メインカテゴリーを選択しなおす
鈴木正三道人(1579~1655)といえば、仁王禅に象徴されるように、どこか坐禅・禅法に注目していた人だというイメージがあるが、それ以外にも説法したことがある。そこで、今日は正三の『反故集(手紙を集めたもの)』上下巻(堤六左衛門・寛文11年[1671]版)から見ておきたい。五戒を持て人道に生ずる事、最分明也。五戒を持する人は偽無真の身心を修する人也。故に其報に心正しく身全して六根完具の人間と生を得也。又五戒は五常に相通じて正直の道也。此故に知べし、現に五常正き男女と生を得来事は、偏に前世持戒の功力なる事を。然ども今時、持戒正き人希なるが故に、人体を得来といへども、心は大約鬼畜也。地獄の馬を画に書て其面ばかり人たる相を顕す事是なり。此を以て人々自心を顧て五戒を犯す事莫れ。若然らずんば忽人身を失して万劫千生三...鈴木正三道人の五戒論(1)