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  • げんいん話。

    先日の記事(→けんかの話。)を読んだ友人からそもそもなんでケンカなんかしたのよ?芯から不思議そうに聞かれた。彼女も、お母様がご存命であるが、おばあさんと同じ土俵で腹を立てる理由がわからない、と言う。電話ではうまく言えなかったので、ここに書いておこう。きっかけは私の誕生日プレゼントであった。いいトシをして、年金生活者の老母からもらいたいものなど無いのだが、おばーちゃんがこういうやりとりが好きなので、...

  • あおいの話。

    夜もずいぶん暖かくなってきた。毛布や敷パッドなど、モコモコの寝具はもう要らないだろう。しまう前に洗いたいが、花粉や黄砂が気になる。うちから自転車の距離にコインランドリーがあるのを思い出した。荷台に毛布を縛り付け、心覚えの方角に漕ぎだせば、風は春の匂い(ただし花粉を含む)。細長い店の入口から中をうかがってみる。ごうんごうんと回っている機械は、半分強というところか。平日昼間ながら、私と同じような考えの...

  • やすりの話。

    月曜日の朝。春物を取りに土日帰っていたムスコが、出勤の支度も整え、さあ玄関を出ようとしたときあ、そうだ 紙ヤスリある?だしぬけに言い出した。紙ヤスリぃ?なんで?珪藻土のバスマット…削ろうと思って…ああ、あれか。土でできた薄い板で、水分をよく吸うが、使ううちに汚れてくるので、ペーパーをかけるのがいいらしい。それはともかくアンタね こんなギリギリに…ムスコが小学生のころぎゅうにゅうパック もってきなさい...

  • けんかの話。

    ただいま、老母と絶賛ケンカ中である。女性的な察してちゃんのおばーちゃんは、黙って不満を溜めて、どんどん機嫌を悪くする性格。気に入らないなら口で言え、言わないことは無いのと同じ、と、ぶった切るタイプの私とは、最初から最後まで合わない。最近気がついたのだが、こういう大きなケンカは、どういうわけかだいたい春先になる。どうやら季節の変わり目の体調不良がきっかけらしい。80代のおばーちゃんは言わずもがな、還...

  • すぴーち話。

    昔むかし、披露宴で友人代表スピーチをよく頼まれた。ああいうのは、1度引き受けると、後が頼みやすくなるらしい。お目出度いことは喜んで、と言いたいところだが、任務完了までせっかくのご馳走も楽しめない。できたら御免こうむりたいと思ってもミユキん時やったんでしょ?頼むわあ~言われると断りにくいんである。新婦友人のスピーチには、いくつか外してならないポイントがある。まず新婦の美貌を褒めること、そして意外な面...

  • どりっぷ話。

    私はおばちゃんなので、生協をとっている。どっさり届くカタログで、買うものも買わないものも、厳しくチェックするのを、宿題と呼んで毎週大マジメにやっている。かつていかクリップという名品を世に出した(→しなもの話。)このカタログ、見どころ満載なのだ。さ~て、本日ご紹介の商品は!(テレビ通販ふうにお読みください)謎の金属製品、価格は税別698円。ステンレスを複雑な形状に加工したもので、用途を知れば、それ以...

  • こだわり話。

    わ~ 広~い!大げさに騒ぐ声は、朝のローカル番組。関西近郊の別荘地を紹介するコーナーで、タレントが不動産屋に連れられ、物件を見学する。興奮して見せるタレントに吹き抜けの解放感がオーナー様のこだわりでして…営業マンは冷静に答える。ステキ~!ウッディーなカウンターキッチン!ハイ このカウンターでコーヒーを飲むのがオーナー様のこだわりで…なるほどねえ。自宅は建売でも、別荘となると、いろいろとこだわりたくな...

  • みにみに話。

    子供が甘い菓子パンが好きで、よく買ったパン。ヤマザキのミニスナックゴールド。ミニと言いつつ、なかなかの大きさだ。ところが、こういうやつもあるのである。ミニスナックゴールドミニ。一回り小さいミニスナックゴールドが、3個で一袋になっている。簡潔・明快が旨とされるであろう商品名において、ミニが2個ついているのは珍しいと思う。ここでふと疑問がわいた。まだ見ぬミニでないスナックゴールドとは、いったいどれほど...

  • あのひと話。

    帰りみち、外がまだ明るいと、それだけでなんだか得をした気分だ。心楽しく車窓を流れる風景を眺めているとあれは何て花だろう…ふと気になった。新緑に萌える里山に、モヤモヤと漂う雲のように咲くあの花を、見たのは初めてではない。薄紅よりは紫に近い、透けるような花の形からしても、たぶん野生のツツジだろう。深く考えたことがなかったけど、なぜか今日は名前が知りたい気がする。人も花も、名前を知ると親しみが増す。毎年...

  • はもりの話。

    番組にイチャモンつけた(→かんしゃの話。)ついでに、ちょっと見ていただきたいCMがある。世の中歌のうまい人は多い。自分がそうだというつもりはないが、合唱もやっていたし、耳は悪くないのではないかと思う。で、これなのだが歌を本職とする歌手と、その物真似をするタレントおふたりが歌う♪れでぃ~すあ~とね~ちゃ~♪この部分、ちゃんとハモってますか?こうやって動画を貼り付けるため、あらためて聞いてみた。あちらは歌...

  • かんしゃの話。

    見なくてもいいけど、いつも見る番組。見なくてもいいものを見るのがテレビっ子たるゆえんである。チャンネルを合わせると、様子がおかしい。特番だ。折々に放映される特番というものに対し、私は批判的な立場をとっている(→すぺしゃる話。)テレビ番組というのは、同じことを同じ時間にやるから意味がある。いつもの時間に、いつものチャンネルを点けたら、いつもの番組をやっている、というのがテレビの値打ちなのだ。いつもは...

  • さーくる話。

    大学生を見て、メイちゃんを思い出した。ちっちゃい子と思っていた姪っ子も、今春からはなんと大学生だ。すこし落ち着いたころかと、LINEしてみた。どう元気?履修科目とか決まった?元気だよ~ 忙しいでしょぜんぜん ちょーヒマ考えてみればバイトもサークルもまだだし、友だちと言える友だちもまだいないんだろう。部活とかサークルは?考え中 音楽系かな~イモート夫婦は大学のオーケストラで出会ったから、メイちゃんがオケ...

  • よんせん話。

    急行のドアが開いたとたん、車内が見えてしまった~!おおいに後悔した。この路線には私立大学があり、今の時期、学習意欲を失っていない学生で混雑する。座れるかも、などというはかない望みは早々に捨て、あきらめの境地で吊革にぶら下がった。前の座席は男子学生が3人。クラスか、サークルか、一緒になったものの、まだまだお互い知らない同士が、それぞれの地元の話なんかしている感じだ。黙ってニコニコするジミオ君、アイヅ...

