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『遺教経』を学ぶのが、この涅槃会の時期であるが、今回は「創発」概念について検討する。これは、近年のシステム論オートポイエーシスで次のようにいわれる事態である。創発という豊かで曖昧な現象に向かって、自己組織化は進む。眼前の三次元空間内に突如巨大なリンゴが出現したら、ただちに何故そんなことが起きたのか、誰しも理由を問う。そして原因が見出せないと、偶然だったと言う。ところが、起こることには十分な理由がある。現に生じてしまうことの必然か偶然かではなく、そこに固有の機構が見出せるはずだというのが、自己組織化の確信である。河本英夫先生『オートポイエーシス2001』42頁特に、仏教が因果の話題や縁起の機構を用いてしまうため、我々は事象の直接的因果についての直観が豊かに作動していくが、どうしてもそれだけでは説明できない場...道元禅師に見る「創発」概念について
ルーマンの予期理論をオートポイエーシス論的に説明するために2:ホームページ用メモ28
ルーマンの予期理論で問題になっていたこととして、安定性についてあまり記述されていないことが挙げられます。それから規範の成立を規範で説明する循環論的な考え方も問題にされていました。オートポイエーシス論的にはプロセスの閉域形成と環境との相互浸透で説明されることになるでしょう。一度成立したプロセスの閉域が存続し続ける限りでシステムが存在するわけですが、社会システムは数千年は存続し続けているので、閉域が数...
ルーマンの予期理論をオートポイエーシス論的に説明するために1:ホームページ用メモ27
ホームページでルーマンの予期理論(初期理論)を上げる予定で、その後はオートポイエーシス論で説明するページを作りたいです。オートポイエーシス論的に説明するのに必要になることとか、まずは思いつくことをメモに残しておこうと思います。ルーマンの予期理論をざっくり言えば、人びとの予期の集合が連関して、結果として法・規範を形作る、というものです。集合した予期の間での相互作用が詳しく説明されているのですが、相互...
記憶を痕跡としての記憶の他にどう考えるか:ホームページ用メモ23
言語現象のオートポイエーシス論的説明にしろ、動物行動学にしろ記憶をどうにかしないと話が進みそうもないです。身体(特に神経系)の痕跡としての説明には限界があるので、それ以外での説明です。L.ラタッシュの『運動神経生理学講義』にもその旨が書いてあったんですが、この本に書いてあるのは問題点を提示するところまでです。記憶痕跡のモデルにはホップフィールドネットワークとかも含まれそうです。ホップフィールドネット...
言語現象のオートポイエーシス論的説明:ホームページ用メモ19
来年には論文を発表したいので、言語現象のオートポイエーシス論的説明ページを作成しときたいのだけど早速行き詰ってます。ここのブログに文法の成立をオートポイエーシス論的に考えたページをいくつか上げましたが、世界像と言語の関係とか、言語と表象の関係とかをもっと掘り下げておかないといけない気がします。世界像は言葉によって可能となる、人間にのみ現れてくる「世界」という対象のことでした。おそらく動物には時間と...
世界像のオートポイエーシス論的説明2:ホームページ用メモ12
まえのメモで世界像によりあらたな行動が加わっていくことについてのメモをとりました。今度は世界像そのものについてオートポイエーシス論的な説明を考えたいです。未来像で一ページ書いているのでそれにつなげられるはずです。未来像は意識、認識の自己言及によるそれまでの自己の構造を反映するという状態で、意識、認識の状態変化(拡張)が身体、行動を拡張します。世界像が成立すれば、本能行動による活動の延長上に未来像に...
ホームページのオートポイエーシス論のページで、知能行動(類人猿の道具使用)をその瞬間に現れた未来像に導かれるようにして限定的に成立する、と説明しています。この「未来像」という言葉は木田元の「世界像」をもとにして作った言葉で、今度は世界像をもとにした人間の知能行動、それから世界像を可能にしている「言葉」について説明したいです。関連ページ:知能行動(オートポイエーシス論)人間の道具使用は類人猿と違って...
前回、洞察的行動を「認識の一階層上の認識(未来像)が生まれ、これが環境として身体動作の連環を新生する」ことで説明できるかも、と書きました。今回は構成素、構造等のオートポイエーシス論の言葉で考えてみます。まずホームページで本能行動や欲求行動を身体の状態の連環で考えていて、縮減を本能行動、新生を欲求行動としています。ホームページに上げた図をここでも上げておきます。洞察的行動でも身体の状態の連環が新生さ...
前回のメモで、本能行動と欲求行動、洞察的行動をプロセス経路の縮減と新生で説明できるかもしれないこと、オートポイエーシス論としては未来像の浸透による知能行動の成立を説明できるかもしれないことを書きました。もうちょっとこのことについて考えてみることにします。これまで論文等で参照してきた洞察的行動は、類人猿が台を使って吊るされたバナナを取る場面です。これはケーラーの実験映像をローレンツが文章に起こしたも...
ホームページで本能行動と動物行動をオートポイエーシス論で考えるページを上げてます。関連ページ:本能行動と欲求行動(オートポイエーシス論)そのページでは環境との相互浸透による身体作動の経路の縮減を本能行動、新生を欲求行動と考えてます。それでこの考えだと本能行動と欲求行動の間にさして差がない、という結論が出てきます。欲求行動は主に学習とかそのあたりを想定してますが、類人猿における洞察的行動とかもここに...