このサイトは、これまで携わってきた講義や研修で使用してきた資料を基に加筆修正し作成しています。工学基礎の勉強に活用して頂けると幸いです。初学者にも馴染めるようになるべく平易に解説しているつもりです。
簡単な現象論的モデルは1階微分方程式になることが多い。1.放射性元素の崩壊放射性元素は一定の割合で崩壊するので、次の1階の微分方程式でモデル化される。$$\frac{dN}{dt} = -\lambda N \;\;\;\; (\lambda \gt 0 )$$ここで、\(N\)は時間\(t\) における放射性原子の数、\(\lambda\)は崩壊定数。この方程式は指数関数的減衰を示し、解は$$N(t) = N_0 e^{-\lambda t}$$である。なお、半減期(半減
常微分方程式(Ordinary Differential Equation:ODE)は、未知の関数とその導関数を含む方程式のことである。常微分方程式は、関数の変化を記述するために使われ、しばしば時間や空間など、1つの独立変数に対する関数の変化を扱う。物理学、工学などの多くの分野で、自然現象やシステムのモデリングに利用される。ニュートンの運動方程式ニュートンの運動方程式の1次元の場合を考える。質点\(M\)の質量を\(m\)、\(M\)の運動の加速度を\(a\
ガンマ関数ガンマ関数は、自然数に対して定義される階乗の概念を連続数に一般化した関数である。ガンマ関数は複素数の実部が正の領域において定義され、特に実数の範囲で広く利用される。ガンマ関数の定義ガンマ関数\( \Gamma(\nu)\) は、複素数\(\nu\) の実部が正のときに次の定積分で定義される。$$\Gamma(\nu) = \int_0^{\infty} x^{\nu-1} e^{-x} dx \;\;\; \cdots (1)$$この積分は \
正則な複素関数のテイラー展開初等関数\(1/(1+x)\)のテイラー展開は、$$\frac{1}{1+x} = \sum_{n=0}^{\infty} (-1)^n x^n \;\;\; \cdots (1)$$である。複素関数の場合、\(f(z)\)を点\(z=a\)の近傍で正則な関数とすると、式(1)の\(x\)が複素数でも成立するので、$$\frac{1}{\zeta -z} = \frac{1}{\zeta -a} \cdot \frac{1}{1 - \f
解析関数とは、ある点の近傍で無限回微分可能であり、かつその点におけるテイラー展開がその近傍で収束するような関数のことを指す。複素変数\(z\)の関数\(w = f(z)\)が微分可能なとき、すなわち、$$\lim_{\Delta z \to 0} \frac{\Delta w}{\Delta z} = \lim_{\Delta z \to 0}\frac{f(z+\Delta z) -f(z)}{\Delta z} \;\;\; \cdots (1)$$が存在するとき、\(
ある区間で連続な関数は、その区間において\(C^0\)級であるという。同様に、ある区間で\(n\)回微分可能で\(n\)階導関数が連続な関数は、その区間で\(C^n\)級であるという。何回も微分可能ならば\(C^{\infty}\)級である。\(f(x)\)を点\(x=a\)を内部に含む微小な閉区間\(N(a)\)で\(C^{\infty}\)級の関数とする。$$\int_a^x f(\tau)d \tau= F(a) - F(a)$$(\(F(x)\)は\(f(x)\)の
積分の定義は、微分の逆演算と関数のグラフをヒストグラムの極限と見た時の面積という2つの面がある。※微小量、微分の記法などについては、 4. 微分(微積分学)を参照願います。微分の逆演算としての積分\(F(x)\)の導関数(\(F(x)\)を微分したもの)が\(f(x)\)に等しい時、前者を後者の原始関数(もしくは不定積分)といい、$$F(x) = \int f(x) dx$$と書く。定数の微分は\(0\)、また、定数でない関数の微分は\(0\)にならない。よ
