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桜の花びらが、ひらひらと散る、散る、散るただひたすらに散る何の未練もなく次々に散ってゆくあんなに強い風に吹かれてもどしゃぶりの雨にたたかれてもしぶとく枝にしがみつき決して手をはなさなかったのに散ってゆくわけを得心したかのように今、時を得たかのように桜の花が散ってゆくうららかなこの春の日に思い残すことは何もないのか心を痛めることは何もないのか桜の花のように君は決めたんだねもう、行くんだね【あとがき】...
とある大学病院の整形外科診察室痛みが一向になくならない左足首を診てもらうためにかかりつけ医の紹介状を持って私はやってきたしかし、そんな診察の仕方ってあるのかいと思うような出来事が待っていた私の裸足の左足は診察台の上にあった中年の、眼鏡をかけた男性医師の診察が始まる医師は私の左足に顔を近づけそれから、もっとよく見ようとして私の左足を持ち上げたその持ち上げ方!医師は、私の左足のつま先を右手の人差し指と...
うららかな春の日差しを浴びて私は椿の木の傍らに立っていた白い椿の美しいことと言ったらその、透きとおるような白い色は心の高潔さの証(あかし)どんな汚(けが)れに遭おうとも決して汚れに染まることがない赤い椿の美しいことと言ったらその、人を沈黙させる深い赤は心に秘めた情熱の証ひとたび思いに火がつけば命果てても燃え続ける白地に赤を流し込んだ椿の花の美しいことと言ったらその、刺激的な文様は人を導く叡智の証繰...
アンズ 花言葉:「乙女のはにかみ」杏の花よ君にこんなにも魅かれるのには何か訳があるに違いないとは思っていたが君に与えられた花言葉を知ってやっとわかったよ雨上がりの早朝朝日に照らされて咲く君は輝くように美しいが少しはにかんでいるようにも見えるその様子があの人とそっくりだ【あとがき】 庭の杏の花が満開になりました。そのとなりの花桃の花も、一歩遅れて咲き始めました。最近...
ふくらんできた椿の蕾ふくらんだよ庭の椿の蕾がふくらんできたよ内側から力がみなぎってきてその力が花びらを内側から押し広げようとしてるように見えるよその力は、命の力だね椿の木と同じように僕たちの中にも命の力があって外に出たがってるように思う命の力は外に出て赤い椿の花のように自分を表現しようとする僕たちは走る、跳ぶ波を切って進む歌う、踊る、闘う絵を描く、楽器を奏でる詩を...
こんがらがった思いを整理しようと南に面した和室の畳の上に仰向けになる窓の向こう物干し場の隙間から青い空と、空にたなびく薄い雲が見える仰向けのまま大きく伸びをしたら何もかもどうでもよくなっちゃった「なにやってんだろう、俺は・・・」疲れがどっと出てきた自分が時間をかけてやっていることはなにもかもその場しのぎの悪あがきのような気がした自分を偽る自分が見えてくるもう一度思いっきり伸びをしてそれから力を抜い...
かつて詩人は燃えるように希求する自分の望みをメモに残してこの世を去った「・・・・・ あらゆることを 自分を勘定に入れずに よく見聞きし分かり そして忘れず ・・・・・」自分を勘定に入れずに人は生きていけるだろうか理想と現実の折り合いをつけながら私たちは生きている折り合いのつけられない理想は果たして理想といえるか現実と切り離されているからこそ理想は理想なのか詩人は理想に殉教したと思えてならない昨日も...
ユキヤナギ 花言葉:「気まま」よたよた歩きの散歩の途中うぐいすの初音を聞いたよ楽譜どおりに歌えなかったり途中で声がとぎれたり歌のレッスンは始まったばかりよちよち歩きのうぐいすの初音よちよち歩きとよたよた歩き始まりも終わりも優しく包み込んで春の日が照っていたよ何かうれしいことに出逢えそうな春の日だったよ【あとがき】 寝不足の日の散歩。次項でご紹介する西行法師の歌に導...
