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#長編小説
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作戦依頼・・・2
〈では、出かけてきます〉全体派が泊まる宿、ただおが夜の会食に誘われ出て行った。おそらくジンホウが令嬢にお願いしたのだろう 「副団ちょ!」 ただおと入れ違いに入って来た典型派がいざないに声を掛ける「んじゃ、行ってくるっす」「ああ、典型派の好意を無駄にするでないぞ」「……うす」 典型派の宿にやって来たいざないは、賑や…
2023/01/27 11:08
長編小説
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リーダーで読む
【本】村上春樹『スプートニクの恋人』~広大な宇宙空間ですれ違う二つの彗星~
1、作品の概要 『スプートニクの恋人』は、1999年4月に村上春樹の長編小説。 講談社より刊行された。 書き下ろし。 単行本で310ページ。 すみれに恋する「ぼく」と、すみれが劇的に恋に落ちたミュウとの奇妙なトライアングルの物語。 2、あらすじ 「ぼく」が想いを寄せるすみれは、ある時「平原をまっすぐ突き進む竜巻のような激しい恋」に落ちた。 すみれの初恋の相手は、既婚女性のミュウ。 ミュウはすみれを自分の事務所で働かせて、小説を書くこと以外に興味がないすみれを変えてしまう。 「ぼく」はすみれに想いを告げぬまま彼女の支えになり、他のガールフレンドたちと体の関係を結んでいた。 ミュウの仕事の関係で、…
2023/01/25 20:34
作戦依頼・・・1
部屋から出たれいりは、出口付近で何やら話し込む二人を見かける「博士、ジンホウさん。おはようございます」「おはよう」「今はいざない仕事でどこか行ってるみたいですけど…」「嬢ちゃん! あんたに頼みがあるし!!」「へ?」いざないに用があるのだろうと考えたれいりだが、いさいはれいりに用があったらしく、れいりの前に立つとある物を見せた<…
2023/01/21 10:55
【本】夏目漱石『こころ』~罪と死の影を抱えながら~
1、作品の概要 『こころ』は、夏目漱石の長編小説。 初出時は『心 先生の遺書』であったが、後に改められた。 1914年4月20日~8月11日まで、朝日新聞に連載。 1914年、岩波書店から刊行された。 『彼岸過迄』『行人』に続く、過去三部作の最後の作品となる。 新潮文庫版は2016年までに718万部売れており、文学作品として日本史上最も売れた作品。 *写真は集英社文庫版で、イラストはデスノートなどで有名な小畑健が担当している。 2、あらすじ ●上「先生と私」 「私」は鎌倉の海水浴の折に先生と出会い、家に遊びに行くようになる。 妻帯者の先生は定職を持っていなかったが、余裕のある生活をしていた。 …
2023/01/20 17:37
【離れるべくして、離れたのに】2
「ずっと、探している気がするんよ、ね・・・・・・」 彷徨う彼の視線は確かに一瞬ぼくをみた。 ぼくを見ている。なのに、「・・・・・・えっと、・・・・・・な、なにを?」 そう問い返した都古くんの意識はこっちを向いている。 計登は少しだけ眉を寄せて天井を見た。「なにを・・・・・・? だろう。なにを・・・・・・、なんだろう、」 彼は、首を少し横に倒す。ぼくは動けない。息すらもできない。彼の視線はぼくに向けられている。―――けれど、「・・・・・・でも、わかんない、」 彼は困った様に、瞬きをした。 ぼくをみたのに。 「・・・・・・わかんないんだ、」 彼はぼくに視線を向けたままだ。でも、 時雨さんの瞳には、…
2023/01/19 19:53
春
一週間後 「はあ…」濃艶派講習部屋では、元気の無いミヨシが机に突っ伏し動かない「ミヨシ、溜息吐いてどうしたの?」「彼氏さんが仕事で忙しくて遊べないそうです」「そっか…」説明するイソネ「始めるよ~」 今日はこれ読むだけにして入って来たサブリーダー達も溜息吐き吐き紙を配っ…