  • あやまち話。

    分かっていながら繰り返してしまう過ちというのはあるものだ。人としてのサガ、とでも言うべきだろうか。今日もまた同じ過ちを犯してしまい、とても情けなくて、なぜ、どうして、と自分を責めている。今日のお昼はこれ↓暖かくなってきたので、おいしく食べられる時期もそろそろ終わりだ。今シーズンラスト味噌煮込み、ここは鶏肉と油揚げ、かまぼこやネギ、玉子の、全部入りで作りたい。具が煮えたら、スープの素を取り出して袋を...

  • かっとの話。

    頭に手をやったら、なんだかモサモサしている。そろそろサンパツに行くかな…新型ウィルス流行による外出自粛をきっかけに、千円カットにした(→かっとの話。)。仕上がりはそれなりだが、髪なんてどんなに素敵にカットしたところで、いずれ元の木阿弥だし、逆にヒドい頭になっても、しばらくの我慢だ。私レベルの顔面では、千円でじゅうぶんである。前回はいつだっけな…サイフの中を探った。よく行くカット専門店にはスタンプカー...

  • ぎゃくてん話。

    窓の下を見たら、巡回中のマンションの管理人さんを見つけた。ちょうど聞いておきたいことがあるので、いそいで家を飛び出し、階段を駆け下りた。用件を済ませて、ホッとしていると、オジサンがなんとなく私の足元を見る。視線の先は、慌てて外すのを忘れた、年甲斐もなくモコモコのレッグウォーマーだ。あいまいな微笑みでごまかし、部屋に帰れば、ひんやりした空気が私を包んだ。この季節、わが家に特有の逆転現象。それは家の中...

  • ごーるど話。

    バスを待っていたら、ちょっとだけ知ってる人が、私の後ろに並んだ。こんにちは~あら、こんにちは!とくに名を秘す某夫人は、いつも髪を巻いてメイクばっちり、服装も気を抜かない美人である。お子さんはたしか、うちの子のどっちかと同い年だったと思う。すっかりあったかくなったとか、でも朝夕は寒いとか、当たり障りのない話をつなぐうち、待っていたバスがやってきた。ここからの路線は、均一料金の先払い。ICカードを精算...

  • ことしも話。

    あー 疲れた~仕事でやむを得ないとはいえ、花どきの京都を訪ねたのは愚行であった。週末、桜、京都のトリプルパンチで、混まないはずがない。ドコソコのナントカ桜と名のつく花の傍も通過したが、ヒトゴミの印象ばかりだ。ただでさえ花見がキライ(→はなみの話。)、混雑がキライな私は、息も絶え絶えに最寄り駅までたどり着いた。ここまで来れば もう安心…駅前の駐輪場まで、トロトロ歩く。今日見たナントカ桜の下を、これくら...

  • めっとの話。

    4月1日から、自転車に乗る際のヘルメットの着用がすべての人を対象に努力義務化される。安全を考えれば、かぶったほうがいいに決まっているけれど厄介だな お金もかかるし…世の大勢はそんな感じじゃないだろうか。若者は、髪型の崩れなど気にしているらしいがヘルメットくらいでブスになるやつは 何してもムダ!ヒトコト言わせていただく。さて私はといえば、虎視眈々、手ぐすね引いて今日を待っていた。ヘルメットはとっくの...

  • げんてい話。

    無駄な買物はしないつもりだけれど、弱点もある。それは期間限定の食品である。定番のお菓子やパンに、いつもは無い味を見つけると、つい買ってしまう。メーカーにとっても冒険だから、オイシイとは限らないが、その時だけならなんだこりゃ…ハハハ…ヘンなの…笑って済ませることができる。諸事いつも同じ、変わり映えのしない毎日に満足している冒険心のない私が、ゆいいつチャレンジ精神を発揮するのが期間限定商品なのだ。しかし...

  • こうかん話。

    時計の電池が切れたから、時計屋に行く。いつもお世話になっているお店だけど、前回、店主に修理を勧められて(→みかたの話。)以来、そのままなので、ちょっと敷居が高い。修理代が1万2千円かかるというのだ。思い出のある品物なら、いくらでも惜しくないかもしれないが、もらい物のあんまり好きじゃない時計に、そんな高額は…やっぱり払えないなァ…思いながらも、壊れた時計をなんとなくポケットに入れた。もう着けることもな...

  • くーぽん話。

    私は基本、割引に惹かれない人間である。1円2円の安さにつられ、チラシを見て右往左往するなんて時間と労力の無駄、と考えてきた。割高でも、必要なものだけを買う自分を誇りに思うし、また常にそうありたいと思っている。ところがその私がこのクーポンを手に、迷っている。サイフの整理をしていて、レシートとつながっているのを見つけたのだ。150円はなかなかの金額だがどーせ5千円くらい買わなきゃダメなんでしょ負け惜し...

  • こどもの話。

    いつも伺うブログ(→とっしーのつれづれ)で、懐かしい電車のレポートを拝見した。阪堺電車(はんかいでんしゃ)は、大阪南部を走る路面電車。チンチン電車と呼ばれ、明治以来100年以上親しまれてきた市民の足である。ずいぶん昔、今ごろの季節のこと。誰とどこへ向かっていたか、サッパリ思い出せないが、その日私は阪堺電車のシートの上にいた。春休みのお出かけらしい家族連れで、車内はほどほどに混んで…××@@%%%…!座...

  • てんどん話。

    昨日の夕飯は天丼だった。とても美味しかったのだが、反面釈然としない。そもそも、その店に入ったのは、きわめて日本人的な欲求に駆られたからであった。生のお魚が食べたい…近所の回転寿司が閉店して(→なくなる話。)以来、手軽に生魚を食べる機会が激減した。ここは和食だから、お刺身の定食があったはず、と、店頭の食品サンプルも見ないで飛び込んだ。店名や店構えは変わらないが、しばらく来ない間に、客席の配置が変わって...

  • さがした話。

    観光地でも都心でもない郊外の駅は、混雑とは無縁の、ノンビリ暖かい空気が漂っている。雰囲気につられ、ボンヤリと急行列車を逃してま、いっか…ホームの待合室に入った。次の急行は20分後だけど、急ぐ旅じゃない。バッグを膝にのせて、ベンチに腰をかけた。先客は60代くらいの女性ふたりで、お友だち同士らしく、並んでちんまり座っている。和やかにおしゃべりの途中、ひとりが何か説明しようとしたのか、ふと手を広げたとき…...

