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20231127 ドイツの気になるデータ5選(GDPナウキャスト類、ドイツ企業のAI活用度など)
①ドイツ経済省GDPナウキャスト~今年Q4(青)は前期比▲0.3%、来年Q1(赤)は同+0.1%。 https://www.bmwk.de/Redaktion/DE/Publikationen/Schlaglichter-der-Wirtschaftspolitik/schlaglichter-der-wirtschaftspolitik-12-2023.pdf?__blob=publicationFile&v=9 ②ifoCAST(ifo研のGDPナウキャスト)~今年Q4(上)は前期比+0.05%、来年Q1(下)は同+0.09%。 https://www.ifo.de/en/ifoCAST …
20231124 ドイツの気になるデータ5選(GDP、不動産価格など)
①Q3GDP(確報)~速報から変動なし。2015年=100とするインデックスベースで、2002年通年:108.03、2023年Q1:107.86(前期比-0.0%)、Q2:108.01(+0.1%)、Q3:107.87(-0.1%)とほぼ横ばい/低迷が続いています。 https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2023/11/PD23_451_811.html ②ドル建て名目GDP国際比較(IMF)~米国、中国、日本、ドイツ、インド(右図は下位3か国を拡大したもの)の2000年から2028年までのIMFデータをグラフ化してあります。…
https://www.bundesbank.de/de/aufgaben/themen/finanzstabilitaetsbericht-918354 ドイツ連銀から今年分の金融安定報告書が発表され、有益なデータも見せてくれていましたので、そのエッセンスをまとめておきます。 今局面の特徴は、金利急上昇と不透明性の増大。 ドイツの金融システムはこれまでのところ金利上昇にうまく対処し、財務体質改善にうまく結びつけている。 今のうちに、自己資本と流動性を充実させ、特にサイバーリスクなどへの対応力をしっかり高めていって欲しい。 急速な金利上昇の影響が出てくるのはむしろこれからであり、リスクを過小評…
20231120 ドイツ連銀/経済省それぞれの月報のエッセンス
毎月この二つを読み合わせておけば、ドイツ経済の変調を見落とすことはないと思って続けているものです。 ①ドイツ連銀月報のエッセンス https://www.bundesbank.de/de/publikationen/berichte/monatsberichte/monatsbericht-november-2023-918674 10月インフレはエネルギー価格の低下(+前年からのベーシス効果)で急低下したが、今後数か月はさほど下がらない見込み(筆者注:一番下のグラフご参照)。 雇用は引き続き堅調、かつ大幅な賃上げ(昇給+インフレボーナス)が進行中で、実質賃金もプラスに転じてきたが、消費者は依…
20231114 ドイツの気になるデータ5選(年末商戦、企業倒産など)
①ドイツ連銀週次経済活動指数(WAI)~改善継続。実質GDP四半期前期比で+0.6%ペース。ドイツの数ある統計の中で足元唯一の明るい指標。 https://www.bundesbank.de/de/statistiken/konjunktur-und-preise/woechentlicher-aktivitaetsindex ②ドイツ小売業協会(HDE)年末商戦予想~11+12月小売売上は名目+1.5%/実質▲5.5%と低迷予想。インフレ/不景気に加えて中東危機もマインド悪化に寄与。 https://einzelhandel.de/presse/aktuellemeldungen/14324…
20231107 ドイツの気になるデータ5選(ifoCAST、鉱工業生産、SENTIXなど)
①ifoCAST(ifoのGDPナウキャスト)~Q4は前期比▲0.02%(市場は結構なマイナスが不可避と思っている)。 https://www.ifo.de/en/ifoCAST ちなみにこのifoCASTが当たれば、通年▲0.12%と市場予想(▲0.4~▲0.5%)よりマシな着地に。 ②ドイツ連銀週次経済活動指数(WAI)~他の指標と異なり、結構好調。四半期GDP換算で前期比+0.3%ペースまで急回復。 https://www.bundesbank.de/de/statistiken/konjunktur-und-preise/woechentlicher-aktivitaetsindex …