2023/01/14 10:32
十二話 『マドモアゼルT』 聡ノ往く道 二章『夏樹と三人の由紀子』
櫻(さくら)町の西側には、大島という島がある。八月の鬼神会の突然の襲撃。その拠点となっていたのではないか? という話が出た時、水及(みなの)が大島に古代の遺跡があることを思い出した。その古代の遺跡の調査のため、という名目で働き詰めだった水及は、勝彦(かつひこ)、五十鈴(いすず)、晃(あきら)を連れて大島にやってきていた。 古代の遺跡の探索は、次の日の予定となっていた。そのため民宿まで荷物を運んだあとは…
2023/01/13 09:12
【本】川上 未映子『ヘヴン』~自我の形成と生き方の選択。受け入れるか?それとも我を通すか?~
1、作品の概要 川上未映子3作目の小説で、初の長編小説。 芸術選奨新人賞、紫式部文学賞を受賞。 中学2年生の思春期の時期のいじめを通して、生き方、倫理観の問題を説いた。 2、あらすじ 斜視をからかわれて、二ノ宮たちクラスメイトにいじめを受ける「僕」。 ある日、机の中に「わたしたちは仲間です」と書かれた手紙を見つけ、差し出し主と公園で会うことになる。 手紙の出し主は、同じようにいじめられているクラスの女子、コジマで2人は手紙をやり取りするようになり、次第に距離を縮めていく。 夏休みに2人で出かけて「ヘヴン」の絵を観に行ったり、階段で話すことでコジマは自分たちの弱さの意味を知り、何をされても受け入…
2023/01/12 19:24
【本】三島 由紀夫『仮面の告白』~倒錯した性と自意識の解体~
1、作品の概要 1949年に刊行された、三島由紀夫2作目の長編にして代表作。 同性愛を扱った自伝的小説で、その倒錯した世界感が当時の話題となった。 一人称の告白体で描かれている。 「私」の少年時代から23歳までの話で、全4章からなる。 前半は、倒錯した性の目覚めと憧れの同級生・近江との学校生活を描き、後半は友人・草野の妹・園子との恋愛と、失恋を描き女性を愛せない苦悩を描いた。 2、あらすじ 病弱な「私」は母から引き離されて、祖母から徹底した管理のもと育てられた。 歪んだ愛情を注がれながら育った私は、汚穢屋や、兵士の汗の匂いに魅せられて、絵本の中の殺される王子を愛した。 「私」はそれらが持つ悲劇…
2023/01/06 15:30
雑然・・・2
「寸前で解放する事が出来ましたが…」「マルーの嗅ぎ付けは尋常で無い速さです」「…」「総帥、我々が次に打つ手は――」コルチ団が集まる丸窓がある大きな広間には、総帥を筆頭にこれからの事に関しての話し合いがされていた 「そこには能力者がいるンダ。お前らに勝ち目ナイ」 「!」「どこから入って来た!」「普通に入っ…
2023/01/06 10:54
【本】村上 春樹『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』~交錯し、共鳴し合う2つの世界。自意識と現代社会の病理を物語で表現した村上春樹史上最高の傑作!!~
1、作品の概要 1985年に刊行された村上春樹の4作目の長編小説。 初めての書き下ろし小説。 第21回谷崎潤一郎賞受賞。 文庫版では上下巻で刊行された。 物語は「ハードボイルドワンダーランド」と「世界の終わり」の2つの物語からなり、全部で40章からなる。 2、あらすじ 「ハードボイルドワンダーランド」 近未来、データを計算しロックをかける計算士として有能な「私」は風変わりな生物学の博士からシャフリングの技術を用いた依頼を受ける。 シャフリングは計算士を統合する「組織(システム)」より禁止された技術のはずだったが、博士は許可を取っており、「私」は言われた通りにデータをシャフリングにかける。 お礼…
2023/01/02 19:16
雑然・・・1
南西の山奥、メリディオ地域ガド村「リーダー」「ああ」 パシこの地域にある草を受け取ったソノは、大口を開けゴクリと丸飲み。側に座り子供をあやす『しき あざや』は心配してソノを見ている「え…また飲むの? 姉ちゃも何で止めないのさ」「諦めないからだ」草を取ってきたたさいは、仁王立ちし不…