  • ヨメナイ本。

    私は絶版の文庫本を買い集める癖がある(→ケサレタ本。)。買った本はもちろん、読む。若いころから、読むのは速いほうだ。時間をかけて味わいたい本では、1日に読む頁数を決めたりゆっくり… ゆっくり…読み終わるのが惜しくて、自分に言い聞かせたり。やっと手に入れた絶版文庫、じっくり読みたいのはたしかだが、それにしてもはかどらない。読んでいると眠くなり…バタリ手から本を取り落してハッ!はじめて気づく体たらくである...

  • ケサレタ本。

    ちょっと前から探している絶版文庫がある。(消された男 フレドリック ブラウン著 創元推理文庫) シリーズ物のサスペンス小説で、全7作のうちの6作目。シリーズの他の作品が、同じく絶版でも数百円から、せいぜい3千円までなのに、どういうわけかこれだけが、やけに高価である。古書には往々にして、こういう謎の価格差があって、内容の面白さとは必ずしもリンクしない。むしろ、評判が悪くて部数が出なかったもののほうが高...

  • さわーの話。

    うちに帰ってテレビを点けうわーーーー!!!アナウンサーの絶叫で、日本の優勝を知る。へえ~ 大したもんだなァ…かんたんに夕食を準備し、リモコン片手にテーブルに着いた。当然といえば当然のことだが、どのチャンネルを回しても、野球ばっかりだ。どの選手も若い。オオタニはムスメと同い年だし、ムラカミやササキなんて、ムスコより年下である。ご両親のお喜びはいかばかりであろうか。このトシになると、選手本人より、親御...

  • はつねつ話。

    スーパーや商店の入口では、機械を素通りする人も増えてきた検温。依然としてしっかり検温されるのは、医院くらいのものである(→さいてー話。)。私の持病の通院は、毎月初に1回。異状ないことを確認してお薬をいただき、次の予約をとる。ところが今月はちょっと違った。通院日の朝、目覚めたらゾッと寒気がして、念のため体温を測ると37.1度。うっわ~ ビミョー…高熱ではないが、さりとて平熱とは言えない。今がこれでは、...

  • たいおん話。

    猖獗をきわめた新型ウィルスも、ようやく落着きを見せ、街に人が戻りはじめた。マスクをかけない人も増えたし、建物の入口に立つ消毒液も、もう見向きもされない。しかし、やりだすとしつこい性格の私は、あいかわらずシュッとやる(→しょうどく話。)し、サーモカメラには、律儀にオデコを差し出す。それにしても、こういうカメラ、じっさい引っかかるのは見たことが無い。熱があったらどうなるんだろう、とかねがね疑問に思って...

  • ひんじの話。

    ♪ふんふんふ~ん♪下段の本を取り出そうと、鼻歌交じりに書棚を開く。♪ふんふん…あれ?こっちか…反対側の扉を開けたときガタン!ええっ!何が起きたか、しばらく分からなかった。落ちた…なんと、正面のガラス扉が、外れたのである。よく見ると、2つある蝶番の2つとも壊れているではないか。買って40年近い書棚だから、金具も寿命が来たとみえる。困ったなァ…古いは古いが、けっこう高かった。買い直す余裕はないし、中にはギッ...

  • のらいぬ話。

    ちょうど今頃の季節だったろう、良く晴れた日曜日の朝。タバコを切らして買いに出た父が、帰ってきたと思うとオイ…オイ…お勝手にいる母を呼んだ。前掛けで手を拭き拭き、茶の間に顔を出した母にしばらく 子供らを出すな父はムッとした顔で告げた。え?なんでですの?いぶかしげな母に、父曰く表の道で 野良犬がつるんどる…まァいやだ!母が顔をしかめてチラッとこっちを見たので、マンガに熱中して聞こえない風を装う。父は父で...

  • どさどさ話。

    はー ヤレヤレ…疲れて帰った日の夕方、1日提げてまわったバッグを、リビングの真ん中にポスッと落とす。ジーッとファスナーを開け、逆さにしてどさどさどさ…中身を全部出した。サイフ、ケイタイ、家のカギなど、明日も必要なものを戻し、使ったハンドタオルは洗濯カゴへ。カーペットの上に残った丸めたレシート、アメの包み紙、歪んだゼムクリップなど、細かいゴミを拾い集めて、くずかごに捨てる。流行りの言葉で言えば、帰宅時...

  • がらがら話。

    粗大ゴミの回収日。出すつもりの不用品を前に、私は迷っている。いくつかのガラクタのうち、いちばんの大物が台車なのである。離婚して、子供ともどもこの家に来て以来、重いもの、かさばるものを運んでくれた。40代女性の必需品は台車女優イシダユリコ嬢がいみじくものたまった(→だいしゃ話。)通り、今日まで女手ひとつの生活の、大きな助けになってきた。ゴキゲン次第でやったりやらなかったりするグウタラ亭主より、よほど...

  • まにあう話。

    久しぶりにゆっくり寝坊した朝。今日はさしたる予定は無し、のんびりコーヒーを淹れる。マグカップを片手にカーテンを開ければ、空はうららかに晴れて、ネマキの上に1枚羽織っただけでいられる暖かさが、嬉しい。ひとり暮らしの気楽さ、テレビを点けるでなく、スマホを見るでなく、ボンヤリしていると… … …遠くで何かの音がする。?耳を澄ましたが、すぐに聞こえなくなったので気のせいか…気を取り直して、ボンヤリを続行してい...

  • トリテキ本。

    いつも拝見しているレツゴー一匹さんのブログの記事(→わたし日々、おもうこと。)で、鬢付け油の香りに春の訪れを感じる、とあった。相撲といえば春、というのは、大阪ならではの、めでたい感覚である。私の通った高校の近くにも、相撲部屋の合宿所があって、春先にはよく力士の姿を見かけた。おそらく練習…いや、稽古の行き帰りであったのだろう、汗っぽい乱れ髪の彼らは、鬢付けの香る力士、というより、普通の若者らしく見える...

  • いめるだ話。

    かつて私は日本のイメルダと呼ばれていた。むろん権力者の妻だったわけではない。履かない靴を山と持っていただけである。マラカニアン宮殿の靴置場よりはるかに狭い部屋に、箱に入った新品の靴が何足も何足も。バブル期、関西OLの靴は、原色の革にラインストーン、スパンコール。イナズマパンプスの異名を取るほど、それはそれはハデだった。ハデな靴を手に取れば、宝箱を開けるみたいにヨロコビが湧いて、それだけで元気が出る...

