有朋自遠方来、不亦楽乎(朋(とも)有り、遠方より来たる。 また楽しからずや)―― 孔子 山東省済寧市曲阜市の東南約30キロに、東西方向に連なる小さな山脈がある。その最高峰は340メートル余りで、雄大さ、奇妙さ、険しさ、優美さ、いずれにおいても特筆すべきものではない。しかしながら、遠望すると、ここは五つの川が合流し、五つの峰が連なり、その間を穏やかに包み込む風景が静謐で和やかである。 この一見平...
世界のなかでアジアの果たす役割が増大しています。これからの日本企業のアジアにおける新しいビジネスのあり方について、ビジネス連携に基づく新しい価値の創出について動向の整理と視点の提示を行います。
東アジア(中国、台湾、韓国)、アセアン10カ国やインドと日本の産業・企業とのビジネス連携のあり方を考えていきます。とりわけ、中国と台湾の情報通信(含む半導体)領域に大きな力点を置いております。
有朋自遠方来、不亦楽乎(朋(とも)有り、遠方より来たる。 また楽しからずや)―― 孔子 山東省済寧市曲阜市の東南約30キロに、東西方向に連なる小さな山脈がある。その最高峰は340メートル余りで、雄大さ、奇妙さ、険しさ、優美さ、いずれにおいても特筆すべきものではない。しかしながら、遠望すると、ここは五つの川が合流し、五つの峰が連なり、その間を穏やかに包み込む風景が静謐で和やかである。 この一見平...
トランプ大統領、日本に25%関税導入か―新局面の行方と波紋―
背景と概要 トランプ米大統領は、日本と韓国を含む複数国に対して2025年8月1日より25%の関税を全輸入品に一律で課すと通告。これは、今年4月に開始された一連の米国主導の貿易戦争の新たな段階を示すものとされる。対象国には日本、韓国のほか、セルビア、タイ、チュニジアなど14カ国が含まれる。日本と韓国はいずれも米国の主要同盟国であり、関税適用は外交・経済両面に波紋を広げている。 日本に対する措置の内容 日本...
「新しい社会契約」を求めて ̶ 私たちは何をどのように分かち合うのか?
はじめに 私たちは、家族、地域社会、職場、そして市民の間の相互の関わり合い通じて、さまざまな形で日々社会との接点を持っている。以下、足もとで読んだ新聞記事などをもとに、以下、思いつくままポイントを記す。 【断章1】節約か、制度破壊か 朝日新聞が7月1日報じた連載あなたのお金はどこへ、「社会保険料が7万円安くなった」という話は、技巧的節約術の表情を持ちながら、その背後に制度への信頼崩壊...
今年第2四半期の中国スマートフォン販売:微増の市場でファーウェイとアップルが力強い成長
Counterpoint Research(本社香港)の予備的数字によると、2025年第2四半期の中国のスマートフォン販売台数は前年同期比で若干増加する見込みで、ファーウェイとアップルがその成長を牽引するとみられる。 ファーウェイは主要ブランドのなかで最も高い成長率を示し、2025年第2四半期に中国市場でトップの座を獲得すると予想されており、アップルは、iPhone 16シリーズ、特にiPhone 16 ProとiPhone 16 Pro Maxのプロ...
久しぶりに日常生活記事が続きます(微笑)。昨日土曜日に、都内に住むせがれが日帰りで戻り、母親(プラスたぶん私)の日常などに気を遣い、作り置きの料理を四、五品作ってくれました。「お母さんの声の調子が気になって」、「連日の明日さ、すごいよね」などと言いながら、手先を動かし、次々に料理し、タッパーに入れ、冷ます。その手際の良さ。 私自身がとりわけおいしく感じた料理は、レンズ豆、トマト、鶏肉な...
「ムニュッター」は、手の感覚刺激用などの健康グッズとして、以前、一部で根強い人気があった製品です。シリコン系の素材を使い、指や手のひらで「握る・つまむ・こする」といった動作を通じて、握力・指先の筋力・触覚の敏感性を鍛える目的でサンリキという東京都大田区の会社 (http://sanriki.com/mnyu/)が 開発し、販売した商品です。 ずいぶん前、この「ムニュッター」を買い求め、使ったことがあり、先日...
梅雨明け間近、牛窓の記憶とともに ― 岡山行きと足の不調を振り返る
日本気象協会は3日、「2025年 梅雨明け予想」を発表しました。東海や関東甲信、北陸、東北南部、東北北部は、7月7日頃に梅雨明けとなるようで、平年よりかなり早い梅雨明けとなり、「猛暑が長期戦」となりそうです。 先月は、初旬に郷里岡山の親戚にご不幸があり、急遽、告別式に参加をしました。梅雨のなか、葬儀用の服や身の回り品をかばんに詰め、傘を持っての岡山訪問でした。訪問先は瀬戸内市、懐かしい記憶...
【再掲】アジア圏市場に歓迎される事業の創出 事例編・その3 イノベーションと文化
今から十年以上前、私は次のようなことを考えていました。当時のアジア市場は、現在ほど激動してはおらず、文化とビジネスの接点について、じっくりと論じる余裕があったように思うとともに、読み返してみても、いくつかの視点は、むしろ現在の混沌のなかでこそ意味を持つように感じられます。以下、当時の記事をあらためて再掲いたします。文末に付した「関連記事」を合わせご覧にいただければ幸甚です。 ――――――――――――――――――...
米中・米欧貿易交渉に見る協調と緊張の交錯 ― 成果と課題を読み解く
2025年夏、世界の通商環境は複雑な相互依存と対立の只中にある。なかでも注目されるのが、米中および米欧の貿易交渉における動向である。いずれも地政学的背景を帯びた重層的な交渉であるが、ここにきて実務レベルでの前進が見られ、一定の協調の兆しが垣間見えてきた。 米中:競合を超えて歩み寄る現実主義 2025年6月下旬、米中はロンドン会談に基づき、レアアースおよび磁石類の対米輸出の迅速化で合意した。...
Amazonうっかり定期おトク便にご用心――私の“解約迷路”体験記
Amazon(以下、アマゾン)で買い物をしていて、ある日用品を注文するとき、必要な商品を必要な時期に購入すればそれでよいのに、発注ボタンを押す際に、うっかり定期おトク便欄にマークが入ったまま注文する人は、私自身も含めて、少なからずおられると思います。「あっ!」と思ったらもう遅く、最初の商品の注文をうけたまわりましたというメールに続いて、定期おとく便の注文をいただきましたというメールが到着するから危ない...
トランプ氏に有利な判決続く米最高裁 ― 司法の独立性はどこへ?
2025年6月末、米国最高裁判所は任期末の判決として、ドナルド・トランプ前大統領に有利な内容の判決を複数下した。これにより、大統領権限の拡大や行政府の裁量が強化される結果となり、司法が行政のブレーキとしての役割を後退させたと指摘されている。判決は保守派6人、リベラル派3人という裁判官構成に基づいており、今期もトランプ氏に有利な判決が続いている。― ロイターが28日報じた。 主なポイントを示すと...
中国の2025年1-5月期、工業利益、わずかに減少(国家統計局)
国家統計局工業部の統計官于衛寧氏が6月27日、2025年1月から5月までの工業企業の利益データを解説した。2025年1〜5月の規模以上工業企業㊟1による利益総額は2兆7,204.3億元となり、前年同期を若干下回った。主なポイントは以下の通り: 1.複数要因による利益の減少 (1)1〜5月の利益総額は1〜4月比で6,034.1億元増加したが、有効需要の不足、工業製品価格の下落、短期要因の変動など複数の影響で、前年同期比1.1%の減少と...
社長が語る「AIで仕事が半分に」の衝撃―その背景と本音に迫る
セールスフォース(Salesforce, Inc. 本社:カリフォルニア州サンフランシスコ)のCEOマーク・ベニオフ氏は先ごろ、同社では現在、AIが業務の30%から50%を担っている」とインタビューで述べたという。 セールスフォースは、これまでインターネット経由の顧客管理ツール提供などで、ソフトウェア販売の方法に大変革をもたらしてきたが、業界が今、AIへと軸足を移すなかで、新しい技術をプラットフォームに組み込むこ...
【短期経済】政策不確実性の影響が経済を下押し、25年の世界成長率は3%割れ
日立総研(東京都千代田区)の世界経済に関する短期予測(2025年6月19日付)について下記の通り転載させていただく。https://www.hitachi-hri.com/outlook/s2506.html ●世界:関税をはじめとする政策不確実性が残存、25年の世界経済は不安定な状況続く ●米国:関税は米景気を下押しし、25年は2%を下回る成長。減税効果は26年から ●欧州:トランプ関税は景気を下押しも、26年以降は国防費増額やインフラ投資...
猛暑時に心と身体を守る三つの方法—— 夏の高温にどう向き合うか、米ワシントン・ポスト紙
近年の夏は、これまでの常識を超える異常な高温が続き、私たちの身体と心に見えない負荷を与えています。特に都市部では、アスファルトやビルの蓄熱により体感温度が上昇し、熱中症や睡眠不足といった健康リスクが増す一方で、気分の落ち込みや意欲の低下など「夏季うつ(サマー・ブルー)」と呼ばれる心の不調も無視できない問題となっています。 こうしたなか、米国ワシントン・ポスト紙は2025年6月24日付で、「...
