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月夜の猫-BL小説です お前にだけ狂想曲13 BL小説 土曜の夜、良太は重い足を引きずりながら土方のマンションの前に立っていた。 覚悟を決めてやってきたのだが、土方がドアを開けたところで、「広瀬くんやないか」という声に、良太は怪訝な顔で振り返る。 「え……千……小林先生…?」 千雪と言いかけたが、眼鏡をかけ、
月夜の猫-BL小説です 春雷55 BL小説 「あんなあ………、言うても遥か昔のことやろ。しかも勘違いとかの問題やで?」 千雪は言った。 「だから、千雪さんは何も………。要は工藤さんがってことだし。人の思いなんて他人がどうこうできないんだし」 「やから、工藤さん、今大事にしとるんは良太やで? 前に俺がどうとか言う
月夜の猫-BL小説です お前にだけ狂想曲12 BL小説 「おう、千雪か、元気か?」 電話の向こう、工藤の声は何だか元気がない。 「はあ、お蔭様で」 千雪は良太のことが気になってかけてみたのだが。 「何だ? お誘いならいつでもOKだぞ」 「またそんなことゆうてると良太に愛想つかされますよ」 しばしの沈黙があった。
月夜の猫-BL小説です 春雷54 BL小説 「監督の話、面倒なヤツじゃなかってよかったですね」 夜間工事のために少し先が渋滞していた。 「うん。やから別にわざわざ俺呼び出さんでもええのに」 「ええ? 監督としてはやっぱ、原作者の小説を勝手に変えることに抵抗ありますよ。山根さん、そういうとこ、きっちりした人だし」
月夜の猫-BL小説です お前にだけ狂想曲11 BL小説 外は屋内で仕事をしているのがもったいないような陽気である。 「良太、いてる?」 オフィスに顔を揃えていたアスカや嘱託カメラマンの井上俊一は珍しい来客を喜んで出迎えた。 「どうしたのぉ? ユキ」 「いや、良太に、坂本教授から預りものがあって、ちょっと寄ってみ
月夜の猫-BL小説です お前にだけ狂想曲10 BL小説 それからの良太は何か吹っ切れたように仕事に打ち込んだ。 凡ミスはなくなったけれども、やはりどこか一本欠けている、そんな雰囲気を周りのみんなは感じていた。 良太がおかしいとアスカに言われ、工藤はちゃんと時間を取ろうと考えていた。 確かにたまに顔を合わせても
平成生まれの望月ゆたと、昭和生まれの夫くん、2人で暮らしています。2人の日常を漫画にして、綴っていきます。初めての方はこちらから歳の差の話はこちらから別居の話はこちらから昨日の記事本日の記事違ったみたいです。こちらもどうぞ★ランキング参加中です。ポチっ
月夜の猫-BL小説です お前にだけ狂想曲9 BL小説 不精髭の教授はあまり女子学生には好かれていないらしく、助教と助手は男だ。 今日は先日訪れた時にコーヒーを入れてくれた助教も出払っていて、夢中になって本と格闘していた良太は気づくと喉が渇いていた。 「何だか喉が乾きましたね。カフェテリアにでも行きましょうか」
月夜の猫-BL小説です 春雷52 BL小説 「まあとにかく、鴻池がその阿部を降ろして結局良太ちゃんになっただろ? それも鴻池の企みだったんだが、その時オーディション受けて、監督やプロデューサーもこいつだって決定しかけてたのが、実は天野だったんだ。スカイプロモーションも自信もって天野を売り出そうとしてたとこだった
月夜の猫-BL小説です お前にだけ狂想曲8 BL小説 例え俺が思っているほど工藤は俺のこと思ってくれてないのはわかっていても、やはり裏切りのような気がしてならない。 こんな身体、誰がどうしようが構わないのだけれど、工藤に知られて嫌われることだけが気がかりなのだ。 ここひと月ほど、工藤は海外やら北海道やら九州やら
月夜の猫-BL小説です お前にだけ狂想曲7 BL小説 男の車で連れていかれたところは、代々木上原にあるそこそこのマンションの一室だった。 閑散としているのは良太の部屋も同じだが、黒で統一された家具調度はきちんとコーディネイトしてあるのはわかる。 ベッドルームにでんと置かれたキングサイズのベッドまで黒。 げー、
サイレント期間がつらいあなたへ セルフラブ自分を愛して運命の相手と結ばれる方法をお伝えしています♡ 行き先は新しい未来! 恋愛心理カウンセラー細井ゆかりです…