  • でんぽう話。

    私鉄の急行で隣県へ。ポカポカと暖かな日差しに、眠くなりだしたとき、その駅を通過した。デンポウ、というちょっと変わった名前の駅を降りたことは無いし、友人知人にも、ここにご縁のある人はいないけれどデンポウ…か…小さくつぶやいてみた。今から50年ほど昔、まだ海外旅行がめずらしかった時代。ハイカラ爺さんの祖父は、出始めのJALパックで、嬉々としてあちこちへ出かけた。身の回りの面倒を見るため、祖母もシブシブつ...

  • ぺっぱー話。

    食材にこだわりはないのに、なぜかコショウはずっと粒コショウを使っている。始まりはたしかカタログギフト。欲しいものがぜんぜんなくて、まあこれでいいか、と塩コショウ入れをもらったら、ゴリゴリ挽くタイプだったのだ。容器に合わせて中身を買うのもおかしな話だが、仕方なく粒コショウを買ってきて入れた。何年かそれを使って壊れたとき、たまたま中身の粒コショウを買ったばかりで、ひと袋がまるまる残っていた。粉のコショ...

  • ねいるの話。

    私の知る中で、いちばん華麗な手の持ち主は、週に1度来る人である。宅配便のドライバーにも、女性が増えてきた。重い品や大きい荷物は、あいかわらず男性が多い気がするが、小さな荷物では、女性の配達員さんもめずらしくない。中でもよく来るひとりは、30代後半くらいのかわいらしい人。いつも元気にテキパキと、頼んだ荷物を届けてくれる。彼女がいつも凝ったネイルをしているのだ。仕事の邪魔にならないように短めだが、色と...

  • WBCの話。

    オオタニが来ただの、初戦突破だの、テレビを点ければWBCの話題でもちきりだ。この件に関し、スポーツに関心のない私が、ひとつ頭を悩ませているのがWBCって他になかったか?ということ。世に言われるWBCは、World Baseball Classicの略であると百も承知だが、それとは別に、WBCと略されるものがあった気がする。仕事のときならともかく、こういうのはサッサと検索、とはいかない。うろ覚えの記憶をたどるのは、私の娯楽であり、ト...

  • むしくう話。

    私は要らないものはバカスカ捨てるくせに、ヘンなところで物持ちがいい。例えばこの紙キレ↓3cm×5cmのこの薄い紙片は、30年ほど前、クリスマスクラッカーから出てきた。まずはクリスマスクラッカーについて、説明せねばなるまい。クラッカーというと、中空に向けてポンと鳴らす円錐形のアレを思い浮かべる方が多いだろう。しかし英国のものはこういう形状で左右から引くと、真ん中からグリコのオマケ的なオモチャと、ジョー...

  • がいしょく話。

    ムスコは、家にいるときは汁かけ飯くらいしか作らなかったが、大学でひとり暮らしをして以来、今もマメに料理しているらしい。食べさせてもらったことは無いが、送ってきた写真を見る限り、うまく作っている。しかしムスメは、仕事の忙しさもあり、ほぼ毎日、外食で済ませていると聞く。どっちがいい悪いということではなく、何を食べても、健康で機嫌よく過ごせればそれでいい。きょうだいでも、それぞれだなあと思う。その母親で...

  • ぐるーぷ話。

    友人数人と、LINEグループを作っている。年代も住まいもバラバラで、新型ウィルスの騒動もあり、このところ休眠状態だったのだが♪ぺぽん♪中のひとりから、昨日メッセージが入った。皆さんお元気ですか?暖かくなってきたし、久々に集まりませんか?いいなあ、そろそろ誰かと会って、話したいと思っていたところだ。イイですね、と書きかけたとき♪ぺぽん♪誰かが返信した。おっ、誰かな?ウキウキとコメントに目をやるとお久しぶりで...

  • エイゴノ本。

    初めて1冊通して読んだ英語の本は、高校の授業の教材。主人公は、田舎の村に住む、仲良い2人の少年。1人は農家の、1人は漁師の息子である。貧しくとも平和な彼らの村を、ある日大きな災害が襲う。家族を失い、生き残った漁師の息子が、たくましく育ち、やがて親友の妹と結婚して一家を構えるまでを描いた作品であった。もともと子供向けらしく、文字数も少ない、薄い本だった。英語の先生がこの本を選んだ理由は、おそらくこの...

  • ながねぎ話。

    牛乳が切れたので、スーパーに寄る。食料品は生協の宅配を利用しているため、お店で買うのは久しぶりだ。レジに並ぶと、前も後も、私と同年配の女性だった。いっぱいに食品を詰めた彼女たちのカゴに比べて、スカスカのカゴが、ちょっと恥ずかしい。支払を終え、バッグに牛乳を入れながら、他の人の買物袋を興味深く観察する。中にひときわ堂々と、いかにもプロの主婦の風格を誇る女性がいた。全体のボリュームもさることながら、調...

  • しあわせ話。

    お昼を食べそびれた日。お腹がペコペコで、どこでもいい、チェーン店の定食屋に飛び込む。午後のヘンな時間の店内は空いている。上着を脱いで、タブレットを手に少々迷ったあとこの後 もう仕事ないんだよな…エイッとビールを注文した。飲食店のタブレットにも、いつの間にか慣れた。昼からビールなんて、ちょっと気がひける注文も、店員さんを気にせずに済むのはいい。やがて注文の品がテーブルに並び、さっそくオカズをつまんで...

  • あるじの話。

    うちのお雛さまは、ムスメの初節句に、母から贈られた内裏雛(→おせっく話。)。豪華な雛人形は、子供の成長に伴い、出さなくなってしまうことも多いようだが、うちのお雛さまは、こじんまり、小さなものである。しまうにも飾るにも手間をとらないのが幸いして、毎年取り出して飾っている。三宝にのせたひなあられを供えながら、フシギなもんだな、とふと思う。うちのお雛さま、なんて呼んでるけれど、この人形の主はムスメだ。私...

  • うしろの話。

    夕方のテレビ。ローカルタレントが街をウロウロする、いわゆる街ブラのコーナーだ。さっそく 聞き込み開始!なにやら書かれた厚紙を持たされたタレント氏は、通りかかった人に声をかけ始める。与えられたヒントから、目的地を探すようだ。これに限らず、タレントにあれこれ聞きまわって探させる企画をよく目にする。ただフラフラ歩くだけでは視聴者の興味をひかない、と考えてのことだろう。しかし、こういうロケーションは、気ま...

  • ちがった話。

    祥月命日だから、お墓参りに行きましょう、と母からの誘い。最寄り駅で待ち合わせ、霊園行きのバスに乗る。空はうららかに晴れて、芽吹き始めた山がみどりにけむるようだ。父は生前、とくに晴れ男ではなかったが、墓参の日はなぜかよく晴れる。手桶の水はまだ冷たくて、ヒャー、キャーと騒ぎながら掃除をし、庭から切ってきた花を活けた。線香の煙がほそく立ちのぼったら、ならんで殊勝に手を合わせメイちゃん志望校に受かりますよ...

