、三週間おきに抗がん剤の投与を続けていますが、それも来年の三月で終了します。 昨年に受けた手術で切除し切れなかったがんは、その後の抗がん剤による治療でも、大きさをほとんど変えずに残りました。妻のがんは寛解とはなりませんでした。彼女はこれからがんとともに生きて行くことになります。 治療後は定期的に検査を受けることになりますが、もし、遠隔転移が確認されれば、緩和ケアしか選択肢は無い、と言うのが主治医の先生の話でした。 先生からの説明を、私は - そして、たぶん妻も - 冷静に聞いていました。最初にがんの宣告を受けた時は内心とても動揺した私でしたが、これまで妻との対話を通して、…

  • 惰性の法則(2)

    惰性の川 私の勤め先に関して言えば、所謂パワハラ上司がいなくなったことで、表面的には職場環境は随分改善されました。 ただし、それは会社の自浄作用が働いたからではありません。世間でハラスメントに注目が集まり、まともな会社であればその対策を講じることになりましたが、私の勤め先もその流れに乗った、あるいは乗らざるを得ない状況に追い込まれたに過ぎません。 “元”パワハラ上司は、心を入れ替えたのではなく、自分の立場が危ういと感じたから大人しくなっただけで、本質が変わったわけではありません。 もし、世の中の動きと言う外圧が無ければ、パワハラは、部下への指導が少しばかり“行き過ぎた”程度のことにされて、パワ…

  • 惰性の法則(1)

    燻ぶっている人間 周囲の人々を見下す人間はどこにでもいるのですが、その手の人間は殊のほか自分の評価を気にします。他人は他人、自分は自分、と考えることが出来れば、どれほど気が楽になることだろう – そう思いながら、私は、その二年か三年先輩のSさんを諫めることも無く、距離を置いていました。 Sさんとは一緒の部署になったことはありませんでしたが、何度か仕事でのつながりがありました。彼は目下の社員に仕事を押し付け、自分は手を動かすことをしないタイプでした。そして、時折、用も無いのに私の部署に来ては、如何に自分が出来る人間かを喧伝するのでした。 一度、私が〆切の近い仕事をしていた時に、Sさんがいつものよ…

  • 読み書きそろばん

    読み書きそろばん 私が小学生の頃は、学校から帰ってくれば近所の友達と暗くなるまで外で遊んでいたものでした。家で授業の予習・復習をした記憶は無く、親もあまりうるさいことは言いませんでしたが、出された宿題と週二回の珠算塾だけは、サボることは厳禁でした。 計算問題や教科書の音読や漢字の書き取りは好きではありませんでしたが、私が漢字の書き取りの宿題を嫌々ながらやっていると、母は私の右手をピシャリと叩き、下手でも良いから丁寧に書けとよく叱られたのを覚えています。 「読み書きそろばん」 - 小学生の私が母親から、読み書きと計算くらいは出来ないと大人になってから苦労すると何度と無く聞かされた言葉です。 確か…

  • 無駄な贅沢

    無駄な贅沢 前回の記事で趣味の読書について触れましたが、もう一つ、数十年ぶりに再開したギターの練習が私の趣味“候補”になっています。 中学生でギターを始めた頃、月刊誌の「明星」や「平凡」の付録の“ソングブック”でコードを覚えたのを思い出しました。当時はちょっとしたギターブームでクラスの半分くらいは“ギタリスト”だったのではないかと思います。 私はやがてブルースの世界に傾倒しながら、ブームが去った後も細々とギターを続けていましたが、大学に入ってからは、ギターケースは部屋の片隅に置かれたままとなっていました。 私のギターは三十年あまりもの間ケースの中に閉じ込められていたものですから、フレットは緑青…

  • 暇つぶしと趣味(2)

    苦行 子どもの頃、親が私に読書の大切さを説いたのは、それが語彙力をつける近道だからと言う理由でした。知らない漢字や言葉をその都度調べて覚えるのは地道な作業です。しかし、自分の読みたい本の中身を理解するための努力なら苦にならず、その点、親の言ったことは正しかったのだと思います。 私は、同じように読書の大切さを娘たちには何度か伝えようと試みましたが、なかなか響きませんでした。 特に、下の娘は、中学三年の時に運良く帰国子女枠で中高一貫校に滑り込めたものの、国語が全くダメでした。小学生レベルの本から読書をさせようとしましたが、本人はそれも受け付けず。担任の先生と相談して、読むのがダメなら聴くだけでも日…

