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「ここに積もった哲おっちゃんの堆積物も、調べてみたら何かわかるかもしれへんな」 「何かって?」 「哲おっちゃんの頭の中や。もしお前があの人の立場やったら、どういう順番で捨てる?」 ー 略 ー 「で、その次が、レコードとCDのコレクションや。廃番になってるのもあるやろうから、すぐ捨てる気にはならへんかったかもしれん」 しばらく黙っていた兄貴が、暗闇を見つめたまま、ぽつりと言う。 「――ハイエイタスやな」 「ハイエイタス? 何やそれ?」 ー 天王寺ハイエイタス より ー 月まで三キロ/伊予原 新・著/新潮社 「月まで三キロ」「星六花」「アンモナイトの探し方」「天王寺ハイエスタス」「エイリアンの食堂…
最近読んだ本を紹介します。 こちらの小説です↓ 『月まで三キロ』著者は、伊与原新さん。科学と人の心情を絡めた短編集です。専門用語が多く出てくるけど、ストーリー…
【読書】人生に行き止まりはない!/伊与原新の『月まで三キロ』は心に沁みる傑作短篇集!って話
初めて伊与原新の作品を読んだ。新田次郎文学賞を受賞してる『月まで三キロ』。六編からなる短篇集だけど、どれも心に沁みる傑作。「人生に行き止まりはない」って事を淡々と描いた作品群は、何だか清々しい余韻を残す。伊与原新、追いかけたい作家の仲間入り。