  • つうじぬ話。

    外国人観光客も、ずいぶん戻ってきた。改札を通ろうとしたら、見上げるような背の高い人が、窓口の駅員さんに何か言っている。困っているならお手伝いしようかと、それとなく耳を澄ましたら…なんですけど どっちが早いですかね?私なんかよりよほど流暢な日本語だったから、ホッとしてホームへの階段へ向かう。この20年ほどの間に、日本語ができる人は増えたなあと思う。私が在外生活を送ったのは、30年ほど前。SNSやインター...

  • あしつる話。

    ううう…いててて…早朝の薄暗い部屋に、地鳴りのように響く呻き。起きようとしたら、足がつったのだ。その時でんばあ、すこしも慌てず。こんなこともあろうかと、エアーサロンパスを置いてある。ふくらはぎにシュッと吹き付ければ、じきに…ア!イタタタ…!なんたることか。あらたな激痛が私を襲った。枕元に手を伸ばした拍子に、こんどはわきの下がつったのである。万事休す!もはや打つ手はない。寝床の中で硬直したまま、徒に時が...

  • さっぱり話。

    今日も今日とて、作る気もない料理番組を鑑賞。画面いっぱいに泡立てた生クリームが映って、あ、美味しそうと思ったらレモンのしぼり汁を加え サッパリと…生クリームがアッサリといただけて…サッパリ、アッサリが好きな人だなあ。クリームなんて、そもそもコッテリしたものなのに、手を変え品を変えサッパリさせられて、当の生クリームもさぞかし無念であろう。最初からオレなんか 入れなきゃいいじゃん…クリームはそう思ってい...

  • まぐぱい話。

    家にいる日に雨が続き、洗濯物が溜まっている。予報を見たら今日は晴れるようなので、洗濯機を回した。ぴー ぴー ぴー…1回めが終わった音。まだまだ洗濯物は残っているから、いそいで干して次を回さないといけない。ネマキに上着をひっかけただけの、世にもひどい格好で、コソコソとベランダに出た。…カシャカシャカシャカシャ…誰?!時ならぬシャッター音に身をすくめる。こんな格好が写真に撮られたら、私の女優生命はオシマ...

  • ぽんずの話。

    月に1度の資源ゴミ回収。アルミ缶やペットボトルはスーパーのリサイクルコーナーにも出せるが、ガラス瓶の回収はこの日だけなので、忘れないようにビン!!!カレンダーにも赤く印をつけてある。早朝なので、ガチャガチャ音をたてないよう、1本1本回収用のコンテナに入れていたら…アッまたあのポン酢!思わず小さく声に出た。鍋物を食べることの多い冬場、ポン酢のビンはけっして珍しいものではないけれど、ときどき気になるビ...

  • にはつの話。

    …っっくしょい!…っぶゎっしょい!朝起きて窓辺に寄れば、春先の熊も逃げ出しそうな、クシャミが2発。このところの私の日課である。時期的に花粉症と思われるが、検査や診断はとくに受けていない。50代に差し掛かって、それまで無縁だった花粉症の症状が現れた(→かふんの話。)ときには、来るものが来た感じだった。周囲にたくさんいる、花粉症患者の嘆きは、既に十分すぎるほど耳に入っている。なにごとにも最悪の予想をする...

  • ネコノヒ本。

    ある年のクリスマスにもらった1冊の本。それはイギリスの田舎町に住む、動物の言葉を話す獣医さんのお話(→ドリトル本。)だった。風変わりな設定を淡々と描く筆致と、特徴ある挿絵に、私は夢中になった。惜しみ惜しみ読んでも、あっという間に終わったお話の続きを求めて本屋に行くと、嬉しいことに全部で13巻もある。それからはお誕生日に1冊、お年玉で1冊と買いそろえ、おいしい水を飲むように読み進んだ。犬やアヒル、チ...

  • やまとの話。

    手伝ってほしいことがあるんだけどある日学校が引けた後、カナエちゃんが言うので、ついて行った。はじまっちゃう!ちょっと急いで!小走りに稲刈りの済んだ田んぼを抜けて、着いたのはカナエちゃんのお家。前に来た時は、ナカジマミユキのモノマネをやらされた( →みゆきの話。)。今度は何をさせられるのだろうと警戒していると、テレビのあるリビングルームに通されハイこれいきなり手渡されたのはカメラだった。彼女自身もも...

  • むごんの話。

    新型ウィルス流行による、外出自粛をきっかけに、美容院通いをやめ、千円カットで済ませるようになった(→かっとの話。)。女性には未経験の方も多いかと思うので、工程を紹介しておこう。まず、クリップボードにはさんだ受付表に名前を記し、券売機でチケットを購入して待つ。順番が来たら名前を呼ばれ、指定された席について、カットがはじまる。15分かそこらでカットは完了、シャンプー代わりの掃除機で切り屑を吸われたらも...

  • ゆうとう話。

    諸式高騰の折柄、電気代と並んで多く話題に上るのは玉子である。毎週生協で買う玉子も、10個パックで5~60円は値上がりしている。私などビンボー人にとってイタい打撃であることはたしかだが、そもそも安すぎたよな~、という気もする。つい忘れそうになるけれど、玉子は工場でガチャガチャ機械を動かして作るものではない。生きた鶏がウーンと頑張っても、1日1個しか生めないのだ。そう考えると、安売で1個10円なんて、...

  • そくねつ話。

    ホットカーペットの電気代がバカにならないと知り、さらに節約を考え始めた。いかに快適とはいえ、畳2枚分温めるのはやはりもったいない。要は乗っかっている足の裏だけが暖かければいいのだ。そういえば10年ほど前、発泡スチロールの箱で暖を取っていた(→まじんの話。)ことがある。電気代もかからず快適であったが、立ち上がるときによろけて、バリンと踏み割ってしまい、残念ながらお払い箱になってしまった。またやろうか...

  • せつやく話。

    電気料金が上がっている。テレビのニュースで見た、オール電化のお宅では、月に10万円余りの請求に目を疑ったという。ひとり暮らしだし、ガスも使うので、10万はしないだろうが、今月の請求額をドキドキしながら確認した。アレ?予想したより高くない。いや、なんなら去年より、ちょっと安いんじゃないか?寒くない、わけはない。現に、ガス代のほうはうッと声が出るほどの請求が来ている。在宅日数は同じだし、生活も変わらな...