中国のレアアース輸出規制――日本企業の輸出承認手続き改善意見と働きかけの推進
中国日本商会(北京市朝陽区、以下、日本商会)は17日、中国政府に事業環境の改善を求める意見書を発表した。日本商会は、記者会見の場で、タングステンや7種類のレアアース(希土類)を含む重要金属に対する中国の輸出規制が、中国で操業する日本企業に大きな負担をかけていると述べた。 日本商会の本間哲朗会長(パナソニックホールディングス副社長)は記者会見で「一連の輸出管理措置の強化により会員企業の製品の輸出...
本日、青島旧市街㊟に「移流霧」が発生しました。街の上空は霧で霞み、まるで自然が「大気群」モードを発動させたかのようで、青島を流れるような絵画のように彩っています。青島では毎年春から初夏にかけて移流霧が最も多く発生する時期とされています。この現象の発生は、主に海洋性気候、地形条件、風向、風力の影響を受けます。――青島日報・観海新聞が6月11日報じました。青島旧市街には沿岸丘陵地帯が広がっています。この...
移民が支えるスペインの成長、逆行するアメリカ―分かれる政策の行方
スペインは、トランプ政権による米国の反移民政策と対照的に、移民を積極的に受け入れ、経済成長の源泉として活用している。米国ワシントン・ポストは6月20日付記事で報じた。 同記事によれば、2021年以降、スペインは約70万人の移民に合法的地位を与え、さらに100万人規模の合法化を目指す法案も検討中で、主にラテンアメリカ出身者を中心に、建設、技術、観光、医療などのセクターで労働力不足を補っており、一人...
今日は夏至です。夏至の日は、太陽が一年で最も北に位置し、北回帰線のほぼ真上になります。この日、北半球全域で日照時間が一年で最も長くなります。「昼が最も長く、影が最も短い。『夏至』とは極限を意味することから『夏至』と呼ばれるようになった」のです。 夏至は例年6月21日か22日です。その名の通り、夏至は最も暑い季節の到来を意味します。つまり、夏至を過ぎるとさらに暑くなるので、熱中症対策や冷房...
日本製鉄、USスチール買収を完了 ― 米国との新たな鉄鋼パートナーシップ始動
日本製鉄(日本製鉄株式会社、以下、日鉄)は長期にわたって難航していたアメリカの鉄鋼大手USスチールの買収を完了した。 トランプ大統領は米国時間13日、バイデン前政権が1月に決定した日鉄の買収中止命令について、国家安全保障協定を結ぶことなどを条件に見直す大統領令に署名し、事実上、買収は承認された。日鉄とUS スチールは、日本時間16日、両社のパートナーシップがトランプ大統領から承認されたと発表し...
米国政府が鉄鋼を含む家電製品への新たな関税を発表したことを受け、中国の家電メーカーは新たな混乱の波に備えている。 米国商務省が6月12日に発表した通知によると、6月23日から発効予定の、いわゆる「鉄鋼派生製品」の全輸入品に対する50%の関税は、冷蔵庫、洗濯機、食器洗い機、調理コンロなどの家電製品に適用される。この措置は、アルミニウムと鉄鋼に対する既存の関税を拡大するものだと商務省は述べている。 ...
【読書記録】E.M.フォースター著、小野寺健訳『インドへの道』河出書房新社、2022年
私たちは6月10日、小さな読書会「思史の会東京」で、E.M.フォースター『インドへの道』を囲み、束の間の文学の旅を愉しんだ。1910年代から20年代の英国による植民地支配の「最終コーナー」を描くこの小説は、異文化理解の難しさと、それでもなお関係性を求めようとする人間の姿を描いた静かな傑作だ。本稿では、報告者である私がまとめた報告レジュメを掲載し、読書記録に代えさせていただく。 E.M.フォースター著...
中国国務院新聞弁公室は6月16日記者会見を開き、国家統計局は今年5月の国民経済の運営状況を発表した。国家統計局スポークスマンは、中国がより積極的なマクロ経済政策の実施を強化したことにより、5月の国民経済は圧力に耐え、安定的に運営され、生産と需要は着実に伸び、雇用情勢は概ね安定し、新たな原動力が成長・強化され、質の高い発展と革新が進んだと述べた。以下、主なポイント。 データによると、工業生...
シンガポールにおける2024年の投資動向と最近の日本企業投資の特徴
シンガポール経済開発庁の最近の資料によると、2024年のシンガポールにおける対内投資は、固定資産投資・年間総事業費ともに堅調を維持し、多様な分野において新規および既存企業の投資が拡大した。特に半導体や精密医療、AI、グリーンエコノミーといった成長分野が注目を集めており、これらの投資は今後の雇用創出や経済的付加価値の源泉と位置づけられている。シンガポールは引き続きグローバルなビジネス拠点・R&Dハブと...
米国消費者心理は回復、だが経済成長は減速へ ——「気分は上向き、実体は下向き」を読む
先ごろ、米ミシガン大学が発表した消費者心理調査によれば、米国の消費者心理はトランプ関税ショックの沈静化とインフレ期待の低下を受けて回復傾向にある。今年6月の消費者信頼感指数は60.5となり、ダウ・ジョーンズの予想である54を大きく上回り、前月比15.9%上昇した。現状指数は8.1%上昇、将来期待指数は21.9%上昇した。 一方で、ほぼ同時期に発表された世界銀行の最新経済見通しは対照的だ。米国の実質GDP成長...
どくだみの花を摘む 今年四月初め、ふと軽い運動をはじめようと思い、以前、一度はながめてみたが実行できなかったことを始めました。日立製作所(以下、日立)が何年か前、開発し導入したスマーとフォン用のアプリ「社会参加のすゝめ」をiPhoneにインストールし、私の暮らしに活用している。爾来、約3カ月半になる。 昨日、一昨日と、梅雨しずく合間に、野路に咲くどくだみの花を摘む。家に戻り、水で何度か洗い、室内で少...
世界経済に吹く逆風 ― 成長率は2008年以来の低水準に(世界銀行)
はじめに 世界銀行は報告書「世界経済見通し」の最新版を発表し、貿易摩擦の悪化と政策の不確実性により、今年の世界経済の成長率は、過去の世界的な景気後退期を除けば、2008年以来最も低い水準になるとの見通しを発表した。この混乱の影響はすべての地域におよび70%近くの国の成長予測が下方修正された。 世界銀行経済見通しの概要 1.世界経済成長率の大幅下方修正 2025年の世界経済成長率は2.3%に低...
ファーウェイの新スマートフォン「Pura 80」シリーズ発表──進化する中国発の技術力
ファーウェイは6月11日、ハイエンド仕様を満載した最新フラッグシップスマートフォン「Pura 80シリーズ」(Pura 80、80 Pro、80 Pro+、Pura 80 Ultra)を発表した。中国業界紙が同日報じた。 Pura 80シリーズには、ファーウェイが自社開発したオペレーティングシステム「HarmonyOS NEXT」が搭載されている。さらに、このソフトウェアには、モバイルテーマなど、フラッグシップモデル向けに特別に設計された様々なシ...
私たちは昨日、小さな読書会「思史の会東京」で、E.M.フォースター『インドへの道』を囲み、束の間の文学の旅を愉しんだ。1910年代から20年代の英国による植民地支配の「最終コーナー」を描くこの小説は、異文化理解の難しさと、それでもなお関係性を求めようとする人間の姿を描いた静かな傑作だ。 そして今朝、偶然にも私は、インドにおけるスズキ(本社静岡県浜松市)の近年の取り組みが、ジェトロの「ビジネス短...
日立がNVIDIAと協業拡大へ——AIで「現場」を変える次の一手
日立製作所(以下、日立)が2025年6月6日に発表したニュースリリースは、NVIDIAとの協業をさらに拡大し、グローバルなAIトランスフォーメーション支援を加速することを主眼とした重要な内容となっている。以下に、今回の発表の特徴と主なポイントを整理し、注目すべき点を示す。 1. 日系企業として初の「NVIDIA GSIプログラム」参画 日立グループが、日本企業として初めて NVIDIAのグローバル システム インテグ...
ブーメラン効果に蝕まれるトランプ流政治 ― 米国の自己矛盾と社会混乱
最近、米国の政治動向を眺めていると、「政策の逆効果」あるいは「ブーメラン化」とも呼ぶべき現象が頻発している。とりわけ、ドナルド・トランプ氏とその政権による一連の国内外政策は、その短期的な効果を狙ったものとは裏腹に、時間の経過とともに深刻な矛盾と混乱を引き起こしている点は看過できない。 行政改革の名の下での人員削減とその逆流 象徴的な例が、いわゆる「DOGE(政府効率省)」による連邦政府...
中国新エネルギー車市場、2025年5月も堅調――比亜迪(BYD)、理想など好調維持
2025年6月初旬、中国国内の新エネルギー車(New Energy Vehicle、NEV)メーカー各社が5月の販売実績を発表した。公表データを総合すると、前年同月比・前月比のいずれにおいても大多数のメーカーが販売増加を記録し、中国NEV市場が引き続き好調であることがうかがえる。 ■ NEVとは何か? 中国では、「NEV(新エネルギー車)」というカテゴリーが自動車政策の基軸となっており、次のようなタイプが含まれる: ハイブリッ...