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月夜の猫-BL小説です お前にだけ狂想曲6 BL小説 やっかいごとは早く片付けた方がいいだろう、と翌日の夜、良太は指定された場所に出かけていった。 「土方建造…さん? フリーライター…ですか」 名刺を出されたので自分もバカ正直に名刺を渡す。 「広瀬良太、ね。どっかで見たと思ってたんだ。青山プロか。お前、新宿のあ
月夜の猫-BL小説です お前にだけ狂想曲5 BL小説 良太の前に立った背の高い男は、「おや、まさか、こんなところでゴーさんにお会いできるとは」と、親しげに森山に声をかける。 「お前もここ出入りしてるんやったな。そんな嬉しそうな顔したかて、ネタなんかないで」 アスカにくっついて一緒に乗っていた森山は軽快な関西弁で
月夜の猫-BL小説です 春雷49 BL小説 「あ、乗ります!」 良太は千雪の手を掴んで、閉まりかけているエレベーターに向って呼びかけた。 ドアは開いて、良太は千雪とともに慌てて乗り込んだ。 「すみません!」 先に乗っていた人に断りを入れると、「おはようございます」と落ち着いた声が返ってきた。 「あ、おはようござい
月夜の猫-BL小説です お前にだけ狂想曲4 BL小説 快晴の空は夏の兆しが見え隠れしていた。 風は心地よく傍らを抜け、ぽっかりあちこちに浮かんだ雲はマグリットの世界にワープしたかのようだ。 「よろしくお願いします」 良太は編集部の面々に頭を下げ、周りの女の子にはさりげににっこり笑って挨拶した。 今日は、青山プロ
月夜の猫-BL小説です お前にだけ狂想曲3 BL小説 疲れたああああ… しばらくベッドに沈んでいた良太だが、スーツが皺になる、とようやく身体を起こしてバスタブに湯を張っているうちに、スーツをハンガーに掛け、服を脱いでバスルームに戻る。 湯につかった一瞬の心地よさで、疲れも引いていく。 部活なんかもっとハードだっ
月夜の猫-BL小説です 春雷48 BL小説 自分の母親なのに、会ったこともない知らない人間の写真を持ってたって何の意味もないだろう、などと言って全く取り合わない。 「お前がもらったんならお前が持っていればいいだろうとかって、渡そうと思っても工藤さん、意に介さないし」 「まあ、引き出しの奥にでも入れといたらええや
月夜の猫-BL小説です お前にだけ狂想曲2 BL小説 本当は工藤が接待を兼ねて高山に会うことになっていたのだが、出張先で足止めをくらった工藤の代わりに、良太が接待しなくてはならなくなった。 ロケ現場近くの業者が、仕事の邪魔だと文句をつけたため、工藤がその業者にかけ合っているらしい。今夜の最終便に間に合うかどう
月夜の猫-BL小説です 春雷47 BL小説 「とりあえず、お返しするわ」 紫の袱紗にくるんだベルベットのペンダントケースを千雪は良太の方に押しやった。 「ちゃんと中、確認してや」 千雪に言われて良太はちょっと嫌そうな顔をしつつ、袱紗を開いてペンダントケースを開けた。 「はあ、確認しましたけど」 「あかんがな、偽
月夜の猫-BL小説です 春雷46 BL小説 何が食べたいか千雪に聞いたところ、温かいもの、というので、西麻布のフレンチレストランに予約を入れた。 以前、工藤が連れて行ってくれたこじんまりとした店で、工藤の元同期がオーナー、その弟がシェフで、気取らない雰囲気だが美味しいフレンチを食べさせてくれる。 車寄せに車を停
月夜の猫-BL小説です 春雷45 BL小説 ともあれ、良太はダメモトで千雪の携帯を呼び出した。 「あ、お忙しいところ恐れ入ります、広瀬ですが」 繋がったことだけでもラッキーだ。 千雪は編集から逃れるために携帯を切っていたりするからだ。 「ああ、何? 良太からの連絡とか、嫌な予感ばっかやから」 なるほど、千雪
月夜の猫-BL小説です 春雷44 BL小説 「良太ちゃん、山根監督からお電話よ」 たった今考えていた『今ひとたびの』の監督だ。 「はい、お電話代わりました。お世話になっております。は? え? 小林先生ですか?」 またぞろ、山根は面倒なことを言ってきた。 今日の撮影シーンで、原作者の小林千雪に確認したいことがある
月夜の猫-BL小説です 春雷43 BL小説 黒塗りの車が向かった先は、十階建てのビルで、株式会社KCC。 良太がネットで検索したところ建設会社となっていたが、元々は上田市にあった中山組系暴力団君塚組が解散した後に会社組織として改名したものだという。 社長の君塚隆造は先代君塚組の長男で、次男、三男とも役員として会
月夜の猫-BL小説です 春雷42 BL小説 「佐藤製作所の会社で佐藤彰吾が出てくるのを待ってたら、ちょうどエントランス前の車に乗るとこだったみたいで、スーツ着て出てくる佐藤とわざとぶつかったんです。いや、あんなにうまくいくとは思わなかったけど、ガイジンの振りして英語で捲し立てたら、日本人て逆に引くんですよね。