2022/12/31 11:00
十一話 『他人の空似』 聡ノ往く道 二章『夏樹と三人の由紀子』
神山聡は、一人で堤防から輝く海を眺めていた。今日は、勤め先の社長に誘われて大島に旅行にやってきていた。 「一緒に泳ぎに行こうよ!」 と、社長の娘である虹野(こうの)夏樹に誘われた。 「いや、女の子ばかりの所におっさん一人は無理があり過ぎる」 それを断って、聡は釣竿を借りて堤防までやってきていた。遠くから甲高い声が聞こえてくる。砂浜で夏樹たちが遊んでいるのが、堤防から見ることが出来た。 「事故…
2022/12/30 10:10
マルー・クインクエ【全体派への依頼】・・・7
いざないもまいちの後を追い控え室に戻ろうとしたが、ふと考えて立ち止まると女子側をじーっと見、装置を操作していたジンホウに近づいた「おいジンホウ、俺はさっき良い事聞いたんだが」 どんっ! ボチャッ 「!!」 キャ――ジンホウに対面する余裕を与えずいざないはプールに突き落とす。驚いた女子軍は水浸しになったジンホウを見たとたん悲鳴が飛び交った<…
2022/12/23 10:51
【本】江國香織『きらきらひかる』~この世界に間違った愛がありますか?ゲイの夫とアル中でメンヘラな妻。どこまでも透明な感情~
1、作品の概要 1991年に刊行された江國香織の長編デビュー作。 紫式部文学賞受賞。 1992年に映画化。 文庫版で201ページ。 12章からなる恋愛小説で、笑子と睦月がそれぞれ一人称で語る。 2、あらすじ 新婚の睦月と笑子はお互いに脛に傷を持つもの同士。 睦月はゲイで、結婚後も紺くんという恋人を持ち逢瀬を繰り返す・・・。 笑子はアル中気味で情緒不安定で、精神科の受診歴もあった。 そんな、「普通」とは程遠い結婚生活。 触れ合うことがなくても、静かで穏やかな愛情が2人の間に流れていた。 柿井と樫部さんのゲイカップル、紺くんも笑子の不思議で率直な魅力に惹かれて不思議に親密になっていく。 しかし、ま…
2022/12/20 16:25
マルー・クインクエ【全体派への依頼】・・・6
「いざないゴメンねぇ。私ぃ、いざないが恐怖症って知らなくてコンティに味方しちゃったぁ」全体派控え室にやって来たヘレデムは、両手を合わせて食事中のいざないに平謝り「別にいい。あいつに比べりゃかわいいもんだ」 外にも出れねーまだ憤慨中のいざないは、大きな溜息を吐き吐き冷めた紅茶を飲んでいる「ジンを味方に付けちゃえば…
2022/12/17 10:44
【本】村上龍『MISSING 失われているもの』~幻想的な世界の中で、自己の深層心理へと潜っていく~
1、作品の概要 『MISSING 失われているもの』は、2020年3月に刊行された村上龍の長編小説。 村上龍が主催するメールマガジン『JMM』にて2013年~2019年に連載され、『新潮』2020年1月号に掲載された。 幻想小説のようでありながら、私小説的な内容でもあり、自身の母のことなどについて語られる内容となっている。 2、あらすじ 失われているものが何かを確かめるために女優の真理子と再会した「わたし」は、時空がねじ曲がったような奇妙な世界に紛れ込んでしまう。 タクシーに乗ってホテルに戻ることで正常な世界に戻ることができたが、不可解なで出来事が続き、「わたし」の意識は混迷を続けていた。 事…
2022/12/16 08:53
マルー・クインクエ【全体派への依頼】・・・5
「おい! ヘレデム、正直に答えろ! この依頼の目的はこれか!?」いざないは再び事務所に乗り込み真相を聞き出す為ヘレデムに詰め寄った 「ねえ今の大きい音何…キャッ」 どん どん「キャッ」 どん「わわっ」「ひゃっ」 音に驚きやって来た女子軍が入口に立ってたい…
2022/12/09 10:26
【本】唯川恵『啼かない鳥は空に溺れる』~籠を飛び出した鳥はどこに向かって飛ぶのか?~
