勘違いした恋人に殺害されるとき
~ 追憶 武仲 ~ 由子さんは、 聞く耳持たぬ。 といった感じで、 俺の口にタオルを詰め込んだ。 俺は、あいつに身体の自由を奪われ、 由子さんに発言の自由も奪われ、 誤解をとく術が……、 完全に無くなってしまったのだった……。 由子さんの目をずっと見て居た……。 由子さんの目から溢れ出した大粒の涙が……、 俺の顔にボロボロと降り注いでくる……。 ガチッ 由子さんが普段使いして居る小さいヤツの音じゃ無い……。 「本気のときはこれなんだ」 由子さんがそう言って居たのを、 俺はよく覚えて居る……。 由子さんが肩で息をして居る……。 あいつは伏し目がちで視線を逸らして居る……。 スライドを引いて、 あ…
2025/04/12 07:32