米中ゲームのなか、中国に歩み寄りを見せる欧州勢の狙いは何か?
中国紙報道 「欧州における学術交流において、私が最も強く感じているのは、道徳的リアリズムが強調する『リーダーシップが決定的な役割を果たす』という考え方こそが、欧州で注目を集めているということである。トランプ大統領がもはや世界に対してグローバルリーダーシップを発揮しないことを明確にしたことで、国際社会はグローバルリーダーシップ不在の状況に直面している」――これは、清華大学国際関係研究所名誉所長である...
日本の実質賃金は4月も4カ月連続で低下した。これは、企業がこれまでに実施した賃上げペースを上回る根強いインフレの影響によるものだ。6月5日に発表された政府データ(毎月勤労統計調査)で明らかになった。 2025年4月の日本の実質賃金は、前年同月比で1.8%減となり、4カ月連続のマイナスとなった。背景には、企業の賃上げペースを上回るインフレが続いており、特に消費者物価指数は4.1%の上昇を記録している。名目賃金(...
EVを造る小米、技術で支えるファーウェイ――中国スマートカー最前線
小米(Xiaomi)のEVデビューモデルSU7は今、消費者の支持を集め、販売力を着実に付け始めている。ファーウェイ(Huawei)は、自動車関連領域で、ハーモニーOSを中心としたソフトウェアと電子プラットフォームの提供に注力している。両社は長らくスマートフォン市場で覇権を争ってきたが、その競争はEV市場にも波及している。 小米(Xiaomi)のEV事業の急成長 初のEVモデル「SU7」:小米は2024年に電気セダン「SU...
アメリカ家計、所得は増加も消費は慎重──4月統計が示す「節約志向」
米国経済分析局(BEA)が発表した推計によると、4月の個人所得は、主に政府の社会保障給付と報酬の増加を反映し、2,101億ドル(前月比0.8%)増加した。可処分個人所得(DPI)(個人所得から個人所得税を差し引いたもの)は1,894億ドル(0.8%)、個人消費支出(PCE)は478億ドル(0.2%)増加した。 個人消費支出(PCE、個人利子支払い、個人経常移転支払いの合計)は4月に486億ドル増加した。個人貯蓄は4月に1兆1,20...
雑感、歩いてつながる日々の輪──アプリとともに始めた春の一歩
今年4月初め、ふと軽い運動を始めようと思い、以前、一度はながめてみたが実行できなかったことを始めました。日立製作所(以下、日立)が何年か前、開発し導入したスマーとフォン用のアプリ「社会参加のすゝめ」をiPhoneにインストールし、私の暮らしに活用してみることにしたのです。 家と近隣世界の空間でどのように使っているかというと、毎朝、起床後しばらくして、着替えると、ズボンの左ポケットにいれ動き...
ニューヨーク・タイムズ紙は5月31日、「シリコンバレーは変曲点を迎える(Silicon Valley is at an Inflection Point)」と題する記事を掲載し、米国が打ち上げる巨大なプロジェクト「スターゲイト・プロジェクト」について論述した。 「トランプ大統領は就任2日目、テクノロジー業界への揺るぎない支持を改めて強調した。テクノロジー業界のリーダーたちと並んで演壇に立ち、スターゲイト・プロジェクトを発表...
【覚書】世界経済に浮上するインド──日本との逆転、その背景など
現在世界経済のトップ3は、GDP額(名目、米ドル)で、1位アメリカ、2位中国、3位ドイツです。2023年、日本は長年守ってきた世界第3位の座をドイツに譲り、現在世界4位です。2023年における日独の逆転については円安が起因していますが、その後日本の成長不振と円高基調が続いています。そして2025年、さらに新たな節目が訪れようとしています。今度はインドが、日本を抜いて世界第4位に浮上する可能性が現実味を帯びてきました。...
■ 中国DeepSeek-R1-0528の衝撃 Deep Seekは中国浙江省杭州に本拠を持つスタートアップ企業である。5月下旬、この企業が開発したDeepSeek-R1-0528が話題を集めている。数学、プログラミング、論理思考といった複数の分野において、中国国内モデル中トップクラスの性能を記録し、OpenAIのo3やGemini-2.5-Proに迫る水準を示した。中国AIモデルの成熟と、技術力の着実な進展が明確に感じられる出来事であった。 ■ 特筆...
トヨタ自動車(以下、トヨタ)は、スポーツカー「GRカローラ」の一部生産を日本から英国に移管し、北米市場向け輸出体制を強化する計画である。英国のバーナストン工場に約5,600万ドル(約80億円)を投資し、2026年半ばから年間1万台を生産、北米市場へ輸出を開始する見込み。英国工場の余剰能力活用と納車待ちの短縮が狙いであり、米国の輸入関税政策が直接の動機ではないという。 業界関係者の話では、トヨタは日...
中国が発信する「消費の質」評価の新潮流―グローバルブランド中国オンライン500強
2025年5月、中国で「中国オンライン消費者ブランド指数(CBI)」ならびに「グローバルブランド中国オンライン500強(CBI500)」が初めて公表された。この試みは、消費者の実際の購買行動に即してブランド力を評価する、世界的にも前例のない取り組みであり、中国における「消費の質」重視の潮流を象徴する動きといえる。 CBIおよびCBI500は、北京大学国家発展研究院や中山大学ビジネススクールが主導し、タオバオおよびTmal...
2025年、トランプ前政権が半導体製品への関税導入を検討するなか、米国の半導体大手4社(インテル、クアルコム、マイクロン、テキサス・インスツルメンツ)が連名で強い反対を表明した。 これにより、既に反対意見を提出していた台湾半導体大手のTSMCと合わせて、業界全体での広範な反対姿勢が浮き彫りになった。各社は、関税が米国国内の製造コスト上昇、国際競争力の低下、産業移転の加速を招くと主張しており、...
足もとの土日をバタバタと過ごす。町会関連のことがあり、気ぜわしく動く。 先月初めから日立のスマホアプリ「社会参加のすゝめ」をズボンの左ポケットに入れているので、一日が終わり、データを振り返ると私の足取りがよく表されている。土曜は自宅中心で約6千歩、日曜は近隣を動き回って9千歩弱。 日曜日は、起き抜けに白湯をいただき、遅い朝食時にはおもむろに人参を取り出し、ミキサーにかけ...
日本製鉄の140億ドル投資にトランプ氏が賛意 米スチール買収に前進
米国鉄鋼大手USスチールの買収をめぐり、日本製鉄の巨額投資計画にトランプ米大統領が支持を表明。日本製鉄による「140億ドル(約2兆円)」とも言われる巨額の投資やUSスチールの製鉄所の設備更新、新たな製鉄所の建設、さらには約7万人の雇用創出などが翻意を促したと思われる。ただ買収スキームの詳細は明らかになっておらず、日鉄が求める完全子会社化が認められるかが焦点となろう。 日本製鉄は、米国の経営幹...
工場のなかをロボットが走る!日立が支えるパナソニックの物流DX
製造・物流のDX化を支援する日立の関連サービスの紹介動画。パナソニック株式会社様の新潟工場にて、日立は小型無人搬送ロボット「Racrew」を、パッケージ+カスタマイズで短納期かつ円滑に導入し、自動化により、作業者の負担が軽減され、保管能力&ピッキング能力が向した。 ★導入のポイント★ (1) パッケージ+カスタマイズで短納期・円滑な導入 (2) 自動化により作業者の負担を軽減 &...
NVIDIA、対中規制で売上最大150億ドル減も ファーウェイ規制が逆風に
米国政府はファーウェイに対し新たなチップガイドラインを策定したが、現時点ではまだ法的措置は取られていない。 先日、NVIDIA CEOのジェンスン・フアン氏は、米中テクノロジー摩擦についてメディアの取材に応え、ファーウェイ製半導体チップに対する米国の規制に懸念を表明し、こうした制限は米国企業にも打撃を与えると述べた。同氏は、NVIDIAは、中国におけるH20チップの禁輸措置により、150億ドルの売上減に...
古代インド、再評価の波広がる——話題の歴史書『The Golden Road』に注目
『The Golden Road: How Ancient India Transformed the World』 著者:ウィリアム・ダ−リンプル(William Dalrymple) 出版:Bloomsbury Publishing スコットランド出身の人気歴史家ウィリアム・ダ−リンプル氏による新著『The Golden Road: How Ancient India Transformed the World(黄金の道:どのように古代インドは世界を変えたか)』が、英国およびインドで大きな注目を集めています。2024年にBloomsbur...
2020年のブレグジット以来、英国と欧州連合(EU)は緊張を伴う関係を続けてきたが、2025年5月19日、両者はついに関係再構築に向けた包括的な新協定に合意した。この合意は、ロンドンで開催された会議において署名され、安全保障、エネルギー、貿易、旅行、漁業といった幅広い分野を対象としている。関係者の間では「歴史的な一日」と称され、新たな協調の時代の始まりとして注目を集めている。 この合意によって、...