  • 暇つぶしと趣味

    積読解消 長続きしている趣味と言っても私の場合、ありきたり過ぎて、趣味と言えるのか暇つぶしなのか自分でもよく分からなくなることがあります。 時間が無ければ趣味に興じることは出来ないのか、あるいは時間を割いてでも没頭したくなるのが趣味なのか - 私にとっての趣味はオフの時間のガス抜きの役割が大きいので、ライフワークと呼ぶ域に達するものではありませんが、将来、完全にリタイアした後の生活に潤いを与えてくれるような趣味をひとつでもふたつでも持っておきたいと思っています。 最近、ようやく“積読”が解消されました。読まずに溜め込んできた本は、書店で気をそそられて買ったものの、時間が無いことを言い訳に本棚の…

  • 悩みと答え

    過去の穴埋め 妻が闘病生活に入ってから、我が家の食事は薄味になり、香辛料を使うようなものは控えるようにしてきました。以前はカレーも辛口のルーを使っていたのが今は甘口。当初は妻の分だけ分けて食事を作っていたのですが、私が面倒になったことから、家族全員同じ味付けにしてしまいました。当初は文句を言っていた娘たちも今では淡泊な料理に文句を言うことは無くなりました。 ところが、この週末、妻が「たまには辛いものが食べたい」と言い出し、それを聞いた下の娘が、せっかくだからとタイカレーのペーストを買ってきました。一番辛いグリーンでは無く、レッドを選んだのは娘なりの配慮なのかもしれませんが、ココナッツミルクでマ…

  • 所詮は他人

    オロオロ 先日、上の娘が酷く落ち込んで帰って来たことがありました。持ち帰りの仕事があるからと、夕食も抜きで自室に閉じこもった娘。娘の部屋の前でオロオロする妻。こんな状況の時に私が心配するのは、娘本人よりも妻の方です。 娘が不登校になった時も、就職活動が上手く行かずに悩んでいた時も、本人はそれなりに苦しんでいたはずでしたが、そんな思い悩んでいる気持ちが妻に乗り移り増幅されました。おそらく、その夜妻は布団の中で悶々としていたことでしょう。 かく言う私も妻と同じくらい娘のことが心配でしたが、両親そろってオロオロしているわけにも行きません。我が家では、結局いつも私が冷静な素振りをする役回りなのです。 …

  • 師走近く

    例年 “例年”であれば、気の早い知り合いは、そろそろ忘年会の日程調整を始める時期です。体を労わらなければならない年齢故、飲み会が続かないようにと予定にはある程度ゆとりを持たせているつもりでも、久しく会っていなかった友人などから声がかかれば、つい無理をして顔を出し、翌朝胸のむかつきと胃もたれを後悔する – 私がそんな季節を楽しんでいたのは、随分と昔のことのように思えます。 外で飲む機会が無くなり、例年が例年で無くなってから三度目の冬を迎えようとしています。妻の体調が読めないので、家族旅行はもうしばらく我慢することにして、この年末年始も家でのんびりと過ごすことになりそうです。 昨年末は、妻の監修の…

  • 時間の引き算(2)

    労働生産性の土台 私の勤め先では、どの部署も例外無く“労働生産性の高い組織作り”を目標に掲げさせられています。要は、社員の残業時間を減らして有給休暇の取得率を上げよ、と言うことです。 人材流出が止まらない会社において、社員の残業を減らして、なおかつ休暇を取りやすい環境を整えるのは無理があります。 本来必要とされる“定員”を満たしていない部署がほとんどです。組織目標を完遂するための労働時間の総量が同じなら、人が減った分、各人の労働時間が増えるのは小学生でも分かる話です。慢性的な人手不足は、採用が思いどおりに進まない昨今の状況を見れば、今後改善されることなど期待できません。 私の部署では、かつて一…