朝から雨はしとしとと降り続いていて今日は一日雨になった木立ちを濡らす雨は葉の上で仲間を集めひときわ大きな雫となって地面に落ち静かに土に吸い込まれていって恵みの雨となって大地をうるおす紆余曲折を経て人と人との信頼関係が深まっていくように愛が深まるのにも時間がかかるはずだあなたと私の愛もきっとそうなのだ紆余曲折を経て深まっていくのだ静かに土に吸い込まれて大地をうるおす恵みとなる雨のように私たちの愛が、...
ツバキの蕾 花言葉:「控えめな優しさ」「誇り」つばきの蕾はまだかたいよつばきの蕾はねむっているよつばきの蕾は夢を見てるよ恋しい人に出逢うためきれいな花を咲かせよう恋しい人と結ばれてやがて大きな実になろうかたいかたいつばきの蕾は熱い熱い夢を見てるよつばきの蕾よもう春だよ夢はきっとかなうよ【あとがき】 庭のつばきの木には堅い蕾がいっぱいついていて、花を咲かせるチャンスが訪れるのを...
はなやかなスイセンの花も下を向いて咲いているとどこか寂しげだうつむく君もきれいなのにどこか切ないもうこだわりを捨てて自分を縛り付けている縄を解いて根拠のない希望を抱いてもいいんじゃない?外に出て光がいっぱいの青空を見上げたら根拠のない希望がやすやすと手に入る気がするよ根拠のない希望だっていいじゃないか少しでも希望がもてたら何かが変わりそうな気がするよ【あとがき】 あちらでもこちらでも、スイセンの花...
夢を見た広い小学校の校庭で私はもう達者に歩けるようになった幼い息子を遊ばせていた空では風が狂ったように吹いていてカラスが二、三羽右に左に飛ばされながら不規則な風をとらえて舞っていた息子はカラスを指さして「カア、カア」と言いながら駆け出していった後ろを振り返ることもせずわき目もふらずカラスを追って駆け出していったその後ろ姿は見る見る遠ざかり息子はどこまでもどこまでも駆けてゆきやがてその姿は見えなくな...
ああ、空は晴れて一片の雲も見えない今日はよい天気だ庭の水仙の蕾がほころびぽつぽつと花が咲き始めた道端に咲く菜の花の黄色が目に、心に沁み入る散歩の途中ですれ違った見ず知らずの強面(こわもて)のおじさん思い切って「こんにちは」と声をかけると、意外や意外にわかに相好を崩して「こんちは」と優しい声で応えてくれたっけ体の不自由さは相変わらずいやむしろつのってきていて生きづらさはなくならないがこの春の陽気の為...
川べりの道を歩きながら考えてみたよ「希望」とはどんな色だろうか、って鮮やかな赤?妖艶で、情熱的で心がとろけそう透きとおったブルー?冷静で、理知的でちょっと冷たい汚れのない白?清楚で、博愛的ですべてを包み込んでくれそうだそれとも黒い色?・・・・そのとき枯草でおおわれた土手に咲く一叢(ひとむら)の菜の花が僕の視界に飛び込んできたんだパッと心が明るくなった菜の花の色は希望の色だ希望には菜の花の黄色がよく...
橋の上から見下ろすせせらぎは日の光をうけてキラキラと輝き川面は晴れわたった空を映してずうっと遠くまで青く染まっている土手にはまだあか抜けない菜の花がそれでも精一杯の笑顔を見せて私を待っていてくれた吹き渡る風は白く氷のような冷たい手で私の頬を撫でて去ったがあちらでもこちらでも春を喜ぶ声が飛び交い春をさがす必要などこれっぽっちもなかったあとは普段よりもちょっぴり物静かなあなたに聞いてみるだけになった「...
季節はめぐり 春が来た 春のうららかな陽射しに 水は温み風は光り山は笑いヒキガエルは穴から出て鳥は雲に入るあなたは青空を見上げて希望の在り処(ありか)を見定めようとする春が来た心ときめく出来事が向こうからやってくるような予感がする春が来たあなたにも私にも同じように公平に春が来たどうにか春と仲良くなってその力を分けてもらおうみすみす、このまま、目の前を素通りさせる手はないぞ【あとがき】 寒気がゆるみ...
