神無月の巫女二次創作小説「誰そ彼の枢(くるるぎ)」(七)
剣神・天叢雲剣(アメノムラクモノツルギ)が、消えた――?!いや、なくなったのではなかった。あたりがうす暗いせいだけではなかった。長い睫毛が細雪に濡れるのを、しきりとしばたたかせる。目を凝らしてみると、紅ぐろくこわばった機体らしきものは認められる。周囲には麻で編んだしめ縄をめぐらしてあったはずだが、それも見あたらない。誰かに結界を壊された…?いや、そんなはずはない。ここには、神無月の巫女の私たち、ふたりだけしかいないはず。血染めになった機体――まさか、私がオロチ化させたあの武夜御鳴神(タケノヤミカヅチ)…?!いや、そんなことはありえない。そもそもこの巨体の影は、あの武神らしき角張った輪郭をもってはいない。色あいは似ているが…。ぎぃぃと金属がかしいで、雪の中にどすんと落ちた音。あわてて近寄ると、パリパリとかさ...神無月の巫女二次創作小説「誰そ彼の枢(くるるぎ)」(七)
2025/03/03 00:55