  • 時間の引き算(1)

    他者に管理される予定 私がまだ仕事に忙殺されていた頃、すでに定年退職していた会社の先輩に飲みに誘われました。定年を迎えるわずか数か月前に奥様に先立たれた先輩は、再雇用の道を選ばずに、「これからは孫の世話を生きがいにしたい」と六十歳で完全リタイアしました。 ところが、その後、娘さん夫婦は家に寄りつかず、先輩は生きがいだったはずのお孫さんの面倒を見ることも無く、独りの時間を持て余しているとため息を吐きました。 こちらから根掘り葉掘り聞くような話題では無いため、どのような事情があったのかは分かりませんが、私は、先輩のように手持無沙汰な毎日を過ごすのと、自分のように忙し過ぎて「時間が足りない」と嘆くの…

  • 人を育てる余裕

    なんでも屋と職人 今は、組織の活性化の観点から、部門間での定期的な人材ローテーションが必須になっていて、若手、ベテランに限らず、数年毎に異動させられるのですが、ジョブローテーションをルール化した頃から、それぞれの部の特色は薄れ、“顔の見えない組織”化が進んだような気がします。 かつては、どこの部署にも生き字引的な社員がいて、仕事で困った時など、「あの人に相談すれば間違いない」と頼れる人が結構いましたが、今は、一つの分野に長く深く携わってきた社員はほぼ“絶滅”してしまいました。 生き字引社員の中には、会社が定期的なジョブローテーションをルール化した際に早期退職した者もいます。長く同じ仕事に携わっ…

  • 夢から覚めた町

    同じ轍 以前、母親が原野商法に引っかかった話を記事に書きました。 lambamirstan.hatenablog.com 休日、東北新幹線の最寄駅でレンタカーを借りて、その土地を初めて見に行きましたが、分譲地のはずの周辺も含めて全くと言っていいほど手入れがされておらず、伸び放題の雑草で覆われた土地は区画の判別もつかない有様でした。 後日、管轄の市役所に問い合わせをして、固定資産税の滞納が無いことを確認しました。電話で対応してくれた市役所の方の話では、問題の土地周辺の利用価値が無いため課税対象になっていないものの、今後開発が行なわれるなど状況が変われば、固定資産税が発生するかもしれないとのことで…

  • ストレスのお掃除

    ストレス解消のルーティン 私の朝のルーティンは、洗濯と風呂掃除、そして掃除機掛けです。夫婦共働きだった頃は - その頃は在宅勤務もなかったので – 掃除は週末にまとめて済ませていました。その時は気がつきませんでしたが、ほぼ毎日家中を掃除するようになって分かったのは、埃や塵が意外に多いことでした。 家の中で人が動いていれば、埃が立つのは当然なのでしょうが、毎日掃除機を掛けるようになって、たった一日で溜まる埃や塵の多さに驚きました。潔癖症では無い私が毎日掃除するようになったのはそのためだと思います。 朝、仕事を始める前に家の中をきれいに掃除して片づけるのは、衛生的であるだけでなく、体を動かして爽快…

  • とりとめのない話

    早過ぎた鍋 例年、十月に入った最初の週末は、夏物と冬物の入れ替えを行うのですが、今年は寒くなったかと思えば汗ばむ日が戻ってきて、衣替えを見送ったまま一週間余りが過ぎました。 先日は、気温の低い日が続く予報が出ていたので、鍋料理が好きな下の娘は、頼まれもしないのに食材を買い込んで帰ってきたのですが、思いのほか気温が下がらず、汗を流しながらの我慢大会のような夕食になってしまいました。 今までは家族全員そろって食卓を囲むのは週末くらいでしたが、この二年は平日でも四人そろっての夕飯が珍しく無くなり、鍋料理の出番も増えました。それに伴って娘はいろいろな鍋の素を買ってきては試すようになりました。中には、私…