私のかかりつけ医の先生は油断のならない人だ診察の時は手元のカルテやパソコン画面を見ているひととおり問診を終え血圧を測ってくださると私の方に向き直って穏やかな表情で「動きにキレがありますが、 その後、パーキンソン病の具合はどうですか」などとおっしゃる私をじろじろ見ていたわけではないので私はその一言にびっくりする観察している気配を少しも見せずに実はしっかりと観察しているのだ油断も隙も、ありゃしないパー...
プリムラ黄色も咲いていました(駅前の花壇で) 3月11日は、「東日本大震災」が発生した日。 この震災で亡くなられた方々のご冥福を、心よりお祈り申し上げます。 私が住んでいる地域は遠く離れておりましたが、親戚の者が東京で被災しました。 東京でも震度5弱の揺れを観測し、古い賃貸マンションだったからか、水道配管が破壊され、部屋が水浸しになり、他にも不具合が発生し、急いで退去しなければならなくなったそうです。 ケガなどが無かった事は、不幸中の幸いでしたが。 この地震国日本で暮らしている限りは、常に地震への不安がつきまといますが、命あるうちは「精一杯生きてみる」という事が大切なのだと、今改めて思います。…
庭のプラムの木もすっかり雪化粧です。「梅は咲いたか、桜はまだかいな・・・」 梅の花が満開になったのを見て一人で浮かれていたら春の雪・・・・夕闇が辺りを包む頃から降り出した雨が夜半から雪に変わり、そして朝、目が覚めて外を見たら一面の美しい雪景色雪が音を連れ去ったので外はやたらと静かだその雪も春の陽気の中であっという間に消えてなくなった春の雪のように儚く...
青い空にぽっかりと白い雲が浮かんだら勉強(べんきょ)も仕事もひと休み縁側に大の字に寝ころんで春の空を眺めよう自分を責めないように念のため自分に言い聞かせて疲れはやがて癒されると信じてあの人はがんばってるんだと思うけれど私は、少し休もう空ではお日様が生あくびをかみころしている私も、少し休もうこんな日には二度と再びめぐり合えそうもない、そんなのどかな早春の昼下がりなんだもの【あとがき】 株式会社・明治...
風の便りに聞きましたとぎれとぎれのあなたの消息待ってましたあなたの笑顔待ってましたあなたの冗談待ってましたあなたが自分をとりもどすときを春を待ち望むような気持でこれからも待ってますあなたがあなた自身のことをもっともっと心から好きになることをそしてあなたが私のことをちょっぴり好きになってくれるのを【あとがき】 3月3日、私の住んでいる地方は晴天が広がり、光がいっぱいです。人の幸せを願いたくなるような...
ネコヤナギ 花言葉:「自由」「努力が報われる」ネコヤナギネコヤナギたしかに春は来ますよねわたしにもそして今たった独りでふるえているあの人にも【あとがき】 知人から株分けしていただいたネコヤナギがすっかり根付き、今年も猫の尾のような花穂をいっぱいつけて、大空向けて背伸びをしています。吹く風はまだ冷たいですが、本格的な春ももうすぐです。 いつも応援ありがとうございます。今日も最...
フクジュソウ(ほころびだしたつぼみ) 花言葉:「幸せを招く」「永久の幸福」あちこちの花壇で、道端で福寿草が咲き出した開ききった花は美しいしきらいなわけではないが冬の厳しい寒さを克服しほころびだしたつぼみの方がもっと好きだ何か得体の知れない可能性を秘めていて楽しみはこれからだ開ききった花よりも何だか個性的な魅力さえありそうな気がする...
フサザキスイセン 花言葉:片思い 尊敬スイセンの花が咲いた早春の風の強い日移ろいやすい日の光を浴びて花を咲かせたスイセンは物思いにふけるように静かに立っていたその花は、片思いをする娘の表情をしていたあるいは、人が、尊敬する誰かを見つめているときの横顔のようにも見えたゆらめくような日の光を浴びて風の中に花を咲かせたスイ...
こんな言葉に出逢った 「さみしく感じる時間は、 戦っている時間なのだ。」そうなんださみしいときは自分に優しくするときだと思っていたさみしいときは自分をいたわってやるべきときだと思っていたさみしがっている自分に寄り添って そんな自分と一緒になってさみしくなるときだと思っていたさみしいときとはかたい殻の中に閉じこもって背中丸めて目をつむって嵐の通り過ぎるのをひたすら祈るときだと思っていたそれはそれであ...