  • おでんの話。

    立春を過ぎてもまだまだ寒い。こんな日はおでんが食べたくなるが、1人暮らしになってからはすっかりご無沙汰だ。子どもの頃のおでんには、コロという謎の物体が入っていた。カボチャの薄切りみたいな扇形に黒い縁取りがあり、白くてベロベロして、味らしい味はない。噛めば噛みきれるけど、柔らかさの中にヘンテコな粘っこさがあって、無味の奥の遠~いところに肉の仲間らしきケモノ臭がする。ヘンテコリンなものだが、ヘンなもの...

  • たんいの話。

    去年母に持たされた豆(→まめまめ話。)を、炒って節分に撒いた。広からぬ陋屋には多すぎて、まだ残っている。どうやって食べたもんか、レシピ検索をしたら、とたんにウンザリした。チマチマ細かいことが気になる私だが、どういうわけか料理だけは、大胆な目分量主義。そのテキトーぶりは、時々ご披露しているチャレンジクッキング(→カテゴリ・ちゃれんじ)で、おおよそ見当がつくと思う。小さじ1/2とか、250グラムとか、考...

  • みっこの話。

    アラ?かわいい!作業中のコタニさんの手元を見て、ミヨシさんが声を上げる。何の缶でしたっけ…あ、そうそうクルミッコ!あ、あれ、おいしいわよね~お菓子の名前を聞きつけて、おいしいもの好きのムラカミさんもやってきた。おいしいお菓子の缶を道具入れに使っている当のご本人はそうなの?これ、娘がくれて…あら~ いいお嬢さん!ホントに~!よくないのよ~!なぜかあまりうれしそうではない。なにか入れ物ないかしら~って ...

  • たたかう話。

    事務所の御手洗が新しくなって、新式の便器が入った。電気をつけてドアを開けるとよくこそ来たれり!とばかりに、勝手にフタが開く。新しいもの全般にまず反感を抱く癖のある私は、この時点でフタぐらい自分で開けらあ!すでにまあまあムカついているのだが、もっと腹が立つのは事後である。用を済ませ、ホッとして座を立ち、振り返って水を…じゃー!レバーに手を伸ばした、まさにその瞬間に、ことわりもなく勝手に水を流しよるん...

  • あげあし話。

    仕事の道具を検索していたら、新製品が出ているのが分かった。従来品より割高になるが、なかなかよさそうだ。会社のHPで使用例の写真を見ていたら、誤字があった。よくあることだが、達の字の中が幸になっている。私は間違いの多い人間であるが、だからこそ他人の間違いにもよく気がつく。教えてあげた方がいいかもしれない、と考え作例の「友達」の達の字が1画足りません…お客様の声のページからメールをしておいた。翌日、さっ...

  • じしゃくの話。

    百円均一の前を通ったので、思いついてマグネットを買った。今使っているフックの磁石が弱くて、ちょっと重いものをかけるとポロッととれるのだ。超強力!の文字が頼もしい、新しい磁石をバッグに入れかけて待てよ…ふと手が止まる。バッグの中のサイフには、各種カードが入っている。持物の中でも抜群に高価な精密機器である、スマートフォンもある。それらに超強力!がくっついたら、非常にマズいのではないだろうか。理屈はわか...

  • おしえぬ話。

    空模様が気になって、自転車はよして、バスで出かけることにした。バス停の列に、ここで時々見るジイサンがいる。人相風体、ごく普通なジイサンに注目する理由はこの人がいつも、このタイプのマスクを箱から取り出したこの↑形のまま、マチを広げずに顔にかけているからである。覆う範囲の狭さとしては、アイマスクを口にかけた状態をご想像いただきたい。本来の機能をまったく発揮していないマスク、これではメーカーもさぞかし無...

  • じろじろ話。

    やりだすとしつこい性格の私は、昨日に続き、よそ様のリュックサックをじろじろ見ている。眺めていて気がつくのは、肩紐のねじれだ。紐というには幅の広い、厚いパッドのついたベルトが、よじれたまま背負っている人を見るとちょっとシツレイ…手を出して直してやりたくなる。肩の感触で気づきそうなものだが、平気でいる人も多いから、意外にわからないのかもしれない。リュック導入したら アタシは気をつけよう…ひとり勝手に心に...

  • りゅっくの話。

    昨日のニュースで、捜査員の背中に注目した(→よそごと話。)には、理由がないこともない。このごろ、リュックサックに目が行くのだ。私はふだんショルダーバッグを使っているが、今後を考えれば、安全のため、両手の空くリュックに切り替えねばならぬ、と思っている。しかし、高齢になってはじめて背負っても、使いこなせないだろう。じっさい、わが母おばーちゃんも、お友だちに勧められてリュックにしたものの、財布やカードを...

  • よそごと話。

    私は昔、常にボーッとして、余計なことばかり考えている子どもでまたよそ事に気をとられて!母にオシリをつねられては、ハッと我に返る、を、性懲りもなく繰り返していた。三つ子の魂百まで。大人になっても、その性分は変わらない。…相次ぐ広域強盗事件で…4人を日本に移送するため…捜査員がフィリピンに向け…ニュースを見ながら、私はまたぞろ、ぜんぜん違うことを考えていた。出発する警察官の後ろ姿にみんな黒いリュックしょっ...

  • あをがき話。

    まず虚心坦懐にこちらをご覧いただきたい。単色の濃淡で、変化ある繊細な縞模様が描かれていて、地味だけどキレイだな、と眺めたのは地元の生協で配布している無料の冊子の表紙。店舗でも自由に手に取れるし、共同購入の商品と一緒に、月に1度配達されてくる。おすすめレシピやお便りコーナーのほか、取扱い商品の生産現場のレポートが興味深くて、けっこう楽しみにしている。先月は清見オレンジの栽培農家さんのレポートで表紙も...

  • ねがてぃぶ話。

    キタバタケさんは、ごく普通の中年女性で、言葉つきも穏やかな、優しい感じの人だ。何をされたわけでもないし、取り立てて言うほどのエピソードもない。それなのにネガティブな印象が拭えない。理由もなく人を嫌うのは、嫌う側としても不愉快なものである。今日は朝からLINEが入っている。もちろん用事があって送ってきたので、彼女に非はないのに、ウンザリしてしまう自分がイヤだ。短いメッセージをやりとりするうちに、ふと小さ...

  • みかたの話。

    宝飾品はほとんどつけないが、安物の腕時計を、代わる代わるつけている。あまりつけていないのを出してみたら、針が止まっていたので、電池交換に持って行った。いつもの時計屋の、いつものオヤジさん。店の奥の囲いの中に、時計を持って消えたと思うと、しばらくして故障だねぇ…メガネをオデコにずり上げながら現れ電池じゃなくて ムーヴメントの交換になるね それだとおいくら…1万2千円だね!550円の電池交換のつもりで来...