https://www.bundesbank.de/de/publikationen/berichte/monatsberichte/monatsbericht-oktober-2023-912962 今月(2023年10月)のドイツ連銀(BUBA)月報のエッセンスは以下の通りです。 2023年第3四半期の実質GDPは前期比で若干マイナスとなる可能性が高い(筆者注:先月とほぼ同じ表現/評価、公式統計は10/30発表)。今月)Das reale Bruttoinlandsprodukt (BIP) dürfte im dritten Quartal 2023 etwas geschrumpft …
https://www.bundesbank.de/de/presse/pressenotizen/geldvermoegensbildung-und-aussenfinanzierung-in-deutschland-im-zweiten-quartal-2023-914096 先ほどドイツ連銀が発表したデータ(2023年6月末時点)によると、ドイツの個人(家計)の金融資産は上図の通り、金利や評価額上昇のおかげで3月末比940億EUR増加し、7.49兆EURとなっていました。 日独のデータが揃ったので比較表にしてみたところ、こんな感じになりました。 日本人はドイツ人以上に現預金好きで、ドイツ…
①ドイツ連銀 週次家経済活動指数(WAI)~景気モメンタムはほぼ横ばい https://www.bundesbank.de/de/statistiken/konjunktur-und-preise/woechentlicher-aktivitaetsindex ②インフレ~川下のCPI(黒)以外の川上(輸入/生産者/卸売)物価は十分下がっている。 https://www.dashboard-deutschland.de/comparative-analysis/pulsmesser_wirtschaft ③IMF世界経済見通し~ドイツが名目GDPでは既に日本を抜いている。 <IMFが想定する購…
https://www.bundesbank.de/resource/blob/894118/6c67bcce826d5ab16a837bbea31a1aa9/mL/zahlungsverhalten-in-deutschland-2021-data.pdf <Japanese> ドイツ連銀のデータによると、ドイツ人は財布の中に現金を100ユーロ入れていて、手元資金が40ユーロくらいになったら、ATMに行って(年30回)、1回あたり230ユーロを引き出しているそうです。また、支払時における決済手段のシェアは、件数ベースで①現金58%、②デビットカード(バンクカードがそのまま使える)23%、③ク…
https://www.bundesbank.de/en/press/press-releases/payment-behaviour-in-germany-in-2021-894120 ドイツ連銀の「ドイツ人の決済における振舞い(2021年)」というレポートがなかなか興味深い(例えば上図のように「平均的ドイツ人は財布の中に100ユーロくらい入れている」など)ので、そのエッセンスを以下ご紹介します。 ●個人情報保護に極めてうるさいドイツ人は今でも現金を多用(頻度で6割、金額で3割)。 ●小額なほど現金で支払い ●コロナを機に、さすがに現金利用はやや減少し、オンラインショッピングが増加 ●現金の…
https://www.bundesbank.de/de/statistiken/banken-und-andere-finanzielle-unternehmen/-/banken-und-andere-finanzielle-unternehmen-773200 ドイツ連銀のデータベースが2022年分まで更新されたので、ユーロ導入(1999年)以降のドイツ銀行業界関連主要データ(グラフ)を以下ご紹介します。 ●ドイツ銀行業界の構造不況/リストラが続くなか、銀行数と支店数は減少継続。 デジタル化で支店数の減少は今後加速見込み。 ●長短金利低下トレンドの中でROEは切り下がり、利ザヤは低下継続…
