ご観覧をありがとう。忘れ物をなさいませんよう、今一度座席をお確かめになって7-1
S駅に向うタクシーを捕まえて、乗車。 北海道飛行船協会の事務所を運転手に告げるが、伝わらない。 ドライバーはかなりの高齢だった。ナビに打ち込む住所を教えた。 前かがみの体勢を動き出しに安堵を勝ち取り、やっとシートに背をつける。レースのカバーは数十年の歴史を感じる。 渋滞の箇所を離れると、車窓はびゅびゅんと本来の車の動きを取り戻す。 種田は瞼を下ろして、休息を取った。あまり眠れなかった、昨夜も寝付いたのは日が昇る少し前だ、開けた窓を通じた新聞配達のエンジンの加速と停止が聞こえていた。眠ったのはその後である。蒸し暑く、冬用の羽毛掛け布団も寝つきの悪さの要因であった、とにじり寄った疲労について考察を…
2024/01/19 04:56