1、作品の概要 2015年に刊行された唯川恵の小説。 歪んだ2組の母娘関係の物語。 2、あらすじ 千遥は、地方の裕福な家に生まれながらも母親から精神的な虐待を受けて育った。 東京で就職して一人暮らしを初めても、異常な物欲を感じるなど母親の影響から逃れられずに、愛人の援助を受けるようになる。 フリーターだった功太郎が公認会計士の試験に合格し、結婚することになってから母娘の関係に変化が生じ始める。 亜沙子は、中学生の時に父を亡くして母親と2人で支えあって生きてきた。 就職して母親の勧めで結婚を考えるが、次第に母親の束縛を疎ましく思うようになっていく。 3、この作品に対する思い入れ 母娘の関係って時…
2022/12/03 21:32
マルー・クインクエ【全体派への依頼】・・・4
「お前ら謀りやがったな!!!」だっ 「鬼ごっこですか? ワタクシ得意なの知ってるじゃないですか〓」一目散に逃げ出したいざないに驚く兵達「えー、私は女の子の味方だよぉ」 コンティがんばぁ「まて―――〓」コンティは周りの家具をなぎ倒しいざないを追いかける。コンティの脳内は浜辺で追いかけっこする…
2022/12/03 11:47
マルー・クインクエ【全体派への依頼】・・・3
――二日目 「ねえ、一緒にお風呂入ろうよ」「よし! 入るぞ!!」出だし直後に四人に誘われ一丁は走った「シルクリ!」 ビタン!「の゛わ゛っ」 当然ながら阻止される〈こじかちゃーん〉ただおの作った壁に両手を当てズルズルと下に崩れ落ちた。ただおは最初から戦闘モードに入っている様で目元がき…
2022/11/25 10:09
コンドルの系譜 第十話(128) 遥かなる虹の民
恭しく紙片を受け取った神父は、すぐに「はい」と頷いた。 そして、静謐(せいひつ)な瞳で、アンドレスを真っ直ぐ見つめ返す。 「アンドレス様は、これをお書きになった御方をお探しなのですか?」 ロカ神
2022/11/24 05:56
小説『di;vine+sin;fonia ~デヴァイン・シンフォニア~』(「見開き・縦書き」表示) 第二部 比翼連理 第九章 潮騒の鎮魂歌を 4.神話に秘められし真実-4
物語の始まりは、こちらです。 前のエピソード 4.神話に秘められし真実-3 第二部 比翼連理 第九章 潮騒の鎮魂歌を 4.神話に秘められし真実-4 タイトル or 画像クリックで、「見開き・縦書き」表示の小説が、別のタブで開きます 次のエピソード 毎週金曜日に、定期更新します 小説『di;vine+sin;fonia ~デヴァイン・シンフォニア~』(「見開き・縦書き」表示)は、『えあ草紙』という「ブラウザ上で動作する、縦書きに対応した電子書籍リーダー」を使わせていただいて、「見開き・縦書き」表示にしております。(こちらに『えあ草紙』の説明の記事を書きました)
2022/11/21 16:06
現状確認。……そもそも、主人公の目的ってなんだっけ?
趣味の物書きである私(月ノ瀬 静流)のひとりごとです。 執筆をしながら思ったことを、つらつらと。 とりとめもなく、綴っております。 趣味の物書きのつぶやき 長編小説。 書き手としても、読み手としても、私はときどき、「現況の確認」が欲しくなります。 ・「今」は、「いつ」なのか。 ・主人公は「何」をしようとしているのか。 ・主要なキャラクターは、「どこ」にいるのか。 別行動のキャラクターは、「どこ」で、「何をしているのか」。 ・敵の状況はどうなっているのか。 ……などなど。 読み手として。 「現状」が分からなくなると、物語を読み進めることが難しくなります。 だから、書
2022/11/21 16:05
マルー・クインクエ【全体派への依頼】・・・2
「あ」屋敷にやって来た全体派幹部を目の前に、責任者は人懐こく近寄ってきた「いざない、お久ぁ~〓」「責任者ってあんたか」「そうだよぉ。ベルムもいたけど研究したいって帰ったぁ」髪を上に束ね白衣を着るそこの責任者は、いざないも良く知る研究所にいたヘレデムだ「いざない、この美しい女性は知り合いか?」〈美しいぃ?〉
2022/11/19 11:03
マルー・クインクエ【全体派への依頼】・・・1
