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寺田農氏がお亡くなりになりました(なっていました)。3月14日(公表23日)。肺癌。81歳。映画、舞台、ドラマはもとより、特撮、アニメまで幅広く活躍。声優としてのお仕事は多くはありませんでしたが(外国映画の吹き替えを除けば)初挑戦となった「天空の城ラピュタ」のムスカ大佐(ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ)役で一気にレジェンドに。収録時、後半の絵がまだ出来上がっておらず「時間」の指示だけで時計を見ながら台詞を読んだそうです(そりゃ思い入れが薄くなっても仕方ないよなあ)。また、演技をめぐって宮崎監督と「揉めた」らしく(トラウマになったと言っているくらいなので結構な揉め方をしたのでしょう)、公開後も「…
俳優の寺田農さんが亡くなられました。訃報を伝える記事には、アニメ映画『天空の城ラピュタ』の悪役、ムスカ大佐を挙げているものが目立ちましたが、元々のキャリアは舞台・映画の俳優の方です。(文学座研究生出身で、樹木希林さんと同期だったとか。) ja.wikipedia.org これは私のうろ覚えの記憶で申し訳ないのですが*1、『ラピュタ』の封切り前後の雑誌『アニメージュ』の記事の中に、宮崎駿監督の意向で、「なるべくアニメから遠いところから声優を採用したい」ということになり、ムスカ役の寺田氏、女空賊のドーラ役の初井言榮氏*2は舞台系から採用したというようなことが書かれていたと思います。宮崎監督は「声優…
「戦後史実録シリーズ空白の900分-国鉄総裁怪死事件-」(1980.10.11~18.NHK土曜ドラマ)戦後史の謎の一つとされる下山事件を、複数の視点から前後編で描いた異色作。脚本は岩間芳樹。初代国鉄総裁となったものの、GHQから国鉄職員10万人の首切りを迫られた下山定則(小林桂樹)の苦悩、謎の死、捜査陣(佐野浅夫ほか)や新聞記者(寺田農、三上真一郎ら)による推理、下山をひいた機関士(伊東四朗)や娘(竹田かほり)の悲劇などを巧みに描き込み、演技陣の好演もあって、骨太のドラマとして仕上がっている。戦後の混乱期に起きた謎の事件を、なぜ今またドラマ化したのかは分からないが、いずれにせよミステリーとしても、人間ドラマとしても見応えのあるものになっていた。【今の一言】同時期に『日本の熱い日々謀殺・下山事件』(81)...「戦後史実録シリーズ空白の900分-国鉄総裁怪死事件-」
『赤毛』(69)(1980.8.11.)例によって三船プロ製作の締まらない映画かと思いきや、非常に面白くて驚いた。御大・三船敏郎の豪快さ、多彩な脇役陣、岡本喜八監督によるユーモアを含んだストーリー展開などが相まって、飽きることなく見入ってしまった。幕末の赤報隊の悲劇に、百姓のええじゃないか一揆を絡ませ、百姓上がりの無知だがお人好しの赤毛の権三(三船)を中心に、女郎たち、若い百姓たち、代官(さすがの伊藤雄之助!)、そして官軍など、さまざまな人間たちを、時にユーモラスに、時に悲しく描いている。岡本喜八流の明治維新への皮肉が効いている。その点で、高橋悦史扮する浪人がしばしばつぶやく「葵が錦に変わっただけじゃねえか」というセリフが印象的であり、この映画のテーマを象徴していると思った。共同脚本は広沢栄。『赤毛』
『肉弾』(68)(1980.7.10.日劇文化「セレクションATGスペシャル」併映は『人間蒸発』)昭和20年夏、終戦間際に特攻兵となったあいつの悲哀に満ちた青春を、戦中派世代の岡本喜八監督が、痛烈な皮肉とユーモア、ペーソスを交えながら描く。最高の映画だった。これまで自分が見てきた日本映画の中でも上位に入るだろう。特にあいつを演じた寺田農がよかった。登場人物の一人一人が存在感を放ち、敗戦というものを庶民の側から描き切っている。ユーモアを交えながら戦争批判を感じさせるのは、さすがに岡本喜八の演出と脚本のうまさによるものだろう。あいつという主人公を狂言回しにして、さまざまな人物が登場してくる。それは黒澤明の『どですかでん』(70)と通じるところもある。その中で、戦争の滑稽さ、愚かさ、空しさが描かれ、時には笑わさ...『肉弾』
にほんブログ村にほんブログ村米名脇役のエメット・ウォルシュ氏死去、88歳 「ブレードランナー」で名声「ブレードランナー」「ブラッドシンプル」などの米国映画に出…
現代劇はもちろん、時代劇、特撮もの、ロマンポルノなど、さまざまなタイプの映画やドラマで、善悪を問わず、多岐にわたる癖のある役を演じた名優の一人。特に『肉弾』(68)のあいつをはじめ、『赤毛』(69)『近頃なぜかチャールストン』(81)といった岡本喜八監督作品での彼が好きだった。だから、36年ぶりの映画主演となった『信虎』(21)についてインタビューできたときは感慨深かったのだ。金子修介監督がキャスティングの理由について、「寺田さんには、その年になっても、何をするか分からないような危険性がある。スリリングなところがある。色気もあるから」と語ったというが、言い得て妙だと思った。ご本人は、「若い頃から生涯、不良でいこうがモットーだった」と語っていた。【インタビュー】『信虎』寺田農https://blog.goo...寺田農の思い出