https://www.bundesbank.de/resource/blob/915924/d77f5fd7c20e003e02d69138605ff156/mL/2023-09-ertragslage-data.pdf ドイツ連銀9月月報恒例の「ドイツ銀行業界収益動向」に関する分析結果(前年分)がリリースされましたので、そのエッセンスを以下ご紹介します。 ドイツの銀行の税前利益は274億ユーロ(前年比+1.4%)と長期平均を上回ったが、3メガの収益大幅黒字化(一番上の青)の影響(ドイツ銀行の)税効果評価替えなど)が大きく、実際には多くの銀行が減益。 2022年の急激な金利上昇はネット金利収…
20230823 ドイツの貸出/預金金利レベル感(企業/家計)
ドイツ連銀8月月報に、現在のドイツの貸出金利、預金金利のレベル感を確認できるデータが出ていますので、簡単にご紹介します。 ●QTは始まっているものの、まだまだ量的緩和度合いが高いので、短期市場金利は本来メインの政策金利であるREFI金利(現在4.25%)ではなく、中銀預金金利(現在3.75%)の方に張り付いています(⇒預金/貸出金利とも中銀預金金利の影響大)。 <貸出サイド> ●企業向け(上)、家計向け(下)ともECB利上げ後ユーロ圏での貸出(青線)は急減中で、スペイン(薄青棒)やイタリア(濃青棒)では共にマイナスに転じています(黒棒:ドイツ、灰棒:フランス)。 ●ドイツでの銀行貸出は、企業向…
https://www.bundesbank.de/de/aufgaben/themen/monatsbericht-deutsche-wirtschaft-weiter-in-schwaechephase-856150 先ほど発表されたドイツ連銀月報のドイツ経済分析部分のエッセンスは以下の通りです。 2023年第3四半期の実質GDPは、おそらく再び前期比ほぼ横ばいにとどまる。 インフレ率のさらなる低下+安定した雇用/力強い賃金上昇⇒今後は個人消費が景気下支え役となる(但し、さほど力強いものにはならない)。 しかし、海外からの需要の弱さが引き続き鉱工業生産の重しとなっている(直近の製造業受注急…
https://www.bmwk.de/Redaktion/DE/Pressemitteilungen/Wirtschaftliche-Lage/2023/20230814-die-wirtschaftliche-lage-in-deutschland-im-august-2023.html 本日ドイツ経済省から発表された8月経済月報のエッセンスは以下の通りです。 低迷するドイツ経済が持続的に好転しそうは兆しは内外ともにまだ見えない。 製造業では、生産・受注ともおおむね横ばいが続いている。 6月受注の急増(前月比+7%)は、航空機・宇宙船製造における大型受注による一時的なもの。 小売は食品を中…
ドイツ連邦雇用庁に付属するシンクタンクである労働市場・職業研究所(IAB、@ニュルンベルク)が毎月「人手不足インデックス」(0~10、数字が高いほどタイト)を発表しています。 iab.de 冒頭のグラフがその過去推移ですが、今年はずっと5.0超とコロナ前の水準(4台)を上回っており、直近7月も5.2と高水準を維持しています。 マイナス成長で経済が不振な割に、就業者数(黒点線)は一向に減ることなく、失業率(青実線)が実質的にほとんど上がっていない(昨年6月の急上昇はウクライナ難民カウント開始によるもの)のは、この人手不足が時の経過とともに深刻化しているためと思われます。 https://trad…
先ほどドイツ連邦雇用庁から7月のドイツ雇用統計が発表されました(米雇用統計と違って賃金データは含まれていないので、インフレに対する直接的影響は読み取れないという点についてはご了承ください)。 ●市場が最も注目する季節調整後失業者数前月比増減は▲4千人と市場予想(+15~20千人)より強め(失業者数少な目)の内容でした。 ●但し連邦雇用庁は先月同様「景気低迷が雇用に悪影響」とネガティブ気味に総括しています。景気モメンタムの悪化が見込まれる中、(人手不足で就業者の減少は起こりにくいものの)失業者数に上昇圧力がかかり続けている点を重視したものと思われます。 ●雇用の先行きについて、連邦雇用庁は以下の…
20230728 ユーロ偽造紙幣増加 触感/透かし/ホログラムの確認推奨
https://www.bundesbank.de/de/presse/pressenotizen/mehr-falsche-200-und-500-euro-banknoten-im-umlauf-913542 本日のドイツ連邦銀行のプレス発表によると、今年上半期はドイツでかなりの偽造硬貨・紙幣が出回った(回収された)模様です。ポイントは以下の通り。 今年上半期(1~6月)に計約290万ユーロ相当(約2万6700枚)の偽ユーロ紙幣が回収された。 2022年下半期と比較すると、金額ベースで66%、枚数ベースで10%の増加。 200/500ユーロの高額紙幣の偽造が特に増加(前期比各+87%/+2…
