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『遺教経』を学ぶのが、この涅槃会の時期であるが、今回は「創発」概念について検討する。これは、近年のシステム論オートポイエーシスで次のようにいわれる事態である。創発という豊かで曖昧な現象に向かって、自己組織化は進む。眼前の三次元空間内に突如巨大なリンゴが出現したら、ただちに何故そんなことが起きたのか、誰しも理由を問う。そして原因が見出せないと、偶然だったと言う。ところが、起こることには十分な理由がある。現に生じてしまうことの必然か偶然かではなく、そこに固有の機構が見出せるはずだというのが、自己組織化の確信である。河本英夫先生『オートポイエーシス2001』42頁特に、仏教が因果の話題や縁起の機構を用いてしまうため、我々は事象の直接的因果についての直観が豊かに作動していくが、どうしてもそれだけでは説明できない場...道元禅師に見る「創発」概念について