今日は何もできなかった何もやる気が起こらない心も体も動かなかった一日居間のカーペットの上でごろごろしていたやらねばならぬことは人並みにいろいろあるのだけれど心も体も何としても動かなかった居間のカーペットの上でごろごろしてるうちにいつの間にか眠ってしまった昼寝の夢の中に不安のかたまりが入り込んできて息苦しくなって目が覚めた窓の外を見ると庭の木々たちが空に向かって両手を伸ばして叫んでいた「たすけてくれ...
大学生のときは電車通学だった電車の窓からはいろんな広告が見えた印象的な広告があった仏具店の大きな広告で仏像の写真を背景に仏教の教えが記されていた「心は形を求め、 形は心を進める」「型」の重要性様式美の本質生き方のヒントいくつかの言葉が連想されたがよくはわからなかったただ、毎日のように広告を目にするたびに仏具店の広告だからというわけでもないが耳ざわりのよいリズムの言葉を心の中でブツブツと呟いて...
完成した組み立てキット(ワルサーPPK/s)これも病気療養中のハビリの一環と生まれて初めてモデルガンの組み立てキットを買ってはみたがオートマチックピストルの組み立ての難しさに体調不良による休止と病気の障害も加わって普通の人なら1日でできあがるところ春の終わりに組み立てはじめ完成を見たのは5か月後の夏の終わりのことだった子どもの頃から図画工作は大好きだったが作業をきれ...
心は動く青い青い空を見上げた朝は心は動く流れる雲を、真っ白な雲を目で追ううちに心は動く忘れられないあなたの面影そうして目覚める薄汚い私の下心・・・【あとがき】 2月になって、私の住む地方も雪が降りましたが、ここ数日は晴れのよい天気です。春が待ち遠しい今の季節、天気がいいと、ほっとします。何かいいことが起こりそうです。被災されたみなさまにいいことが少しでも多く降り注ぎますように。これを読んでくださっ...
2月6日に降った雪ですときどき突然なんの前触れもなくたまらなく寂しくなることがあるそんなときは面白そうな映画を観に行く好きな歌を歌うおいしい握り寿司を腹いっぱい食らうなんとか気を紛らして寂しさに押しつぶされないようにするそこにはいつも一人ぼっちで何かに振り回されている自分がいる先日寝ようと思ってベッドに横たわり布団をかぶったとたん寂しさに襲われて...
冬の空にうろこ雲が現れた季節が逆戻りしたようで空を見上げて人々は最初はとまどっているようにも見えたがその興味深い文様を見ているうちに自然に口元は緩み、うれしそうにするのだった冬のうろこ雲もいいものですね冬の空よあなたの空なんだからあなたの美意識に基づいてやりたいようにやればいい空よあなたの人生なんだからあなたの価値基準にしたがって進んでいけばいいあなたはあなたを大切にしていけばいいんだ泣いても笑っ...
遠くを見やればいただきに雪を冠した山脈が見える人のこころも己のこころもうつろいやすいのはみんなうすうすわかっているだからこそ「あなたのことを いつまでも 想いつづけます」なんて言えたらこの上なく幸せだろうなだからこそ「あなたのことを いつまでも 想いつづけます」なんて言われたら天にも昇るほどうれしいだろうなあの遠い山脈に心魅かれるようにいつも何かにあこがれて生きていたいなあの遠い山脈に心魅かれるよ...
小学4年生の私はお腹が痛くて学校を休んだお腹の痛みは朝だけでお昼を過ぎたらもうすっかり元気になっていた友だちが様子を見に訪ねて来てくれた二人で神社の近くにあった駄菓子屋へ行った先客がいた同じクラスの口さがない悪童たち「あれ、今日学校休んだんじゃない?」「やーい、やーい、ずる休み!」口々にはやし立てながら悪童たちは逃げるように店を出て走り去っていった私は誰に訴えるというわけでもなく「具合、よくなった...
1月26日の朝日午前7時私の住む山里の南東の山際に冬の朝日が顔を出す空の反対側では沈んでゆく月が黙ってそれを見ている気温はマイナス6度皮の手袋を貫いて寒気が沁みとおる太陽と地球の距離は1億4960万km今、8分19秒かかってほのかにあたたかい太陽の光が私に届いた光は静かに静かに満ちて万物を励ましすべての存在に力を与えるあなたにもこの光...