微分法ニュートンは、瞬間における速度や加速度を定義するために微分の概念を導入した。時間の関数をグラフに描いたとき、その曲線への接線の勾配を微分係数という。ライプニッツは、独立変数の微小変化に対する関数の変化の比率を考えた。その極限を微分商という。両者は同じものとなるが、その用語は微分概念の2つの側面を表している。図1 微分係数初等関数のような普通に考える関数\(y=f(x)\)は、ほとんどの点で微分可能である。つまり、$$\lim_{\D
初等関数(elementary function)とは、数学において基本的でよく知られた関数の総称で、以下のような関数が初等関数として挙げられる。1.多項式関数(代数関数)(例:\( f(x) = x^2 + 3x + 2\))2.指数関数・対数関数(例: \(f(x) = e^{x},\;f(x) = \log(x)\))3.三角関数(例: \(f(x)=\sin(x), \; \cos(x),\; \tan(x)\))4.逆三角関数(例: \(f(x) = \ar
IIR(Infinite Impulse Response)ディジタルフィルタの設計では、確立しているアナログフィルタの設計理論を利用する。まず、アナログフィルタの伝達関数\(G(s)\)を設計し、その後何らかの変換法を利用して、ディジタルフィルタの伝達関数\(G(z)\)を求めるという方法が一般的である。代表的なアナログフィルタのタイプとして、バタワースフィルタ、チェビシェフフィルタがある。以下に振幅特性の概要をまとめる。バタワースフィルタバタワースフ
目標値がステップ関数であるサーボシステムの構成として、積分型最適レギュレータがある。これは、入力\(u(t)\)はできるだけ緩やかに変化させながら制御対象の出力\(y(t)\)と一定目標値\(r(t)\)との誤差\(e(t)\)をできるだけ速やかに零に収束させようとするものである。連続時間系に対する積分型最適レギュレータ図1 積分型最適レギュレータのブロック線図図1に連続時間系に対する積分型最適レギュレータのブロック線図を示す。制御対象には状態フィー
現代制御理論における最適レギュレータは、制御対象の状態を評価関数と呼ばれる指標に基づいて最適な状態に導く制御システムで、状態フィードバックを用いて制御し、評価関数の最小値となるようなフィードバックゲインを決定することで実現する。最適レギュレータは、以下の要素で構成される。・制御対象: 制御対象となるシステムは状態方程式で表される。・評価関数: システムの状態を評価する指標で、状態の2乗和や制御入力の2乗和などを用いる。・状態フィードバック: システムの状態量をフィードバック
最適レギュレータは、制御理論において、システムの状態を効率的に制御するためのフィードバック制御法である。システムの性能指標(評価関数)を最小化しつつ、システムの安定性や性能を最適化することを目的とする。最適レギュレータ問題離散時間系の制御対象を$$x(k+1) =A x(k) + b u(k) \\ y(k) = c x(k) \;\;\;\;\;\;\;\;\;\;\;\;\;\cdots \cdots(1)$$とするとき、評価関数$$J= \sum_{
可制御、可観測の双対性可制御性と可観測性の双対性とは、これらの2つの性質が密接な関係を持っていることを意味し、システムの可制御性に関する問題を、対応する「双対」システムにおける可観測性の問題に置き換えて考えることができるということを意味する。双対システムは、次のように定義される。・元のシステムの行列\(A\)に対して、双対システムのシステム行列は\(A^{T}\)。・元のシステムの入力行列\(b\)に対して、双対システムの入力行列は\(c^{T}\)。・元のシステム
離散時間システムの状態フィードバック制御離散時間システムが、$$x(k+1) = \begin{bmatrix} 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 1 \\ 0 & 0.4 & 0.3 \end{bmatrix} x(k) + \begin{bmatrix} 0 \\ 0 \\ 1 \end{bmatrix} u(k) \;\;\; \cdots (1)$$ において、$$u(k) = - \begin{bma