  • まめまめ話。

    ここ10年ばかりで全国にはびこりだした、恵方巻とやらの流行には頑として背を向け続ける(→せつぶん話。)私だが、マジメに豆は撒く。とはいえわが家は集合住宅であるから、あまり景気よく投げるというわけにはいかない。鬼は外1に福は内が9、という内向き重視の豆まきになる。豆くらい好きに投げれば?おばーちゃんは言う。下の階にも迷惑だから、と説明しても、ピンと来ない様子で外に投げる方が 気分もいいじゃない共用部...

  • はねつき話。

    テレビ画面いっぱいにギョーザが映ったのでそういえば最近 ギョーザ食べてないな…ふと思った。以前は私は中身だけこねて、子供に包ませていたので、ギョーザは手抜きメニューであった。1人暮らしになってからは、もっぱら外食か、冷凍食品である。その冷食を、あまり食べなくなったのはハネのせいである。羽根つきギョーザというものが流行りだしたのは、何年くらい前だろうか。気づけば冷食にまでこんな商品がのさばりだした。...

  • おちゃする話。

    午後3時の事務所。ちょっとお茶しようか、と声をかける人がいて、仕事の手を休めた。カチャカチャとカップの触れる音。コーヒーメーカーのコポコポが切れるころ、どこからともなく、いくつもお菓子の箱が出て1月ももう終わりか~ 早いね~…って あー今年は言わないつもりだったのにィつい言っちゃうね 毎年なのにね言ったら罰金にする?ハハハ…次のお菓子買ってきてもらおっかアラ懐かしい…なんだっけ エンゼルパイ?ちがう...

  • さえない話。

    あいかわらず寒さは続き、私の毎日は冴えない。不幸が無いだけありがたい、と思うべきだろうか。それにしてもパッとしないのである。今朝は腰のあたりにアヤシイ気配があったので、シップを貼った。少し迷ったが、せめてもの景気づけに、高いほうのシップ(1枚100円)にしよう。貼ってすぐわかる、さすがのフィット感と、ぽかぽか温熱効果。やはり 高いだけのことはある…シップの違いが分かるオンナは、腰の不安が無くなって...

  • 0と8の話。

    老眼かも、と思ったのは、50代のはじめ、ブログを始めて間もないころ。(→よろしく話。)以来かれこれ10年になろうというのに、今までほったらかしている。とはいえ、ぱとばの区別がつきにくいくらいで、あまり不自由はない。仕事で細かい作業もするのだが、今のところ精度に問題は無いようだ。往生際が悪いという声が、四方八方から聞こえるが、老眼を認めるのにやぶさかではない。今年60のオバハンが、そこだけ意地を張っ...

  • やまやく話。

    天候は不純だし、体調を崩すし、どうも最近パッとしない。今日はまた、土曜なのに仕事である。やっと終わって街に出ると、どこから繰り出したか、やけに人出が多い。寒いなかわざわざ ご苦労さんなこって…新型ウィルスの騒動でめっきり減っていた観光客がまた増えるのは、地元のためにはよいことなのだろうが、疲れた時はつい、ヒガミっぽくなる。お腹が減ったけど、きっとどこも混んでるだろう。こんな日はさっさと帰るに越した...

  • ふくろの話。

    以前は買物の紙袋を溜めこんでいた。店から家まで持って帰るのに使っただけで、まだパリッとした大判の袋を、すぐに捨てるなんて、ケチで貧乏性の私には無理なのだ。大した使い道があるでなし、死蔵しては古びさせて捨てるという、不毛な作業の繰返しだった。ところが、この2年で、状況が変わった。自治会の回収業者が変わって、古紙を縛らず、紙袋に入れて出せるようになったのである。後生大事にしまいこんでいた紙袋に、ギュー...

  • らっきょの話。

    体調が戻ったことを、朝のコーヒーで実感した(→めーたー話。)ら、今度はカレーが食べたくなった。よし、おひるはレトルトカレーにしよう。カレーのお供はラッキョ。甘い福神漬より、ピリッとする小粒をパリパリ噛むのが好きだ。久しぶりのカレーライスは、再放送のドラマに目をやるのを忘れるほどおいしい。…ふう…残り少なかったラッキョの、最後のひと粒をぱりんと噛んで飲み込んだら、食事は終わり。満足してお腹を撫でながら...

  • めーたー話。

    …母に電話して無事を確認してから、コーヒーなど飲みつつ…昨日の記事(→かんぱの話。)を読み返してあ、コーヒー飲んでた…いまさらながら気がついた。コーヒーを飲むのは長年の習慣で、朝起きると、ほぼ無意識にコーヒーメーカーに豆をセットし、スイッチを入れる。例外は、体調のよろしくないとき。そもそも安物のコーヒーが、てきめんにマズくなってあ~ ちょーしわり~…具合が悪いと淹れる気すら起こらないから、コーヒーを飲...

  • かんぱの話。

    10年に1度の寒波襲来。(写真は5年前の雪の奈良公園)温暖な当地でも、昨夜は怖いような風が吹き、すこしだが積雪もした。今朝は空が青く晴れたから、うっすら積もった雪などすぐに解けるかと思いきや、昼前になっても残っているのは、気温が低いのだろう。朝いちばん母に電話して無事を確認、コーヒーなど飲みつつあの子らどうしてるかな…離れて住む子供のことを考えた。ムスメは昨年、職場に近いアパートに引越したから、た...

  • あいであ話。

    あいかわらず体調はイマイチだ。食は健康の源、まずそこを何とかせねばならぬ。取りいだしたるは伝家の宝刀ならぬおなじみのダラスケこと陀羅尼助丸である。(→だらすけ話。)怪しくも真っ黒な丸薬を毎食後20粒。私の健康はだいたいこれで保たれてきた。ところで皆さま、こちらにご注目いただきたい。ひとビンにひとつ、必ず添付されているお匙。冒頭の画像でも、ビンと外箱の間にシレッと映り込んでいるこれ、あらためて眺めて...

  • チョットノ本。

    エッセイや記事のカテゴリに「ちょっといい話」というのがある。にほんブログ村(↑はい、これですね)雑誌の見出しに「○○のちょっといい話」などとあるのを、見たことがおありだろう。この、ごく普通に思える言い回しに原典があるのをご存じだろうか。その著者を、最初に知ったのは推理小説。小説誌の批評欄で、クイーンの「Xの悲劇」と並んで、「日本のドルリー レーン」と紹介されていたのをきっかけに、作品を手に取った。シェ...