米国の輸出管理とファーウェイAI技術――半導体をめぐる規制の行方
米国の制裁措置にもかかわらず、ファーウェイのAIチップと技術は国内だけでなく、世界的に注目を集める。中国AI産業における同社の躍進と優位性は、米国にとって大きな懸念事項となっているようだ。中国のAI市場におけるファーウェイの継続的な成長を受け、米国当局はAscend 910シリーズチップの全世界での使用を禁止することを決定した。 トランプ政権は、企業が自社の技術にファーウェイのAIチップを使用するには...
この季節、5月の餃子― ガチョウの卵とフェンネルの出会い ―
ビジネスの合間に、季節の香りを感じるひとときはいかがでしょう。 今回は、ある中国紙の美食欄から、春から初夏へと移ろうこの時期にぴったりの一皿をご紹介します。 驚くべき組み合わせながら、ひとたび出会えば忘れがたい味――。 ガチョウの卵と、野菜界の“爽やかな個性”フェンネル(茴香)。 一見すると相容れないようなこの食材たちが、鉄鍋の中で響き合い、心をとらえる風味を生み出します。丸みを帯...
米国、買い控えの時代到来?米国で広がる“関税不安”とインフレ懸念
ミシガン大学が発表した調査によると、米国の消費者は関税導入がインフレ率の上昇につながるのではないかとの懸念を強めている。 5月の消費者心理指数(速報値)は50.8となり、4月の52.2から低下した。これは2022年6月に次いで過去2番目に低い水準だ。物価変動の見通しも悪化した。1年後のインフレ期待は前月の6.5%から7.3%に上昇し、長期インフレ期待は4.4%から4.6%に上昇した。 貿易情勢が消費者心...
米中両国は、すでにご承知の通り、90日間の追加関税停止を表明し、貿易摩擦の沈静化に向け動き始め、短期的な緩和ムードが広がったものの、根本的解決には至っていない。 このなかで、中国の政策当局は、輸出業者が不確実性を乗り切れるよう支援を強化している。支援プログラムは、①輸出取引向けの「輸出信用保険」、②国内取引向けの「国内貿易信用保険」の二本立てである。これにより、輸出業者は海外買い手の支払い遅延・不...
米中関税協議、相互関税率引き下げで合意 ― 継続協議への布石
米中両国は5月12日に経済と貿易に関する会談の共同声明を発表した。双方は、共同声明で合意した内容を履行後、経済・貿易協議を継続するためのメカニズムを設立することで合意している。以下、米国と中国の関税当局の発表の概要を示す。 米国税関・国境警備局(CBP)は5月13日、中国に対する相互関税の引き下げに関するガイダンスと、中国からの少額貨物の関税率に関するガイダンスを発表した。中国からの輸入に対...
アップル、iPhone値上げを検討中だが関税のせいにはしたくないと報道
アップル(Apple Inc.)は、今秋発売予定の次世代iPhoneの値上げを検討していると報じられているが、価格上昇の原因を関税に帰することは避けている。 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙は12日、アップルはiPhone 16の後継機種の値上げが、アップルの製品の多くを生産している中国との貿易戦争に起因するという印象を避けたいと報じた。この報道は、米国と中国が相互の輸入品に対する関税を90日間大幅に引き下げる...
NVIDIA CEO、米国の制裁はファーウェイのAI事業を阻むことはないと警告
ファーウェイは米国の制裁にもかかわらず、AIチップの改良に絶えず取り組んでおり、こうした取り組みがNVIDIA CEOのジェンスン・フアン(Jensen Huang、黃仁勳)氏の懸念を呼んでいるようであり、同社は再び、中国のAI事業の成長について外国当局に警告を発した。 ジェンスン氏は5月6日(火)、ミルケン研究所の年次イベントに出席した。出席者への尋問のなかで、NVIDIA CEOは、強化された米国の制裁がファーウェイ...
合意の現状(米政府発表) 2025年5月11日、スイス・ジュネーブで行われた米中貿易交渉において、米国のスコット・ベセント財務長官とジェイミソン・グリア通商代表は、交渉が「生産的」であり、「大きな進展」があったと述べ、主要紙は、両国は、経済対話を継続するための協議メカニズムの設立に合意したと報じた。 この交渉は、トランプ大統領が中国からの輸入品に対して145%の関税を課し、中国が米国製品に125%の報復関税...
今朝は、生成AI、DALL·Eによる風刺画を掲載する。 椅子に崩れ落ちたトランプ氏の頭上には、彼自身が放ったブーメランが王冠を叩き落とす。かつて「I will fix this(私が解決する)」と豪語した指導者の末路は、「It got worse(もっと悪くなった)」という皮肉な結果に。背後ではドミノの連鎖が止まらず、因果応報の可視化が静かに進行している。忘れ去られた「因果の法則(The Forgotten Law of Causation)」を今こそ見つ...
2004年10月、週末の短い滞在ながら、私は上海の街を歩きながら、多くの記憶と想念に出会いました。本稿は、当時、NPO法人「アジアITビジネス研究会」の活動の一環として蘇州・常熟を訪れた帰途、週末のひとときを過ごした上海での所感を綴ったエッセイの復刻です。 かつて私が主宰していたホームページ「明天更好 A Better Tomorrow」に掲載していた原稿であり、2024年3月末にそのサイトが閉鎖されたことを機に、折々に残し...
私たちは、都市と聞けば「高層ビル」「高速道路」「鉄道網」など、頑丈でどっしりとしたイメージを持ちがちだが、最新の研究によれば、アメリカの多くの大都市が「静かに沈みつつある」ことが明らかになった。 2025年5月、米紙『ワシントン・ポスト』が報じたところによると、ニューヨーク、シカゴ、ヒューストン、ダラス、デトロイト、インディアナポリスなど、全米28都市で地盤沈下が観測されており、場所によっては1年で数...
今年のゴールデンウイークが明けた。子どもらや学生はそれぞれの学校に、勤務者はそれぞれが働く組織に戻る。いやいやながら戻る人、「さあ、頑張ろう」と思う人、人さまざまであり、いわゆるモチベーションを測る公式はないと思う。 私たち夫婦は、どこに行くでもなく、それぞれの思いで、それぞれのゴールデンウイークを過ごした。孫たちは親の予定で突然顔を見せたりすることは日常の一部だ。 私は、4月初旬から日立開...
古代ギリシアの『戦史』に照らす現代――トゥキディデスと私の対話
はじめに 私がトゥキディデスの『戦史』を読み、その読後感についてブログに記事を掲載したのは2019年のことであった。【図書】トゥキディデス『戦史』を読む参照。本稿では、トゥキディデスの『戦史』について私が感じるいくつかのことについて雑記的に記す。 1.一般的な叙述:「世界史の窓」 https://www.y-history.net/appendix/wh0102-085.html ■アテネとスパルタの戦い 戦争の要因 トゥキデ...
最近のブログ記事の一覧をお届けします。一覧表の見方は、左欄が記事掲載日、次が記事のタイトル、最後が記事のカテゴリです。 今年3月から5月初旬の激動期の記事では、今年1月20日、米国大統領に返り咲いたトランプ氏の言動、特に、関税策と国際経済の混乱、米国へのネガティブインパクトなど政治と国際経済社会に関するものが多かったと思います。次いで、申しあげるなら、台頭する中国企業のAI開発動向や持続的に成長する...
中国スマホ連合の胎動:ファーウェイと小米の接近が揺さぶるAndroid独占体制
GoogleはAndroid 16の最終調整に追われているが、その前に噂されている小米(Xiaomi)とファーウェイの提携によって大きな打撃を受ける可能性がある。―Huaweicentralが5月3日報じた。 Androidはもはやソフトウェア業界の「唯一の王者」ではなくなるようだ。小米とファーウェイが間もなく提携し、グローバル市場でGoogleフリーのAndroidエコシステムを構築するという噂がインターネット上で広まる。噂では、小米はフ...
NVIDIA CEO兼創業者のジェンスン・フアン(Jensen Huang、黃仁勳)氏は、米議会委員会の上級スタッフ筋によると、ファーウェイの人工知能(AI)能力の拡大をめぐる懸念について米議員らと協議した。この問題は、NVIDIA幹部と米下院外交委員会との木曜日の非公開会合で提起された。協議の議題には、ファーウェイのAIチップや、中国におけるNVIDIA製チップへの規制がファーウェイ製チップの競争力を高める可能性などが含まれて...
IMF警告:「世界経済は鈍化へ」──政策転換で高まる下振れリスク
世界経済は、長期にわたる前例のない一連のショック(コロナ禍、戦争など)を乗り越え、安定しつつも期待外れの成長率で安定を取り戻したように見えた。しかし、世界各国政府が政策の優先順位を見直し、不確実性がかつてないほど高まったことでIMFの世界経済の成長予測は、2025年1月の世界経済見通しの最新版と比較して大幅に下方修正された。これは、実効関税率が過去1世紀で見られなかった水準に達し、予測困難な環境を反映す...