離散時間システムの可制御、可観測条件連続時間システムの状態方程式が、$$\frac{dx}{dt} = \begin{bmatrix} 0 & 1 \\ -1 & 0 \end{bmatrix} x + \begin{bmatrix} 0 \\1 \end{bmatrix} u \\ y = \begin{bmatrix} 1 & 0 \end{bmatrix} x$$のとき、これを離散時間システムにしたとき、可制御、可観測となるための条件を
離散時間システムの安定性の基準離散時間システムの特性方程式のすべての根(固有値、伝達関数の極)が単位円の内側に存在する場合、そのシステムは安定である。特性方程式の形は次のように表される。$$\phi(z) = a_0 z^n + a_1 z^{n-1} + \cdots + a_{n-1} z + a_n=0 \;\;\;(a_0 \gt 0) \;\;\;\; \cdots(1)$$ここで、\(z\) は複素数で、特性方程式の係数\(a_i\)に基づいてシス
図1 離散時間制御系$$P(s) = \frac{1}{s+1}$$の1次系とする。*図1において、0次ホールドを使用して離散化した\(P(s)\)を求める。$$P(z) = (1 - z^{-1})\mathcal{Z} \left\{\frac{1}{s(s+1)} \right\} = (1 - z^{-1})\mathcal{Z} \left\{ \frac{1}{s} - \frac{1}{s+1} \right\} \\ =\frac{z-1}{z} \
離散時間システムのインパルス応答離散時間伝達関数が、$$G(z) = \frac{z + 0.3}{z^2 - 0.7z +0.1}$$のシステムのインパルス応答を求める。解法1:$$G(z) = \frac{Y(z)}{U(z)} = \frac{z + 0.3}{z^2 - 0.7z +0.1}$$なので、$$Y(z)(z^2 - 0.7z +0.1) = U(z)(z + 0.3) \\ Y(z) (1 - 0.7z^{-1} + 0.1 z^{-2} = U
連続時間伝達関数の離散時間伝達関数への変換(1)\(G(s) = \frac{K}{s}\)を0次ホールドを含む離散化システムに変換する。$$G(z) = (1 - z^{-1})\mathcal{Z}\left\{\frac{K}{s^2}\right\} \\= (1 - z^{-1}) \frac{KTz}{(z - 1)^2} \\= \frac{KT}{z - 1}$$(2)\(G(s) =\frac{K}{1 + \tau s}\)を0次ホールドを含
※以下、虚数単位に「\(j\)」を使用する。留数定理留数定理は、特異点の周りで関数を積分する際に、その点における関数の「留数」(Residue:何かが取り除かれた後に残っているもの、という意味)を利用するものである。ある閉じた経路 \(C\) に沿って解析関数 \(f(z)\) を積分する場合、経路 \(C\) の内部に存在する全ての孤立特異点における留数の和を用いて、積分を簡単に計算できる。留数定理は次のように表現される。$$\oint_C f(z)
連続時間システムから離散時間システムへの変換連続時間システムが微分方程式$$\frac{dy}{dt} = \alpha y + \beta u \;\; \cdots (1)$$で与えられるとき、このシステムをディジタルシステムに変換する。式(1)の自由システムは、$$\frac{dy}{dt} = \alpha y$$で、変数分離形なので、$$\frac{dy}{y} = \alpha dt$$となり、両辺を積分すると、$$\ln y = \alpha
電流と磁界には密接な関係がある。導線などに電流が流れると磁界が発生し、逆に磁界変化によって起電力が発生し、電流が流れる。この関係を理解することは、電気工学などの応用分野で非常に重要である。・電流による磁界:導線に電流が流れると、その周囲に磁界が発生する。磁界の向きは、右ねじの法則に従う。右手を導線に巻きつけ、親指の方向を電流の方向にすると、残りの指の方向が磁界の方向となる。磁界の強さは、電流が大きいほど、導線からの距離が近いほど強くなる。・磁界による電流(電磁誘導):磁界が
