神無月の巫女二次創作小説「アンサング・ヒロイン」(五)
急に降り始めた雨に追い立てられるようにして逃げこんだのが、運悪く商店街の電器屋の前。電器屋はひと世代遅れたモデルのテレビをバーゲンしてるらしくて、ウインドウにはところ狭しとブラウン管が並べられていた。その周囲には色褪せた梱包の箱と古めかしいオーディオデッキが、その周りを固めていた。予定では五年後とやらに、地上波デジタル放送がはじまる。新放送対応のモデルも横に並んで発売されていたが、値段が古いものと一桁違う。あまり買われているふうではなかった。陳列されたテレビはすべて違うチャンネルを映しだしていて、観ていてなんだか得した気分になっていた。それで雨が上がるまでの暇つぶしに観ようとしたのがまちがい。ばらばらだった、その画面がいっせいに切り替わって特別報道番組にかわる。バージンロードを歩んだ花嫁をむかえて花婿が微...神無月の巫女二次創作小説「アンサング・ヒロイン」(五)
2023/11/25 11:55