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以前、【「晨朝六念法」という作法】という記事を書いたのだが、その時には全体の作法を紹介したのみであった。詳細は、この記事で見ていきたいと思う。ところで、先の記事で允堪律師の言葉に「僧祇の文を出す」とあったものの、完全にスルーしてしまった。調べてみると、『摩訶僧祇律』に関連する文献で、「六念法」が出ていた。六念法一には、当に日数を知るべし、月一日、二日、乃至十四日、十五日。月大、月小、悉く応に知るべし。二には、清旦に当に施食法を作すべし、「今日食を得て某甲に施す、某甲、我、意を計らず、我れ当に食すべし」〈是の如く三説す〉。三には、日日に自ら若干臘数を憶すべし。四には、当に受持衣及び浄施者を憶念すべし。五には、当に衆食の別ならざるを念ずべし。六には、当に病・不病を念ずべし。『摩訶僧祇律大比丘戒本』允堪律師が述...「晨朝六念法」の内容について(1)
今日は8月4日、語呂合わせで「箸の日」となっている。そこで、「箸」に因んだ記事をアップしてみようと思う。三十七、凡そ受くる所の食、匙筯を把りて浄人の手中に於いて自ら抄撥して取ることを得ざれ。三十八、匙筯を過して浄人に与えて、僧の食器の中に於いて食を取らしむることを得ざれ。四十九、匙筯を用いて鉢椀を刮げて声を作すことを得ざれ、当に湯水を用いて滌蕩して取るべし、即ち鉢の光を損なわざれ、若し鉢の光を損なえば、鉢、即ち膩を受けて洗い難し。「二時食法第八〈六十條〉」、南山道宣律師『教誡新学比丘行護律儀』、訓読は貞享3年版に基づいて拙僧これは、中国の南山律宗の道宣律師(596~667)による「二時食法(いわゆる朝食[粥]と昼食[飯])」の指示を行った内容だが、同時にインドの律蔵で構築された比丘の食事法を、中国版にアレ...今日は「箸の日」(令和5年度版)
最近、南山道宣律師『教誡新学比丘行護律儀(通称『教誡律儀』)』の、日本の近世・近代に編まれた註釈書・提唱本などをつらつら見ていたのだが、その中に以下の一節を見出した。舒明天皇の即位六年に当るなり、南山大師四十歳の時なり、乃ち三井の智証大師の伝来したまふ護律儀と云もの是なり大宝守脱『教誡律儀抄』明治15年さて、これは何を言っているかというと、日本では舒明天皇の即位6年目の時に『教誡律儀』が執筆されたといっており、その後、天台宗寺門派(三井寺)の智証大師円珍によって、同書が日本に伝来されたといっているのである。まず、この表記について確認したい。舒明天皇は593?~641年とされており、即位6年目とは634年に該当する。それで、現在、一般的に参照可能な道宣律師(596~667年)の『教誡律儀』は、『大正蔵』巻4...『教誡律儀』雑考