  • しんろの話。

    早いもので、小さかった姪っ子も大学受験。イモートは、自分はサッパリ勉強しなかったくせに、いっぱしの教育ママなので、メイちゃんも、きっとどこかいい大学に入れるだろう。そんな風に私はちっとも心配していないのだが、それじゃ済まないのがおばーちゃんである。メイちゃん 数学が苦手らしいわ…国立は受けないみたい…繰り返し言うものだからママも数学苦手だったからね~パパも私学だから 私学志望なんじゃないの同じように...

  • ばいきん話。

    今日、私は絶不調である。ここ数日の冷え込みに加え、オデキの治療のため、飲んだ薬のせいだと思う。耳鼻科を受診すべきか悩んでいた(→ゆううつ話。)が、皆さまの賢明なるアドバイスで、皮膚科を受診したまではよかった。子供たちもお世話になった皮膚科の先生は優しくて、処方してくださった薬もよく効いた。もらった薬は化膿止めの抗生物質、つまりはバイキンをやっつける薬である。暴れていたバイキンがやっつけられたからこ...

  • かんきの話。

    某日某所。私はユデダコのように真っ赤な顔で、会議に参加していた。発言しなければいけない気がするが、のぼせた頭がぼうっとして、何も考えられない。理由は明白、厚着のし過ぎである。朝、家を出るときそうだ あの会場サムイんだよな~前回同じ集まりに出たときのことを思い出した。ヒューヒュー寒くて、ブルブル震えて、満足にメモも取れなかったのだ。あれじゃあ出席する意味がない。寝室に引き返して、極暖と銘打った下着に...

  • いっとう話。

    年賀ハガキで、切手が3枚当たっていた。仲良しさんからのハガキは、だいたい当たらない。今年当たったのも、昔の同僚と、大学時代の友人、仕事関係の業者の3枚だった。この友人とはもう何十年も会わないから、今年は出すの止そうか、と考えたのを思い出し、すこし申し訳ない気分になる。長い人生、当たる方では切手ばかりだが、1等を当ててやったことはある。送ったハガキが1等だったのである。なぜ、そんなことが分かったか。...

  • ぬーどる話。

    子供の頃は、土曜日はお昼までの半ドンだった。給食がないから、お昼ご飯はうちで食べる。母が外出するときは、食事は準備しておいてくれるのだが、高学年になると、たまーに出はじめのカップ麺が置いてあることがあった。ヤカンでお湯を沸かせるようになったからだ。小学生が親の留守にガスを使うなんてけっこうドキドキだが、電子レンジもコンビニもない時代はそんなものである。めったにないことなので、食卓にイモートと私の分...

  • ぱらぱら話。

    生活全般フマジメな私だが、防災対策だけはわりにマジメだ。家具の転倒防止は言うに及ばず、ガラスには飛散防止のフィルムを貼り、懐中電灯の電池の残量も点検を怠らない。食料は、一般的な買置きのほか、3日分の水と、フリーズドライの米飯を備えている。お湯でも水でも戻せて、食器無しで食べられる便利さ、軽くて場所を取らず、賞味期限は5年、という理想的な非常食である。ただなんというかアレなのはお味のほう。ここまで軽...

  • ゆううつ話。

    ここ数日、私はガラにもなくユウウツである。最初はちょっとした突起だった。朝、髪を整えるとき、指先に触ったので、なんの気なしにポリッと掻いたあと、忘れていた。夜、お風呂でそこに触れてみたら、なんだか大きくなっている気がする。翌朝にはもうハッキリと、オデキと呼べるサイズになっていた。お医者に行かなきゃ…すぐに思ったものの、問題はその場所。プクッとふくれたオデキは、耳の穴の入口にあるのだった。うーん 耳...

  • ほじった話。

    ぱこーん… ぱ・こーん…中学校のグラウンドを通りかかったら、のんきな音が聞こえてきた。テニス部の練習らしい。ここの生徒は以前はいた~ いと~!意味不明の掛け声を出していた(→てにすの話。)が、顧問が変わったのか、最近は聞こえない。アタシがテニス習ってたって 知ってる?いつぞやムスコに言ったときもうっそだろ!1ミリも信じてもらえなかったが、本当である。それはまだ小学生のころ。自分で習いたいと言った覚えは...

  • カレーノ本。

    土曜の朝はチコちゃん。カレーの匂いをかぐと カレーが食べたくなるのはなぜ?そういえば、以前はよく、お隣の夕飯の匂いにつられてカレーを作ったな。(→しんくろ話。)あれも実は、身体がカレーを欲していたのか。ホントかなァ?と検証の結果に首を傾げつつ、また別のことを考えた。カレーの匂いをかいで、カレーだと分かるのは、カレーを食べたことがあるからだ。しかし世界には、カレーを知らない人が、われわれの想像以上に...

  • ぷちんの話。

    私はケチで物持ちのいい人間であるが、それは家電や衣類に限らない。金融機関なども、ずっと昔のままだ。クレジットカードは新卒入社直後に作ったものだし、そのころ会社に来ていた営業レディーに勧誘された生命保険に、まだ加入している。そのカードや保険の決済口座もずっと同じ。何度も引っ越したので、行く先々では不便もあったけれど、銀行は変えなかった。かれこれ40年、同じ口座になけなしのお金を入れたり出したりしてい...

  • いんすた話。

    インスタグラムのアカウントを開設した。あらゆる流行りものに乗り遅れる私としては、異例の早さである。職場がインスタを使った情報発信を始めたので、チェックするように言われたからだ。若い人に教わった通り、まずは職場のアカウントをフォロー。物珍しくアチコチ触っていたら、偶然イモートのインスタを見つけた。匿名でやっているのに、ちゃんとあの子のしわざとわかるのが、姉妹の恐ろしさ。新春の和菓子 お抹茶でいただき...

  • ひらいた話。

    昔の鏡開きは大変だった。カッチカチに乾いたでっかい鏡餅は、少々叩いたくらいでは割れないのである。父が、膝の前にババアのカカトのようにひび割れたお餅を据え、トンカチやらマイナスドライバーやら、物騒な道具で割る姿をうっすら覚えている。パックのお餅が主流の今となっては、およそ考えられない行事だ。ところ変わって、職場のお昼休み。朝ごはんにお餅を食べてきた人が何人かいてあー、まだ食べなきゃ お正月の残り…ち...

  • みんなの話。

    サイバー攻撃を受けてダウンした(→こーぷの話。)生協のシステムも、徐々に復旧している。ネット注文のサイトも、元通り使える。お買物のページだけじゃなく、お料理のレシピ動画や、誰が読むんだという特集記事も復活した。例えばこんなの。(ちなみに答えは水戸黄門だそうです)ラーメンの歴史やご当地ラーメンの紹介、ラーメンの豆知識が並び、最後にはクリックで生協取扱の商品に飛べるようにできている。はたしてこの記事で...

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