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『近頃なぜかチャールストン』(81)(1982.4.22.テアトル新宿.併映は『遠雷』)前作『英霊たちの応援歌最後の早慶戦』(79)で落ち込んだ岡本喜八が復活した。もともと岡本喜八の映画精神は、アナーキー、諧謔、皮肉、風刺といったところにあるのだから、ノスタルジー色が強かった『英霊たちの応援歌』は、多少の戦争批判はあったものの、そうした本来の持ち味が失われていたのだ。その点、この映画では、彼の本領が発揮されている。まずは、今の日本の中に独立国を作ってしまうという発想の奇抜さがある。しかもそこに戦争体験のある老人たちと若者とを絡ませながらドラマを展開させ、老人たちにはご丁寧に大臣職が割り当てられているという念の入り用。以下、内閣総理大臣(小沢栄太郎)陸軍大臣(田中邦衛)文部大臣(殿山泰司)外務大臣(今福将雄...『近頃なぜかチャールストン』
『赤毛』(69)(1980.8.11.)例によって三船プロ製作の締まらない映画かと思いきや、非常に面白くて驚いた。御大・三船敏郎の豪快さ、多彩な脇役陣、岡本喜八監督によるユーモアを含んだストーリー展開などが相まって、飽きることなく見入ってしまった。幕末の赤報隊の悲劇に、百姓のええじゃないか一揆を絡ませ、百姓上がりの無知だがお人好しの赤毛の権三(三船)を中心に、女郎たち、若い百姓たち、代官(さすがの伊藤雄之助!)、そして官軍など、さまざまな人間たちを、時にユーモラスに、時に悲しく描いている。岡本喜八流の明治維新への皮肉が効いている。その点で、高橋悦史扮する浪人がしばしばつぶやく「葵が錦に変わっただけじゃねえか」というセリフが印象的であり、この映画のテーマを象徴していると思った。共同脚本は広沢栄。『赤毛』
『肉弾』(68)(1980.7.10.日劇文化「セレクションATGスペシャル」併映は『人間蒸発』)昭和20年夏、終戦間際に特攻兵となったあいつの悲哀に満ちた青春を、戦中派世代の岡本喜八監督が、痛烈な皮肉とユーモア、ペーソスを交えながら描く。最高の映画だった。これまで自分が見てきた日本映画の中でも上位に入るだろう。特にあいつを演じた寺田農がよかった。登場人物の一人一人が存在感を放ち、敗戦というものを庶民の側から描き切っている。ユーモアを交えながら戦争批判を感じさせるのは、さすがに岡本喜八の演出と脚本のうまさによるものだろう。あいつという主人公を狂言回しにして、さまざまな人物が登場してくる。それは黒澤明の『どですかでん』(70)と通じるところもある。その中で、戦争の滑稽さ、愚かさ、空しさが描かれ、時には笑わさ...『肉弾』
現代劇はもちろん、時代劇、特撮もの、ロマンポルノなど、さまざまなタイプの映画やドラマで、善悪を問わず、多岐にわたる癖のある役を演じた名優の一人。特に『肉弾』(68)のあいつをはじめ、『赤毛』(69)『近頃なぜかチャールストン』(81)といった岡本喜八監督作品での彼が好きだった。だから、36年ぶりの映画主演となった『信虎』(21)についてインタビューできたときは感慨深かったのだ。金子修介監督がキャスティングの理由について、「寺田さんには、その年になっても、何をするか分からないような危険性がある。スリリングなところがある。色気もあるから」と語ったというが、言い得て妙だと思った。ご本人は、「若い頃から生涯、不良でいこうがモットーだった」と語っていた。【インタビュー】『信虎』寺田農https://blog.goo...寺田農の思い出
「大誘拐」映画・ドラマ・舞台のキャスト比較【原作】「大誘拐」 天藤真大富豪の老女が若者3人組に誘拐されるが、逆に主導権を握って、国家権力とマスコミを手玉に取り100億円を略取する。第32回日本推理作家協会賞長篇賞受賞作。週刊文春「20世紀傑作ミステリーベスト10」第1位。【キャスト比較表】 1991年映画 「大誘拐 RAINBOW KIDS」1991年1月公開。監督・脚本:岡本喜八。岡本喜八の娘、岡本真実が出演している。日本アカデ...