――マルー視聴室 「ぬ?」呼び出しを受けた全体派幹部が視聴室の扉を開くと、中心にいた一人の長身な男にいざないの顔が曇り出す「初めまして、ではありませんね。一度フォートゥスでお会いしたかと」 その前もあったかな?ジンホウは四人の顔を見て微笑む。その間ノート一式を持った夫人がジンホウの隣へ並ぶ…
4年ぶりの更新です
お久しぶりです!大変ご無沙汰しております 近頃、宗教絡みのニュースが増え、あの頃の事を思い出しています。それにつられ、このブログを思い出して開いてみました こ…
2022/11/16 16:01
心に花束を
眠りの中、初めて抱き寄せてもらえた。長い時間をかけて、ようやくここまでこられたよ。一歩ずつを繰り返し、遥かな道のりを歩いてきたんだよ。 あなたに逢えた朝は、…
コンドルの系譜 第十話(127) 遥かなる虹の民
かなり長い沈黙が流れた後、アンドレスの声が戸惑いがちに聞こえてくる。 「……どうして俺たちが旅商人じゃないって思うんですか?」 他方、ロカ神父は、アンドレスたちを長椅子の方へ招いて座るよう勧め、まだ
2022/11/11 00:34
【離れるべくして、離れたのに】1
だけど、 そう、だけどぼくはまたきっと、 同じ選択をすると思う。 だってぼくには、 永遠なんて、信じられない。 変わらない心も、 終わらない恋も、 そんなもの無いって思っているんだ。 終わらない恋なんてない。 変わらない心なんてない。 裏切られるのが嫌だから、 聞こえない振りをする。 傷つくのが嫌だから、 気付かない振りをする。 そこにあるものが、 大切だと、思えば思うほどに、 壊れるのを恐れて、消えていくのが怖くて。 だったら、最初から、なにもはじめなければいい。 そう思っていたのに。 駄目だった。 抗えなかったんだ。 こんなに、自分のこころが思い通りにならないなんて。 押えられずに溢れてし…
2022/11/10 20:59
【涙が、】5
強く吹いた風が。 小さく渦を巻いて僕と計登さんの髪を乱して去っていく。「・・・・・・・・・・・・なんだよ。都古くん泣いてんの?」 計登さんの驚いた声。「・・・・・・違うよ、」 時雨さんは、なにを、「・・・・・・煙りが、・・・・・・煙草の煙りが、眼に沁みただけ、」 時雨さんは、誰れを、「・・・・・・・・・・・・ふぅーん、」 計登さんは、気の無い返事をして、携帯灰皿を取り出した。 時雨さんは・・・・・・掴もうとしたんだろう。 なにを、 諦めたんだろう。
2022/11/07 19:14
マルー・クインクエ【合コン】・・・2
「改めて乾杯――〓」計十二人全員揃い再びグラスのぶつかる音と明るい声が店内に響く「驚いた。マルーってかわいい娘多いね」「え~、そうですかー?」当たり障りの無い褒め言葉に隣に座るまぁ子はご機嫌「君達って何か法使えるの?」「あ、私は水ー」「私も」質問されキャピキャピと挙手するまぁ子とリヨウ「使えな…
2022/11/05 10:53
コンドルの系譜 第十話(126) 遥かなる虹の民
扉の中は執務室のような場所になっていて、いずれも簡素で素朴なものながらも、本棚や机、ちょっとした応接セットなどが置かれている。 部屋の奥には、仄明るい光の射し込む擦りガラスの窓があって、その傍に一人
2022/10/30 06:26
十話『引きこもりの母』 聡ノ往く道 二章『夏樹と三人の由紀子』
椿が、廊下で難しい顔をして庭を睨んでいた。庭は、いつも通りの庭だ。一体、何を睨んでいるのか。 「どうかしたんですか?」 声をかける櫻(さくら)。 「うん。納得がいかない」 椿の横に立って気付いた。彼女の視線の先には、ここからでは見えないが離れがあった。 「晃(あきら)くんがあの旧座敷牢から出られたことは喜ばしいこと。ただ、何故よりにもよってあの人の所に行くのか。あの人、ただの引きこもりですよ!…
2022/10/28 21:37
マルー・クインクエ【合コン】・・・1