  • 不安解消のための目標

    一貫性の無い慎重派 歳を重ねるに伴って様々な体験を通じて学んだ教訓が蓄積されます。もちろん、それはロールプレイングゲームの経験値のように定量化出来るものではありませんが、教訓のカードが多ければ、そこから先の未来に待ち受けているトラブルを未然に回避出来る可能性は高まります。 反対に、経験を積み過ぎた結果、過去の教訓が邪魔をしてせっかくのチャンスを逃してしまうこともあるので、経験の多少が行く末を決めることになるとは限らないのも悩ましいところです。 私の拙い経験から得られた教訓の使い道は、ほとんどが予防的なものに限られます。思うに、私自身、成功体験と言えるものが乏しく、“勝利の方程式”のようなものを…

  • わがまま姫と家来

    わがまま姫と家来 妻と私の間では、新婚時代からの了解事項があって、具合が悪くて寝込んだ方はいくらでもわがままを言えることになっていました。 妻が風邪をひくと、私は、お気に入りのアイスを買いに行かされ、それを寝込んでいる妻にスプーンで掬って食べさせるのですが、今思い返すと、自分で食べ物を口に運べないほどの状態だったことは無く、私もそれを知っていながら妻のわがままにつき合っていたのですから、お互いに“お姫様と家来ごっこ”を楽しんでいただけなのでした。 私も具合が悪くて床に臥せっていた時には、妻に買い出しを頼むことがありましたが、さすがに妻に食べさせてもらうことはありませんでした。 ちなみに“家来”…

  • 子育ての終わりに

    親の期待 子どもの幸せを願わない親はいないのでしょうが、妻や私が親として子どもにとっての幸せが何なのかを本当に理解しているのかと言うとあまり自信がありません。 詰まるところ、子育ては手探りの繰り返しで、終えた瞬間に結果が判明するものでは無く、その本当の成果は子どもが一生を終えてみなければ分かりません。順番からすれば、親は子どもの一生を見届けることなど出来ず、子育ての成否を知らないうちに先立つことになります。 お金に苦労しないこと、健康であり続けること、生きがいを見つけること。過去の記事で何度も触れましたが、幸せか否かは主観の問題なので、傍から見て幸せそうに見える人も、本人は幸せから遠いところに…

  • 食欲と胃袋

    食べ放題、飲み放題 若い頃は、食べたり飲んだりしてお腹が満たされると幸せな気分が味わえました。嫌なことがあった時に自棄食いや自棄酒に走るのは、健全なストレス解消法では無いのは分かりきっていることですが、当時の私としては、胃袋が一杯になれば心が安定すると無意識に信じ込んでいたのだと思います。 食事に“質より量”を求めると、たまの外食も食べ放題や飲み放題のお店を選ぶようになります。会社の同僚との飲み会も大概“飲み放題”の店を選びました。 制限時間内にどれだけ詰め込むか、品の無い言い方をすれば、“元が取れるか”を気にしながらの食事は、料理やお酒の味を楽しむよりも、量を競うゲームのようであり、私はいつ…

  • 会社と社員のすれ違い(2)

    自己都合退職は悪 私の勤め先では、すでに人材不足は“対処すべき課題”から“喫緊の問題”になりました。放置すれば、新規事業の立ち上げなどままならず、例えチャンスが到来しても事業を展開する余力を失ってしまいます。それどころか、既存の仕事も立ち行かなくなります。 先日、私がHR委員会のメンバーだった頃から付き合いのある同僚と話をする機会がありました。彼はまだ委員会メンバーなのですが、委員会では現在、社員のモチベーションを維持するための方策を検討中だそうです。 社員のモチベーションを維持出来るような職場であれば、会社への定着率が高まり、人手不足も解消されると期待しているのか、あるいは、仕事に意欲的な人…

  • 会社と社員のすれ違い(1)

    仕事のオンオフ 今年も残すところ3か月余りとなりました。 かつての私にとっては、毎年ここから来年の3月まで、胃が痛くなるような時期が続きました。事業計画や予算、来年度の人員計画、部下との面談。仕事が立て込んでくると、いくら自分で“仕事スイッチ”をオフにしたくても、周りがそれを許してくれません。自分や家族との時間を確保出来たとしても、頭の中から完全に仕事をシャットアウトすることは簡単なことではありませんでした。 ただ、そのようなことは、私が以前の働き方から抜け出せて初めて実感できたのであって、もし、妻や私自身が何事も無く過ごしていたなら、さしたる疑問も感じずに、今年も「胃が痛い」と文句を言いなが…