ドイツ連銀が、一般市民の啓蒙用に「デジタルユーロ特設サイト」を開設していますのでその内容を簡単にご紹介します。 Digitaler Euro Deutsche Bundesbank www.bundesbank.de 【デジタルユーロとは】 「デジタルユーロ」は、法定通貨ユーロのデジタル版(中央銀行デジタル通貨:CBDC)。デジタルでも現金でも、1ユーロは1ユーロ。 ユーロ圏の中央銀行によって法定通貨として発行され、すべての国民が現金と同様かつデジタルの形で使用できるようになる。 既存の現金がなくなるわけではなく、迅速、簡単かつ安全に使用できる形式の中銀マネーが追加供給される。 「デジタル…
20230726 ドイツ経済省のGDPナウキャスト、悲惨な内容
ドイツの潜在成長率は、コロナ後、年+0.8%程度に低下しつつあります。主因は日本と同様に労働投入のマイナス転換で、四半期ベースのGDP成長率も日本と同様に前期比マイナスが出やすくなっています。 実際、昨年第4四半期と今年第1四半期は二期連続でマイナス、直近12四半期中5回のマイナスは日本と同じです。 7月28日朝発表予定のドイツ第2四半期実質GDPは、ドイツ連銀が直近月報で「小さなプラスになった可能性が高い」と言っていることもあり、市場予想も前期比+0.1~0.3%となっています。 ★しかし、昨夕ドイツ経済省から発表されたGDPナウキャストを見ると 第2四半期:前期比▲0.4% 第3四半期:前…
20230724 好対照のドイツ景気先行指数2件(PMI、WAI)
https://www.pmi.spglobal.com/Public/Home/PressRelease/c23ef113fdfb4d149593c3b3d2840fe9 7月のドイツ総合PMIは48.3と、6月の50.6から低下し、予想の50.3を大きく下回りました。 上図の通り製造業(青)、サービス業(黒)ともに低下しているのですが、特に製造業の悪化継続度合いと水準の低さはかなり悲惨です。製造業主導の景気低迷を、サービス業がカバーしきれなくなりつつあるという構図です。 ドイツの航空旅客(青)が回復しているのに対し、航空貨物(赤)が冴えないという状況も最近定着しています。 第2四半期(4-…
https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2023/07/PD23_271_45412.html 2023年5月の宿泊件数は47百万件(前年同月比+9.2%)とかなりの急回復を見せました。コロナ直前の2019年5月と比べても+5.8%上回っており、完全復活を達成した格好です。 2019年以降の推移を年別に並べると(下図)、年初来で見ても、ほぼコロナ前の水準を回復した状態で推移していることが判ります。 特に国内(ドイツ人)顧客の増加が顕著で、ドイツ人の旅行好きが奏効している格好です。 航空旅客数は全世界ベース(青)でもドイツベース(…
note.com <Japanese> ドイツ単体で経済を分析した日本語資料が世の中にあまり見当たらないので、今回は現時点での私なりの分析をごく簡単にご紹介したいと思います(後ほどグラフやデータをつけた動画で少し詳しく解説しますので、よろしければ併せてご覧ください)。 www.youtube.com ドイツの人口は約84百万人と日本の3分の2くらいで、GDPの規模でもまだ日本の方が少し大きいとされています。しかし、購買力平価に比べて大きく円安サイドに振れている実勢レート:1ユーロ157円で換算すると、昨年のドイツの名目GDPは607兆円と、日本の557兆円をはるかに上回っています。ドイツ経済最…
https://www.pmi.spglobal.com/Public/Home/PressRelease/072aebeb82e74d10ba03d798f2dbb63c 昨日発表されたドイツ6月PMI改定値は40.6と、前月の43.2からさらに大きく低下し、約3年ぶりの低水準となりました。 5カ月連続の低下で、製造業が持続的な需要減少を受けて、生産水準を引き下げていると解説されています。但し、企業はまだ人員削減には踏み切っていない模様です。 dateno.hatenablog.com 製造業受注残(下図黒線)は、統計発表済の4月時点で月商の7.3か月分とまだかなりの高水準で、これまでは生産…
20230628 最低賃金引き上げについてのドイツメディアの報道ぶり