行列式とは、正方行列に対して定義される量で、歴史的には行列が表す一次方程式の可解性を判定する指標として導入された。幾何的には、線型変換に対して線形空間の拡大率ということができる。つまり、行列式は、行列がどれくらい空間を「引き伸ばしたり縮めたりしているか」を表す指標と言える。行列式とは\(nn\)の正方行列$$A = \begin{bmatrix} a_{11} & a_{12} & \cdots & a_{1n} \\ a_{21}
線形代数は、ベクトル空間と線形写像に関する理論と応用を扱う。制御工学、特に現代制御理論では重要な数学ツールとなっている。線形代数は、次の概念や操作を含む。1.ベクトルとベクトル空間:ベクトルは数値の集合であり、方向と大きさを持つ量である。2次元ベクトルは平面上の点を表し、3次元ベクトルは空間上の点を表す。ベクトル空間は、ベクトルの集合であり、ベクトルの加法とスカラー倍の操作が定義される。2.行列と行列演算:行列は数値を行と列の格子状に並べたもので、線形方程式の解を求めること
磁気の基本的な性質は、磁石が互いに引き合ったり反発したりする現象に見られる。磁石にはN極とS極があり、異なる極同士は引きつけ合い、同じ極同士は反発する。この性質は、磁性と呼ばれ、磁場に反応する性質を指す。磁気の性質は以下である。・磁気双極子: 磁石には必ずN極とS極の両方が存在する。(磁気単極子の存在は未確認)・磁力線: 磁石の周りには、磁力線が存在する。磁力線は、N極からS極へと向かっている。・磁場:磁力線が存在する空間を磁場と呼ぶ。・磁荷:磁荷は、磁極が帯びている磁気の
静電容量は、電子部品のキャパシタ(コンデンサ)が蓄えられる電荷の量を表す指標で、単位はファラッド\([F]\) である。\(1\;F\) は \(1\:C\)の電荷を\(1\;V\) の電圧で蓄えることができることを意味している。キャパシタの基本構造は、2枚の導体板 (電極) とその間に挟まれた誘電体(絶縁体)で構成される。これに電圧を印加すると、電極に電荷が蓄えられて電場が発生する。キャパシタは、様々な電子回路で使用される。キャパシタの用途は、エネルギー貯蔵、ノイズ除去、
電流とは、電気が導体などの経路を通って流れる様子を指す。具体的には、電荷を帯びた粒子が連続的に動く現象である。電流の大きさは、1秒間にどれだけの電荷が移動するかで決まる。電流の単位は\([A]\)で、\(1\;[s]\)間に\(1\;[C]\)の電荷が移動する電流を\(1\;[A]\)と定義する。また、電流の向きは、電荷が移動する方向によって決まる。一般的には、電子が移動する方向と反対方向を電流の方向とする。これは、歴史的な経緯によるもので、電子の存在がまだ知られていなかっ
電位とは、ある地点における電荷の持つエネルギーのことを指す。電位は、基準点における電位を0と定義し、その基準点からの距離と電荷によって決まる。電位の単位はボルト\( [V]\)であり、\(1\;[V]\)は\(1\;[C]\)の電荷を\(1\;[J]\)分の仕事をして運ぶのに必要な電位差と定義される。電位電界においても重力場と同じように、電気的な位置エネルギーの高い点、低い点がある。(重力場では、高いところにある質量は大きな位置エネルギーを持つ。)電気的
電界におけるガウスの定理は、電荷と電場の関係を表す重要な法則である。この定理は、「閉曲面を貫く電気力線の総量は、その閉曲面で囲まれた電荷の総量に比例する」という内容を表している。ガウスの定理は、電荷と電場がどのように関係しているかを理解する上で重要な役割を果たす。この定理を利用することで、様々な電場の分布を求めることができる。具体的には、ガウスの定理を用いることで、・点電荷、球対称電荷分布、無限に長い帯電導体の電場を求める・導体の表面における電場の分布を求める・静電ポテンシ
電界(電場)とは、電荷に力を及ぼす空間の性質の一つである。電荷の周りには電界が存在し、電荷に力を与える。電界は、ベクトル量であり、大きさと方向を持つ。電界の大きさは、その点における単位電荷が受ける力と、その電荷の電気量の比で表す。電界の方向は、電荷に働く力の向きと同じである。電界の単位は、国際単位系(SI)では\([N/C]\)で、\(1\;C\)の電荷が\(1 \;N\)の力を受けるのが電界の強さである。電界は目に見ることはできないが、電荷の動きによってその存在を知ること