アジアと日本のビジネス連携を考えるーブログ開設16年目の春を迎えて
はじめに 現在、世界のなかでアジアの果たす役割が増大しております。日本企業にとっても、アジア地域における多様な連携を強化し、新たな価値を創出する取り組みが、これまで以上に求められる時代となりました。16年前の4月、当時関わっていたNPO法人「アジアITビジネス研究会」の若い仲間と話をしていてブログを開設することになりました。IT産業の領域で、アジアと日本をつなぐというのが当時のNPO活動のキャッチフレーズで...
揺らぐトランプ関税政策、進む世界の多極化――米国の孤立と中国の台頭
米国の最近の広範囲かつ流動的な関税措置は、世界の貿易の混乱とともに米国自身の経済的孤立を生み出し、保護主義への大きな後退をもたらしている。本稿では、中国英字紙、Chiana Dailyの最近の記事を取りあげポイントを論じる。 【要旨】 米国による唐突かつ混乱を招く関税政策は、自国産業保護を目的としながら、結果的には経済的孤立を深め、世界の多極化を加速させている。今後3年、4年、10年のスパンで見れ...
トランプ米国大統領の政治の特徴に、「アメリカ第一主義」に基づく中国政策にみられる排除と規制がある。現在、米国の輸入関税については、全体として、国際社会は批判の目を向け、近年米国が唱える「経済安全保障(Economic Security)」という概念はともすれば曖昧であり、明示的な定義に欠けるきらいがある。 このようななかで、経済安全保障は、単に国益や安全保障上のリスクに対処するための「防衛的アプローチ」だけで...
米国と中国の間で続いてきた関税を巡る貿易摩擦について、米財務長官やホワイトハウスが「近い将来に緊張の緩和がある」と発言したことで、米中間の対立が一定の「軟化」方向へと向かっている可能性が示唆された。これを受け、米国の小売業者は関税によるコスト増を回避するため、有利な条件での取引を求めて政権と対話を進めている。―中国紙China Dailyが4月24日、ニューヨーク発で報じた。 主なポイント ●米政...
トランプ関税、米国のマタニティ・ベビー用品企業の輸入停止で、子育て費用が急増
最近の中国紙の報道によれば、米国の対中関税措置により、マタニティ・ベビー用品を中国から輸入していた多くの米企業が輸入を停止。これにより、乳幼児用製品の価格は上昇し、若年層の家庭に深刻な経済的負担がのしかかっていて米国の出生率低下という社会的課題に拍車をかける恐れがある。 ■ 主要ポイント 1. 米国のマタニティ・ベビー用品業界、輸入停止の動き 米国政府の中国からの輸入関税の大幅増(最...
第一次大戦後の英国の植民地インドのチャンドラボアへ、英国娘アデラは婚約者ロニーを訪ねた。彼は治安判事で、アデラの同行者ムーア夫人は彼の母だ。東洋の神秘に期待したアデラとムーア夫人は、英国人の優越意識と、それを憎悪するインド人の対立感情の存在を知るのだが、インド人医師アジスやインド人哲学者ゴッドボール、英国人教授フィールディングと知り合い、数日後、アデラらはアジスの誘いで、マラバー洞窟へ行く。小さ...
トランプ大統領の貿易戦争のなか、中国はPR攻勢を開始(そして勝利する可能性も)
要旨(サマリー) トランプ大統領による中国輸入関税策を発端に、米中通商摩擦が激化するなかで、中国政府は対外的な広報・宣伝戦略を大々的に展開し、米国とその国民をターゲットとする巧妙な情報発信に乗り出している。従来の堅苦しい宣伝とは一線を画すこの戦略は、国内外の世論を味方に付け、トランプ政権の保護主義的政策に対抗する一種の「PR戦争」として展開されており、中国はこの情報戦で、米国内の不満を増幅させ、外...
中国経済に漂う反転の気配 ― 2025年第一四半期の成長と米中通商の行方
中国紙『財新(Caixin)』の2025年4月16日付ニュースレターが伝えるところによれば、中国経済は予想外の好スタートを切った模様であり、第一四半期のGDP成長率は5.4%と市場予想を上回り、政府関係者や経済界に一定の安心感を与えている。とはいえ、国内には消費の弱さ、国外には対米関係の緊張という重しが残り、複雑な局面が続いている。本稿では、財新の報道をもとに、私たちが注目すべき三点を整理する。 1. 内...
動画、「経済安全保障上の課題への対応(民間ベストプラクティス集)」
今回取りあげるYouTube動画(11分6秒)は、経済安全保障の観点から、日本企業が直面するリスクとその対応策について、民間企業の優れた事例(ベストプラクティス)を紹介するものだ。技術情報の漏洩やサプライチェーンの停滞といったリスクに対して、実践的かつ有効な取り組みを可視化し、他の企業にも参考となる形で共有することを目的としていて参考になる。 動画は、経産省貿易経済安全保障局YouTubeチャネル(m...
アジア太平洋経済、内需と輸出が支えるも成長鈍化へ―アジア開発銀行2025年春予測
4月2日に米国が新たな関税を発表する前に確定したこの地域の予測では、アジア太平洋地域の発展途上地域における経済成長は今年と来年にかけて鈍化すると示されている。不動産セクターの継続的な低迷と米国の関税引き上げによる中国経済の減速は、南アジアの成長率上昇によって部分的に相殺されると予想されている。 この地域は、貿易障壁の高まりと貿易上の大きな不確実性という課題に直面するものの、堅調な国内需要と電子機...
トランプ氏が揺さぶる国際的な半導体貿易と秩序とオープンイノベーション
はじめに:半導体製品の輸入関税? トランプ米国大統領は4月13日、輸入半導体に対する関税率を今後1週間以内に発表すると述べ、同分野の一部企業には柔軟な対応を取ると付け加えた。トランプ氏の表明は、スマートフォンとコンピューターを対中国相互関税の対象から除外する措置が、半導体分野の貿易再編を目指すトランプ大統領にとって短期的なものとなる可能性が高いことを示唆している。 ホワイトハウスは11日に、高額な相...
中国DeepSeekと清華大学、低コスト・高性能のAIモデル訓練手法『SPCT』を発表
中国のAIスタートアップDeepSeek(杭州深度求索、浙江省杭州市)は、AIモデルのオープンソース化と迅速な実装を重視するアプローチにより、大規模言語モデル(LLM)の推論能力を向上させ、今年1月のDeepSeek-R1の打ち上げで、世界のAI領域で一躍脚光を浴びた(「中国スタートアップDeepSeekのAIモデル、世界のAI市場に衝撃」(2025年1月29日)を参照)。 先ごろ、DeepSeekと北京市の清華大学は共同で、膨大なトレー...
ファーウェイ、2024年決算を発表:研究開発投資、AIとHarmonyOSで成長を加速
ファーウェイは先月31日、2024年度年次報告書(Annual Report)を発表した。ファーウェイは2024年度の年次報告書を発表し、業績は予測通りであると述べた。 売上高は8,621億元、純利益は626億元に達し、売上の約21%に相当する1,797億元を研究開発に投資した。コネクティビティ、コンピューティング、デバイス、クラウド、デジタルパワー、車載ソリューションといった多角的な事業が着実に進展し、特にAIとHarmonyOSに...
中国の対トランプ関税戦略:米中対立における“正当性”の主張とは
中国紙China dailyに4月10日に掲載された記事、China hits back at US tariffs to defend rules-based tradeを読み、中国のトランプ政権の関税政策批判と中国の基本的な対応の考え方の特徴についてまとめると、次の5項目のようになる。 ●ルール重視の正統性アピール:中国は自身の対応を「ルールに基づく多国間貿易体制の擁護」と位置づけ、米国の一方的措置を「覇権的」「保護主義的」と非難している。 ●多国間主義の強調...
トランプ氏の関税は「アメリカ後の世界」を現実のものに:アメリカの後退と世界の多極化
“America still dominates the world, but the larger structure of unipolarity―economic, financial, cultural―is weakening.” ― Fareed Zakaria, The post-American World, 2008 はじめに アナリストやコメンテーターたちは、一世代にわたって「アメリカ後の世界(post-American world)」の到来について議論してきた。ジャーナリスト兼アナウンサーのファリード・ザカリア氏...
シンガポールのローレンス・ウォン首相は4月8日、議会で、同国政府が米国のドナルド・トランプ大統領が課した関税の影響に対処するためのタスクフォースを立ち上げると述べた。ウォン首相は、米国が全輸入品に対して10%の一律関税を課す決定を受け、同関税が交渉の余地がなく、シンガポールの貿易依存型経済に深刻な影響を及ぼす可能性があると懸念を示した。 ウォン首相は、シンガポールが直接的な関税の影響...
反トランプ、「Hands Off!(手を出すな!)」デモ、市民権等への政治干渉を拒絶
2025年4月5日、全米および世界各地で「Hands Off!(手を出すな!)」と題された大規模な抗議デモが行われた。このデモは、トランプ大統領とその顧問であるイーロン・マスク氏の政策に反対するもので、社会保障や医療補助、消費者保護の削減、さらには新たな関税政策など、多岐にわたる政策への抗議が含まれている。 抗議デモの概要 規模と範囲: 全米50州および海外で1,300以上のデモが行われ、主要都市では大規...