専門家委員会の勧告を受け、ドイツ政府は現在時給12ユーロの法定最低賃金を、来年1月初から12.41ユーロ(+3.4%)、その1年後に12.82ユーロ(+3.3%)とする方針を固めました。本件についてのドイツメディアの報道ぶりは以下の通りです。 ドイツの法定最低賃金は約6百万人(雇用全体の約15%)に適用されている。 低所得の女性や東独の労働者での適用が多い。 業種別には清掃、飲食、小売での適用が多い。 ドイツの最低賃金は既にEUの中でトップクラス(月収ベースではルクセンブルクに次いで2位、下図)に高く、企業経営にとっての負担が大きい。 ショルツ政権は公約に従って、昨年10月に最低賃金をそれまで…
20230627 今回のECB利上げ局面におけるドイツ預貸金利の状況
https://www.bundesbank.de/de/aufgaben/themen/straffe-geldpolitik-beeinflusst-bankzinsen--856176 昨日発表されたドイツ連銀6月月報の中に、今回のように過去に例のない急激な利上げ局面において銀行の貸出・預金金利がどう変化したかについての分析がありましたので、そのエッセンスを以下ご紹介します。 ●ECBはインフレ抑制(目標は2%)のため、2022年7月以来8回連続で利上げしており、メインのREFI金利は現在4%となっている。 ●今回の月報で各種金利のパススルーが想定通りだったかどうかを検証。 ●住宅ローン…
最近続々と発表されているドイツ景気先行指標類を以下まとめてご紹介します。 ●ドイツで最も重要視される景気先行指標である、ifo景況指数(6月分)は、本日市場予想(91前後)を大きく下回る88.5と出ました。 景気サイクルとしても「リセッション領域」内で一段とバランスが悪化する方向に進んでいます。 業種別では特に製造業(左上)の期待指数(青線)の低下が顕著になっています。サービス業(右上)は比較的しっかり持ち堪えており、PMIと整合的です。 ●先日(6/23)発表されたドイツ総合PMIでは、Q2後半に向けて成長モメンタムが急減速した格好となっており(左)、その主因は製造業景況感の一段の悪化(右)…
20230620 マイナス成長下の希望の星:ドイツ連銀GDPナウキャスト
6月に入ってから、7つの内外主要機関がドイツマクロ経済予測を発表してきましたが、ドイツ連銀(Buba)の今年▲0.3%予想を始めとして、全てが今年通年での実質マイナス成長予想となっていました。連日このように悲観的な予想が報道されているので、当然ながら、ドイツ経済界の雰囲気は悪化しています。 マイナス成長とはいっても、名目GDPは+5%前後(下表IMF予測では+4.8%)と高く、決して経済が縮小しているわけではありません。雇用も非常にタイトで、賃金は足元+5~6%くらいの勢いで増えています。 それでもドイツがマイナス成長になってしまうのは、ひとえに突出して高いインフレのせいです。高い名目成長が、…
20230616 ドイツ連銀とヘッセン研もドイツ今年マイナス成長予想
https://www.bundesbank.de/resource/blob/911516/4cdeeb7ada7e0e6e190b0aeb6c44efab/mL/2023-06-prognose-data.pdf ①先ほどドイツ連銀(Buba)の最新経済予測が発表されました。 昨日ECBが利上げと同時に発表しているスタッフプロジェクションの一部を構成するものなので、2025年までカバーしています。そのエッセンスは以下の通りです。 実質GDPは、今年▲0.3%/来年+1.2%/再来年+1.3%今年は消費と投資がとにかく弱い HICPは、今年+6.0%/来年+3.1%/再来年+2.7%コアHI…
BMWK - Die wirtschaftliche Lage in Deutschland im Juni 20231 2022/23年冬半期は2四半期連続でマイナス成長(テクニカルリセッション)となったが、足元第2四半期もまだ鈍い。 エネルギー価格上昇、世界経済の低迷、資金調達環境悪化、などが重荷となり、期待されていた景気回復が遅れている。 鉱工業生産は3月に前月比▲2.0%と予想外に大幅に落ち込んだ後、4月は期待された反動なくほぼ横ばい(+0.1%)にとどまった。 製造業受注は3月前月比▲10.9%という大幅低下の後、4月も▲0.4%と続落した。 受注残がまだ高水準とはいえ、製造業のQ2…