静電力は、帯電した物体同士に働く力である。帯電とは、物体に電荷と呼ばれる電気的な状態が蓄積されることを指す。電荷には正と負があり、同じ極性の電荷は反発し合い、異なる極性の電荷は引き付け合う。静電力は、私たちの身の回りで様々な現象を引き起こしている。例えば、静電気ショック(帯電した物体に触れたときに感じるバチッという衝撃)、雷(雲の中で発生した静電気が放電される現象)、埃の付着( ホコリは静電気を帯びやすく、そのため物体に付着しやすくなる)などがある。電荷
FIRフィルタの設計では、フーリエ級数展開法で求めたインパルス応答に窓関数を掛ける窓関数法が代表的である。窓関数法によるフィルタの設計手順は、以下である。1)仕様決定:・フィルタの種類(LPF、HPF、BPF、BRFなど)・カットオフ周波数、阻止域減衰量、許容されるリップル量の決定2)窓関数の選択・矩形窓、ハミング窓、カイザー窓など、様々な窓関数があり、各窓関数によって、周波数特性やリップル量が異なる。必要な仕様を満たせる窓関数を、特性比較表などを参考に選択する。3)フィル
ディジタルフィルタの構成ディジタル信号処理の分野で、ディジタルフィルタは基本的で重要な技術で、様々な領域で活用されている。ディジタルフィルタは、特定周波数範囲の信号の伝送や除去などアナログフィルタと同じ目的で使用されるが、図1に示すように、連続時間の入力信号をサンプラーによる標本化、AD変換器による2進数のディジタル信号への変換、ディジタルフィルタ演算、DA変換器による連続時間の出力信号への変換、という操作を必要とする。これらの操作は煩雑ではあるが、以下のような様々
式(1)で表記する1入力\(n\)次元定係数線形システムを制御対象とする。$$\dot{x}(t) = A x(t) + b u(t) \\ y(t) = c x(t) \;\;\cdots \cdots (1)$$式(1)のシステムは可観測、可制御とする。さらに、状態変数\(x_1(t) \sim x_n(t)\)が直接観測できるとすると、入力を$$u(t) = -f x(t) \;\;\cdots \cdots(2)$$とすることで、状態フィードバック制御が構成できる。
※可観測性の解説は、11. 可観測性 、9. 対角正準形 を参照願います。システムを$$\dot{x}(t) = A x(t) + b u(t) \\ y(t) = cx(t) \;\; \cdots \cdots (1) $$で表す1入力1出力の\(n\)次元システムとする。可観測性の条件可観測性は以下のように表すことができる。(1)式(1)を対角正準形で表現したとき、すべての\(\tilde{c}_i\)がゼロでないとき、システムは可観測である。(2)あ
※可制御性の解説は、10. 可制御性、12. 可制御正準系 を参照願います。※固有値、固有ベクトルの計算手順の詳細については、固有値と固有ベクトルの計算 を参照願います。座標変換1入力1出力\(n\)次元システム $$\dot{x}(t) = Ax(t) + bu(t) \\ y(t) = cx(t) \; \cdots\cdots(1)$$を正則な\(n \times n\)定数行列\(T\)によって座標変換$$x(t) = T z(t)$$すると、$$\
制御対象を入力\(m\)、出力\(l\)の\(n\)次元の線形定係数システムとする。$$\dot{x}(t) = A x(t) + B u(t) \;\cdots \cdots (1) \\ y(t) = C x(t)\; \cdots\cdots (2)$$ここで、 \(x(t) , \;\;\; u(t), \;\;\; y(t) \)は、それぞれ\(n,\;m,\;l\)次元のベクトル、また、\(A \; (n \times n),\;\;\; B \;(n \tim
システムの特性を以下の状態方程式(式(1))、出力方程式(式(2))で表現する。$$\dot{x}(t) = A x(t) + B u(t) \;\;\cdots \cdots (1)\\y(t) = C x(t) \;\;\cdots \cdots (2)$$ \(x(t)\):状態変数、\(u(t)\):入力変数、\(y(t)\):出力変数、\(A\):システム行列、\(B\):入力行列、\(C\):出力行列※状態方程式の詳細に関しては、3. 動的システムの状態方程式表