はじめに 4月2日、トランプ大統領は広範囲にわたる「相互関税」を発表し、これにより国際社会や国内外の市場から極めて強い反発と反応が、さらには共和党内からも反応が寄せられた。以下に、その主なポイントを3点にまとめ記す。これらの反応は、トランプ大統領の関税政策が国内外で大きな波紋を呼んでいることを示すものだ。 1.国際社会の反応 ●欧州連合(EU)は、米国の関税措置に対し、報復関税を検討していると表...
日立が提案する「社会参加のすゝめ」—シニア向けデジタルアプリで健康&つながりを支援
日立製作所(以下、日立)がデジタルの力でめざす未来は人々の快適で豊かな暮らしと、持続可能な地球環境の両立。日立のデジタルの取り組みを紹介する企画
中国経済、成長目標維持と財政赤字拡大:持続可能な成長への試練
「約5%の目標は、私たちの中期および長期の開発目標とよく一致しており、困難に正面から立ち向かい、達成に向けて懸命に努力するという私たちの決意を強調するものである」 ― 先月初旬に全国人民代表大会(全人代)の年次政府活動報告で李強首相は述べた。 年次政府活動報告書によると、中国が2025年に約5%のGDP成長目標を達成するには、①国内需要の刺激、②不動産セクターの安定化、③外部不確実性の乗り越えなど...
逆効果のビザ政策:トランプ政権の留学生締め付けが招く米国の後退
たまたまインドの経済紙、The Economic Timesの記事をながめていて、米国の海外留学生のビザ問題の状況に関する記事、「Leave America! Indian and other students face visa revocations even for an Insta 'like'(アメリカを出て行け!インド人などの学生はインスタグラムの「いいね」をしただけでもビザ取り消しに直面)」が目に留まった。 記事は、米国国務省が留学生に対するビザ取り消し措置を講じている現...
「ブーメランを投げるときは、それが跳ね返って自分に当たらないように注意しなければならない。ドナルド・トランプは同盟国を脅迫することで、そのような跳ね返りを危険にさらしている」 ロイター通信は過日、ロンドン発で― “Donald Trump’s boomerang will hit the US hard”, The Reuters, March 24, 2025を掲載し、「大統領の2期目が始まってわずか2カ月で、かつて友好的だった国々はもはやこの気まぐれな超大...
「AIハンターの井上咲楽さんが、生成AIを活用したシステム開発に精通した日立のGenAIアンバサダーの五十嵐さんへ突撃取材!「日立の生成AIとは?」「実業務にどのように活用したら良いの?」「システム開発に生成AIをどう適用するのか?」といったみなさまの疑問やお悩みにお答えします!」 ここではYouTubeのHitachi Brand Channelに掲載された短い動画(約12分)を視聴し、日立の生成AI活用によるシステム開発の...
中国発Xiaomi、日本で攻勢開始!イオンモールに続々出店へ
小米(Xiaomi、本社:北京市)の日本初となる直営店「Xiaomi Store一号店」がさいたま市の「イオンモール浦和美園」にオープンした。 Xiaomiの趙欣然氏は3月23日、微博Weiboに該当店舗の実際の写真を投稿し、現場は人でいっぱいだったと語った。 これまでの報道によると、小米は日本国内で5位のスマホブランドとしての影響力を生かし、スマホと家電製品を組み合わせた「スマートホーム」ビジネスモデルを中国市場か...
ファーウェイのAI技術開発と成長をNvidiaが指摘:米国制裁下でも着実な成果
ファーウェイは参入しているすべての市場で躍進している。これは私たちが言っているのではなく、NvidiaのCEOであるジェンスン・フアン(Jensen Huang、黃仁勳)氏がファーウェイの AIの進歩について明らかにしたことだ。彼は、Ascendチップメーカーはあらゆる面で強力なライバルになりつつあると述べた。 Nvidiaの会長、フアン氏は、3月19日に英国Financial Times紙のインタビューを受け、会話のなかで、彼はファー...
FRBの見立て:トランプ関税がインフレに与える影響は短期的か
「一時的という良い船」は、不吉な記録にもかかわらず、連邦準備制度理事会(Federal Reserve Board、以下、FRB)にとって再び出航する準備ができているようだ。 中央銀行が3月19日に発表した経済予測によると、当局者は今年のインフレが以前の予想よりも急速に上昇すると見ているが、その傾向は短命であるとも予想している。この見通しはFRBにとって大きな政策上の頭痛の種となっている「一時的」インフレについて...
中国自動車市場:2月の販売は前年同月比34.4%増、NEVが急成長しシェア42%に到達
中国汽車工業協会(CAAM)は3月11日、2025年2月の自動車市場動向を発表した。自動車販売台数が対前年同月比34.4%増の212万9,000台、生産台数が39.6%増の210万3,000台となった。また、同月の自動車販売台数の内訳をみると、国内販売台数が168万8,000台(39.9%増)、輸出台数は44万1,000台(16.9%増)となった。対前月比ではそれぞれ12.2%減、14.1%減だった。 販売台数の内訳は、乗用車が181万5,000台(対前年...
ノートPC業界の大転換:中国依存から東南アジア、そしてインドへ
米国のトランプ政権は中国に対する新関税適用を実行している。世界3大ノートPCブランドであるレノボ、HP、デルは中国以外での生産戦略を強化しており、東南アジアへのシフトが大きな焦点となっている。また、アップル生産拠点の移転を続けるなか、クアンタ、ウィストロン、コンパル、インベンテックなどの大手受託製造業者は、顧客の需要に応えて東南アジアでの展開を積極的に強化している。― 台湾紙、経済日報が3月17日報じた...
アジア経済2025年第1四半期レビュー:各国の動向と注目ポイント
本稿ではアジア経済の足もとの動きをざっとながめていきたい。以下、中国、インド、アセアン諸国(ASEAN)の状況を中心に整理する。4月から5月になれば、アジア経済関連の第1四半期のデータや主要機関の情報が出てくるので、アジア経済の見方もより鮮明になろう。 中国 ●GDP成長率:世界銀行は、中国の2025年の経済成長率を4.5%と予測している。 ●インフレ率:政府は、デフレ圧力を考慮し、インフレ目標を約2...
表面的には、今週発表された2月のインフレデータは、いくつかの心強いニュースをもたらした。しかし、その裏には、金利に関してはFRB(Federal Reserve Board、米連邦準備理事会)が据え置きを続ける可能性が高い兆候があった。― 米CNBCが3月13日報じた。 消費者物価指数(Consumer Price Index、CPI)と生産者物価指数(Producer Price Index、PPI)はどちらも予想を下回ったが、FRBがインフレを測定するために使...
中国の電池メーカーと自動車メーカーは、成長の新たな原動力を求めて、固体電池(solid-state batteries)の小規模な使用を開始する計画を立てている。しかし、広く商業的に使用されるようになるまでには、解決すべき技術的な問題がまだいくつかある。 固体電解質(solid electrolytes)を使用することからその名が付けられた固体電池は、高電圧、高容量のカソードを可能にするため、電気自動車(EV)業界にとって...
次に掲げる記事は6年半ほど前に掲載した記事、【図書】トゥキディデス『戦史』を読む、2019年9月7日である。この記事は第一次トランプ政権のもとでの米国と追いあげる中国の状況をみるなかで描いたものであるが、トランプ政権2.0に入った今も米国と追いあげる中国の地政学的な対立が続いており、参考になると思うので、掲載させていただく。 ―――――――――――――――――――――――――――― ここのところ古代アテナイ(アテネ)の歴史家、...
アップル vs. ファーウェイ:中国プレミアムスマホ市場の覇権争い
香港Counterpoint社の最新のスマートフォンモデル販売データによると、中国のプレミアム(600米ドル以上)スマートフォンセグメントの販売シェアは、2018年の11%から2024年には市場全体の28%に急増した。中国のスマートフォン市場では、2017年以降、プレミアム化への顕著なシフトが見られ、この傾向は米国政府によるファーウェイ規制以降加速した。 アップルとファーウェイは、長い間、中国のプレミアムスマート...
BYD(比亜迪、本社:広東省深圳市)の創業者で、会長兼CEOの王伝福氏は2023年初頭、自動運転を「でたらめ」と呼んでいた。その中国の自動車メーカーが今年2月10日にGod’s Eyeインテリジェント運転システムを搭載した21の低価格モデルを発売したことは驚きだった。 これらのモデルの定価は7万元(9,650ドル、141万8,500円)から20万元で、中国で自動運転機能付き車両を購入するのにかかる費用の下限にあたる。 &...
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有朋自遠方来、不亦楽乎(朋(とも)有り、遠方より来たる。 また楽しからずや)―― 孔子 山東省済寧市曲阜市の東南約30キロに、東西方向に連なる小さな山脈がある。その最高峰は340メートル余りで、雄大さ、奇妙さ、険しさ、優美さ、いずれにおいても特筆すべきものではない。しかしながら、遠望すると、ここは五つの川が合流し、五つの峰が連なり、その間を穏やかに包み込む風景が静謐で和やかである。 この一見平...
背景と概要 トランプ米大統領は、日本と韓国を含む複数国に対して2025年8月1日より25%の関税を全輸入品に一律で課すと通告。これは、今年4月に開始された一連の米国主導の貿易戦争の新たな段階を示すものとされる。対象国には日本、韓国のほか、セルビア、タイ、チュニジアなど14カ国が含まれる。日本と韓国はいずれも米国の主要同盟国であり、関税適用は外交・経済両面に波紋を広げている。 日本に対する措置の内容 日本...