今朝ドイツ連邦統計局より、5月トラック運送指数が発表され、前月比+1.6%となっていました。 ドイツ第1四半期の実質GDPは前期比▲0.3%と不振でしたが、その後陸運は底堅く持ち堪えていることが判ります。 (トラック運送指数:青、鉱工業生産:赤) https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2023/06/PD23_221_421.html 国際フライト数/空運は(コロナ終息後の)しっかりとした増加基調が続いています。 https://www.dashboard-deutschland.de/pulsmesser_wirtschaf…
20230608 中国ドイツ商工会議所業況サーベイ結果について
Post-COVID Flash Survey.pdf 中国ドイツ商工会議所(AHK)から本日、「ポスト・コロナ臨時業況サーベイ」の結果が発表されましたので、そのエッセンスをご紹介します。 【全体的な印象】 ゼロコロナ政策終了で期待されていたほどの景気回復は実現していない。 地政学的な緊張がある上、当面の市場見通しが思わしくないので、中国に進出しているドイツ企業は将来についてやや悲観的。 ●状況が良くなるという企業と悪くなるという企業が両方同じくらい増加。 ●ここ数年の対中警戒の高まりとともに投資意欲は相応に低下も、引き続き高水準。 ●売上と利益の見通しは、前回調査比悪化。 ●投資を増やさない…
本日今年ドイツがマイナス成長に終わるという予想が二つ(上図緑枠)出てきましたので、その内容をざっとご紹介します。 ①ハンブルク世界経済研究所(HWWI) 今年のドイツGDPが▲0.5%ものマイナス成長になるという悲観的な予測を繰り出しています。 今年第1四半期が前期比▲0.3%と予想以上に低調だった上、ECBが高どまるインフレと今後の賃金大幅上昇のため追加利上げが必要なので、景気はかなり悪くなりそうだという見立てです。 https://www.hwwi.org/index.php?id=7199&tx_hwwinews_news%5Bnews%5D=8977&tx_hwwinews_news%…
20230606 ドイツにおける現金とデジタル通貨の将来について
日本とドイツは先進国の中でも現金選好が強いことで有名ですが、 dateno.hatenablog.com ドイツ連銀の決済専門家David Ballaschk(バラシュク)氏がWDR(ドイツ地方テレビ局)とのインタビューで現金やデジタル通貨の将来について語っている内容がなかなか興味深いので、そのエッセンスを以下ご紹介します。 ドイツ銀行協会の2020年の調査によると、ドイツ人の大多数が現金に対して非常に強い愛着をもっている。 回答者の4分の3が、将来紙幣や硬貨がなくなることを望んでいない。 但し、30歳未満の回答者のほぼ半数は、将来的にデジタル決済のみになると覚悟している。 当分の間、決済取引…
20230601 ドイツ小売売上、名目プラス/実質マイナス継続
ドイツ4月小売売上は、前月比実質+0.8%と、前月の大幅マイナスからのリバウンドを見込んでいた市場予想(+1.0~1.5%)をやや下回りました。 前年比で見ると、名目ベースでは4月単月+3.9%、1~4月累計+2.9%(薄赤)としっかり伸びているにもかかわらず、実質ベース(インフレ分差し引き後)では4月▲4.3%、1-4月▲6.0%(濃赤)と凹んだままになっています。名目の伸びがインフレで食われ続けている格好です。 https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2023/06/PD23_212_45212.html 消費者センチメント…
https://www.bundesbank.de/resource/blob/799628/f54d342ec77d4bca09bde31421a3832d/mL/2023-05-monatsbericht-data.pdf 本日ドイツ連銀月報がリリースされましたので、そのエッセンスを以下ご紹介します。 高インフレが引き続き個人消費(財・サービスとも)の逆風。多少の賃上げでは実質所得の目減りは解消しない。 EV関連補助金縮小も自動車販売を押し下げ。車はリース用投資需要も減退。 一方、供給ボトルネックの緩和、高水準の受注残、エネルギー価格低下が製造業を、穏やかな天候が建設業をサポート。 Q1G…
20230524 ドイツ経済省GDPナウキャスト大幅マイナス