インピーダンスを精度よく測定するために重要な要素は、測定条件の最適化である。インピーダンス測定器(LCRメータやインピーダンスアナライザなど)を使用する際に必要となる基本的な設定条件をまとめる。 (1) 周波数:最も基本的な条件が周波数である。全ての電子部品には周波数特性が有り、周波数によってインピーダンス値は変化する。インピーダンス測定器の測定精度は、周波数やインピーダンス値に応じて変化する。(2) 信号レベル:測定端子から出力される交流信号を測定対象に印加するが、その信
インピーダンスは、抵抗、キャパシタ(コンデンサ)、インダクタ(コイル)などの電気的性質を複素数で表したものである。インピーダンスの測定には、以下の2つの方法がある。1.直流法:オームの法則に基づいてインピーダンスを測定する方法で、抵抗器両端の電圧と、回路に流れる電流を測定し、電圧を電流で割ることでインピーダンスを求める。直流法は、比較的簡単な方法であるが、測定対象が直流動作なので、測定対象のインピーダンスが抵抗のみの場合に使用できる。2.交流法:交流法は、交流信号を用いてイ
温度センサは、物体や環境の温度を測定し、電気信号に変換するセンサである。温度センサは、主に以下の種類に分類される。*接触式温度センサ・測温抵抗体 :白金等の金属または金属酸化物の電気抵抗値が温度によって変化する性質を利用したセンサ。高精度で安定性があるが、高価で、熱電対に比べて応答速度が遅い。・サーミスタ(NTC,PTC,CTR):温度変化に対して電気抵抗の変化の大きい抵抗体(主に半導体)を利用したセンサ。小型で安価、応答速度が速いが、精度が低く、温度範囲が狭い。・熱電対:
力 センサは、物体に加わる力やトルクを電気信号に変換するセンサで、ロボットや工作機械、自動車、医療機器など、さまざまな分野で広く使用されている。力 センサには、以下のような種類がある。・ひずみゲージ式:金属箔、金属線などで構成されたひずみゲージに力が加わると、抵抗値が変化する性質を利用したセンサで、高精度で小型だが、温度変化の影響を受けやすい。・圧電式(ピエゾ式、半導体式):機械的応力を受けると電荷を生成する物 質(圧電材料)を利用したセンサ、応答速度が速く、高温・高圧環境
チェビシェフフィルタは、フィルタの一種で、バターワースフィルタに比べてロールオフ(フィルタの帯域の端における通過特性の変化の急峻さ)が急勾配で、通過帯域にリップルがある場合(第一種)と阻止帯域にリップルがある場合(第二種)がある。・第一種チェビシェフフィルタ:ローパスフィルタの特性は、リップル係数とチェビシェフ多項式によって決まる。通過帯域ではリップルがあるため、高調波を含む信号には適していない。ただし、リップルは通過帯域における信号の反射を調整し、電圧定在波比(VSWR)
ベッセルフィルタは、群遅延が最大限平坦になるようにしたアナログフィルタである。位相特性が線形になるため、方形波などの波形を入力しても、歪みの少ない出力波形を得ることができる。※群遅延:周波数によって信号の伝搬時間が変わる現象。群遅延\(\tau_g\)は、入力波形と出力波形の位相差\(\phi\)を角周波数\(\omega\)で微分することで求められる。\(\tau_g = -\frac{d \phi}{d\omega}\)以下にベッセルフィルタの特徴をまとめる。・群遅延の
バターワースフィルタは、通過帯域における周波数特性が最大限平坦になるように設計されたアナログフィルタの一種である。リップルと呼ばれる通過帯域におけるゲインの変動がなく、減衰特性は周波数の平方根に比例する。バタワースフィルタの特徴は、・通過帯域が平坦: 通過帯域における周波数特性が平坦なので、信号の歪みを最小限に抑えることができる。・減衰特性: 減衰特性は、周波数の平方根に比例する。・設計が容易: 数学的な計算が比較的簡単であるため他のフィルタに比べて設計が容易。バタワースフ