  • 本と音楽の古い話

    八重洲ブックセンター 東京駅の八重洲口から目と鼻の先に八重洲ブックセンターがあります。開店当初、まだ小学生だった私は、新し物好きの父に連れてこられたのを覚えています。 今のようにネットの無かった時代は、自分の求める本を書店で探すのが楽しみでもありました。考えてみれば、近所の書店で“取り寄せ”するのが一番簡単なのですが、私にとっては、新宿の紀伊国屋、神田の三省堂、そして、八重洲ブックセンターがブックハンティングと暇つぶしのための場でした。 中でも八重洲ブックセンターは、学生時代から就職した後も通学・通勤の途上にあったので寄り道しやすく、長い間お世話になりました。 時には、何か買いたい本があるわけ…

  • 全員参加型家事

    家事見習い 以前、名も無き家事について記事を書きました。 lambamirstan.hatenablog.com lambamirstan.hatenablog.com これまで夫婦で家事を分担していた時は気がつきませんでしたが、妻の闘病生活が始まり、私の家事の“相棒”が娘たちに交代してから、我が家の名も無き家事がにわか気になり始めました。 洗い物をしていて気がついたら洗剤を補充する、洗濯機のフィルタは都度掃除しておく、除湿器のタンクは満水になったら捨てる – 些細なことではありましたが、これまで妻と私が普通に行なってきたので気になることもありませんでした。 当初、私はワンオペで家事をするつも…

  • 良しとする心

    決められない人 私たちは生きて行く過程で数えきれないほどの取捨選択を繰り返します。 外出する時に着る服、食事のメニュー、デートの場所など、日常生活の中で生じる他愛も無い選択もあれば、進学、就職、結婚など人生の転機となる決断を迫られる重大な選択もあります。 二つ、あるいはそれ以上の選択肢を全て選ぶことなど、大抵の場合は出来ないわけで、何かを取ることを決めた時には、同時にもう一方を捨てることになります。 一得一失は避けられないと分かっていても、「あの時こうしていれば」とつい思ってしまうことがあります。もし、人生が何度でもやり直せるなら、ある時点まで時を遡り分かれ道のもう一方に進んで、どちらが自分に…

  • 神頼みと奇跡

    神頼み 妻の父親は二十年ほど前に胃癌で亡くなったのですが、高齢のためか進行が遅く、お医者さんの見立てよりも長く生きることが出来ました。 病院は終末医療を受けるに相応しいホスピスを紹介し、妻の兄姉は父親を転院させることを相談したそうですが、義父は住み慣れた家で最後の時間を過ごしたいと願い、その願いどおりに亡くなるまでの十カ月余り、家族水入らずの穏やかな日々を送ることができました。 田舎の付き合いでは、近所の家の事情は筒抜けで、義父の病気もあっという間に周囲の知るところとなりました。その中には、民間療法や祈祷師(!)による厄払いを勧める世話好きな人もいたようです。家族は、義父が治療による改善の見込…

  • 娘の気づき

    運の良い娘 下の娘の就職先が決まり、親としてはほっと一息つけたのですが、当の本人は最近少し沈みがちです。内定が決まった会社の人事担当者から字の汚さと語彙力の低さを指摘されたのが理由のようでした。 これまで内定先とのやりとりは主にメールで、送信前には妻や上の娘が誤字・脱字を確認していました。そのため、先方も娘の日本語力の低さに気がつかなかったのです。 私から見て、帰国子女であることを最大限考慮しても、娘の日本語力は酷いものでした。 小学一年の秋から中学三年の夏までの約八年間を英語圏で過ごした娘は、英語の能力と引き換えに母国語の能力を置き去りにしてしまいました。 現地に渡った後、娘たちは現地校に馴…

