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江戸時代の学僧・面山瑞方禅師(1683~1769)は以前【『永平広録』敷衍の様子】という記事でも書いた通りで、道元禅師の語録である『永平広録』の参究を行い、更に周囲の僧達に提唱までしていた様子が明らかにしたが、面山禅師が編まれた『永平祖師家訓綱要(以下『永平家訓』と略記)』(上下巻)という文献がある。これは、『永平広録』を以下の八章に分けて本文を抽出したものである。各章のタイトルと、簡単な解説を付しておきたい。・第一発心出家訓『永平広録』の中で、特に、「発心」そして「出家」に関わる小参・上堂語を集めたものである。発菩提心の難得なる様子や、無上菩提を学ぶということの方法、或いは道心について説かれている。・第二仏祖正宗訓仏法について示された上堂語を中心に集められ、さらにそれが、祖師方によってどのように伝えられ...面山瑞方禅師『永平祖師家訓綱要』と体系的宗乗
江戸時代の学僧・面山瑞方禅師(1683~1769)には、多くの著作が残されたが、生前に刊行されなかった文献や、上堂語・法語・詩偈などを集めて死後に刊行されたのが、『永福面山和尚広録』(全26巻)である。そして、第26巻には面山禅師の年譜が収録されているが、今日はそこから、面山禅師によって、当時の宗侶に対し、如何にして『永平広録』が説かれていたかを見ておきたい。理由は、現代に於いても『永平広録』の敷衍は十全とはいえず、在家の方に対しては、市場に幾つかの書籍が見られるくらいで、宗侶向けの専門書もまだ揃わない状況である。よって、今から250年近く前に、どのように学ばれていたのか、その一端を見て行きたい。なお、面山禅師には『永平広録』の上堂語や小参などを適宜抽出して、更に分類を行った『永平家訓綱要』(上下巻)とい...『永平広録』敷衍の様子