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いわゆる「一期一会」という用語の典拠として知られる井伊直弼(1815~1860)による『茶湯一会集』を見ていくと、茶席に着く際の服装が示されているのだが、出家者(僧侶)は当時の文化人の一角を占めていたと思われ、そのための指示もあった。今日はそれを見ておきたい。一法躰は十徳、これ礼服なれば真なり、ひら羽織は行、草を兼るなり、尤も、十徳、羽織の紐を解くもの、ままあれども、解くに及ばず、何かの取扱、邪魔ならぬよう結びたるがよし岩波文庫本、20頁上記一節は、「十徳」という服についての取り扱いを述べている。しかし、現状、「十徳」という名称の服を用いている宗派などはあるのだろうか?覚えていることとしては、「十徳」というと、江戸時代初期の盤珪永琢禅師(1622~93)の語録に、或る逸話が載っている。身どもが年三十のとき...茶の湯と僧侶の正装について