メインカテゴリーを選択しなおす
「戦後史実録シリーズ空白の900分-国鉄総裁怪死事件-」(1980.10.11~18.NHK土曜ドラマ)戦後史の謎の一つとされる下山事件を、複数の視点から前後編で描いた異色作。脚本は岩間芳樹。初代国鉄総裁となったものの、GHQから国鉄職員10万人の首切りを迫られた下山定則(小林桂樹)の苦悩、謎の死、捜査陣(佐野浅夫ほか)や新聞記者(寺田農、三上真一郎ら)による推理、下山をひいた機関士(伊東四朗)や娘(竹田かほり)の悲劇などを巧みに描き込み、演技陣の好演もあって、骨太のドラマとして仕上がっている。戦後の混乱期に起きた謎の事件を、なぜ今またドラマ化したのかは分からないが、いずれにせよミステリーとしても、人間ドラマとしても見応えのあるものになっていた。【今の一言】同時期に『日本の熱い日々謀殺・下山事件』(81)...「戦後史実録シリーズ空白の900分-国鉄総裁怪死事件-」
『植村直己物語』(86)(1986.7.8.日本劇場)世界的冒険家・植村直己の半生と夫婦の愛を描く伝記ドラマ。監督・佐藤純彌、脚本・岩間芳樹、撮影・並木宏之、阿久津悦夫、音楽・村井邦彦、ウィリアム・アッカーマン、ウィンダム・ヒル。映画を見る前は、また『南極物語』(83)のような、スタッフ、キャストの労をねぎらう“ご苦労さん映画”なのかなと思っていたのだが、そうした先入観を見事に打ち破られた。植村直己という一人の男と自然との異常とも思える関わり方は、確かにスペクタクルの一つとして見せられるのだが、その裏で、日常生活ではむしろ凡人であり、落ちこぼれでもあったという、植村の弱点を同時にみせることによって、偉人でも超人でもない、一人の人間としての魅力を引き出すことに成功しているし、山や極地での危険な冒険にしか生き...「BSシネマ」『植村直己物語』