――二週間後「え? 合コン?」講習後、あまり聞かない言葉にれいりの目が点「そーなの! リムさんの友達がマルーの女の子紹介して欲しいんだって。顔見せて貰ったら皆イケメンだったよっ」上機嫌のミヨシは身振り手振りでれいりとイソネに説明している「三人確保出来たけど二人足んないからイソネ、れいり! よろしく〓」「!?」「明日…
2022/10/28 10:17
マルー・クインクエ【調査】
ガラ 「副団長」「調べもんって」再び戻って来た全体派集合室には、朝と変わらず机に顔を伏せてる一丁がいる「これなんですけど」透明な袋に入った渦を巻き棘が突出している物を見せられた「父の管理する場所で発見されて預かって来たんですが」「…暗の異物だな」「やはりそうですか」眉を顰めじーっと異物を見る
2022/10/22 10:09
【涙が、】4
「・・・・・・・・・・・・んかった、」 時雨さんの、小さな声。「・・・・・・届かんかった、・・・・・・駄目やったぁ、・・・・・・おれ、・・・・・・」 あの日、時雨さんはなにを掴みたかったんだろう? 『届かんかった』 ・・・・・・・・・・・・その、意味を、・・・・・・・・・・・・、 僕は今更ながら考えてしまった。
2022/10/19 08:08
人間は、やっぱりバカになったのだと思う
いまさらナンだけど、今朝、「人間って、やっぱりバカになったのだ」とつくづく思った。もちろん、私も含めて。 出勤途中、久しぶりにBACHのカンタータを聴いた。し…
2022/10/18 13:43
マルー・クインクエ【検証】・・・2
「……何とも無いです」「れいり君が実践しようとした時点でそんな感じはしてました」「…でも、何でだろう」疑問に思うれいり。ディックは子供をあやす様にれいりの頭をナデナデしている「明の血も関係ありそうですね。後はディックさんの性格とか」「なるほど」穏やかに笑い腕組みするジンホウは微笑ましく眺めている「れいり…
2022/10/14 10:38
コンドルの系譜 第十話(125) 遥かなる虹の民
────不意に、深い静けさと冷んやりとした空気に包まれる。 そこは、先ほどまでの戦闘中の雑踏と喧騒とは別世界だった。 裏扉から入ったために、扉の内側に広がる光景は聖堂の中ではなく、聖堂に続く廊下に面し
2022/10/13 00:29
【涙が、】3
そういえば、いつだったか。 「ぼくがさぁ。くっそ甘いラブソングなんてつくっちゃって。しかもそれをうたっちゃったりしたら、気色悪いよなぁ、」 移動中のクルマの中だった。隣から、ぼそっとそんな声が聞こえてきた。 運転していたのはスタッフさんだ。三列シートのワゴン車の中。計登さんは一番後ろのシートを占領して眠ってた。時雨さんは確か仕事が入っていて、それを終えて現地で合流するって流れだった。 僕はスマホゲームをしていた。手こずっていたミッションを漸くクリアして、片耳だけイヤホンを外した処で、眠っていたと思ってた十秋さんがそんなこと云いだしたから、ちょっとだけ驚いた。 寝てなかったのかな。そう思って。ス…
2022/10/11 20:04
マルー・クインクエ【検証】・・・1
「一時はどうなる事かと」食器を洗いながら無難にお食事会が終わった事に安心する「もう一人のプリセプスがいる時は私は逃げねばならぬのか?」「おソノさんしがみつく癖あるからその方がいいかと…」「変わった動きをしたのは最初だけだったか」「多分…」いつもより多い食器をソルムはピカピカになるまで丁寧に拭き上げていく「では次から…
2022/10/08 10:43
【涙が、】2
「時雨がさ、」 そこで言葉を切って、計登さんは煙草を咥えた。 カチ、と。ライターが点火する。 ゆっくりと、・・・・・・言葉を探しているんだろうか、・・・・・・ゆっくりと吸い込み、そして、細く、長く、煙りを吐いた。「時雨さ、アイツは、・・・・・・・・・・・・脆い。よな」 僕と計登さんは事務所の屋上に居る。小さいけれども自社ビルだ。風が少し強い。計登さんは僕に煙がかからない様に、風下に立っている。眼を細め、フェンスに凭れて。煙を細く細く、ゆっくりと吐き出す。「例えば、だけどさ、」 計登さん、少し痩せたな。そんなことを僕は考えていた。「・・・・・・・・・・・・俺、だとしたら。時雨は、ああはなってなか…
