【本】川上弘美『真鶴』~ぼやけて滲んでいく境界線。常世と現世。現実と夢想。果たして実存とは?~
1、作品の概要 『真鶴』は2006年に刊行された川上弘美の長編小説。 平成18年度芸術選奨文部科学大臣賞した。 文庫版で259ページ。 突然失踪した夫を想いながら、京は日記に残された手がかり「真鶴」へと向かう。 2、あらすじ 12年前、突然失踪した夫の礼。 残された妻の京は、娘の百と母の3人暮らし。 恋人の青茲と逢瀬を重ねても、礼のことを忘れられず、彼の生存と帰還をあきらめることはできなかった。 礼の日記に残された「真鶴」の文字に導かれて、真鶴に何度も足を運ぶ京。 京は、女の亡霊に導かれて、礼の姿をあの日に何があったかを追い求めるが・・・。 3、この作品に対する思い入れ、読んだキッカケ 川上弘…
2023/08/29 09:42