はじめに 私たちは、家族、地域社会、職場、そして市民の間の相互の関わり合い通じて、さまざまな形で日々社会との接点を持っている。以下、足もとで読んだ新聞記事などをもとに、以下、思いつくままポイントを記す。 【断章1】節約か、制度破壊か 朝日新聞が7月1日報じた連載あなたのお金はどこへ、「社会保険料が7万円安くなった」という話は、技巧的節約術の表情を持ちながら、その背後に制度への信頼崩壊...
Counterpoint Research(本社香港)の予備的数字によると、2025年第2四半期の中国のスマートフォン販売台数は前年同期比で若干増加する見込みで、ファーウェイとアップルがその成長を牽引するとみられる。 ファーウェイは主要ブランドのなかで最も高い成長率を示し、2025年第2四半期に中国市場でトップの座を獲得すると予想されており、アップルは、iPhone 16シリーズ、特にiPhone 16 ProとiPhone 16 Pro Maxのプロ...
久しぶりに日常生活記事が続きます(微笑)。昨日土曜日に、都内に住むせがれが日帰りで戻り、母親(プラスたぶん私)の日常などに気を遣い、作り置きの料理を四、五品作ってくれました。「お母さんの声の調子が気になって」、「連日の明日さ、すごいよね」などと言いながら、手先を動かし、次々に料理し、タッパーに入れ、冷ます。その手際の良さ。 私自身がとりわけおいしく感じた料理は、レンズ豆、トマト、鶏肉な...
「ムニュッター」は、手の感覚刺激用などの健康グッズとして、以前、一部で根強い人気があった製品です。シリコン系の素材を使い、指や手のひらで「握る・つまむ・こする」といった動作を通じて、握力・指先の筋力・触覚の敏感性を鍛える目的でサンリキという東京都大田区の会社 (http://sanriki.com/mnyu/)が 開発し、販売した商品です。 ずいぶん前、この「ムニュッター」を買い求め、使ったことがあり、先日...
日本気象協会は3日、「2025年 梅雨明け予想」を発表しました。東海や関東甲信、北陸、東北南部、東北北部は、7月7日頃に梅雨明けとなるようで、平年よりかなり早い梅雨明けとなり、「猛暑が長期戦」となりそうです。 先月は、初旬に郷里岡山の親戚にご不幸があり、急遽、告別式に参加をしました。梅雨のなか、葬儀用の服や身の回り品をかばんに詰め、傘を持っての岡山訪問でした。訪問先は瀬戸内市、懐かしい記憶...
今から十年以上前、私は次のようなことを考えていました。当時のアジア市場は、現在ほど激動してはおらず、文化とビジネスの接点について、じっくりと論じる余裕があったように思うとともに、読み返してみても、いくつかの視点は、むしろ現在の混沌のなかでこそ意味を持つように感じられます。以下、当時の記事をあらためて再掲いたします。文末に付した「関連記事」を合わせご覧にいただければ幸甚です。 ――――――――――――――――――...
2025年夏、世界の通商環境は複雑な相互依存と対立の只中にある。なかでも注目されるのが、米中および米欧の貿易交渉における動向である。いずれも地政学的背景を帯びた重層的な交渉であるが、ここにきて実務レベルでの前進が見られ、一定の協調の兆しが垣間見えてきた。 米中:競合を超えて歩み寄る現実主義 2025年6月下旬、米中はロンドン会談に基づき、レアアースおよび磁石類の対米輸出の迅速化で合意した。...
Amazon(以下、アマゾン)で買い物をしていて、ある日用品を注文するとき、必要な商品を必要な時期に購入すればそれでよいのに、発注ボタンを押す際に、うっかり定期おトク便欄にマークが入ったまま注文する人は、私自身も含めて、少なからずおられると思います。「あっ!」と思ったらもう遅く、最初の商品の注文をうけたまわりましたというメールに続いて、定期おとく便の注文をいただきましたというメールが到着するから危ない...
2025年6月末、米国最高裁判所は任期末の判決として、ドナルド・トランプ前大統領に有利な内容の判決を複数下した。これにより、大統領権限の拡大や行政府の裁量が強化される結果となり、司法が行政のブレーキとしての役割を後退させたと指摘されている。判決は保守派6人、リベラル派3人という裁判官構成に基づいており、今期もトランプ氏に有利な判決が続いている。― ロイターが28日報じた。 主なポイントを示すと...
国家統計局工業部の統計官于衛寧氏が6月27日、2025年1月から5月までの工業企業の利益データを解説した。2025年1〜5月の規模以上工業企業㊟1による利益総額は2兆7,204.3億元となり、前年同期を若干下回った。主なポイントは以下の通り: 1.複数要因による利益の減少 (1)1〜5月の利益総額は1〜4月比で6,034.1億元増加したが、有効需要の不足、工業製品価格の下落、短期要因の変動など複数の影響で、前年同期比1.1%の減少と...
セールスフォース(Salesforce, Inc. 本社:カリフォルニア州サンフランシスコ)のCEOマーク・ベニオフ氏は先ごろ、同社では現在、AIが業務の30%から50%を担っている」とインタビューで述べたという。 セールスフォースは、これまでインターネット経由の顧客管理ツール提供などで、ソフトウェア販売の方法に大変革をもたらしてきたが、業界が今、AIへと軸足を移すなかで、新しい技術をプラットフォームに組み込むこ...
日立総研(東京都千代田区)の世界経済に関する短期予測(2025年6月19日付)について下記の通り転載させていただく。https://www.hitachi-hri.com/outlook/s2506.html ●世界:関税をはじめとする政策不確実性が残存、25年の世界経済は不安定な状況続く ●米国:関税は米景気を下押しし、25年は2%を下回る成長。減税効果は26年から ●欧州:トランプ関税は景気を下押しも、26年以降は国防費増額やインフラ投資...
近年の夏は、これまでの常識を超える異常な高温が続き、私たちの身体と心に見えない負荷を与えています。特に都市部では、アスファルトやビルの蓄熱により体感温度が上昇し、熱中症や睡眠不足といった健康リスクが増す一方で、気分の落ち込みや意欲の低下など「夏季うつ(サマー・ブルー)」と呼ばれる心の不調も無視できない問題となっています。 こうしたなか、米国ワシントン・ポスト紙は2025年6月24日付で、「...
中国日本商会(北京市朝陽区、以下、日本商会)は17日、中国政府に事業環境の改善を求める意見書を発表した。日本商会は、記者会見の場で、タングステンや7種類のレアアース(希土類)を含む重要金属に対する中国の輸出規制が、中国で操業する日本企業に大きな負担をかけていると述べた。 日本商会の本間哲朗会長(パナソニックホールディングス副社長)は記者会見で「一連の輸出管理措置の強化により会員企業の製品の輸出...
本日、青島旧市街㊟に「移流霧」が発生しました。街の上空は霧で霞み、まるで自然が「大気群」モードを発動させたかのようで、青島を流れるような絵画のように彩っています。青島では毎年春から初夏にかけて移流霧が最も多く発生する時期とされています。この現象の発生は、主に海洋性気候、地形条件、風向、風力の影響を受けます。――青島日報・観海新聞が6月11日報じました。青島旧市街には沿岸丘陵地帯が広がっています。この...
スペインは、トランプ政権による米国の反移民政策と対照的に、移民を積極的に受け入れ、経済成長の源泉として活用している。米国ワシントン・ポストは6月20日付記事で報じた。 同記事によれば、2021年以降、スペインは約70万人の移民に合法的地位を与え、さらに100万人規模の合法化を目指す法案も検討中で、主にラテンアメリカ出身者を中心に、建設、技術、観光、医療などのセクターで労働力不足を補っており、一人...
今日は夏至です。夏至の日は、太陽が一年で最も北に位置し、北回帰線のほぼ真上になります。この日、北半球全域で日照時間が一年で最も長くなります。「昼が最も長く、影が最も短い。『夏至』とは極限を意味することから『夏至』と呼ばれるようになった」のです。 夏至は例年6月21日か22日です。その名の通り、夏至は最も暑い季節の到来を意味します。つまり、夏至を過ぎるとさらに暑くなるので、熱中症対策や冷房...
日本製鉄(日本製鉄株式会社、以下、日鉄)は長期にわたって難航していたアメリカの鉄鋼大手USスチールの買収を完了した。 トランプ大統領は米国時間13日、バイデン前政権が1月に決定した日鉄の買収中止命令について、国家安全保障協定を結ぶことなどを条件に見直す大統領令に署名し、事実上、買収は承認された。日鉄とUS スチールは、日本時間16日、両社のパートナーシップがトランプ大統領から承認されたと発表し...
台湾の半導体ファウンドリのTSMCが7月10日2024年第2四半期の連結売上高を発表した。6月の売上高は2,078億6,900万台湾ドルで、前月比9.5%減、2023年の対前年同月比32.9%増となった。2024年1月から6月の売上高は1兆2,661.5億台湾ドルで、2023年の同時期と比較して28.0%増加した。 出所:TSMC ちなみに、TSMCの今年第2四半期の連結売上高は、ロイター社の試算に基づく記事によると、6,735億1,000万台湾ドル、退位前年...