ドイツの第2四半期(4-6月)GDPの発表は7月末頃なので、まだまだ市場予想は出回っていませんが、今年コンセンサス並みの+0.3%成長を実現するためには、Q2前期比+0.2~0.3%、Q3以降は+0.4%が必要です(上図最下段)。 ところが、昨日発表されたドイツ経済省のGDPナウキャストによると、Q2は前期比▲0.4%と非常に低い予想になっています。 https://www.bmwk.de/Redaktion/DE/Schlaglichter-der-Wirtschaftspolitik/2023/06/13-konjunktur-BIP-nowcast.html 一方、毎週月曜夕刻にアップデ…
20230523 ドイツ商工会議所(DIHK)中小企業景気調査結果
https://www.dihk.de/de/themen-und-positionen/wirtschaftspolitik/konjunktur-und-wachstum/konjunkturumfrage-fruehsommer-2023 年3回実施されているドイツ商工会議所(DIHK)の景気調査結果(対象:ドイツ国内中小企業21千社)が発表されましたので、使えそうなデータを一通りピックアップしておきます。 ●総合的景況感:昨年のボトムから反発継続も、長期平均水準(水色)以下 ●景況感DI(黄:製造業、黒:建設業、橙:小売・卸売業(商業)、青:サービス業) 現状は、サービスで上向き、建設…
Economic forecast for Germany 先ほどEU委員会から発表された春季経済見通しをざっとチェックしておきます。 ●EU/ユーロ圏の全体感 両エリアとも、インフレ率が高い割に、成長率は低く、失業は悪化しないという構図です。 ドイツ(ユーロ圏でのウェート3割)はかなり弱い方で、全体の足を引っ張っています。 ●ドイツ部分 内外主要機関との比較で、今年のインフレに最も悲観的である点が特徴的です(ベースがHICPということもありますが)。 <主要指標> 2022年 2023年 2024年 GDP成長率(前年比%) 1.8 0.2 1.4 ~かなり低水準 インフレ率 (前年比%) …
20230507 ECB利上げについてのドイツメディアの報道ぶり
先週5月4日(木)に、0.25%のギアダウン利上げを実施した上で、利上げ継続を示唆したECBについての、ドイツ一般市民(ビジネスパーソン)向けの報道ぶりは以下のような感じでした。 欧州経済が冴えない割に、インフレ率は驚くほど高い。 ユーロ圏のコアインフレ率は、3月5.7%、4月5.6%と執拗に高止まっている。 グローバル化逆流、労働力不足、気候変動対応によって引き起こされる長期的なインフレ圧力を過小評価すべきでない。 ECBは、あまりにも長い間インフレを静観してしまったため対応が遅れた。その結果インフレ率が跳ね上がってコントロールが難しくなってしまった。インフレはボタンを押せば消えるというもの…
●上図の通り、今年/来年のGDPはスモールプラス/+1%ちょい、インフレは6%前後/3%前後、というのがコンセンサス的目線です。なお、現時点で最も権威ある経済予測は緑枠/ドイツ政府のものになります。 ●足元のGDPの走り~ifo現況指数(青)、Buba週次経済活動指数(緑)ともほとんど横ばいで、年後半に向けて期待されている回復力の兆しはまだ見えていません。 ●物流~陸:トラック(青)、空:航空(赤)、海:コンテナ(緑)ともあまり力強さは感じられません。 ●消費者信頼感~最近戻し基調ながら、水準はまだまだ低く、インフレを理由とする個人消費の低迷継続を覚悟しておく必要があります。 ●雇用~就業者数…
https://www.bundesbank.de/de/presse/pressenotizen/april-ergebnisse-der-umfrage-zum-kreditgeschaeft-bank-lending-survey-in-deutschland-905900 ドイツ連銀より、四半期 Bank Lending Survey の結果が出たので軽くチェックしておきます。 下図ではいずれも左にドイツ、右にユーロ圏のサーベイ結果がデフュージョン・インデックス(とその寄与度)の形で示されていますが、貸出金額として実際にいくら増減しているのかまでは分からない点にはご注意ください。 また…
20230502 全独乗り放題49ユーロ切符についてのドイツメディアの報道ぶり
49ユーロで1ヶ月ドイツ全土の近距離公共交通機関乗り放題の「Deutschlandticket」が昨日5月1日からスタートしました。ドイツメディアの報道ぶりは以下の通りです。 地方公共交通機関の大改革かつデジタル化の始まり。 ドイツ鉄道では乗客の5人に1人、定期券利用者の約3/4(17百万人)が利用すると予想。 昨夏3か月限定で導入された同様の9ユーロ切符は格安ですぐに元が取れるため、日帰り旅行者に活用され、週末は多くの電車や駅が大混雑となった。 今回の49ユーロ切符は、日帰り旅行というよりは、通勤・通学、長距離/宿泊つき/月数回の旅行に適している。 但し、49ユーロ切符では家族や犬、自転車の…