磁気測定は、磁場の強さや特性を評価するための手段で、主に次の2種類の測定法がある。1)磁束密度の測定:磁束密度とは、単位面積あたりの磁束の量である。磁束密度を測定するには、ガウスメータやテスラメータなどの磁束密度計を使用する。2)磁場の測定:磁場とは、磁力線の向きと強さを表す。磁場を測定するには、ホール素子や磁気センサなどの磁場センサを使用する。磁気測定は、モータやスピーカの開発、磁石の特性評価、電子機器の設計など、さまざまな分野で重要である。適切な測定器(フラックスメータ
計器用変圧器は、電力系統の高電圧・大電流を、計器や保護継電器が扱える低電圧・小電流に変換するための機器である。電圧計用変圧器 (VT)VT(Voltage Transformer)は、高電圧を計器や保護継電器が扱える低電圧に変換する。一般的に、一次側電圧は100V~765kV、二次側電圧は100Vや110Vに変圧するのが一般的である。原理は変圧器(トランス)と同じで、1次側と2次側の巻数比によって変圧比が決まる。ただし、\(N_1 >N_2\)である。図
カレントミラー回路は、BJT、FETなどの能動素子を用いて、入力電流を一定の割合で複製する電子回路である。入力電流を基準電流と呼び、コピーされた電流をミラー電流と呼ぶ。カレントミラー回路は、電流源、アクティブロード、バイアス回路など、様々な用途に使用される。特に、高精度な電流源を実現するために多く使用される。図1にカレントミラー回路の使用例として、オペアンプ(IC)の簡易等価回路を示す。ここで、カレントミラー回路は、差動増幅回路を構成している2つのFETに等しい
電力は、電流と電圧の積として定義される。電力の測定は、通常、電力計を使用して行われる。電力の測定法に関する基本的な事項は、以下である。1)電力を測定するためには、適切な電力計を選択する。電力計には、直流または交流の電力を測定するためのものがあり、測定範囲に合った電力計を選ぶことが重要である。2) 電力計は通常、電流と電圧の両方を同時に測定することができる。電力計を正確に使用するためには、電流計と電圧計を正しい位置に接続する。一般的には、電流計は回路に直列に、電圧計は回路に並
電圧計は、ある2点間の電位差を測る電気計器である。指針形電圧計は、指針形電流計の原理を応用して作られており、電流計に抵抗値の大きな抵抗を接続することで、電流計に流れる電流を制限して、その電流計に微小に流れる電流を測定し、電圧に換算する。指針形電圧計の内部には、磁針と磁場を発生させるコイルが組み込まれている。電圧計の端子に電圧を印加すると、電流が流れ、コイルに磁場が発生する。磁場が磁針に作用して、磁針が回転する。磁針の回転量は、印加された電圧の大きさに比例する。磁針の回転量を
離散フーリエ変換(Discrete Fourier Transform:DFT)は、離散的な信号やデータ列を周波数成分に変換する手法である。これは、信号処理やデータ解析の分野で広く使用されている。離散フーリエ変換は、離散時間信号から成る有限の信号を、異なる周波数成分に分解する操作である。この変換によって、元の信号がどのような周波数成分で構成されているかを分析することが可能になる。また、離散フーリエ変換は、計算が比較的簡単であり、効率的にアルゴリズム化できるため、実用的なアプ
※離散時間システムの周波数応答(ディジタル制御)も参考にどうぞ。LTIシステムのインパルス応答を\(h(n)\)として、そのシステムに複素正弦波数列の入力\(x(n) = e^{j n \omega T}\)を印可した時の出力\(y(n)\)は、$$y(n) = h(n) \ast e^{j n \omega T} = \sum_{k=0}^{\infty} h(k) e^{j (n - k) \omega T} \\= \left[ \sum_{k=0}^{\in
離散時間システムを記述する式(1)に示す差分方程式から分かるように、入力\(x(n)\)に対する出力\(y(n)\)の計算は、積和演算を実行すればよい。$$y(n) = \sum_{k=0}^{M} a_k x(n-k) - \sum_{k=1}^{N} b_k y(n-k) \;\cdots\cdots(1)$$一般に離散時間システムは、図1に示す加算器、乗算器、遅延器の3つの基本要素としてシステムを構成することができる。実際の演算は、多くの場合、2進数のディジタル演算で
「ブログリーダー」を活用して、tctyamさんをフォローしませんか?