台湾パソコン大手エイサー(Acer Inc.)の陳俊聖(Chen Junsheng)董事長は7月8日、チャネル側からのフィードバックとして「現在、新規PC購入の約80~90%がAI PCについて議論している」と指摘した。― 経済日報が7月9日報じた。 エイサーの業績は、勢いがつき始め、子会社の「Tiger Team」が下半期に良いニュースを発表したことで、陳俊聖氏は、エイサーの今年下半期の経営は上半期よりも良くなるだろうと楽観視し...
米国国防総省(以下、国防総省)は問題を抱えている:世界最大の雇用主のひとつが世界最大の通信プロバイダーである中国のファーウェイに依存する企業との取引をどうやって避けるかということである。― Fortuneが7月3日付で報じた。 これまでのところ、国防総省は、2019年に制定された米国法でファーウェイの機器を使用する企業との契約が禁じられているにもかかわらず、できないと述べている。国防総省が免除を推し進...
7月4日から6日まで、2024年世界人工知能大会および人工知能のグローバルガバナンスに関するハイレベル会議(WAIC 2024)が上海で開催され、併設展示会は7月7日まで行われた。 このAI会議には、チューリング賞、フィールズ賞、ノーベル賞受賞者9名と国内外の学者88名が一堂に会し、AI倫理ガバナンス、ビッグモデル、データ、コンピューティングパワー、具現化された知能(ロボットなどの物理的実体にAIを統合し、環境を認識...
6月28日、北京の人民大会堂で開催された平和共存五原則70周年記念会議に中国米国商会(中国美国商会、The American Chamber of Commerce in the People’s Republic of China (AmCham China)のマイケル・ハート会長とクレア・マー副会長が中国美国商会を代表して出席した。この重要なイベントは、過去70年間、国際関係の指針となってきたこれらの基本原則の制定を記念するものであり、ハート会長は午後のサブフォーラムでスピー...
アジア開発銀行(ADB、フィリピンマニラ市)は、中国浙江省寧波市における包括的、低炭素、環境的に持続可能な開発を促進するため、2億ドルの融資を承認した。 寧波は揚子江デルタの経済中心地のひとつであり、中国における重要なエネルギー生産および新素材産業拠点のひとつである。同市は化石燃料に大きく依存している。このプロジェクトは、寧波市でアジア開発銀行が資金提供する初のプロジェクトであり、寧波市政府、地...
中国最大級の書籍展示会「北京国際図書博覧会(BIBF)」が6月19日から6月23日、北京市の中国国家会議中心で開催された。展示対象分野は書籍、デジタル出版、コンテンツなどで、中国出版社をはじめ世界各国の出版社が出展した。主催者によると、今回の同博覧会には71カ国・地域から1,600社が出展し(うち外国企業は1,050社)、約22万冊の書籍が出品され、バイヤーや一般来場者が計約30万人訪れた。 ジェトロ(日本貿...
中国信息通信研究院(中国信通院)は7月1日、ファーウェイのHarmony OSカーネル㊟の自立した成熟度レベルの認証を完了したと発表した。ファーウェイHarmony OSの自主研発率(自主研究開発率)は100%であり、自立した成熟度レベルはA レベルである。 ㊟カーネル(kernel、内核)はオペレーティングシステムの中核をなす重要なソフトウェアを指す。 中国信通院は6月28日、モバイルスマート端末オペレーティン...
米国ニュース雑誌のTIME(ニューヨーク市)とAI研究開発のOpenAI(サンフランシスコ市)が6月27日、戦略的コンテンツパートナーシップ契約を発表した。 このコラボレーションを通じて、OpenAI は TIME の過去 101 年間の膨大なアーカイブから現在のコンテンツと過去のコンテンツにアクセスし、その製品や表示を強化して、ユーザーの問い合わせに応えて、引用とtime.comの元のソースへのリンクを表示する。この新し...
米国では夏の航空旅行が急増すると予想されている。米国運輸保安庁(Transportation Security Administration、TSA)は6月23日(日)に299万人の乗客を検査し、これは数週間前の5月24日に記録された記録を上回る。また、運輸保安庁は7月4日の独立記念日休暇期間が記録的な数になると予測している。 運輸保安庁は6月28日(金)から7月8日(月)までの間に3,200万人以上の旅行者を検査すると予想しており、休暇期間中の旅行者...
米国の禁止措置にもかかわらず、チップ生産を含むあらゆる分野で進歩し始めたファーウェイにとって、2024年はファーウェイの年になりそうだ。今年に入って、ファーウェイはチップセットの生産量に注力していることで注目を集めている。Kirinプロセッサにしろ、Ascend AIチップにしろ、ファーウェイは両方の面で懸命に取り組んでいる。― Huaweicentral.comが6月29日付記事で報じた。 出所:Huaweicentral...
中国汽車工業協会(CAAM)は6月14日、5月の自動車販売台数が対前年同月比1.5%増の241万7,000台、生産台数が1.7%増の237万2,000台と発表した。対前月比では、生産台数は1.4%減とマイナスが続いたが、販売台数は2.5%増とプラスに転じた。 販売台数の内訳は、乗用車が207万5,000台(対前年同月比1.2%増)、商用車が34万1,000台(3.3%増)だった。うち新エネルギー車(NEV)は95万5,000台(33.3%増)で、自動車...
限定的な調査によると、人工知能を使った偽の学生が受けた大学の試験は、本物の学生が受けた試験よりも成績が良く、採点者によって検出されないことがほとんどだった。― BBCが6月26日に報じた。 英国レディング大学の研究者らは33人の架空の学生を作成し、AIツールChatGPTを使用して同大学の心理学学部課程のモジュール試験の解答を生成した。AIの学生の成績は、現実世界の学生の成績よりも平均してグレード境界の半分以上...
市場調査会社Canalys(本社:シンガポール)は6月26日、中国のTWSワイヤレスブルーツルースヘッドフォン市場動向について発表した。2024年第1四半期には小米が中国市場で最大の出荷台数を誇るTWSブランドとなり、次いで ファーウェイ、アップルは第3 位となった。 Canalysによると、小米の最新イヤホンとスマートフォン販売キャンペーン活動がTWSイヤホンの出荷数を大幅に増加させ、4四半期連続で2桁の成長を維持し...
日立総合計画研究所(東京都千代田区、以下、日立総研)は6月18日に短期経済予測を発表した。レポートタイトルは「脆弱さを内包しつつ安定成長への道筋を模索する世界経済」である。 ━━━短期経済予測(2024年6月18日)━━━━━━━━━━━━━━━━━ 〇世界: 世界経済は先行き不透明要素を抱えつつも3%成長維持、安定成長を模索 〇米国: 24年後半に米景気は減速も、通年では安定成長、インフレ再燃などがリスク ...
中国商務部の6月21日付発表資料によると、2024年1-5月期の中国の海外直接投資(金融業を除く)利用額は、実行ベースで4,125.1億元となり、対前年同期比28.2%減少した。同期間において、全国で新たに設立された外資系企業は21,764社で、対前年同期比17.4%増加した。 産業分野別に見ると、製造業向けの外資利用額は、実行ベース1,171.1億元で、外資利用全体の28.4%を占め、対前年同期比で2.8%増加した。ハイテク製...
プロジェクト・シンジケート(Project Syndicate)に掲載されたジョン・アンドリュース氏(英国誌エコノミストの元編集者および外国特派員)の論説記事、John Andrews, “The Evolution of Empire”, Project Syndicate, June 21, 2024が目に留まり、読んだ。著者は、インドと中国におけるイギリス帝国などの過去の帝国がどのように権力と影響力を行使したか、そしてこの歴史が現在の地政学的態度と緊張をどのように形作り続け...
ファーウェイのコンシューマー事業部門長、余承東(Yu Chengdong)氏は6月21日、同社の開発者会議(Huawei Developer Conference 2024、以下、HDC)で、HarmonyOS が 9 億インストールを超えたと発表した。同氏は、HDCでこのニュースを共有し、その他のソフトウェアの成果についても語った。 これは同社が自社開発OSで大きな進歩を遂げたことを示している。さらに、余氏はHarmonyOSエコシステムに参加する開発者...
カナダ政府とアジア開発銀行(The Asian Development Bank、フィリピンマニラ)は、3億6,000万カナダドル(約2億5,500万米ドル)の新たな信託基金を設立するための提携を発表した。 アジア民間セクター向けカナダ気候自然基金(Canadian Climate and Nature Fund for Private Sector in Asia)は、ジェンダー平等を促進しながら、気候と自然に基づくソリューションに重点を置いたアジア太平洋地域の民間セクタープ...
今、世界のスマートフォン業界は、米国のアップルや韓国のサムスン電子、中国の主要企業などがAI能力(AI-capability)のモバイル電話への組み入れに力を注いでいる。 最近の生成AIの拡大でこれからのスマートフォンはどう変わるかを考察する報告書、「AI 対応スマートフォンの現在と将来レポート 2024(Now and next for AI-capable smartphones report 2024)」がシンガポールの調査会社であるCanalysによりまとめられ...