20230428 ドイツ第1四半期実質GDP、前期比プラスゼロ
https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2023/04/PD23_169_811.html 先ほどドイツ連邦統計局からドイツ1-3月実質GDP速報が発表され、前期比フラット(細かく見ると+0.047%)と、2期連続マイナスのテクニカルリセッションは辛うじて回避されたものの、昨年10-12月期は▲0.4%⇒▲0.5%へと下方修正されるというやや弱い内容でした。 https://tradingeconomics.com/germany/gdp-growth 速報なのでヘッドラインのみの発表で、内訳については5月25日を待つ必要があり…
https://www.bundesbank.de/de/publikationen/berichte/monatsberichte/monatsbericht-april-2023-764252 毎月20日前後にドイツ連銀月報が発表され、毎月必ず手短な経済分析(Kurzberichte / Konjunktur )が入っています。その部分のエッセンスを抽出しておきます。 今年第1四半期のドイツ経済は1か月前(マイナス成長の可能性が高いと言っていた)に思っていたより好調。恐らく前期比プラス。 インフレが個人消費に重くのしかかり、消費者関連サービスは引き続き厳しい。 EV購入補助金が昨年末で終了…
20230424 ドイツ第1四半期GDP(4/28速報)前期比スモールプラスの可能性高そう
今週金曜朝、今年の第一四半期のドイツ実質GDP成長率(速報)が発表になります。 ドイツ連銀が「マイナスかも」と言い続けているので、プラスかマイナスか微妙な情勢でしたが、直近の各種データを見ると、前期比小幅プラス(+0.1~0.2%あたり)となる可能性が高まっていると思います。 冒頭グラフは独4大研の春季合同経済予測(4/5発表)でも前期比+0.1%となっています。 プラスで着地できれば、昨年第4四半期の前期比▲0.4%に続く2期連続マイナスというテクニカルリセッションは回避できることになります。 ●市場予想は前期比+0.1~0.2%。 ●ドイツ連銀の週次景気活動指数:WAI(本日発表分)の直近…
https://www.commerzbank.com/en/hauptnavigation/presse/pressemitteilungen/archiv1/2023/quartal_23_02/presse_archiv_detail_23_02_107082.html コメルツ銀行は私のメインバンク(決済+証券取引)で、私は株主でもあるので、同行の動向は常にフォローしています。 今回の年次株主総会(5月31日)のアジェンダの中に二つ興味深い点があるので、その内容についてご紹介します。 コメルツ銀行は、コロナ後の一時的対応として続けてきたオンライン株主総会を、今後は標準形とする方針。今回…
先ほどドイツ経済省の経済月報が発表されました。 www.bmwk.de 前月(雇用、小売、物価)~前々月(生産、受注、貿易)の主要統計がひと通り出そろう月半ばのタイミングですぐ出てくるので、大変便利です(ドイツ連銀月報の経済分析はもう少し後から出ます)。 ポイントは以下の通りです。 足ともの経済指標は、2023年第1四半期ドイツ経済の堅調さを示唆。サプライチェーン障害の更なる緩和、エネルギー価格の大幅下落、温暖な天候がその背景。 第1四半期のGDPは前期比わずかながらもプラスとなる可能性が高く、テクニカルリセッションは回避できる見込み(Q4は▲0.4%だった)。 5賢人、4大研とも今年通年のド…
上の表は、内外主要機関のドイツGDP/インフレ予測一覧表です。今回のIMFは今年▲0.1%のマイナス成長を予想している点が特徴的です。他にマイナスを予想しているのはハンデルスブラット研(HRI)のみで、他の機関は概ね+0.2~+0.3%の予想となっています。 以下ドイツ関連のデータ(緑)を日本(紫)と対比したグラフです。 https://www.imf.org/external/datamapper/datasets/WEO ①実質GDP成長率~今年はドイツがマイナスなので日本が上 ②名目GDP規模(米ドル建)~日本は猛追されているがまだ当面抜かれない ③一人当たり名目GDP(米ドル建)~ドイ…