病気が進行してすくみ足がひどくなってきた主治医の先生やリハビリの先生方のおかげで薬が効いているときは以前と比べて動きにそれほど遜色はないがそうでないときはけっこうしんどいときがあるたとえば、朝目が覚めてベッドの上で時間をかけて上体を起こしそろそろと床に両足を下ろすそれから、手の届く寝室の引き戸を開け入口の木枠に指をかけてよっこらしょと立ち上がるそこまででも十分にまどろっこしいのだが問題はそれからだ...
1月3日朝 消え残る月優しくなくても君から「優しいのね」と言われると優しくなりたいと思ってしまう強くなくても君から「強いんだから」と言われると強くなりたいと思ってしまう君の誤解を僕は誤解していた君の誤解はあれは誤解ではないんだねあれは愛だったんだね【あとがき】 能登半島地震。被害状況が明らかになるにつれて、伝えらえる犠牲者の数が、日を追うごとに増...
昇り龍のような雲「ご多幸をお祈り申し上げます」いただいた年賀状の文面をたどりながらふと、書家の相田みつをさんの言葉を思い出した「しあわせはいつも 自分のこころがきめる」そうだ何が幸せなのかは自分で決めることなんだ人に迷惑をかけてはいけないけれどそうでなければ自分で決めていいんだ臆病にならずに堂々とその幸せを楽しめばいいんだそうだ人に決めてもらうこ...
私の心は曇り空そのせいかもしれません雲間にのぞく空の青が心の奥まで沁みてきます私の心は曇り空そのせいかもしれません雲間から漏れて射す陽の光が涙が出るほどあたたかいちらりと見えたそんな空の切れっぱしが細い細いお日様の光がそんなに心に沁みるのかい本当にあたたかいのかいと聞く人がいたら私は反論する代わりに決していばるわけではなくてめんどうくさいからこう言おうと思いますええ、そうなんですそのとおり悲しい恋...
年の暮れは先がないからみんな後ろを振り返る今年も私にもいろいろあっていろいろ思い実にいろいろ考えた好きになったツユクサの花落ち込む私を優しく包んだ雨の音少しがんばってみようと見上げたまぶしく青い空あの景色 あの場面 そしてあの言葉私の心に刻まれた記憶は今でもいかにも鮮明だけれどもでも実体はもう時の流れのはるかかなただ嬉しかったり辛かったりどうしようもなく悲しかったり抱く思いはさまざまだったがみんな...
縁側に続く和室の畳の上にちぎれた小さな紙切れが落ちていた拾ってゴミ箱に捨てようと腕を伸ばすとこれが・・・動いた!よく見るとチョウだったクリーム色をしたチョウが羽を畳んで横倒しになっていたどこかから家の中に迷い込み外に出られなくて体が弱ってしまったのだろうときどき羽ばたこうとするが片羽が動くだけで、もう起き上がれない拾い上げさてどうしたものかと考えるまだ命あるものをゴミ箱に捨てるのは忍びない介護する...
海外旅行から帰ってきた私の家族が10日間留守番をしていた私にお土産を買ってきてくれた「ボディーソープではすすいだ後の 肌の感触が物足りない。せっけん だと肌にこびりついた脂分まです っかり落ちて爽快だ」こう主張する私に対して「あら、ボディーソープはお肌に 優しいからいいのよ」と反論していた家人だったがみつくろってくれたお土産は石鹸だった 妻と娘それぞれ別々に一個ずつ買ってきてくれた外国の石鹸はでか...
幸せな少女はいつでも安心しきっていて私の呼びかけにも恐れることなく素直にふり向いて応えてくれるその瞳は快活さと好奇心に満ち輝きながらまっすぐに私を見つめその口元はもはやすっかり緊張を解き今にも笑い出しそうだしまたすぐにでも不機嫌にゆがみそうでもありつまりはどのような変化にも対応できる変幻自在の柔軟さをただよわせている私が悪意をもって動けばその目は機敏にその動きを察知しその身軽でしなやかな体は軽やか...