月夜の猫-BL小説です 春雷41 BL小説 それを俺に言うのが後ろめたかったとか? やっぱね。 何かあったに違いないって勝手に俺が思うのと、リアルな証拠を突き付けられるのとではちょっと違うよな。 だから、京助さんがあんなに工藤に対して目くじらを立てるわけで。 まあ、千雪さんにとっては昔のことなのかも知れないけ
月夜の猫-BL小説です 春雷40 BL小説 「まあ、じゃあ、ほんとにその方近しい方がいらっしゃらなかったのね。疎遠になってしまっているとお孫さんもそんなもんなんでしょうかねえ」 「子や孫がいても今時はそんなもんなんだろうな」 鈴木さんが平造としみじみと語っている間に、良太は小田に電話を入れた。 「お忙しいところ
月夜の猫-BL小説です 春雷39 BL小説 「何かお手伝いすることがあればおっしゃって下さいよ」 鈴木さんが優しく平造に問う。 「そうですよ」 良太も頷いた。 すると平造はしばし迷ったような顔をしたが、「そうたいしたことじゃないんだが」と口を開いた。 「俺はガキの頃に親を亡くして、親戚をたらいまわしにされたんだが
月夜の猫-BL小説です 春雷38 BL小説 でも工藤がピアノとか、そういうの好きな相手と一緒なんだろうか。 あ、あれかな、ニューヨークの佳乃さん。 あの人が日本に来るとか? ちぇ、ま、いいけどさ。 これだから、工藤のことなんか、人に話せないんだよ。 ふう、と大きく溜息をついたところを、宇都宮に見られてしまった。
月夜の猫-BL小説です 春雷37 BL小説 「いやあ、俳優陣もいつのまにか良太ちゃんペースに合わせられてるし」 フン、と鼻で笑う工藤に、坂口は付け加える。 坂口の言葉を裏付けるように、救護班に擦りむいた膝を手当てしてもらった女性には、川野が歩み寄って声を掛けていた。 リテイクとなったものの、皆が少し冷静になれた
月夜の猫-BL小説です 春雷36 BL小説 ピアノのコンサートか。 ほんと、カップルならこれ以上ないイベントだよな。 亜弓がもっと近くに住んでれば渡したんだけど。 「でもチケットが余って、もし時間が合えば、鈴木さん一人で行くって言うし、俺も一緒に行こうかな」 ま、俺の場合、寝ちまうのが関の山だけどさ。 良太は
月夜の猫-BL小説です 春雷35(工藤×良太)までアップしました BL小説 春雷35(工藤×良太)、かぜをいたみ37(京助×千雪)までアップしました。 尚、それぞれのエピソードがリンクしているため、メリーゴーランド(京助×千雪)の中で主に時系列的に修正する箇所があり、修正して再アップしていきます
月夜の猫-BL小説です 春雷35 BL小説 そうだよな、佐藤さんのことが何もなければ、アスカさんも秋山さんとコンサートデートとかできるのにな。 ふとそんなことを考えながら良太は三田村の向かいに座って、鈴木さんの置いてくれたコーヒーを飲んだ。 「でもバレンタインってやっぱ、一人で行くのも面白くないですよね」
月夜の猫-BL小説です 春雷34 BL小説 翌朝八時頃、良太は佐藤がDV夫から逃げているらしいと伝えた上で、くれぐれも無理はしないようにと森村にラインでメッセージを送った。 すると森村は既に車で軽井沢に着いていて、コンビニでサンドイッチを買ってきて食べているところだと返事をしてきた。 『ご心配なく。とりあえず
月夜の猫-BL小説です 春雷33 BL小説 たまに良太にも、母親や妹の亜弓以外でも義理チョコなんかが届いたりするのはご愛敬というところか。 「今年は義理チョコやめようって風潮らしいから、まあ悲鳴を上げる程俺なんかには来ないけど」 工藤宛のものなど、中を確かめてオフィスで分けろ、とか何とかムチャなことを工藤は言うの
平成生まれの望月ゆたと、昭和生まれの夫くん、2人で暮らしています。2人の日常を漫画にして、綴っていきます。初めての方はこちらから歳の差の話はこちらから別居の話はこちらから昨日の記事本日の記事同じなんだ!!?「みもふたもないうた」は元たまの知久寿焼さんの曲
月夜の猫-BL小説です 春雷32 BL小説 「そうか」 工藤はコーヒーを飲んでから、また徐に口を開いた。 「まあ、それはそれだ。お前の好きにしたらいいが、やはりそろそろお前の待遇的なものも考えねばならないだろう。取締役でどうだ? 形的には三月の株主総会での決定だ」 「取締役? 俺がですか?」 「ちっぽけな会社で