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実範上人(?~1144)とは、平安時代後期にあって日本に於ける戒律の荒廃を嘆いた人として知られる。唐招提寺の再興に尽力したり、東大寺に於ける授戒作法の再建などにその名前が残る。そこで、作法書として1122年(保安3)に『東大寺戒壇院受戒式』を著した。今日は、『日本大蔵経』に収録される同式について、ちょっとした雑感を記しておきたい。そこで、同式では「正受戒法」という項目があるのだが、以下のように始まっている。東羯磨師受者に語りて云く、「善男子等、汝等遮難並びに無し。衆僧、同じく慶ぶ。まさに汝等に大戒を与うべし。但、深戒上善は、広く法界に周く。まさに上品の心を発して、上品の戒を受くべし。上品の心の者、前縁に云うが如し。今、泥洹の果に趣かんと為し、三解脱門に向かい、三聚戒を成就して、正法をして久住せしむべし〈以...実範上人『東大寺戒壇院受戒式』「正受戒法」への雑感