  • 罰ゲーム

    ささやかな下心 私は特定の宗教の信者ではないので、前世もあの世も信じていません。その存在は否定しませんが、実際に自分で見てもいないものを信じることは出来ません。 この世界で生まれて、この世界で死ぬことになる自分は一度限りの自分です。自分が死んだ後、化けて出る方法を知らない私にとって、もう戻って来られないこの世界に残る術は、誰かの記憶の中に住まわせてもらうくらいしかないのでしょう。どうせ誰かの思い出の片隅を間借りするのなら、せめて迷惑をかけない良い住人でありたいと思います。 自分の身内や会社の同僚だけでなく、通りすがりの人にも親切でありたいと考える私は、たとえ偽善者と呼ばれようと、それがいつか良…

  • シンプルに生きる

    身の丈に合った生活 私はこれまで投資と呼ばれるものをほとんどしてきませんでした。 唯一の例外は、最初の海外駐在後に始めた投資信託でした。妻と相談して、僅かながらのお金を勉強のために使うこととしました。 その時に妻と決めたことは、最長でも六十歳で解約すること。また、自分たちが想定する利回りで期待額を計算して、期待額に達したら六十歳を待たずに解約すること。その二点を予め決めた後は、年に一回口座を確認する程度で、ほとんど放置したままでした。とは言え、毎年、残高が増えた、減ったと心の中で一喜一憂するわけで、私にはそうなること自体がとても煩わしいものでした。 ローリスク・ローリターンだったはずの投資信託…

  • 終活の手伝い(2)

    老いる母 母は、まだ人の世話になるほど老けてはいないと言いますが、傍から見れば、すでに安心して独り暮らしさせておける状態ではありません。 家の中の様子を見ると、明らかに三年前と比べて母の衰えが進んでいることが分かります。整理整頓は行き届いておらず、今回、三泊した間、私はほとんどの時間を掃除と片づけに費やしました。 体の衰えは本人が気づかなくても暮らしぶりに現れます。恐らく、毎日のように顔を合わせていれば、私も感じなかったのかもしれませんが、久しぶりに再会してみると、その変化がはっきりと分かります。 母にとって、自活することは年を追うごとに重荷になってきていることは間違いありません。そもそも、今…

  • 終活の手伝い(1)

    三年ぶりの母との再会 先週後半から少し遅めの夏休みを取って母親の様子を見に行きました。月に数回の電話でのやり取りはしていたものの、コロナ禍で顔を合わせるのを控えていたため、母と直接会うのは三年ぶりということになります。 齢八十に差しかかった母は、リウマチのため両肘と両膝は人工関節になっており、あまり無理が出来ません。本人はまだまだ自活出来る自信があるようですが、持病が無かったとしても独り暮らしをさせておくには不安を覚える年齢にです。 久しぶりに見た母の姿は、歳相応と言えばそれまでですが、一段と老け込んで見えました。もちろん、母に対してそんなことは口に出しませんが、動きの緩慢さは隠しようも無く、…

  • 自分に与えられた時間(2)

    父親としての役割 私たちの娘二人は、海外駐在中に誕生しました。当時、男性社員は、子の出産に際して三日間の“特別休暇”が付与されましたが、実家からのサポートの無い中での三日間の休暇はほとんど役に立つものではありません。 駐在先での出産は、私たちが初めてのケースではありませんでしたが、これまでの前例では、親が日本から駆けつけて産後の手助けをしたと聞いていました。 私たちの場合は、双方の親を当てにするつもりは無く、自分たちだけで何とかしようと考えていたのですが、その陰で、当時の直属の上司や同僚、そして現地のスタッフのバックアップがありました。その結果、育児休業ではありませんでしたが、1か月間の在宅勤…

  • 自分に与えられた時間(1)

    残業ゼロのしわ寄せ 私が管理職だった頃を振り返ると、自分や家族のための時間がとても限られていたことに改めて気がつきました。当時は、会社での仕事と睡眠を差し引いた残りが、自分と家族に与えられた束の間の時間でした。 私はそれを普通だとは考えていませんでしたし、考えたいとも思っていませんでした。事実、私は自分自身と部員の働き方を変えようとしていました。 部の残業ゼロと言う組織目標は、部下への受けを狙ったものではありませんでした。私が海外駐在中の出向先で当たり前に出来ていたことを自分の会社でも取り入れようと思っただけなのです。 しかし、人手不足の中、一般社員の残業ゼロを目指そうとすると、そのしわ寄せは…