2022/10/06 18:50
マルー・クインクエ【おもてなし】
「ちーす…」ある日の午後、幹部集合室にやって来たいざないは、目の前の机に突っ伏し負のオーラを撒き散らす一丁を見て一歩下がった「…ししょー、また何かあったのか?」「ディックがいると聞いたのでオヴァを作った双子の所に連れて行って貰おうと、ソノにも言って派長室に行ったのだが」ぐりんと頭だけをいざないに向け真っ青な顔の一丁は、口を動かすのも辛そうに今まで…
2022/09/30 10:47
マルー・クインクエ【美味しい物食べに行こう】・・・5
「またのお越しをお待ちしております」 スタッフにお見送りされ、れいり達は高級車へ乗る。数十メートル発進後、静かに後を追う車が現れた バタン その後、大きめの店に降りたれいり達は店内へ。高級車は何処かへ走って行く「この店の関係者か?」「行ってみよう」後を付けてきた車から二人の男が降り、店の中へ入っていく
2022/09/24 10:07
母性(書籍)
「母性」湊かなえ著、新潮文庫、2015年7月娘が自殺を図った真相を、母の手記と娘の回想から浮かび上がらせる長編ミステリー。文庫化された2015年に購読。今年11月映画が公開されるのに先立ち、読み返してみました。一つの事象を複数人の視点で異なる角度から描くことで様相が全く違って見える、湊かなえお得意の手法が用いられています。映画の公式サイトには役名が出ていますが、原作では母娘の名前が最後の方まで出てこないところが、不安感をさらに駆り立てます。昨年テレビドラマで警官コンビを演じていた戸田恵梨香と永野芽郁が、本作では心がすれ違う母娘を演じるのが興味深いです。映画『母性』オフィシャルサイト関連エントリ:望郷(書籍)未来境遇往復書簡夜行観覧車告白(書籍)母性(新潮文庫)湊かなえ新潮社母性(書籍)
2022/09/23 07:45
コンドルの系譜 第十話(124) 遥かなる虹の民
「ああっ、えっと…その…っ」 わたわたと慌てている覆面4人組をまじまじと見つめながら、マリオが呆れと感嘆の混じったような吐息をつく。 「ふぅっ……。 おまえたちは、いっつも、思いっきり怪しげなんだよ
2022/09/22 00:32
マルー・クインクエ【美味しい物食べに行こう】・・・4
(出て来やがった) 換金してたいざないは、監視室から出て来たジンホウを見つけ後を追う ぐい! バタン カチャ! 「!」急にジンホウの右腕が引っ張られ部屋に引き摺り込まれた。焦ったいざないは部屋の隣にあるトイレを見つけ入って行く「僕今別件中なんですが、堪えられませんか?」 くすウ…
2022/09/16 10:27
九話『お墓参り』 聡ノ往く道 二章『夏樹と三人の由紀子』
臨時の当主会議が終わる。 鬼神会の襲撃と赤鬼(せっき)の暴走。今日の会議で、ようやっと大体の情報が集まり、方針が定まった。 まずは、鬼神会の襲撃。保護した藤堂晃(あきら)から、氷女(こおりめ)沙夜を狙ったという証言があったが、それにしては全体的に計画が杜撰に思えた。氷女沙夜を狙ったのは口実。本来の目的があったと推測される。鬼神皇が橘家を襲撃してきたが、鬼神皇は勝彦と戦った後、特別何かの目的を達成…
2022/09/13 16:30
【涙が、】1
ロミオとジュリエットの恋の行く末は、 ほんの少しの掛け違い。 だけど、それを莫迦だなぁと、笑い飛ばすには重すぎる結末だったよね。 十秋さんと、 時雨さん。 あのふたりは、どうだったんだろう。 あのふたりは、どうなるんだろう。 あのふたりの、終着は―――、 本当のところはわからない。 僕たちにはわからない。 どっちが先だったのか、 どっちがきっかけだったのか。 わからない。 わからないまま、僕たちはただ、 ただ、・・・・・・、 結末だけを、見せられている。
2022/09/11 09:41
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