太平洋戦争は、当時の国民にとってはラジオの開戦ニュースで始まり玉音放送で終わった。くしくもその両方に関わったのが天才と呼ばれた和田信賢アナ(森田剛)と新進気鋭の館野守男アナ(高良健吾)だった。1941(昭和16)年12月8日、大本営からの開戦の第一報を和田が受け、それを館野が力強く読み、国民を熱狂させた。以後、和田も館野も緒戦の勝利を力強く伝え続け、国民の戦意を高揚させた。同僚のアナたちは南方占領地に開設した放送局に次々と赴任し、現地の日本化を進めた。和田の先輩の米良忠麿(安田顕)も“電波戦士”として前線のマニラ放送局に派遣される。一方、新人女性アナウンサーの実枝子(橋本愛)は、雄々しい放送を求める軍や情報局の圧力で活躍の場を奪われる。やがて戦況が悪化する中、大本営発表を疑問視し始めた和田と「国家の宣伝者...NHKスペシャル「アナウンサーたちの戦争」
『戦国野郎』(1992.1.25.)(63)甲斐の武田家を離反し、武田家の忍者たちから命を狙われながらも、城持ちになることを望み、さすらいの旅を続ける若き忍者・越智吉丹(加山雄三)の活躍を描く。『岡本喜八全作品』という本の発売を記念して、一時途絶えていた、「ビデオによる岡本喜八復習週間」を復活させてみた。前回の最後が、ちょっときつかった『血と砂』(65)だったので、今回は、小品ながら、東宝青春路線+時代劇=和製ウエスタンといった感じがするこの映画を選んでみたが、これが大正解の快作だった。黒澤明が和製ジョン・フォードなら、この岡本喜八は和製ジョン・スタージェスか。いや、この快調なコミカルタッチはバート・ケネディか。実際、加山雄三のお気楽ぶりは若大将以上だし、今は「水戸黄門」の風車の弥七になった中谷一郎が、か...加山雄三の映画『戦国野郎』
『独立愚連隊西へ』(60)(1989.1.18)軍隊のハミ出し野郎が集まった“独立愚連隊"。彼らは、北支戦線で全滅した連隊の軍旗を求めて、敵の真っただ中に飛び込んでいく。軍隊の象徴たる軍旗に命を懸けることの虚しさを描いた加山雄三の初主演作。またもや岡本喜八監督作である。彼の戦中派としての、戦争に対する屈折した思いや憎悪は、すでに『肉弾』(68)などで見せられてはいたが、噂通り、この映画はその最たるものであった。しかも、そうした思いテーマを、半ばコミカルに、アナーキーに描き、加えて、アクション映画としての面白さも持ち合わせながら、戦争に対する憎悪という本筋をしっかりと浮かび上がらせるところは、さすがであった。例えば、最近のバリー・レビンソンの『グッドモーニング,ベトナム』(87)のように、戦争とは別のコンセ...加山雄三の映画『独立愚連隊西へ』
「カムカムエヴリバディ」の劇中映画『ベースボール・サムライ』は、現代のアメリカ人が幕末の日本にタイムスリップし、弱小藩の人々とコミュニケーションを取るために、彼らに野球を教える、というものらしい。で、思い出したのが、幕末の日本に漂着したアメリカの黒人が、小藩の人々にジャズを教えるさまを描いたこの映画だった。『ジャズ大名』(86)(1986.7.19.)『近頃なぜかチャールストン』(81)から、随分とごぶさたが続いた岡本喜八監督の新作。相変わらずのウイットに富んだ笑いと、アナーキーぶりで健在を示してくれたので、まずは一安心。日本の幕末に、ジャズのルーツを持ったアメリカの黒人たちが漂着するなどという、突拍子のなさは、いかにも原作の筒井康隆の世界。だが、その短編から話を膨らませ、アメリカの南北戦争と日本の戊辰戦争とい...「カムカムエヴリバディ」→『ジャズ大名』
本日2月17日はアタクシの大好きな岡本喜八監督のお誕生日♪中でも大好きな一本を取り上げたいと思います。 『ダイナマイトどんどん』 ↑アマゾン(DVD通販) アマプラもあるでヨ 概要 にんきょぉー! ストーリー 時は昭和25年、岡源こと岡谷源蔵(嵐寛寿郎)と橋伝こと橋本伝次郎(金子信雄)の二大やくざ勢力が小競り合いを繰り返す北九州が舞台。 進駐軍と警察署長(藤岡琢也)が間に入るものの双方...