病院の清潔でこぎれいな病棟のその端っこの病室で四方を白い壁に囲まれて自分は死んでいくんだろうな信頼できる主治医の先生や優しい看護師さんたちにめんどうを見てもらいながら自分は死んでいくんだろうなでも、最近よく考えるんだけど自分は、本当は刀折れ、矢尽きて、野戦で負けた一軍の将が青空の下で切腹して果てるときのように(そのとき武将は青空をちらっと見るのだ)青空の下で死んでいきたいお日様の光がいっぱいのさわ...
車から降りて 振り返ると 燃え上がる夕陽 西の空は裂けて 光が溢れ出したように まぶしい茜色に染まり たなびく雲は 強烈な落日に焼かれて 金色に縁取られている 何かが起きる前兆のような なんという 心ゆさぶられる 景色であることか 写真を撮ろうとして スマホがないのに 気が付いて 急いで家の鍵を開け スマホ片手に戻ってみれば 遅かりし由良之助 すでに雲は動き 一幅の名画の構図は崩れて あの劇的...
長年、便秘に苦しめられてきた 最近、そんな私を見かねた妻が 食物繊維が豊富な食材を使った食事を徹底し 私に食事に関する意識改革を強硬に迫るようになった 今まで私の自主性に任せていた方針を方向転換したのだ しびれを切らして、いわば「強行手段」に打って出たのだった (「『強行手段』に打って出てくださった」というべきか) 食物繊維の波状攻撃 おかげさまでここ数日は お通じの状況がすこぶる良い ...
フォトスタンドに入った あなたの写真 僕が写した あなたの写真 あなたがあんまりきれいだから 僕が撮影をおねだりすると あなたは明るく微笑んで 僕にポーズをとってくれた 僕だけのために 微笑んでくれたあなた あなたが僕を嫌いでないと あなたが微笑みで請け合ってくれた あなたがくれた証明写真 もしも失くしてしまったら あなたはきっとこう言うだろう 「写真のあたしばかり見つめてないで...
青白い月の光に照らされて たった一人でとぼとぼと 雪の小道を歩いていると 向こうからやってくるのは すらりとした妙齢の一人の女 白い着物に長い黒髪 たたずまいは雪のように きよらかで、またはかなげで うつむき加減の面差しの そのなんという美しさ それにしても解せぬのは この極寒の真夜中に 灯りも持たずに娘が一人 寂しい山道通う怪しさ こりゃもののけのたぐいかと 急に鳥肌総身に立ち 逃げようと思...
家人が用事で室内用スリッパをぬいで出かけていったぬがれたスリッパのつま先は出口のドアに向けられて置いてある「これじゃあ、帰ってきて履くときに不便だっぺ」私は二足のスリッパを取り上げ180度回転させて、玄関の上り框近くに並べた自己満足なんだろうけれども今日はちょっぴり心を遣えてよかった【あとがき】 みなさまのブログへの訪問、応援に励まされております。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。 ...
パンジー 花言葉:「物思い」「思い出」 雨はしとしと降っている 遅い秋の、夕暮れ迫る 中学校の木造校舎 その2階の、3年生の教室 白色蛍光灯の明るい光が 窓の外の夕闇の色をいっそう深めながら がらんとした教室を照らし出している 首にグレーの毛糸のマフラーを巻いた セーラー服の彼女は前の黒板のそばに立ち 詰襟の学生服を着た僕は 後ろの予定黒板の横に立っている 教室...
今日、誰のために生きる?----アフリカの小さな村が教えてくれた幸せがずっと続く30の物語
ひすいこたろうYouTubeチャンネル「名言セラピー」登録者数25万人超! 「名言セラピー」でも話題沸騰!! 魂が揺さぶられ、生きる喜びを分かち合いたくなる感動の実話! 約200人が住む小さな村です。 アフリカのペンキアート「ティンガティンガ」を学びに行ったSHOGEN(ショーゲン)さんが、 この村と出会い、村人と共に生活し、生きる喜びを知っていく物語。 この物語は、遠いアフリカの話ではありません。 なぜなら、この村の人々が、生きる喜びに満ち、 幸せに包まれて生活ができているのは…………、 「日本人から学んだ感性」を持っているから! 「人間は自然から生まれてきた。だから、圧