「はっきりと、まあ」車列の先頭から徐々に停止の波が打ち寄せる、車がひとつ前の車両の数十センチ後方へ速度を落とす。「だけど、大勢の中から選別するのって、いけないことかな。思うにさあ、最初の好みもそれ以外も含めた括りから選ぶのと変わりがないように感じる」 「ええ、ですから、はじめにすべての人に、ということを述べたのです」 「僕の頭が悪いって、遠まわしに言ってる?」 「いいえ。一度促したのだと、事実を伝えたまで。悲観的な側へ鈴木さんは極度に物事を捉える傾向があります、それはやめたほうがいいです」 鈴木はか細いため息を鼻から息を少量だけ放つ。「いつもながらに、種田の指摘には感服するよ」 「褒め言葉とし…