  • 親と子の葛藤

    親と子の葛藤 今年は義母が無くなって満八年になります。一昨年、七回忌を執り行う予定でしたが新型コロナの影響で延期となり、遅ればせながら来週末に二年遅れの法要を執り行う予定でした。久しぶりに兄弟姉妹とそれぞれの家族が集まるので、菩提寺での法要の後、温泉旅館に一泊するはずだったのですが、二人いるうちの上の義兄の家族が新型コロナに感染してしまいました。 妻の話からすると、兄弟姉妹四人の中で、とりわけ一番上の義姉は法要だけでも“決行”すべきと強く希望する一方で、北海道で独身生活を送っている下の義兄は、無理して集まる必要も無かろうと、義姉の考えには否定的。妻は自分がまだ病気の治療中であることから、今回は…

  • 仕事と健康

    自分の体は自分で守る 私は学生時代にいくつかアルバイトを掛け持ちしていましたが、かなり忙しい毎日を送っていながら体調不良でダウンすることはありませんでした。若くて体力が有り余っていたこともあったのでしょうが、仕事で思い悩むことが無かったからなのだと思います。 家庭教師、塾講師、ガソリンスタンド、飲食店 – それぞれの職場で嫌な思いをしたことも少なくありませんでした。それでも、生活費や学費を稼ぐためと言うはっきりした目的があったことと、就職するまでの期間限定の苦痛だと割り切ることが出来たからこそ、悩むことも無かったのでしょう。あるいは、悩むまで物事を深く考えるほど成長していなかったのかもしれませ…

  • 偉いと思ったら終わり

    役回りとプライド 誰かに対して頭を下げることは決して恥ずかしいことではありません。私は仕事柄、これまで官庁や金融機関とのやり取りすることが多かったのですが、許認可の取得や融資の承認のために何度と無く頭を下げました。 勝手が分からない後輩社員や部下からは、そこまで下手に出て相手の機嫌を取る必要があるのかと疑問を投げかけられてことがありましたが、私としては相手の機嫌を取ることはどうでも良いことで許認可取得や融資契約締結という目的のためなら頭を下げることなど気にするものではありませんでした。 ところが、原料や資機材の調達を担当する部署では社外とのやり取りは全く様子が異なります。外注先は何とか仕事を取…

  • 妻の不機嫌

    火傷 先週、妻が左手を火傷したので、近所の総合病院に連れて行きました。私の仕事の打合せが延びて夕飯の支度の時間を過ぎていたため、妻が気を利かせて準備を始めてくれたのですが、鍋に沸かしていた熱湯を誤って手の甲にこぼしてしまったのです。患部をすぐに氷水で冷やしたため、見た目はうっすらと赤く腫れているくらいでしたが、念のため病院で診てもらうことにしました。 妻は昨年春の手術で左乳房とリンパ節を切除したため、主治医の先生からは左側の腕は虫刺されや軽い怪我でも治りにくくなると注意されていました。また、手術の後遺症で左腕にはわずかに痺れが残っています。本人は普通に掴んだつもりの物がするりと手からこぼれ落ち…

  • 人材争奪戦

    会社に求めるもの 私の勤め先の若手社員と話をしていると、長く勤められる会社よりも、自分を成長させてくれる会社を、また、勤続年数に応じて昇給する年功制よりも自身の経験や能力を正当に評価してくれる会社を志向していることが分かります。 会社側は、若手・中堅社員の離職率を下げたいようですが、とりわけ今の若手社員は見切るのが早いため、なかなか会社の思惑どおりには事は進んでいません。 “丁稚制度”とまではいかなくても、安い給料で下働き的な仕事をさせられる一方で、育成プログラムが充実していなければ、働いている側は自分が組織の中で成長していける自信を得ることが難しいのかもしれません。かつて私が先輩社員から繰り…

  • 普通の生活

    低空飛行 私は入社直後に地方の事業所の労務課に配属になりました。給与関係の仕事をしていると、年代毎にもらえる給料が見えてきます。自分もこの会社で働いていれば、五年後、十年後にはこのくらいの給料がもらえるのか、などと勝手に期待していました。 過去に何度が触れましたが、結婚直後に家族のキャッシュフロー表を作りました。何年後に子どもを儲けて、何歳で家を建てて – と勝手に想定したライフプランを立てました。収入は会社の給与規程を参考に定年までのおおよその額を見込みました。とは言え、時代はバブル崩壊直後でしたので、その見込みは、自分としてはかなり控え目なものだったのです。その控え目な収入を基に、どのくら…

  • 趣味の世界

    暇つぶし 趣味と言うのは、それに興味の無い他人から見ればお金と時間の無駄使いにしか見えないものなのかもしれません。 読書は若い時からの趣味だったのですが、ここ数年、読書量は激減していました。書店に立ち寄る頻度は以前から変わりませんでしたが、買い込んできた本はそのまま“未読スペース”に積読状態で放置され、気がつくと結構な嵩になっていました。読書時間が全く無かったわけではありません。これまで通勤時間も読書に充てていたのですが、仕事で気がかりなことが続いていたために精神的なゆとりがありませんでした。 それが、この2年ほどは在宅勤務となり職責も軽くなったことから、頭の中の趣味の領域を確保出来る状態にな…

  • 薄氷の上の自分

    休職中の同僚 私の部署に病気休職中の同僚がいます。彼が休職扱いとなったのは昨年の八月のことでしたから、もう一年近く自宅療養を続けていることになります。今は会社の産業医が定期的に彼と面談して人事部に報告する他は、私を含め極一部の親しい同僚が時折彼とメールのやり取りをして様子を窺っています。 私は、特に決めていたわけではありませんが、何となく月の下旬頃に彼にメールを送るようになりました。メールに認める内容は他愛の無いことばかりです。決して仕事のことには触れないようにしています。彼からの返信はすぐには来ません。数日あるいは十日余り経ってから、淡々と近況を知らせる返事が届いて、また月末近くに私の方から…

  • 思い続ける気持ち

    お互いの気持ちは二の次 結婚して三十年近くも経つと、妻も私も日々お互いの気持ちを確かめ合うことなどしなくなりました。海外駐在中は、周りを見渡すと、私たちよりも上の年齢の夫婦でも、人目を憚らずにキスしたりハグしたりするのは当たり前で、そのようにして気持ちの確認しているのだろうと理解はするものの、私もそれを真似てみようと言う気にはなりませんでした。 娘たちが生まれてからというもの、私たちは親としての役割を考えて生きてきました。その中でお互いの気持ちを確かめ合うことは二の次だったのかもしれません。二の次にしてきたのは、相手の気持ちはいちいち確認せずとも分かっていると考えていたからなのだと思います。 …

  • 穴の開いたバケツ

    穴の開いたバケツ 私の勤め先での人手不足の話は尽きませんが、先日人事部から部長以上の管理職に内々に伝えられた要請は、会社の現状を如実に表していると思いました。 それは、自己都合で退職した元社員を呼び戻す“活動”についてでした。それぞれの社員の伝手を使って、元社員で“復帰”を希望する者がいれば優先的に中途採用試験を受けてもらうと言うものでしたが、そのような安易な“キャンペーン”が功を奏するとは私には信じられません。 私がこれまで接して来た自己都合退職者のほとんどは、会社の将来性や自身への処遇に不満を抱いたことがきっかけで転職を考えています。現状に不満が無ければそもそも転職を考えることもありません…

  • 働き方の選択肢(2)

    管理職減らし どこの会社でも役位が上がればポストは減ります。私の勤め先も例外ではありません。かつては、幹部社員は本社のポストに“空き”が無ければ、子会社や関連会社の役員や管理職への道が残されていました。 ところが、ある時期、不採算事業からの撤退や子会社・関連会社の整理を断行した結果、余剰の幹部社員の受け皿が大幅に減少しました。ポストが減ったからと言って、引受先の無い管理職を一斉に降格させることは出来ません。 そこで、会社は、“フラットな組織作り”を目指すと言っていた言葉とは反対に、部長の下に「担当部長」や「統括リーダー」と言った役職を急造しました。併せて幹部社員の登用を厳格化することによって、…

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